「Tokyo」と題した未発表曲も披露した来日公演のオフィシャルレポートが到着

2026.09.21 TOPICS

2026年9月19日、20日にベルーナドームにて自身7年ぶりとなる来日公演を開催し、日本のファンを熱狂させたザ・ウィークエンド。そのオフィシャルレポートが到着した。さらにこの初日のセットリストがプレイリストとして公開されている。

プレイリスト:https://umj.lnk.to/tw_ahtdt

ザ・ウィークエンドの来日公演を記念して、日本限定で過去の4つのアルバムを 『AFTER HOURS TIL DAWN COLLECTION』として新たなアートワークやボーナス・トラックなどを追加収録して発売中。さらに好評をうけ東京・原宿UNIVERSAL MUSIC STORE HARAJUKUで開催されているザ・ウィークエンドのポップアップストアは9月23日まで期間が延長している。

==オフィシャルレポートここから==

廃墟と化したトロントの摩天楼、赤いローブの踊らないダンサー、花火、火柱、空山基による黄金のセクシー・ロボット。2026年9月20日、台風25号の影響で所沢のベルーナドーム周辺も大雨。それをものとしなかった3万人のファンの前に、中村哲也による眼光が緑色に光る真っ白いマスクを着けたザ・ウィークエンドが現れると、ドーム中から感極まったような歓声が上がった。

2022年にスタートした『After Hours Til Dawn Tour』が、4年の時を経てやっと日本にたどり着いたのだ。北米からヨーロッパ、『Hurry Up Tomorrow』のリリースを挟んで、再び北米と南米。アジア・ツアーに入る前に750万枚以上のチケットを売り上げ、興行収入は10億ドル、ざっくり1600億円を売り上げたマンモス・ツアーである。当然、さまざまな記録を破っている。セットリストと舞台装置が年度や大陸によって手を加えられ、成長してきたツアーでもある。

日本はアジア・ツアーの皮切りであり、埼玉公演で見せたのはほぼ最終形態だろう。オープニングを務めた¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$UとCreepy Nutsは、この先に控えている香港以外のインドネシアやシンガポール、韓国、タイ、マレーシアにもそれぞれ参加する。

まずは最新作『Hurry Up Tomorrow』から「Open Hearts」と「Wake Me Up」を投下。2020年代に続けて放ったトリロジーの世界観を視覚化したセットは、幼なじみのヴィジュアル・アーティストのラマー・テイラーによる。終末後の廃墟から伸びる十字になった花道、交差する中央に12メートルを超えるセクシー・ロボットの像がそびえ、アリーナの後方にふたつ目のステージが設けられていた。照明に合わせて手首のライトの色が変わる演出は、昨今の大型コンサートでは珍しくはないものの赤と白、青と彼らしい色で光るのがうれしい。

十字に突っ立っている30人ものダンサーが観客を煉獄に誘う。『After Hours』から10周年を迎えた代表曲「Starboy」で、少し呆気に取られていたようだった観客もザ・ウィークエンドの世界に入り込めたのか、声のボリュームが上がった。「Heartless」でステージのペースも上がったあと、やっと主役がマスクを剥ぎ取った。圧倒的な美声、空虚な内面を写し取った退廃的な歌詞、オルタナティヴR&Bの枠組みを広げたダンサブルなサウンドで大人気の彼の素顔は、じつは優しげでチャーミングだ。

次のセクションも最新作『Hurry Up Tomorrow』から、ダンサブルな『Dawn FM』の曲へとなだれ込んだ。ハウス調の「São Paulo」ですべてのステージから火柱が立ち、スタンド席まで熱が伝わってくる。死を意識した歌詞が多いセクションだが、鼓動のようなビートが強いのがおもしろい。2013年に世界に名が知れ渡ったとき、「マイケル・ジャクソンの再来」と騒がれた歌声は強靭さが増し、耳にした途端に「ザ・ウィークエンドの歌」と認識されるまでになった。

録音にほとんど頼らない彼のコンサートは、その唯一無二の歌声を浴びる経験でもある。「雨の中、2時間かけて東京から来てくれた人も多いよね? ありがとう」と言う高めの地声で、素のエイベル・テスティファイを感じる一瞬のギャップにグッとくる。ファンにはアンセム化している「Can’t Feel My Face」で3万人を揺らした。

