ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ロニー・ウッドが参加した記者会見の日本語訳全文が公開

2023.09.08 TOPICS

ザ・ローリング・ストーンズが、18年ぶりとなる新作スタジオ・アルバム『ハックニー・ダイアモンズ』のリリースを発表し、日本でもテレビや新聞・ウェブなどで大きく報じられ、本国UKのiTunes Storeでは、先行シングル「アングリー」がいきなり1位を獲得するなど世界中で話題となっている。

UK時間9月6日にイースト・ロンドンのハックニー・エンパイアで、アメリカのテレビスターであるジミー・ファロンが司会を務め、メンバー本人が出席した記者会見が行われた。
YouTubeを通じて世界中にストリーミングされたこの会見では、シングルとアルバムのリリース発表に加え、制作秘話などがメンバー自身の口から語られた。
この会見の日本語訳全文は以下の通り。

YouTubeストリーミング映像

 

<日本語訳全文>
ザ・ローリング・ストーンズ
記者会見 フルヴァージョン翻訳
2023年9月6日

JF:ジミー・ファロン(司会)
MJ:ミック・ジャガー
KR:キース・リチャーズ
RW:ロン・ウッド
SS:シドニー・スウィーニー

JF: 世界中の皆さん、こんにちは。ジミー・ファロンです。もう、誰かの電話が鳴っていますね。なんてことだ。出ていってくださいよ。皆さん、マナーモードにするなり、なんとかしてください。

皆さん、どうでしょう。私たちは今、ロンドン東部にある象徴的なハックニー・エンパイア劇場で、世界に向けて生中継しているところですよ。

ご視聴ありがとうございます。私たちがここにいる理由はただ一つ。
1960年代から60年にわたり、2億5000万枚を超えるアルバムの売り上げを記録し、音楽シーンに忘れがたい足跡を残してきたバンドがあります。

彼らはポピュラー・カルチャーの真髄を定義づけることとなった究極のロックバンドです。そう、思いませんか?ああ、でしょうね。
私もご多分に漏れず、生涯を通じてこのバンドをフォローし、レコードを買ったり、ライブを観たりして、少しでも彼らみたいにカッコよくなろうと、できることは何でもやってきたのです。

私の大好きな彼らが、今日ここにいらしています。お迎えください。ミック・ジャガーさん、キース・リチャーズさん、ロニー・ウッドさん。ザ・ローリング・ストーンズです。

(メンバー3人登壇)

JF: ようこそ。全世界で、生中継でお届けしています。これはとても重要なことで、大勢の人がこれをご覧になっています。

MJ: ロサンゼルスは早朝だね。

JF: そうです。ロサンゼルスは早朝です。一つ、お聞きしたいのですが、これは何のイベントなのですか?私たちはなぜここに集結したのでしょう?

MJ: なぜここに集まったかというとだね。立ち上がりたい気分だな(と言って、椅子から立ち上がる)。ニューシングル「アングリー」と、後で観てもらうそのビデオを紹介しに来たんだ。「アングリー」はニュー・アルバム『ハックニー・ダイアモンズ』からのファースト・シングルで、だからハックニーにいるというわけさ。10月20日にリリースされる。というわけで、ここにいるんだ。

(拍手)

JF: ニューシングルは「アングリー」です。このQ&Aが終わるとすぐ、ビデオのワールドプレミアを、それに出演している、皆さんがご存知のとてもクールな方とご一緒にお披露目します。

アルバムは10月20日リリースされます。『ハックニー・ダイアモンズ』とはどういう意味なのでしょう。キースさん、あなたにとっては何を意味するのですか?『ハックニー・ダイアモンズ』とは何なのでしょうか?

