BACK TO THE 90s ROCK BACK TO THE 90s ROCK

BACK TO THE 90s ROCK

第 3 弾 :UK/MAINSTREAM 2026年9月18日スタート

アトミック・スウィング

カ-・クラッシュ・イン・ザ・ブル-

  • UICY-16507

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  • ハモンド・オルガンとギターはアナログ録音ならではのざらつきと艶やかさを共存させた魅力的な旋律を鳴らし、リズム隊が体に直撃するグルーヴでそれを後押しする。1993年といえばグランジ/オルタナもしくはブリットポップが各国の最先端の音楽シーンを染める中で、70年代のファンク、ブルース、そしてロックを交錯させた狂おしいグルーヴ感を持つギター・ロックで彗星のように登場したのがこのアトミック・スウィング。大ヒット曲「Stone Me Into The Groove」が代表する彼ららしい胸踊るグルーヴはもちろん、強烈なリフを次々と展開するニクラス・フリスクのギターと、ミッケ・ローサの多彩なキーボード・サウンドは、単なる70年代ワナビーのレイドバック感とは一線を画していた。今聴いても心底魅せられる。しかも彼らは当時、まだ20代前半!ニクラスの歌声には、インタビューなどで見せた謙虚な人柄とは正反対の魔法のような吸引力も。スウェーデン発の4人組、このデビュー作で歴史に名を刻んだ。(妹沢奈美)

アトミック・スウィング

ボサノヴァ・スワップ・ミート

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  • 強烈なデビュー作で1970年代の記憶と現在を繋いでから約1年半。1994年にリリースされたこのセカンド・アルバムで、アトミック・スウィングはデビュー時の代名詞だったギター・リフやファンキーなグルーヴ感への愛着を越えて、よりメロディーや曲展開、曲の持つ物語性などの細部に意識を向けている。「So In Need of a Change」には元ロネッツのロニー・スペクターが参加。憧れの人だった彼女を意識して書いた曲だけあって、晴れやかな声とニクラス・フリスクの歌声が絡み合いながら、ソウルフルな高揚感が生まれている。グルーヴで押し切ることなく繊細なメロディー・ラインを丁寧に響かせることで新境地を響かせた表題曲や、ブルースをポップに仕立てつつ哀愁が胸に染み込んでくる「Suburban Wing」をはじめ、このバンドならではのセンスの良さが各曲に味わい深い奥行きを与えている。(妹沢奈美)

ヴァネッサ・パラディ

ビー・マイ・ベイビー

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  • 当時すでに俳優兼シンガーとして地元フランスで高い評価を確立していたヴァネッサに、全曲英語で歌うことで世界的人気をもたらしたのがこのサード・アルバムだ。交際相手のレニー・クラヴィッツが作詞作曲とプロデュースを手掛けると共に、自身のバンドを引き連れてバックアップ。作り込まれたロック路線だった前作から一転、ライヴ感溢れるシンプルなアレンジと、ヴァネッサの歌声の魅力と絶妙にマッチする、60年代音楽のサイケデリックでソウルフルなテイストで全編を統一。彼女のコケティッシュな甘さだけでなく切なさや逞しさも引き出されており、殊に、ヒット・シングル『ビー・マイ・ベイビー』は今も色褪せることのないガールポップの傑作。(新谷洋子)

エラスティカ

エラスティカ

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  • 全英初登場1位を記録したデビュー・アルバム。1995年というブリットポップ直下のリリースだが、30年以上を経た今改めて聴くと、むしろ同時代性からの逸脱が鮮明に浮かび上がってくる作品だ。英国的な郷愁や自虐、愛憎が絡み合ったブリットポップのローカリズムとは距離を置き、ワイヤーやストラングラーズから継承したポストパンクの語彙を、短く鋭いリフと乾いたビートへと徹底的に圧縮。「Connection」では切断的なギターを反復することで、厚みではなく線と構造で推進力を生んでいる。ジャスティーン・フリッシュマンの両性的な声や、無機質なモノクロームのヴィジュアルまで、その憎たらしいほどクールな美学は一貫。90年代UKのみならず、00年代NYのストロークスやヤー・ヤー・ヤーズとも接続可能な、先進的アートロックの傑作。(粉川しの)

