イーグル・ロック イーグル・ロック

イーグル・ロック

2015年9月2日発売  第3弾 アルバム解説

解説執筆者: 赤岩和美


1

UIBY-15065

ライヴ・アット・ザ・ロイヤル・アルバート・ホール

B.B.キング 


<解説>

<キング・オブ・ブルース>の称号を持つBBキングは、今年2015年5月14日に自宅のあるラスヴェガスで心臓発作の為に89歳で亡くなってしまった。訃報を受けて、エリック・クラプトンら彼を信奉するミュージシャンやオバマ大統領などから追悼の言葉が寄せられ、偉大なブルース・マンの死が痛まれた。 BBキングは晩年近くにもライヴ活動を続けており、06年の<フェアウェル・ワールド・ツアー>を決行後も、07年から13年の間にはエリック・クラプトンのクロスロード・ギター・フェス、ボナルー・フェス、グラストンベリー・フェス、ニューオーリンズ・ジャズ・フェスなどの野外フェスや自身のBBキング・ブルース・クラブやハウス・オブ・ブルースなどでの活動も行っていた。
 本作は2011年6月28日にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開催されたスペシャル・ライヴで撮影された貴重なライヴ映像だ。この年に行われたイギリスの有名な野外ロック・フェスであるグラストンベリー・フェス(6月24日)に出演したBBが、その4日後に行ったもので、当時は85歳ということになる。愛用のギター:ルシールをチョーキングやフィンガー・ヴィヴラートを効かせたBB独特の奏法と、貫禄というか、円熟というか、味わいのある歌声で軽妙にプレイする様はBBならではの伝統芸と言えるだろう。 スペシャル・ゲストには、登場順にトラックス・テデスキ・バンドのデレク・トラックス(g)とスーザン・テデスキ(g,vo)の夫婦(トラックスはオールマン・ブラザース・バンドのメンバーで、エリック・クラプトンのバンドでも活動したことがある)、それに加えて、元ガンズン・ローゼズのスラッシュ(g)、ローリング・ストーンズのロニー・ウッド(g)、シンプリー・レッドのミック・ハックネル(vo)もステージに現れてBBを挟んでの共演が実現している。テデスキとの「ユー・アー・マイ・サンシャイン」やラストの「聖者の行進」は、トラックス・テデスキ・バンドのアメリカーナ志向も伺わせる曲でユニークな選曲と言えるだろう。BBのヒット曲「ロック・ミー・ベイビー」、「スウィート・シックスティーン」からのブルース・ジャム「スリル・イズ・ゴーン」「ゲス・フー」や、ブルース定番の「アイ・ニード・ユー・ソー」(アイヴォリー・ジョー・ハンター)、「キー・トゥ・ザ・ハイウェイ」(ビッグ・ビル・ブルージー)、「シー・ザット・マイ・グレイヴ~」(ブラインド・レモン・ジェファーソン)を交えた選曲も聞き応えがある。