KR: タイトルが『ハックニー・ダイアモンズ』になったのは、タイトルのアイデアがいくつかあって、「Hit & Run」だったのが「Smash & Grab」になり…。

JF:それらは良いですね。

KR: その2つから、どういうわけか『ハックニー・ダイアモンズ』を思いついたんだ。それら2つ両方のバリエーションのようだからね。そして、ロンドンのバンドだから、ということもある。

(拍手)

JF: この『ハックニー・ダイアモンズ』というのは、スラングの一種か何かなのでしょうか?

MJ: ああ。土曜の夜にハックニーあたりで、フロントガラスが割られ、その破片が路上に散乱しているようなものだよ。

RW: 粉々になったフロントガラス。Smash and grab(窓ガラスを割り店内に侵入する窃盗の意のスラング)さ。

MJ: それが、『ハックニー・ダイアモンズ』なんだ。

JF: ロニーさん、このアルバムの制作にはどのくらいかかりましたか?

RW: 実は結構早くできたんだ。アイデアがたくさんあって、去年のクリスマス前にそれらを集め、やってみたんだよね。

MJ: ああ。

RW: そうさ。かなり早くできた。

JF: でも、もう18年にもなりますよね。

MJ: 俺たちはとても怠惰だったんだよ。

RW: 電撃戦ってわけだ。

JF: 待ってくださいよ。全然早くないでしょう。

MJ: やったことはあったんだ。ほとんどずっとツアーに出ていた。いや、少し怠惰だったのかもしれない。そこで突然…。

MJ: 「期限を決めよう。レコードを作って、期限を決めようじゃないか」ということになった。キース、俺、ロニーが話し合い、「よし、このアルバムをクリスマスに作り、バレンタイン・デーまでに完成させよう」と言ったんだ。

RW: そうやって、2枚分のアルバムができた(笑)。

JF: はい、その通りですよね。

MJ: そこで、ロニーが言ったように、12月にスタジオ入りし、23曲をあっという間にカットして、1月に仕上げ、2月にミックスしたってところかな。そんな感じだったね。

JF: キースさんとジャマイカに行かれたのですか?そこから始まったという噂を聞いたのですが。

KR :実はジャマイカで「アングリー」を書き始めた。ミックが用意していて、準備ができていた。そこで、その曲をまとめたんだ。それ以外にもたくさん曲があったが、この曲が最初に際立っていると感じたね。

MJ: そう、キースと俺と…。

RW: スティーヴも。

MJ: スティーヴとマットがジャマイカに行って、俺たちは「スタジオで色々試してみる」と言った。そこに行って、アイデアを出し合い、その後、ニューヨークに行き、ロニーも加わった。その後、アンディ・ワットというプロデューサーが俺たちに喝を入れた。それからロサンゼルスに行って、さっき言ったように曲をカットしたんだ。

JF: チャーリー・ワッツがスタジオで一緒にプレーしていないというのは、違和感があるのではないでしょうか。いかがでしたか?

KR: チャーリーが逝ってしまってからというもの、前とは違うよ。当たり前だ。分かるかい?彼はNo.4だ。その彼がいない。(場内上の方を指し)あそこにいるさ。彼はもちろん、とても惜しまれている。でも、チャーリー・ワッツのおかげで、スティーヴ・ジョーダンがいるんだ。チャーリーに何かあったら、「スティーヴ・ジョーダンが適任だ」と彼が推薦してくれたからね。

JF: 彼がスティーヴ・ジョーダンを選んだのですか?

KR: そうだ。かなり以前のことだよ。彼は俺たちの友人でもあった。俺はスティーヴと仕事をしたことがあったし、それは自然な流れだったね。チャーリーが快く賛成してくれなかったらもっと大変だったと思うが、ね。同時に難しいことでもあったんだ。

JF: 彼はアルバム収録曲のどれかを担当したのですか?

MJ: チャーリーが、かい?