オーシャン・カラー・シーン

モ-ズリ-・ショ-ルズ

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  • 90年代初頭のOCSは、マッドチェスターの残響の中で未だ自分たちの個性を掴み切れないでいた。そんな彼らが遂に覚醒したのが2作目となる本作。ポール・ウェラーの薫陶を受けてR&Bの身体性を吸収し、ノエル・ギャラガーの後押しも受けたOCSはここで迷いを払拭し、バンドの輪郭をクリアにした。「The Riverboat Song」ではスモール・フェイセズの土臭いグルーヴを更新し、「You’ve Got It Bad」のタイトなビート、歯切れのいいギターはモッズの再誕を予感させる。随所に漂う60年代の残香を単なる懐古には終わらせず、オアシス的ビッグ・サウンドと比肩しうる域にビルドアップした手腕も見事だ。90年代半ばのUKロックの浮かれた空気の中で、古典への理解を研ぎ澄まして質実剛健を目指した本作は、時を経るごとに正しさを証明し続けている。(粉川しの)

カーディガンズ

ライフ+5

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  • カーディガンズの2作目。英国らしさと男らしさの編集を競っていたとも言えるブリットポップ全盛期に、スウェーデンから届けられた本作は、キュートネスと軽やかさにほんのりと知性をまぶした新しい形のメインストリーム・ポップを鳴らした。60年代ポップ、イージーリスニング、ボサノヴァ、ジャズなどを洗練されたポップ・ソングへと磨き上げた傑作だ。このアプローチとバランス感覚は、後年の北欧インディからベッドルーム・ポップへとつながる系譜を先取りしていたとも言える、秀逸なもの。今振り返ると、UKポップがロック中心主義からより開かれたポップ感覚へ移行していくプロセスを、実は先導した重要作として位置づけることができるだろう。(つやちゃん)

カーディガンズ

ファースト・バンド・オン・ザ・ムーン+1

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  • 可愛い失恋ソングがズラリ……と思いきや、なかなか依存的で危うい心理を描いているアルバムでもある。しかし、メロディも歌声も、全てが明るい。ネガティブな感情をポップに包みこむこのセンスは今でこそ珍しくないが、当時はまだ稀だった。カーディガンズが本作で行ったのは、明るい歌の裏側に危うさを潜ませるという芸当であり、その二重性がポイントだ。ブラック・サバスからラウンジミュージック、さらにソフトロックまで、引用元のサウンドの広さも特徴的。アルバムは英国チャートでもトップ20入りを果たし、「Lovefool」の世界的ヒットによってUKでも存在感を大きく高めた重要な一作。(つやちゃん)

キャスト

オール・チェンジ

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  • 英リヴァプールの伝説のバンド、The La’sのベーシストだったジョン・パワーが楽器をギターに持ち替え自らの曲を歌うバンド、それがこのCASTだ。派手なキャラクターではなく普遍的ないいソングライティングと演奏で魅せるのが、彼らの大きな特徴。デビュー曲の「Fine Time」と2ndシングル「Alright」の軽快な高揚感の眩しいメロディー・ラインでまず一気に高評価と知名度を得て、95年のこのデビュー作は全英7位に。リヴァプール出身らしく60年代マージー・ビートやビートルズの影響も持ちつつ、フォーク・ロックにも造詣の深いジョン・パワーの手による曲たちが、ジョン・レッキーのプロデュースにより音や声をいくら重ねても爽快さと透明感を失わないバンド・サウンドへと仕上がっている。ちなみに元々The La’sのファンでもあったノエル・ギャラガーは当時からCASTを高く評価し、1996年のネブワース公演や2025年の再結成ツアーでオープニング・アクトを依頼している。(妹沢奈美)

クランベリーズ

ドリームス(リマスター)

  • UICY-16521

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  • U2以降、アイルランドの音楽は政治性や民族性と結び付けられがちなところもあったが、クランベリーズは、ドロレス・オリオーダンの独特な節回しやヨーデル風の装飾音など、アイルランド的な歌唱のニュアンスを保ちつつポップ・ソングとして提示した。本デビュー作で重要なのはプロデューサーのスティーブン・ストリートで、彼はザ・スミスやモリッシーなどを手掛けた人物。クランベリーズではギターのジャングリーな響きを残しながら、大きなストリングスを加え、絶妙な空間処理によってオリジナリティを引き出していった。ドロレスの、囁きつつも時折爆発するボーカルは、新しく静かなオルタナティヴの誕生を告げている。(つやちゃん)

