アリアナ・グランデ、アルバム楽曲について語るインタビュー公開

2024.03.19 TOPICS

アリアナ・グランデが出演したポッドキャスト「Zach Sang Show」インタビューのパート2が公開され、最新アルバム『エターナル・サンシャイン』の楽曲について語っている。

以下抜粋:

< bye >
― 1番作るのが難しかった曲は何ですか?
「bye」は、シンプルでふざけているような歌詞に見えるかもしれないのですが、“あんたなんかもういらない!”みたいに否定的に聞こえてほしくなかったので、作るのが難しかったと思います。“あなたから離れなきゃいけないから、行くね。さよなら”という意識で、強い否定的な表現ではなく、愛をもって離れていくよ、という感じ。「end of the world」のイントロの後にこのテーマを置いたのは、責任感を持って別れを告げる前段階としてここに位置づけたからです。曲を作る上で一番気を遣うことは、コンセプトが強烈でも、やさしさと共感を与えられるかどうかということ。私のDNAには無いような辛辣さが出ないように注意しました。
この曲ができた背景にあったのは、母のことです。両親が離婚して育った環境で、自分が憧れていた幸せを追求して、問題を無視して、自己犠牲をしてしまう。でも私の母はその逆ができる完璧なお手本のような人。色々な経験を経て、自分が母のように困難な状況でも、優しく別れを告げることができるようになりたいということに気が付きました。私の母は、私の知っている中で1番強い人で、この曲は母の視点から書かれた曲のようなものなのです。

― 「don’t wanna break up again」は「bye」の後に続きますが、つながりはありますか?
「don’t wanna break up again」は、「bye」の、残り香のような曲です。人間は様々な状況で、二極化した感情を多く経験して、それが層のようになって複雑に表現されていると思います。でもそれが人間らしくて好きなところでもあります。「bye」は“私たち、できることはやったよね”と、「don’t wanna break up again」は、“あなたはできることを最後までやってない!”という感じで、愛や別れにはそういった複雑な感情が同時に存在すると考えます。

― なぜ「yes, and?」を一番初めにリリースしたのですか?
この曲は、独立して存在していると思っています。それと、“みんなそれぞれ色んなことが起こっているんだから、静かにしてよ”というテーマが、アルバム全体の雰囲気を形作っています。この曲を通じて、私たちはみんな、違った形や、異なるレベル、経験を通じて同じ旅を共有していることを伝えたかったのです。なぜなら、この曲はこれまでのキャリアで感じたさまざまな感情を歌っているから。過去には、私の容姿や声に対する批判があり、それを変えても、新しいものを批判され、“もう十分だ”と感じ、それらを経て、私は自分らしく在り続けることが大切だと。それが私自身を愛することであり、他の人々にも同じように感じてほしいと思いました。

― 「yes, and? feat. Mariah Carey」では、なぜマライア・キャリーがコラボレーションにふさわしい人だと考えたのですか?
彼女は私の人生の女王であり、歌う理由であり、ヴォーカルの最大のインスピレーションです。まさに母親のような存在です。90年代を代表し、音楽界の女王、しかも私の人生の女王でもある彼女とコラボできたことは、本当に夢が叶ったような感覚でした。私は彼女に自由に表現してほしいと伝え、彼女自身でヴァースを作ってもらいました。高音のホイッスルでのイントロももちろん、プレハーモニー、フック、全てを彼女が手掛けました。それで言いました、「サーバン(アリアナのAudio Mixer)、マライアのヴォーカルの音量を何よりも大きくして。彼女のハーモニー、アドリブだけを聞きたい、私はバックグラウンドヴォーカルになりたいの」ってね。彼女がブリッジやアドリブを歌ってくれるなんて、本当に名誉なことでした。

― 昔からあこがれていた人たちに尊敬されるのはどのような気持ちですか?
承認であり、とても非現実的で、昔から私のアイドルでありインスピレーションだった人たちが、私を受け入れてくれるのにはとても感謝しています。信じられないですね。

― 「Saturn Returns」をインタールードとして、ここに置いたのはなぜ?土星回帰(Saturn return)は、29年半という年月をかけて元の位置に戻り、深い自己認識と様々な課題に向き合う目覚めの転機、というものですが、占星術はあなたにとってどういう意味を持ちますか?
とても短いインタールードですが、「eternal sunshine」はストーリーの軸となる重要な瞬間です。その直前に来る「Saturn Returns」で呼び覚ますような感じで、その後のアルバムを形作っています。話しているのは、占星術師のダイアナ・ガーランドで、『ウィキッド』で出会い、「yes, and?」の振り付け担当でもある友人、ウィル・ロフティスが“これを聴くとあなたの事を思い出す”と送って来てくれた音声の一部だったんです。それをアルバムに収録することに決めました。
占星術は、時に自分が聞きたいと思うことを聞けるツールだと思います。そして希望と自覚を持って前を向かせてくれるし、時には自分の中にある不潔さも読み取られます(笑)。そういった自分たちよりも大きなものに目を向けることで、物事を理解する手助けをしてくれると思っています。