JF: はい。

MJ: アルバムには12曲収録されている。そして10曲が…。いや、それは違うな。ほとんどはスティーヴだが、2曲は2019年にチャーリーとレコーディングした曲だ。というわけで、以前にチャーリーとレコーディングした2曲を使用している。

RW: 「Living by the Sword」と「Mess it Up」だ。

MJ: ああ。

JF: それらが彼の演奏した2曲なのですね。

MJ: そうさ。

JF: それからもう一つ聞いた噂は、ビルが…。

MJ: そう、ビルね。ビルにスタジオに来て欲しいと頼んだんだ。

JF: 「Living by the Sword」ですか?

MJ: ビルが来て、1曲弾いた。つまり、1曲でローリング・ストーンズのオリジナルのリズムセクションが揃ったというわけさ。

JF: うわ、それはすごいですね。

MJ: でも、ほとんどは新しいものだ。この曲は2019年だけどね。

JF: そうですね。1曲目は「アングリー」です。怒りというのはこのアルバムのテーマなのですか?

MJ: ああ、キースと俺はアルバムのテーマが怒りであるべきだと思ったんだ。

JF: はい。

MJ: どの曲でも怒っているべきだ。

JF: 私がそう言ったので、怒りがこみ上げてきていませんか?あなたが怒る姿を見たくないですが。

MJ: 怒りと嫌悪だ。

JF: 怒りと嫌悪?

MJ: それがコンセプトだ。

JF: どの曲も怒っているとか。

MJ: そう、どの曲も怒っている。

JF: どの曲も「アングリー」というタイトルなのですか?

MJ: 曲のタイトルが全て「アングリー」ってことはない。そんなの馬鹿げているだろう。

JF: 馬鹿げていますけれど、前人未踏ですから、いかがでしょう?

MJ: いや、オリジナルのアイデアではあるが。

(笑)

KR: そんなに長い間、怒っていられる人はいないさ。

JF: 私の義理の両親に会ってみてくださいよ。

MJ: それから2つ目のアイデアがあった。それは全曲を怒りについての曲にしないというもの。もっと多岐にわたったものとし、ラブソングやバラード、カントリー風の曲などを何曲が入れよう、とね。

JF: ほう?

MJ: そこで、色々組み合わさったものとなった。

JF: 最後に御三方を見たのは、ここロンドンのハイドパークでプレーされたときでした。あれはすごかったですね。ハイドパークがあのようなショーを開催したことはありませんでした。とても美しいもので、公園で7pm頃から始まって、日が暮れていく。そして10pmには誰もが退場となるのです。とてもイギリスらしい規則ですよね。「さあ、皆さん、帰った!帰った!全員、退場!さあ、帰ってください」という。あれは素晴らしい公演でした。そしてその翌日、私はミックさん、あなたにこう言いました。「公演はいかがでしたか?私は素晴らしいと思いましたが、あなたはいかがでしたでしょう?」と。すると、あなたは、「俺たちは昼間のバンドじゃないんだよね」とおっしゃっていました。

(笑)

JF: あれはとても面白いと思いました。

MJ: 「悪魔を憐れむ歌」を8pmにプレーするなんて。

JF: そうですよね。子供と一緒にサンドイッチを食べながら、「黒くぬれ!」を聴きたくはないですよね。

MJ: そうだよな。

JF: でもあなた方は夜のバンドだと思いますか?

KR: 大概はね。

MJ: そうだ。

JF: でもこのアルバムは1日のうちいつ聴いても良いですよね。

MJ: 一日中いつでも、世界中の好きな場所で、好きな時間に聴けばいいさ。

JF: 『ハックニー・ダイアモンズ』の3曲目はいつでも…。

MJ: 4曲目もそうだ。プレーしていいぞ。

JF: やめてくださいよ。

MJ: 4曲目はプレーできる。

JF: なるほど。

KR: 5曲目、6曲目もそう。

JF: 5曲目と6曲目もそうですか。

RW: オーストラリアはもう明日になっているぞ。

JF: 明日ですか。そこではもうこのアルバムを聴いているかもしれませんね。そうですよ。それは良いですね。キースさん、あなたといえばいつもこの話を思い出します。私の番組に出演してくださいました。ありがとうございます。

KR: 問題ないよ。

JF: 私たちは楽屋裏にいて、あなたはタバコを吸っていた。

(笑)

JF:スタジオは禁煙なのですが、警報が鳴り、消防係の人がやってきた。消防係がいたなんて知りませんでしたが、スタジオにやってきて「リチャーズさん、タバコを吸うべきではありません」と言いました。するとあなたは「わかっているよ。体に悪いからね」と言ったのです。

(笑)

JF:覚えていますか?