クランベリーズ

ノー・ニード・トゥ・アーギュ(30周年記念エディション)

  • UICY-16281/2

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  • デビュー作が繊細さをポップにしたアルバムだったとすれば、本作はそこに政治性、暴力性、そして成熟したソングライティングを加え、一気にスケールを拡張した。「Zombie」は反戦歌だが、怒りを表現するためにバンドが新たなサウンドへと変貌している。デビュー作ではジャングリーギターと美しいアルペジオが浮遊感を生み出していたものの、ここでは強烈なディストーションと重いリフ、激しいボーカルが鳴り響くのだ。ドロレスの、優しさから哀しみまでを自在に行き来するボーカル表現がすばらしい。曲ごとに、声色や息づかいが変化していく。女性ボーカルバンドの可能性を広げた一作だ。(つやちゃん)

ザ・キュアー

ウィッシュ(30周年記念エディション)

  • UICY-16094

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  • 代表曲「フライデイ・アイム・イン・ラヴ」を収録した9thアルバム。前作『ディスインテグレーション』は20世紀音楽を代表する傑作で、耽美な叙情を長い展開スパンで聴かせる作風は、ゴシックロックの到達点としても、(フューネラル)ドゥームなどの先駆けとしても、極めて大きな影響力を示し続けている。それに比べると本作は吹っ切れたかのようにポップで音楽性も多彩なのだが、前作がコアな作風にも関わらず大ヒットした状況にバンド自身が大きなストレスを感じていたことを鑑みれば、反骨精神の発露として妥当な路線変更にも思える。それでいて前作の仄暗い味も確かに引き継がれ、明るく軽やかな曲調との対比で映えているのも良い。雑多なのに統一感もある、このバンドにしか生み出せない類の傑作だ。なお、本作は全英1位・全米2位を記録、商業的に最も成功したアルバムとなった。(s.h.i.)

ザ・ストーン・ローゼズ

セカンド・カミング

  • UICY-16511

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  • あれから30年以上の時が経ったと思えぬほど、このザ・ストーン・ローゼズの2ndアルバムが1994年当時いかにファンやメディアを沸かせたか聴くたび鮮やかに脳裏に浮かぶ。マッドチェスター・ムーヴメントの代表作となった89年のデビュー作から5年半。契約をめぐりレーベルと法廷闘争をしたり、1stを手がけたプロデューサーのジョン・レッキーが途中で辞したりと、沈黙の向こう側でバンドは様々なトラブルに見舞われていた。そして長い時間をかけて作られた本作は、ジョン・スクワイア(G)が弾くギターが中心に据えられた音圧の強い1枚に。デビュー作が軽やかな音色のフォークと楽観性溢れるダンス・ミュージックを融合した作品だったとしたら、この『Second Coming』はブルースやハードロックを基盤にしたギターのヘヴィさとダークさが耳に残る。冒頭の「Breaking Into Heaven」はジャングルの環境音とパーカッションで儀式のような幕開けを飾り、メロディアスな「Ten Storey Love Song」、前作とのミッシング・リンクを繋ぐダンス・チューンの「Begging You」など、個性的な曲が揃う。この作品をリリースしてからバンドはメンバー脱退など崩壊の一途を辿るが、音楽的な確かさは今聴いても揺らぐことはない。さすが伝説のバンドだ。(妹沢奈美)

シェッド・セヴン

チェンジ・ギヴァー

  • UICY-16534

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  • 現在まで息の長い活動を続けるシェッド・セヴンのデビュー・アルバム。『ディフィニトリー・メイビー』とほぼ同時期にリリースされたこともあり、当時はしばしばオアシスとのライバル関係を喧伝された彼らだが、本作を聴き返せば両者がほとんど似ていないことに気づくはず。「Speakeasy」の切れ味鋭いカッティングや落ち着きのないリズム、「Dolphin」で蒼く弾けるメロディ、リック・ウィッターのクルーニーな歌声といったものは、後年の彼らが獲得する骨太なアンセムよりもずっと線が細く、だからこそ瑞々しいギター・ポップとして鳴っている。2作目以降と比べれば音の薄さやフックの弱さも否めないが、その未完成さこそが本作の魅力。1994年、ブリットポップが定型化する寸前の多様なUKギターが煌めく一作でもある。(粉川しの)