2

UIBY-15066

リフレクションズ: ザ・デフィニティヴ・パフォーマンス-1964-1969 

シュープリームス


<解説>

シュープリームス(後にダイアナ・ロス&ザ・シュープリームスに改名)は、60年代のアメリカン・ポップス・シーンで、ビートルズを筆頭に押し寄せたブリティッシュ・インヴェイジョンの荒波に対抗した最高のヒット・メーカーだった。近年ではモータウン・サウンドやソウルの系譜で語られることも多いが、当時はポップ・グループとしての輝きこそシュープリームスの最大の魅力だった。それを証明するのが、本コレクションである。 シュープリームスは当初は4人組でプライメッツを名乗っていた時代もあったが、ブレイクを果たすのは、ダイアナ・ロス、メアリー・ウィルソン、フローレンス・バラードのトリオで、61年にシュープリームスと改名後のことだった。64年に9枚目のシングル「愛はどこへ行ったの」が初の1位に輝き、そこから5曲が連続で1位を記録するヒットとなり、アメリカを代表するポップ・スターとなっている。67年には脇役に追いやられたことを不満に思ったフローレンスがアルコール過で解雇され、シンディー・バードソングが変わって加入し、グループ名をダイアナ・ロス&ザ・シュープリームスへと改名するが、ダイアナは69年に独立し、ソロ・シンガーの道を歩むことになった。こうしたシュープリームスの物語は、ミュージカル「ドリームガールズ」(後にビヨンセ主演で映画化された)にもなっている。ダイアナ脱退後にシュープリームスはメアリー・ウィルソンを中心にメンバーを代えながら活動が続けられている。 本作はダイアナ・ロスが在籍していた時代の64年から69年の間のヒット曲を、当時のTV出演映像で綴った貴重な作品だ。この期間に彼女たちが放った全米1位のヒット曲は12曲もあり、そのすべても本作に収録されている。本編16曲の内、1位でなかった曲は「悲しみがいっぱい」(11位)、「二人だけの世界」(5位)、「リフレクションズ」(2位)、「イン・アンド・アウト・オブ・ラヴ」(9位)の4曲で、他の12曲は1位に輝いている名曲揃いだ。尚、ボーナス曲の内、「恋のキラキラ星」は63年に23位を記録した初めてのトップ40入りした曲だった。また、DVDの特性を生かした機能として、8曲がヴォーカル・トラックのみと伴奏付きのリマスター音声で聞けるなど面白い仕様となっている点も要チェックだ。


3


UIBY-15067

シアター・オブ・デス―ライヴ・アット・ハマースミス 2009

アリス・クーパー


<解説>

今年=2015年に、アリス・クーパーは俳優のジョニー・デップとエアロスミスのジョー・ペリーらとプロジェクト・バンド:ハリウッド・ヴァンパイアーズを結成し、CD発売とウエスト・ハリウッドのロキシー・シアターやロック・イン・リオでのライヴも行う予定になっている。80年代のアルコールとドラッグ過を脱したアリスは、90年代以降は見事に復活し、コンスタントにツアーを行うなど現役ロックン・ローラーとして疾走を続けている。
 本作は09年7月から10年11月にかけて149公演が行われた<シアター・オブ・デス・ツアー>の内、09年12月6日に、ロンドンのアポロ・シアターで収録されたライヴ映像だ。前年にリリースされたアルバム”Along Came a Spider”に合わせてのツアーだったが、セット・リストは70年代のヒット曲を多く盛り込んだグレーテスト・ヒッツ集といった趣の有名曲のオン・パレードとなっており、アリスの魅力をタップリと味わえる構成になっている。
 また、オリジナルのアリス・クーパー(バンド)以降のソロ・バンドで起用したミュージシャンは実力者揃いだったが、このツアーのメンバーは、メガデスなどでも活動したデーモン・ジョンソン(g、ひげを生やしている方のギタリスト)とジミー・デグラッソ(ds)=両者は現在は再結成シン・リジーが改名したブラック・スター・ライダーズで活動中だ。ケリ・ケリ(g)はLAガンズやプリティー・ボーイ・フロイドなどで活動し、近年はナイト・レンジャーで活動している。チャック・ガリック(b)はLAガンズやディオのツアー・メンバーとして活動しており、現時点のアリスのバンド・メンバーでもある。 
 この<シアター・オブ・デス・ツアー>の構成はアリス本人と60年代後期からのマネージャーのシェプ・ゴードンと、レディー・ガガなどのステージも手掛けたロブ・ロス(このショーのディレクター)の3人で制作されたもので、ナース姿のティファニー・ロウらによる断頭台、毒注射、絞首刑やグラインダー芸、エロティックなシルエット・ショーなどアリスのライヴではお馴染みのシアトリカルな演出が織り込まれたヴィジュアル観溢れるステージが展開されている。<ショック・ロック>の帝王アリス・クーパーの真髄を味わうには、映像作が最適なことを、この作品が証明している。

 


  • http://www.riaj.or.jp/
  • http://www.universal-music.co.jp/faq/legal/
  • http://www.stopillegaldownload.jp/
  • http://www.riaj.or.jp/lmark/