KR: ああ、覚えているさ。その時は本当にそうだったんだ。

JF: 今でもタバコは吸われますか?

KR: いや、あの後すぐに止めたよ(笑)。

JF: ほらね。私に借りがありますよ。本作は24枚目のスタジオアルバムなのですね。

MJ: ああ。

JF: 皆さん、24枚目ですよ。1作目の記者会見のことを覚えていますか?

MJ: ああ、記者会見のことを覚えているよ。キースと俺は、デンマーク・ストリートのパブにいたんだが、アルバムをリリースし、ジャーナリストが二人来た。NMEから一人と、メロディーメーカーから一人だ。俺たちは彼らにビールを一杯買って、「俺たちのアルバムはこれだ」と言ったんだ。

JF: それだけだ。

MJ: 「聴いてみて」と言って、その場を離れた。それだけだった。

JF: 今とは少し様子が違いますね。

MJ: 写真も一切なかった。

JF: 全く何もないですね。

MJ: 売れ行きは良かったぞ。

JF: レビューはいかがでしたか?

MJ: 評価は分かれていたが、売り上げは良かった。

JF: それは良かったです。シンガーがレコード制作を希望したら、皆さんがレコードを作りたいと思うものなのですか。

K R: シンガーがレコードを作りたいと言ったら、彼のレコーディングをする。というのも、彼が次にいつできるか分からないからね。

MJ:行ってしまうかもね。

KR:だから、ミックが俺に「レコードを作りたい」と言ったら、何とかして「さあ、やるぞ」と言うんだ。

MJ: それが分かって、良かったよ。

K R: 君にそう言ったことはこれまでなかったな。

MJ: そんなこと言わなきゃ良かったのに。俺がやるのはそれだけでいいんだと分かって良かったよ。

JF: ロニーさん、あなたはいつもプレーしていますよね。最近、ヴァン・モリソンと一緒にプレーしているのを見ましたよ。よく好きなバンドとプレーされるのですか?

RW: ああ、そうなんだよ。ギグとギグの合間に、テクを維持している。この年になると、指を動かし続けておかなきゃならないんだ。全てを動かし続けなきゃいけない。

KR: それは面白いな。

MJ: それについて、もっと詳しく話してみないか?

RW: 年をとれば、俺が言っている意味がわかるようになるさ。

(ミックとロンが立ち上がって踊り出す)

JF: 上下に、全てを動かして!

RW: 体を揺らして!揺らして!

JF: トラックリストがあるのですが、ファンの皆さんは、トラックリストについて知りたいと思います。1曲目は「アングリー」です。

MJ: そう。

JF: ある種の感情が湧いてきたりしますか?

MJ: 怒りはあるね。

JF: 質問が悪かったですよね。すみません。

RW: リフがいいんだ。

KR: 超ファンキーなリフがあるのが特徴だ。

JF: いいリフがありますよね。それから「Get Close」。

(間)

MJ: うん。

(笑)

JF: 「Depending on You」?

RW: 心を動かされる。

MJ: それは、いつも誰かを頼りにしていたいと思うのに、がっかりさせられることについてだ。

JF: それは私のことではないですよね?

MJ: いや、君はここにいるだろう。はるばるニューヨークから来てくれたじゃないか。

JF: そうですね。

RW: 「Mess it Up」は君についてだ( 笑)。

JF: 「Bite My Head Off」は?