シェリル・クロウ

チューズデイ・ナイト・ミュージック・クラブ

  • UICY-16512

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  • マイケル・ジャクソンらのバッキング・シンガーとして下積み時代を過ごしたシェリルは、30代に入って本作で満を持してソロ・デビューを果たした、米国人シンガー・ソングライター。グランジ・ブームの傍らで起きていた、同じく遅咲きのボニー・レイットやメリッサ・エスリッジが先導する女性アーティストによるルーツ音楽回帰志向を、彼女はこのアルバムでよりポップな形で表現。米国内だけで500万枚のセールスを記録し、第37回グラミー賞ではシェリルに最優秀新人賞など3冠をもたらした。プロデューサーのビル・ボトレルを含む親しい音楽仲間とのセッションで形作られた作品だけに、その暖かな音色とレイドバックな心地良さも本作の魅力だ。(新谷洋子)

シェリル・クロウ

シェリル・クロウ

  • UICY-20435

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  • セルフ・プロデュースをしただけでなくほぼ全てのパートをプレイしたこのセカンドで、自ら主導権を握ったシェリル。ミュージシャンとしての実力と本質を、いよいよ明確化した感がある。随所でジム・ケルトナー(ドラムス)を始め腕利きのセッション・マンをゲストに迎え、ソングライティングのパートナーには、その後長くコラボすることになるジェフ・トロットを起用。寓意的なストーリーテリングも取り入れ、前作の大ヒットを受けて抱いたスターダムや音楽業界への幻滅感、或いは、旧ユーゴスラビア内戦や銃犯罪といった社会的題材とも積極的に向き合って自身の思想や世界観を浮き彫りにし、よりシャープでテンション溢れるサウンドに乗せた。(新谷洋子)

ジ-ン

オリンピアン

  • UICY-16535

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  • 1995年、ブリットポップが国民的な祝祭へと膨張していく傍らで、孤高を貫いていたジーン。デビュー・アルバムである本作は、アートワークからしてザ・スミスの直影響を隠さないが、彼らはスミスへの憧憬を単なる模倣ではなく、より生々しいロマンティシズムへと変換している。何より、ジーンはモリッシーのように世界に絶望はしていなかった。「Haunted by You」では細身のギターが鋭く疾走し、マーティン・ロシターの歌声は昂揚と傷心を同居させている。表題曲では一転、静かな内省が次第に壮大なギターのうねりへと開かれていく。オアシスやブラーが時代そのものを背負ったのに対し、彼らが守ったのはあくまで個人の感傷。その非祝祭性ゆえにヒドゥン・ジェムとなった本作は、どこまでも美しく頑固なアルバムだ。(粉川しの)

スザンヌ・ヴェガ

夢紡ぎ

  • UICY-16531

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  • ニューヨークのフォーク・シーン出身のシンガー・ソングライターであるスザンヌは80年代半ばにデビューし、高い評価と商業的成功を得たのち、3年ぶりのサードとなる本作を発表。このあと間もなくして前作『孤独(ひとり)』の収録曲『トムズ・ダイナー』のリミックスが世界的ヒットを博することになるが、本作ではそれをタイミングよく先駆けるようにして、フォークのソングライティングを軸にキープしつつ、当時の先端機材を導入。フェアライトなどを用いたエレクトロニックなテクスチュアに加えて、ブズーキやドンベックほか各地の民俗楽器も使用し、夢と現の間を行き交う11の曲を多様なサウンドでふくよかに仕上げて、新境地を開拓した。(新谷洋子)

スザンヌ・ヴェガ

微熱

  • UICY-16519

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  • 前作のエクスペリメンタルな路線をさらに推し進めた4作目。リチャード・トンプソンやロス・ロボスのデヴィッド・ヒダルゴ、ジ・アトラクションズのブルース・トーマスほか名プレイヤーたちの手を借りながら、曲によってはビートやパーカッションを強調し、フォークトロニカを先取りするスタイルを披露した。中でも、ソフトで抑制の効いたスザンヌのヴォーカルとインダストリアルと呼ぶに相応しいプロダクションが出会う鮮烈なシングル『ブラッド・メイクス・ノイズ』は、リリース当時リスナーを驚かせたものだ。しかし、この頃まさに隆盛を極めていたオルタナティヴ・ロックのムーヴメントに同調する彼女の大胆な試みは広く受け入れられ、米国内でゴールド・セールスを達成。(新谷洋子)