デビューアルバム『Kiss Land』からの表題曲、「Often」と去年出たばかりの「Given Up On Me」をつないでもシームレスなのは、進化しつつもサウンドが一貫しているからだろう。フランスのDJ、ゲサフェルスタインとの「I Was Never There」ではより耽美なムードが漂った。次が「The Hills」。刹那的で中途半端な恋愛を指す「シチューエンション・シップ」という言葉が流行るずっと前から、その気分を完璧に切り取った曲である。炎の真ん中でこの曲を熱唱する彼と声を合わせながら、つねに時代の先を行っている、もしくは先に時代の空気を作っているからこそ、トップ・アーティストなのだと再確認。プレイボーイ・カーティなしの「Timeless」はよりメランコリー。メトロ・ブーミンがマリオ・ワイナンズの「I Don’t Wanna Know」を仕立て直した「Creepin’」や、ドラマの共同制作・出演を果たした『The Idol』といったアルバム以外の課外活動からの曲はかなり短くつないだ。

日本文化、とくにアニメーションや漫画への愛を語るアーティストは多いが、ザ・ウィークエンドの思い入れとそれを自分のアートに昇華する実行力は別格だ。その名も「Tokyo」という新曲を、『新世紀エヴァンゲリオン』と『ニーア オートマタ』をマッシュアップした、ヨコオタロウが手がけた映像とともに披露したのだ。前日の9月19日にはサンプリング元である「残酷な天使のテーゼ」を高橋洋子本人が登場して歌い上げ、ニュースになったばかり。「いまここで歌が聞こえることは/私達の何を癒すのだろうか」といったメッセージが載せられ、ザ・ウィークエンドの世界観がエヴァンゲリオンの2次元の世界に溶け込んで、美しかった。続く亜蘭知子の「Midnight Pretenders」をサンプリングした「Out of Time」でも日本びいきを強調。ザ・ウィークエンドは客席に降りて、マイクを観客に渡してコーラスを任せる一幕も。

ここからは、大ヒット曲を連発。「I Feel It Coming」はコーラス部分でドーム中の声が重なった。「Die For You」の歌い出しのアカペラもライブならでは。ギターのソロを効かせたアレンジが良かった。凝ったセットに埋もれてドラムとギター以外は見えなかったが、ミュージシャンの演奏も力強い。「Is There Someone Else?」や「Wicked Games」、「Call Out My Name」といったストレートなR&Bの曲ではとくに歌唱力の高さが伝わってきた。

メインステージに戻っての「The Abyss」は儀式を司っているようで凛々しい。「今日は涙を見せないで」と歌う「Save Your Tears」の大合唱は、ザ・ウィークエンドのキャリアを集大成し、かつセレブレートするこの夜にふさわしい場面だった。「Less Than Zero」で客席を踊らせてから、「Blinding Lights」のイントロが流れると、「ヘイ!ヘイ!ヘイ!」と大歓声が上がった。コロナ禍を仄暗い光で救ったダンスナンバーでベルーナドーム中が最大沸点に達した。

出世作のひとつ「House of Balloons」では、曲名どおり、直径1メートルのバルーンがアリーナ席を跳ねた。「次は7年も待たせないからね!」と言ってから、「コンバンワ」と流暢に発音し、「もう帰りたいの?」と焦らしてから升を手に「カンパイ!」と言ってから、中の液体を飲み干した。2015年、ブルックリンのバークレーズ・センターで行われたThe Madness Fall Tour で初めて観たときから、絶対的な才能の持ち主として輝きながら、時折見せる親しみやすさが彼の魅力だと思ってきた。

2018年の幕張メッセの時よりもさらに大スターになっていても、その魅力が1ミリも損なわれていないのは感激だった。ラストは、スウェディッシュ・ハウス・マフィアの「Moth to a Flame」で花火、火柱、照明がフルで会場を照らし、ザ・ウィークエンドの史上最高のコンサートは終わった。つぎは、ほんとうに7年も待たせないで戻ってきてほしい。

文:池城美菜子
==オフィシャルレポートここまで==


Photo by Sebastien Nagy


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