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理学博士 和合治久とは?

プロフィール

和合 治久(わごう はるひさ)


1950年長野県松本市生まれ。東京農工大学大学院修了後、京都大学にて理学博士取得。埼玉医科大学短期大学教授・学科長・学長補佐、埼玉医科大学保健医療学部教授・初代学科長を経て、現在、埼玉医科大学短期大学名誉教授、前・埼玉医科大学教授。

専門は比較免疫生物学、免疫音楽医療学で、人間を含めた動物の健康維持機構を研究。中国・長春中医薬大学客員教授、首都大学東京および尚美学園大学で講師を兼務。国際個別化医療学会顧問、日本臨床検査学教育学会理

事、日本臨床音楽研究会理事、日本作家クラブ評議員、公益社団法人「虹の会」理事、「ふるさとテレビ」顧問、日本アルゼバイジャン協会理事などを務める。これまでに、国際比較免疫学会アジアオセアニア会長、日本比較免疫学会副会長などを歴任。東京農工大学、東京都立大学、御茶ノ水女子大学、名古屋大学大学院、弘前大学、早稲田大学、放送大学大学院、新渡戸文化短期大学などで非常勤講師を務めた。

受賞歴に、文部大臣賞、日本応用動物昆虫学会賞、日本臨床検査学教育学会精励賞などがある。

各地の講演のほか、テレビ、ラジオ、医学・健康雑誌等で活躍する一方、日本各地で音楽セラピーコンサートを開催し、治未病活動を推進している。

著書:『粘膜力でぜんぶよくなる-れんこんパワーで病気をはじき出す!』(2015)、『聴くだけで心と体が安らぐ周波数528Hz CDブック』(2013)、『音楽療法元年-未病を克服して健康寿命の延長をめざす』(2013)、『脳と心に効く!母と子のためのモーツァルト』(2012)、『音楽療法士への期待 21世紀の音楽療法を考える』(2010)、『モーツァルト音楽療法で未病克服力をつける』(2008)、『モーツァルトを聴けば免疫力が高まる!』(2005)、『モーツァルトを聴けば病気にならない!』(2004)、『健康モーツァルト療法-免疫音楽医療入門』(2004)、『聴いて治す耳鳴り・難聴』(2004)、『花粉症 塗るだけ聴くだけ免疫療法-レンコンとモーツァルトで治す』(2004)、『アマデウスの魔法の音』シリーズ、『アマデウスの魔音の癒し 耳鳴り・難聴が治った』(2003)、他

監修・解説CD:『心と体を整える~愛の周波数528Hz~』『自律神経を整える音の処方箋~愛の周波数528Hz~』(第57回日本レコード大賞・企画賞受賞)、『最新健康モーツアルト音楽療法BOX』『治・未病音楽療法 モーツァルト』、『The Mozart Therapy』、他

【Link】

■和合治久 公式サイト
http://www.wagoh.jp/

■和合治久 ユニバーサルミュージック レーベル公式サイト
https://www.universal-music.co.jp/wago-haruhisa/

粘膜力と免疫力を高めるモーツァルト

和合治久(元・埼玉医科大学教授、埼玉医科大学短大名誉教授、理学博士)

ウイルスを含む病原体の感染に対して、人間は生まれつき素晴らしい防御システムを備えています。身体を包む体表面は皮膚の厚いケラチンに覆われ、病原体の侵入を阻止しているばかりでなく、皮脂腺や汗腺から分泌される脂分や汗を含む分泌液には細菌やウイルスを撃退する感染防御物質(リゾチームや脂肪酸、分泌型IgA)が存在します。一方、口から肺に至る呼吸器系や、食道や胃を介して大腸にまで至る消化器系は、粘膜面から分泌される粘液によって病原体を撃退しています。その理由は、この粘液にリゾチームやディフェンシン、ラクトフェリン、ネバネバ成分のムチン、そして病原体に特異的に反応する分泌型IgAという5種類の防御物質が感染を阻止しているからです。

さらに、生体内に侵入する病原体に対抗するために、血中や各臓器には免疫細胞として好中球、単球、マクロファージという貪食細胞が存在して、異物を食作用で取り込み、殺菌処理しています。また、ウイルスのような細胞内寄生病原体に対しては、感染細胞に傷害を与えて、それをまるごと排除するNK細胞も生体防御の役割を果たしています。
一方、血液中には液性防御因子として、補体という防御蛋白質や種々の感染防御物質が存在しており、免疫細胞と協調しながら侵入する病原体と戦っています。

このような感染の初期段階で病原体を排除する防御システムを「自然免疫」とよんでおり、きわめて病原体の感染から生命を守る上で重要です。

他方において、こうした自然免疫では対抗できない強力な病原体の感染を受けた場合、さらにリンパ球に依存する免疫系を人間は発動させます。特に、胸腺で生まれたTリンパ球による異物に特異的な細胞性免疫反応と骨髄で生まれたBリンパ球が産生する特異抗体に依存する液性免疫反応は、最終的な防御手段として、病原体に対して1対1で攻撃するようになります。通常、ウイルスに対抗する上では、キラーTリンパ球とウイルス特異抗体がきわめて重要です。こうした特異性と免疫記憶を伴って効率的に病原体を排除をする防御システムを「獲得免疫」とよんでいます。

さて、今日の現代社会では、多くの人々は不快なストレスに満ち、過密化した都会での生活を余儀なくされています。さらに、緑あふれる自然環境から遠ざかり、コンクリート化した住環境の中にあって、自然音が乏しく人工音の多い音環境の中で暮らしています。このような環境下での生活では、自律神経の中でも心身や脳機能を過剰に活発化させる交感神経が優位になります。特に、アドレナリンやノルアドレナリンの分泌が多くなり、免疫学的には、粘膜面から分泌される粘液が減少してきます。この例として、乾燥肌やドライアイ、ドライマウス、便秘症などがあります。加えて、ウイルスなどの病原体を攻撃するリンパ球の機能も低下してきます。したがって、当然のことながら、体表面や粘膜面での自然免疫力と生体内での獲得免疫力は低下してきます。この観点で、今日の現代社会人はウイルスなど粘膜面から侵入する病原体に感染しやすくなっているといえます。

こうした問題点を克服する上で大切なことは、交感神経にブレーキをかける副交感神経を刺激することです。この方法の一つとして、モーツァルトの音楽があります。人間の副交感神経は両耳を結んだ真中に位置する間脳から下の脳幹部(生命の座ともよばれ、中脳、橋、延髄から構成されます)に分布しており、モーツァルトの名曲には、その脳幹部に波及する音響学的な要素が多く含まれているためです。例えば、好き嫌いに関係なく、その要素を含むモーツァルトの音楽に耳を傾けると、唾液がよく出るとか血圧や心拍がすぐに下がり安定化する、あるいは体温が上昇するというような現象をどなたでも体感できるのです。この意味は、副交感神経が作動して、唾液腺が刺激され、血管が拡張し、心臓の拍動が穏やかになったことにあります。つまり、交感神経にブレーキがかかったのです。加えて、ストレスホルモンであるコルチゾールが低下するため、リンパ球の機能も高まり、上述の細胞性免疫反応が亢進するのです。また体温も上昇するため、いっそうリンパ球の機能は向上するのです。

このように、モーツァルトの名曲には、人間の粘膜力と免疫力を高め健康を維持する力が存在しているのです。したがって、ウイルスなどの感染症を予防したり克服する上で、手軽に活用できる有効な音楽を日々の生活に取り入れてほしいと私は強く願っています。

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