スザンヌ・ヴェガ

欲望の9つの対象

  • UICY-16532

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  • 敏腕プロデューサーのミッチェル・フルームとの間に娘が生まれたこともあって、『99.9F°』から4年を経て登場した5作目は、その前作と同じくミッチェルのプロデュースで録音。ボサノヴァに独自の解釈を施したり(『キャラメル』『ロリータ』)ジャズに接近するなど(『シン・マン』『トゥームストーン』)、さらに多彩なスタイルを網羅している。と同時にミッチェルが相棒のチャド・ブレイクと手掛けた、ふたりが得意とする作り込んだテクスチュアも、ミステリアスかつエキゾチックな背景を曲に提供。耳への刺激には事欠かないが、娘ルビーに捧げた『バースデイ』と『ワールド・ビフォア・コロンブス』が好例で、自身の死生観などを映したかつてなくパーソナルな歌詞も注目すべき点だ。(新谷洋子)

スティング

ソウル・ケージ(エクスパンデッド・エディション)

  • UICY-16292/3

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  • ソロ名義での3rdアルバム。スティングが所属していたザ・ポリスは史上最高のトリオバンドの一つで、ジャズやプログレッシブ・ロックの高度な構造とパンクの勢いとをニューウェーブ的な意匠(レゲエなどの影響も多分に含む)のもと融合して名作を連発した。そこでボーカルとベースを務めたスティングは、プレイヤーとしても作編曲家としても超一流で、ソロ名義では最高級のサポート・ミュージシャンを集めた音楽制作を続けてきた。本作は、数年にわたるスランプをもたらした父の死(1987年)と向き合い克服した作品で、楽曲の多くには父と繋がりの深い航海や海に関するモチーフが含まれている。全体的に内省的な雰囲気は漂うが、そこに不思議な軽やかさが伴い重苦しくなりすぎないのが絶妙。これは上記のような音楽的切れ味や、スティング自身の演奏感覚によるところが大きいと思われる。(s.h.i.)

スティング

テン・サマナーズ・テイルズ(エクスパンデッド・エディション)

  • UICY-16294/5

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  • 4thアルバム。タイトルは、『カンタベリー物語』に登場する“The Summoner”(召喚吏)と自身の本名「サムナー」の掛け言葉で、前作における内省からの良い意味での飛躍を思わせる。スティングの重要な持ち味のひとつに「どれだけ複雑なことをやっていても難解にならない」ことがあって、明瞭なメロディラインと入り組んだアレンジの両立が非常にうまい。本作では7拍子の「ラヴ・イズ・ストロンガー・ザン」(映画『七人の侍』および『荒野の七人』へのオマージュだという)や5拍子の「セヴン・デイズ」が好例で、ビートや展開は変則的なのにポップな楽しさが常に前面に出る。それは、達人揃いの客演陣(史上最高のドラマーの一人であるヴィニー・カリウタなど)により滑らかに解きほぐされた演奏の賜物であり、スティング自身がそれらに並ぶ実力者であるからこそ可能になるものでもあるだろう。プログレ好きに特におすすめしたい逸品だ。(s.h.i.)

スティング

マーキュリー・フォーリング

  • UICY-20450

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  • 5thアルバム。タイトルは「水銀柱が下がる=気温や気圧が低下する」「水星が沈んでいく」(水星は“移り気/好奇心の多さ/移り気”のような性格と関連付けられる)などの含意であり、スティング自身によれば、これは様々な音楽ジャンル/スタイルを横断し回帰する作風の象徴なのだという。7拍子や9拍子などの変則拍子を多用する試みは前作から続く傾向だが、アメリカのフォークやソウルミュージック、ブラジルの高度なポップスなど、過去作では前面に出ていなかった要素が借り物に留まらないレベルで活かされ、優れた新境地を拓いている。このような変化を続けても一貫したイメージが保たれるのは、唯一無二の歌声とリズム感覚(アンサンブルの軸となるベースを担当しているのはその点でも大きい)があればこそ。そうした持ち味が見事に活かされたアルバムだ。(s.h.i.)

