BIOGRAPHY

暗闇がなければ、光はない

「Bitter Truth」の制作に入った当時、私たちはこれから世界が直面することになる困難な状況や痛みについて想像することはできなかった。私たちの地球がCOVID、人種差別と経済的激変を耐え忍んでいた中、私とバンドの仲間は個人的な喪失感と戦っていたの。私は突然の弟の死、ティムとその家族は子供を亡くし、そしてギタリストのジェンはドイツから文字通り出国することができず、スタジオで一緒にレコーディングをすることができなかった。

この難しい状況で、バンドとして私たちの中であるテーマが芽生え始めたのよ。押し通すことはあきらめるよりも素晴らしいってこと。

オーケストラルなアルバムとなった「SYNTHESIS」で行った大々的なツアーの後、私たちは新しい音楽を作りたかった。2019年はショーの合間に時間を作り、それは私の家での数日間や森での1週間だった。一緒にいる時間を有効に使い、芽生え始めた種についてとても興奮していたわ。その年が終るころにはいくつかの新曲の土台が完成し、そのほかの曲にも取り掛かっていた。昔からの友人でプロデューサーでもあるニック・ラスクリネクツと彼のナッシュビルのスタジオで4曲のレコーディングを終えたとき、私たちはみな、一緒にこの作品を作り上げたいと感じていたわ。エネルギーとクリエイティビティはとにかく刺激的だった。それなのに突然現れたCOVIDにすべてを止められた。2020年、この感染症は世界をひっくり返し、アルバム制作を散発的に、そして時としてみんなでバラバラにやることしかできなくしてしまった。その時点から私たちはどうやって創り上げてゆくのかを考えなくてはならなくなったわ。一から始める様にね。でも一度として止めるという選択肢は出てこなかったわ。

 

最初にあの4曲をレコーディングしたとき、私たちは特別なものを感じていたの。そしてそれが1年間続いてくれた。また一緒にできる日が確実に来る日まで待つとか、一旦作業を止めるのではなく、アルバム制作を続けることは信頼に基づく賭けでもあったわ。私たちはとにかく作品をリリースしてファンとのつながりをもちたかった。私たちのファンが必要としたより、もしかしたら私たちのほうがこのつながりを必要としていたように思えるわ。私たちは多くの悪いニュースがはびこる世界の中で、落胆ではない存在になりたかった。人生は続いていくと証明できるものの一部になりたかったのよ。

 

私は同じことを繰り返すことは絶対に嫌で、クリエイティブなプロセスでは完全なる自由がほしいの。だから私たちが気持ちいいと感じたもの、すべてから試してみることにしたのよ。たまにそれはまったく新しいレベルのものであったけど、音楽を愛する気持ちに何の制限もかけずに生まれた本物で誠実なものよ。それでも私たちがここ数年行ってきたロックショーでの経験がバンドのルーツを確固たるものにし、そのサウンドとエネルギーはカタルシスだった。

私はいつだって私。暗闇と再び直面したけれど、私は癒しのために書く。そしてここにごく自然にたどり着いた。私たちが愛する物語の熱い一章を作っているところよ。この美しい真実は私にとっての再確認だった。初めてのことではなかったし、私は時間を無駄にしなかった。これらのサウンドは私の正直な気持ちから生まれたもので、私自身を反映しているように感じられる曲たちなの。私や私のバンドが経験してきた様々なことの後で、まだバンドが一緒にいられることをとても誇りに思っているし、感謝の気持ちでいっぱいよ。

このアルバムは進化であると同時に、一周してまたもとに戻ってきた感じもするの。

 

「The Bitter Truth」というアルバムタイトルは、私たちが暮らすこの世界に向けて、先へ進むためには、状況がどんなにひどくて、難しくても、必ず現実と向き合うべきだということをあるレベルで発信しているのよ。並行して内面的な意味もあるの。初めに痛みを経験しなければ、治療はない。私にとってBitter Truthは人生は短く、時間を無駄にはできないというもの。私たちの中で死という運命はとても新鮮だわ。2020年に感染が広がり、ロックダウンされたとき、これこそ私たちの中の炎に火をつけた燃料となり、アルバム制作に至ったことよ。私たちのことは何にも止めさせないと強く思った。そして世界が元通りになるのを待つのもやめた。私たちはこのアルバムを完成させることに全集中することにしたの。継続できる新しい方法や自分たちでビデオを作るなど、何としてでもやり遂げるつもりだった。とても厳しい時代だけれど、音楽があるということは私やバンドにとって生きる力を与えてもらえる素晴らしいもの。私たちのフラストレーション、怒り、悲しみ、そして自分たちがわずかに支配できるこの世界への愛情を吐き出せる場なの。

ここからはいつものバイオよ。

私たちの初アルバム「Fallen」は21世紀のベストセラートップ5に入り、もしあなたが記録をとっているのなら、バンドとしてもロックとしても最高売り上げを記録したそうよ。

私たちはグラミー賞を2度受賞し、SNSでは音楽界で最高フォロワー数も記録した。(みんな、ありがとう!)私たちのシングル“Bring Me To Life”は過去20年間において「ポップスの真価の基準」だと評価されたこともある。お店のスピーカーから流れてくるのを聞くと、まだすごく変な気分になるのよ。この実績と最高の賛辞は本当にうれしいわ。でも私にとってもっと大事なのは、私たちの音楽がずっと長く、人々をインスパイアさせて、いろんなものを創っていってもらうこと。私たちの音楽にインスパイアされ、作家は物語を書いたし、ファンはそれぞれのアニメを作った。映画、音楽、ビジュアルアートに車のデザインまでもが私たちの音楽で生まれてきた。これらのもつ意味はよくわかるわ。だって私も様々なアーティストたちからインスパイアされてきたもの。私が特に感動したのは、音楽と本物のつながりをもつ、とても力強くて、情熱的な世界規模のファンができたことよ。私たちが一緒になれるとても神聖な場ね。The Bitter Truthは、私たちが直面している厳しい状況の中での希望であり、みんなへの贈り物よ。

このアルバムを聴いたすべての人々に、聞き終わったあとに希望と力と自信を感じてほしい。私がインスピレーションを受けるのは、非常に困難な状況に打ち勝った、サバイバーたちよ。人生がとてつもなくつらくても、生きている価値があるという気持ちを伝えられることを願っているわ。暗くて、本当につらいことと向き合い、それを受け入れるとき、独りではないことに気付いたとき、私たちは真の姿になれる。すべてを受け止められるほど強くなれる。そして、光と真実の深い真価を理解できるように私たちは一つになれる。

思い出をありがとう。さあ、今から新しい思い出をつくりましょう。

 
メンバー:
エイミー・リー(Amy Lee)<vo, piano, key, harp>
テリー・バルサモ(Terry Balsamo)
ティム・マコード(Tim McCord)
ウィル・ハント(Will Hunt)
トロイ・マクローホーン(Troy Mclawhorn)