MJ: 「Bite My Head Off」は、ガールフレンドが本気でキレたとき、「ダーリン、俺に向かって噛みつくのはよしてくれ」と言うようなものさ。

JF: そう、噛みつかないで、と言うものですね。

MJ: 失礼な物言いだね。

JF: ああ、失礼な言い方ですよね。「Whole Wide World」は?

KR: そういうことなのか?

MJ: しっくりくるようになるよ。

RW: .ファンキーなリフだ。「Whole Wide World」はとてもファンキーさ。

JF: 本当ですか?「Dreamy Skies」は?

RW: 「Dreamy Skies」夢見る感じだ。

MJほら、何についてなんだ?

RW: まあ、ミック足止めを食らい、全てから逃れようとしていることについてだと思う。だよな?全てを忘れ、往年のハンク・ウィリアムスやホンキー・トンクスなどを聴きたいと言っていた。

JF:実現が難しいものですよね。

MJ: いや、ロックダウン中に実現した。

JF: そうですか。

MJ: あれで十分だった。

JF: 十分でしたか。「Mess it Up」は?

RW: それは君についての曲だ(笑)。

JF: 私の曲なんですか?「Live By the Sword」はチャーリーがプレーしているのですよね。

MJ: 彼が参加している。ちょっとレトロな感じだ。

JF: 「Driving me too Hard」は?

MJ: それについてはキースが話す。

KR: どの曲も、それが何についてかなんて言えないよ。いや、リフとメロディが良いんだ。

RW: (さまざまなリフやメロディの)るつぼだね。

KR: えーっと、そうさ。そういうことだ。

JF: 「Tell Me Straight」?

KR: ストレートに言うと、それが何についてなのかはさっぱり分からない。

JF: リフが良いですよね。

MJ: その曲はキースが歌っている。彼の歌が良いね。

KR彼はその曲を盗もうとしたので、「きっと良いに違いない。俺がやろう」と言ったんだ。

JF: 「Sweet Sound of Heaven」は聴かせてもらいましたよ。こういった曲をいくつか聴いてみましたが、驚異的です。

MJ: これはどちらかというと…

RW: スティーヴィー・ワンダー。

MJ: ゴスペルのような曲だ。ゴスペルソングだよ。

JF: ゲストシンガーを招いていますよね。度肝を抜かれます。

MJ:ゴスペルは大好きなんだ。

KR: 教会には、今まで一度も行ったことないくせに。

MJ: 一度あるよ。教会に行ったんだ。お前は完全に間違っているぞ。

KR: どうだったんだ?

MJ: 大概大きな建物だ。アーチがあって、ね。

RW: 大きな尖塔がある。

JF: あなたが入った瞬間に全焼したりしませんでしたか?(ミックの口調を真似て)「皆さん、こんばんは。今日は俺が説教する。さあ、始めるぞ。誰が聖体拝領を受ける?誰が受けるというんだ?どうした?イエスよ、ありがとう!

MJ: 俺はそんな話し方はしないぞ。

JF: あなたのモノマネではありません。ロニーの真似をしていたんです。

MJ: ああ、そうか。

JF: キースさん、あなたは以前、聖杯(“究極の理想”の意)はレコードを作ることだとおっしゃっていましたね。今でも皆さんは一緒にスタジオにいるのが好きなのですか?楽しかったですか?

KR: ああ、楽しいね。そこはバンドが一つになれる場所だ。ライブ演奏というのが、もう一つの聖杯だ。でも、レコーディングというのは、メンバーが集結し、干渉されることなど一切なく、アイデアを出し合える場所なんだ。うまくいけば、素晴らしいことだが、聖杯ではないものもある。本当さ(笑)。バンドが全てをやりくりするには最高の場所だね。

JF: 曲を作る際、ファンの反応を意識したりしますか?

