BIOGRAPHY

サイトウ・キネン・オーケストラ

サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)は、日本を代表する音楽学校、桐朋学園の創立者のひとりであり、偉大な教育者であった故齋藤秀雄の没後10年にあたる1984年9月、彼の弟子である指揮者の小澤征爾の発案により秋山和慶らの仲間に声をかけ、齋藤の教えを受け、世界各地で活躍している音楽家100余名が集まり、メモリアルコンサートを行なったのが基礎となって生まれたオーケストラです。

1984年の東京、大阪のメモリアルコンサートでは世界最高水準に肩を並べる見事なアンサンブルと魂のこもった演奏を聴かせ、その評判は海外にも伝わりました。1987年に第1回のヨーロッパ・ツアー、1989年、第2回目のヨーロッパ・ツアーを行ない、さらに1990年にはザルツブルク音楽祭など欧州各地のフェスティバルに招かれました。1991年には欧州各国に加え、ニューヨークのカーネギーホール101年目のシーズン・オープニング・ガラ・コンサートにも招待されました。1987年のヨーロッパ・ツアー以降、突如あらわれたウィーン・フィルやベルリン・フィルに並ぶ音を出す東洋人のオーケストラとして、「幻のオーケストラ」と称され、以降もヨーロッパ、アメリカ、中国等にて海外公演を重ねてきました。

そして、恩師・齋藤秀雄生誕90年にあたる1992年、小澤征爾をはじめとするSKOメンバーの念願であった日本に腰を据える音楽祭として「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」が長野県松本市で開幕されました。総監督・小澤征爾とSKOが中心となり、毎夏、シンフォニーとオペラの2本の柱を軸に、室内楽コンサートや教育プロジェクトを行なっています。2015年に音楽祭の名称を「セイジ・オザワ 松本フェスティバル」と新たにし、2022年にはフェスティバルの30周年を迎えます。

SKOのメンバーは、通常、ヨーロッパ、アメリカ、日本のメジャーオーケストラの主要メンバー、ソリスト、室内楽演奏者、教育者として活躍しており、多数の世界的コンクールの入賞者が含まれています。それぞれの音楽家が個性豊かな音楽性を持ちながらも、SKO に参加することを通してオザワ・スピリットとも言える音楽に対する姿勢、精神などが驚くほど一致する環境が育まれ、その類稀なる特色が若手音楽家たちに伝授されていることが、このオーケストラを世界に比類なき存在としています。

SKOは今まで数多くのレコーディングを発表しており、2016年には第58回グラミー賞最優秀オペラ録音賞(小澤征爾指揮/ラヴェル「子どもと魔法」他)を受賞しました。