―楽曲のタイトル「supernatural」ですが、間違いない愛は、超自然的なものだと思いますか?
もちろんです。本当に特別ですよね。

― アルバムで最後に作った曲はなんですか?
「imperfect for you」です。この曲はアルバムの最後にあって、私のお気に入りです。ちょっと不思議で奇妙なサウンドで、『Rubber Soul』(ザ・ビートルズのアルバム)のような雰囲気もあって、その響きが大好きです。これまで挑戦できていなかった、このような60年代風の曲を作ることは本当に楽しいと感じました。アルバム制作では、昨日まで存在していなかった大好きな曲が、今日に存在しているという事実が、本当に毎回興奮する大好きな過程なんです。

― 「we can’t be friends」は誰に向けての曲ですか?
この曲は特定の人に向けて歌ったわけではありません。みんなの共感を呼ぶ曲にしたかったのです。具体的な対象を指定するのは難しいですが、大切なのは聴く人が自分なりに解釈できることだと考えています。弦楽器の音を取り入れたのは、プロデューサーのマックスと私がその音色を好んだからで、私たちにとってはそれが世界で最も感情的な音だと感じています。

―「i wish i hated you」では、歌っている途中にあなたが泣いていると感じましたが、あなたにとってどんな歌ですか?なぜこの曲がアルバムに必要だったのですか?
恐らくそうだった(曲の一部で泣いていた)と思います。その気持ちがこのアルバムに収められて本当に嬉しいですが、たぶん今後自分で聴くことはないだろうし、コンサートでも歌うことはないでしょう。ただ、これはアルバムの中で重要な要素であり、私にとって大切なパズルの一部です。私は、その人の善意と努力、そしてそれが正しいものではなかったと認めることができて幸せです。そして、この結末に納得するために、その人がモンスターだったんだと振る舞う必要はない。正しくはなかったけど、それでも良い人だったと、この曲はそういうことについて歌っています。
この曲は、傷ついて苛立っていた時に書いたような、別れの楽曲たちを完結させるのに必要でした。自分が落ち込んでいた時に、憎しみの気持ちを引きずらず、平穏な気持ちで終わらせてもいいと感じました。人を憎んだり、深く悲しむのは簡単ですが、そうしなければどうなるかという複雑さを捉えることが不可欠だと。前にも言いましたが、人々は物事を大げさに捉えたりすることもあるので、この曲はそういった意味でも保護的な側面も持っていると考えています。

― 「true story」はどんな楽曲?
これは空想の出来事に基づいた空想の物語です。フックは、マックスと私が実現しなかったセス・マクファーレンのテレビ番組のために取り組んでいた一連の曲から持ってきました。当時作っていた「fantasize」という曲の姉妹ソングという感じで、番組は実現しなかったけど、アルバムを作るときのためにいくつか残しておかなければと思い。すでに世に最初のバージョンが出てしまっていましたが、私は大好きだったので、そこから元々作りたいと考えていたものを制作しました。当時の作品は苗木みたいなもので、プロダクション、ヴォーカル、歌詞など全て違ったものになっています。

― 「ordinary things feat. Nonna」で祖母と一緒に曲を作るのはどんな感じでしたか?
彼女はアルバムの一部を担うことを喜んでいて、感動していました。そして、アルバムに収録された様々な時期のエピソードを話してくれました。このアルバムは問いかけから始まり、私が最も信頼している人物の一人からの答えで締めくくられているので、とても興味深いものになっています。ノンナ(イタリア語で祖母の呼び名)は宇宙一面白い人だと思っていて、一緒にいる時のボイスメモは何時間も録っている時があるのですが、この最後の一言は、ノンナと親友のシャーリーが何時間も男性についての愚痴や、女性の権利、他にも色々なことについて語っているほんの一瞬なんです。いつか長尺カットもリリースしないといけないですね(笑)。

― 「the boy is mine」この曲についてまだ話せていませんでした。どんな曲ですか?
みなさんのお気に入りの曲ですね。みなさんが欲しがっていた「fantasize」のアルバムバージョンで、より一層セクシーでみだらな感じにしたものです。他の楽曲より挑発的で、「The Boy Is Mine」(ブランディ&モニカのシングル)のタイトルをインターポレーション(メロディーや歌詞の一部を再使用する音楽技法)したかったんです。私は90年代生まれですし、その当時の楽曲からのインターポレーションやサンプルアイデアが沢山あります。

― ジム・キャリー(映画『エターナル・シャンシャイン』出演俳優)の誕生日にアルバムのアナウンスをしたのですか?
アルバムのアナウンスをした日が、ジム・キャリーの誕生日だったことに気づかなかったんです。彼から多大な影響を受けていて、自身の欠片を様々なキャラクターに適用できる彼の能力に魅了されていますし、私たちも同じように、小さな亀裂や傷をより美しいものに変えることができればいいと思っています。
そして普段はあまり連絡を取らないのですが、ものすごくたまに連絡すると必ず返事をくれるんです。先日ジムに「誕生日おめでとう!」というメールを送ったら、「アルバムのタイトルを見たけど、クレイジーだね」と連絡が来て、その時は彼の誕生日にわざとアルバムアナウンスをするなんて気味が悪いと思われるんではないかと焦って、「クレイジーですよね。ただ一つ約束しますが、私はそんな変わり者じゃないので」と返信したんです(笑)。

(終)
 

★Zach Sang Show (ザック・サング・ショー)インタビュー | アリアナ・グランデ | “eternal sunshine” Track By Track Breakdown [パート 2]

★[パート1]抜粋はこちら
https://www.universal-music.co.jp/ariana-grande/news/2024-03-04-2/