KR: それはない。

MJ: それはないと思う。

KR: 他の人がどう思うかなんて、考えない。ただ、(気に入ってもらえることを)祈り、願うだけだ。

MJ: 思うに、作業に臨んだら、自分自身を喜ばせなければならないものだ。分かるかい?他人を喜ばせることでは全くなく、まずは自分のためにプレーし、他については考えない。後になって、「ああ、みんなもこれが好きかもしれない。あるいは気に入らないかもしれない」などと思うのかもしれない。

KR: そうだね。それからかなり経ってから、「でも俺たちが気に入れば、観客も気に入るだろう」と思うものだ。みんなにも伝わっていく。

JF: 誰かがその曲を口パクするのを目にするまでは。

KR: 俺が間違っているのかもしれない。

RW: レディ・ガガが実に見事に歌っている。

MJ 「Sweet Sound of Heaven」だ。

JF: 貴重な情報を流していますね。でも、レディ・ガガは信じられませんよね。見事ですよ。

KR: そうなんだ。

JF: ファンといえば、世界中のファンから質問を頂いています。ルーさんは、「ストーンズの曲の中でずっと好きな曲はありますか?」と聞いています。

KR: ルー。

MJ: ルー?

JF: この場にはいませんよ。

KR: ルーは一番答えられない質問をしたな。

MJ: ストーンズの曲で、ずっと好きな曲は全くないね。答えは、「ルー、ノーだ。ない」。

KR: 世界一、あり得ない質問だ。

JF: ルー、この馬鹿者が!最初になんて質問をしてくれたんだ。この愚か者め!

KR: でも、ルーのために、「ギミー・シェルター」か「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」だと言っておく。個人的には一晩中プレーしていられる。

JF: 私は「オフ・ザ・フック」が好きなのです。

MJ: 何だって?そんなの聞いたことないぞ。

(歌い出す)
Sittin’ in my bedroom late last night
[Does riff twice]
Got into bed and turned out the light
Decided to call my baby on the telephone
All I got was an engaged tone
It’s off the hook

(拍手)

JF: ここにまた座りますから。大丈夫です。

MJ: あいつをまた座らせてやった。

JF: アルゼンチンのマリアさんから「観客の中のあるファンを見て、この子なら結婚してもいいと思ったことはありますか」という質問です。

MJ: 観客席で結婚する人たちを見たことがある。

RW: ああ、見たね。

JF: そうなのですか?

MJ: 結婚したいと思った人は見たことはないが、結婚する人なら見たよ。

JF: ロニーさんは実際に誰かと結婚したのですか?

RW: ああ。

JF: したのですか?

RW: 夢の中で、だ。ベイビー!

JF: おいおい。もしかしたら…

KR: 全員と結婚できるかもしれないな(笑)。

MJ: 一夫多妻制は生きている。

KR: 俺はモルモン教徒なんだ。

JF: フランスのオリバーさんより、「ロニーさん、この前、ヴァン・モリソンと一緒に演奏する姿を見ましたが、なぜ他のバンドとプレーするのですか?」と質問があります。

RW: スキッフルをプレーしたんだ。彼は新しいスキッフルのアルバムを出したんだが、あれは最高だったね。俺はそこから入っていったんだ。

MJ: スキッフルのアルバムか。

RW: だから簡単なことだよ。

JF: これは南ウェールズのジェリーさんからの素晴らしい質問です。「ダーツを投げるのが一番うまいのは誰ですか?」

MJ: みんな下手だよ。

JF: ダーツはやるのですか?

MJ: 楽屋裏のShipというパブにダーツボードがある。この会場の楽屋裏の外にShipというパブがあり、そこにダーツボードがあるから、この後、誰が一番うまいか見てみよう。

KR: 結果は後で知らせるよ。

MJ: その結果は連絡する。

RW: 金的を射落とそうとして、朝の3時になってもそこにいるだろう。

JF: カリフォルニアのブランドーさん。

MJ: マーロンか。

JF: 「キースさんとミックさんの二人は、僕と妻よりも長い年月一緒にいますが、幸せな結婚生活の秘訣は?」と聞いています。

KR: 彼らに教えてもらおうじゃないか(笑)。

MJ: あまりしょっちゅう話さないことだ。

KR: 「黙れ」といかに丁寧に言うか、だね。

JF: 『ハックニー・ダイアモンズ』は以上です。あなた方は他の誰にも成し得なかったことをやりました。

MJ:何だ?アルバム1枚作るのに18年かけたことか?