スティング

ブラン・ニュー・デイ(エクスパンデッド・エディション)

  • UICY-16296/8

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  • グラミー賞の「最優秀ポップ・アルバム賞」と「最優秀ポップ・ボーカル・パフォーマンス賞」を獲得した6thアルバム。アルジェリアやブラジルの音楽語彙、ヒップホップやエレクトロニカのような新しい取り組みと、優れたサポートミュージシャン陣との交流を通して培われてきた(90年代当時の)現代ジャズの系譜が融合し、過去作とも異なる優れた個性が生み出されている。その上で素晴らしいのがスティングの歌声だ。深刻にも軽薄にもなりきらない、シリアスな曲調にもポップな曲調にも合うこの音色があるからこそ、多様な文脈と作風(ソロ3rdと4thの方向性は対照的)を違和感なく並べることができるのだろう。タイトル曲におけるスティーヴィー・ワンダーのハーモニカ(様々な楽器で達人級の名手だが、個性と表現力の面ではこの楽器が代表格)など、客演陣も素晴らしい。2ndアルバム『ナッシング・ライク・ザ・サン』と並んで人気の高い傑作だ。(s.h.i.)

ティーンエイジ・ファンクラブ

バンドワゴネスク

  • UICY-16513

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  • 米SPIN誌で、『ネバーマインド』を抑えて年間ベスト・アルバムに選ばれた作品。本作が優れていたのは、「オルタナティヴ・ロックはもっと美しいメロディを鳴らしていい」という新しい規範を作り出した点にある。80年代末から90年代初頭まで、オルタナティヴ・ロックはノイズや不協和音、アンチ商業主義を打ち出すのが主流だった。一方で本作は、ギターは歪んでいるけれどメロディは驚くほど甘く、コーラスはビーチ・ボーイズのように美しい。つまり、轟音と美しいメロディが両立できることを証明したアルバムだったのだ。パワー・ポップ・リバイバルの金字塔であり、ブリットポップ以後のUKギターミュージックの感性を決定づけた一枚。(つやちゃん)

ティーンエイジ・ファンクラブ

グランプリ

  • UICY-16514

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  • ブリットポップの時代に、成熟した作品を作り上げたティーンエイジ・ファンクラブの代表作。穏やかなコード進行、滑らかなコーラス、無駄のないアレンジ、そして落ち着いたテンポ。劇的な出来事は何も起きない。しかし、だからこそじんわりと沁みる。ノーマン・ブレイク、ジェラルド・ラブ、レイモンド・マッギンリーの三人がそれぞれ優れたソングライターであることがこのバンドの最大の美点だが、今作ではそのバランスが頂点に達している。前作にも優しさはあったが、それが大人の余裕へと進化していった。その後30年にわたる、UKメロディック・ギターミュージックの原点にして理想像と言えるだろう。「About You」や「Mellow Doubt」等、名曲揃いだ。(つやちゃん)

ドッジー

ホームグロウン

  • UICY-16515

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  • ブリットポップが成熟期へ突き進んでいた1994年秋にリリースされ、ドッジーの名を広く知らしめた2ndアルバム。全英28位獲得。この頃の新人バンドは演奏力がまだまだ発展途上なものが多かった中で、ドッジーの腕前は最初から飛び抜けていた。「So Let Me Go Far」のギター・ソロ、初期ザ・フーのように前に飛び出すリズムの「Staying Out for the Summer」、そして60年代UKバンド的な巧みなコーラス・ワークなど、どの曲からも音楽的素養の深さを感じさせる。言うなれば、ブリットポップが単なるユースカルチャーではなく、英国の豊かな音楽的歴史を90年代にしっかりリンクさせたムーブメントだったことを、しっかりと伝えるアルバムだ。一方で、7分を超える最終曲「Grassman」のサイケデリアのクオリティといい、単なる懐古趣味とは違う実験精神も確かにある。この時代らしい軽快さと親しみやすい旋律の中に、少し意外なコードを忍ばせるなど、新しい音楽を作ろうという若き音楽人らしい気概も堪能できる。(妹沢奈美)