JF: いや、真面目な話、皆さんのようなバンドは他にいません。比較対象すらいないのです。

KR: そこがポイントなんだ。

JF: そうですね。あなた方がやっていることは、未開拓の領域です。このバンドが全く新しいアルバムを出すなんて、誰が想像できたと言うのでしょう?しかも今、2020年代で、とは。

MJ: 分からない。

JF: あなたは60年代にいましたよね。

MJ: 言いたいことがあるんだ。偉そうなことは言いたくないが、このアルバムを俺たちが本当に気に入っていなかったら、リリースすることはなかっただろう。なんでも良いから作って出すなんてことはしたくなかった。作る前に、俺たち誰もが「自分たちが本当に気に入るようなレコードを作りたい」と言っていたんだ。他の人は気にいるかもしれないし、そうではないかもしれない。でも、自分たちがこの作品に満足していると言えなければならない。俺たちは偉そうなことを言っているわけではないが、本作には満足しているよ。

RW: それに乾杯だな!

MJ: そして、みんなに気に入ってもらえると嬉しいよ。

(拍手)

JF: これからステージを片付けて、ビデオ映像をご覧いただきます。最新アルバム『ハックニー・ダイアモンズ』からのビデオのプレミアです。リリースは10月20日です。それでは皆さん、ザ・ローリング・ストーンズです。

MJ: ありがとう。

3人:ありがとう。

JF: さあ、一人一人が伝説的な存在です。また、アルバムは最高です。皆さん、「アングリー」のワールド・プレミアを観る準備は整いましたか?ザ・ローリング・ストーンズが作るビデオは毎回、最もホットなハリウッド俳優・女優が登場しますが、それは今回もそうでした。このビデオには、シドニー・スウィーニーが出演しており、今夜、シドニーさんがいらしています。
シドニーさん、お会いできて嬉しいです。

SS: お会いできて嬉しいです。

JF: ザ・ローリング・ストーンズのビデオ出演を依頼されたときというのは、どんなことを考えるものなのでしょう。

SS: まあ、大変!私は驚愕し、家族に電話したのです。母を連れてきました。

JF: はじめまして。自慢の娘さんですね。

母親: とても誇りに思います。

JF: ビデオを撮ったことはありますか?

SS: あります。

JF: あるのですね。でもこんなのはありませんでしたよね。

SS: こんなのはないわ。

JF: いや、ないですね。お母さん、あなたはストーンズのファンなのですか?

母親:もちろんです。

JF: ああ、もちろんそうですよね。あなたにはお気に入りの時代はありますか?

母親: 一生分の音楽です。

JF: 一生分の音楽ですね。娘さんがこのビデオに出演することになるなんて、思っていましたか?

母親: いいえ。

JF: そうですよね。あなたは『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾート』や、『ユーフォリア/EUPHORIA』に出演してきましたが、本作が一番ビッグな作品でしたよね。

SS: これまでで一番ビッグです。

JF: 今までで最大ですね。音源は聞かれましたか?それがファーストシングルになるとご存じでしたか?

SS: 最初のシングルになるとは知りませんでしたが、聴いた時、とても気に入りました。頭から離れません。

JF:
頭から離れないのですね。

SS:はい。

JF: 本当に、本当にいい曲ですね。最高です。皆さんにご覧いただきたいです。この後数分後に上映しますので、準備を整えてください。ローリング・ストーンズとシドニー・スウィーニーさんによる「アングリー」のプレミアです。お楽しみください。

以上