ドッジー

フリ-・ピ-ス・スウィ-ト

  • UICY-16516

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  • 全英7位に輝いた1996年の3rdアルバム。忘れられないメロディーとブラス・サウンドが調和してバンド最大のヒットとなった「Good Enough」も本作に収録されている。前作『Homegrown』の親しみやすいギター・ポップを受け継ぎつつ、ソウル、ゴスペル、フォーク、レゲエ、ダブ、サイケデリアへと音楽性を大きく広げたこの作品の方向性は、ポスト・ブリットポップ時代の空気感にも共鳴。ドッジーらしいハーモニーはもちろん健在だ。一方、前作以降のツアーで鍛えられたライヴ・バンドとしての強靭さと彼ららしい確実な腕前の演奏が合致し、明るいけれど絶妙に切ない本作の旋律に身体性を与えている。ゴスペル風コーラスが印象的な「You’ve Gotta Look Up」、歌声にストリングスが寄り添う「If You’re Thinking of Me」、バンジョーなどを用いながら8分近い長尺でじわじわと興奮を増幅させていく「One of Those Rivers」など、どの曲も聴き込むほどに面白い。(妹沢奈美)

パルプ

コモン・ピープル 30周年記念エディション

  • UICY-16325/6

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  • ブリットポップを象徴するアルバムを一枚挙げるとしたら、筆者は本作を選ぶ。音楽ジャンルを超越し、英国性そのものに対する熱狂だったブリットポップの本質を、これほど正確に捉えた作品は他にないからだ。ディスコ、グラム、ニューウェイヴetc.を横断するキッチュでポップなサウンドの裏で、ジャーヴィス・コッカーは階級の相剋、性愛、嫉妬、自己嫌悪といった感情に塗れながら、退屈な日常を生きる人々を描き出していく。「Common People」では労働者の暮らしをポバティーサファリ化する富裕層への憤りを巨大なアンセムへと昇華し、「Disco 2000」では冴えない青春の記憶を眩いダンス・ポップへと変換。観察者と当事者、詩人と道化を同時に演じるジャーヴィスの天才が、捻くれたユーモアと嗜虐性を纏ってスパークする様は圧巻だ。あの時代を最も鋭く投影しながら、時代を超えて「普通の人々」と共振し続ける普遍的傑作。(粉川しの)

ブライアン・アダムス

ウェイキング・アップ・ザ・ネイバーズ+1

  • UICY-20441

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  • 最大のヒット作となった6thアルバム。映画『ロビン・フッド』に提供された「アイ・ドゥ・イット・フォー・ユー」は史上最も売れたシングル曲の一つであり(全世界で1500万枚以上)、本作も全世界で1600万枚以上を売り上げた。このような知名度や“アリーナ・ロック”的な楽曲スタイルのためか、専門ジャンルのファンからは意外とスルーされがちなブライアン・アダムスだが、ボン・ジョヴィやジャーニーにも並ぶ旋律美とAC/DCばりのどっしりした突進感を兼ね備えた音楽性は極上で、メロディアス・ハードとして超一級の魅力がある。特に本作では、ロバート・ジョン・“マット”・ラングが共同プロデュースしたこともあってか、そうした音楽性がデフ・レパードに通ずる音像のもとで理想的に開花。アルバム全体の流れも非常に良く、約75分の長尺なのに全くもたれない。メガヒットしたのも納得の傑作だ。(s.h.i.)

ブライアン・アダムス

18 Til I Die+3

  • UICY-16533

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  • 前作に引き続きロバート・ジョン・“マット”・ラングとの共同プロデュースとなった7thアルバム。タイトルは「死ぬまで18歳の気持ちで生きる」という人生のテーマを反映したものだが、サウンドは前作のアリーナ・ロック的音像よりシンプルなロックンロールに近く、自身のルーツに遡りながらも30代後半ならではの成熟が映えた作風になっている。本作で興味深いのがビート構築のうまさで、レイドバック気味の淡々とした雰囲気を前面に出しながらもグルーヴ表現は曲ごとに異なり、落ち着きと表情の豊かさが両立されている(ファンク〜トリップホップ風の「アイ・ワナ・ビー・ユア・アンダーウェア」から「ウィアー・ゴナ・ウィン」の高速AC/DC的疾走感に繋げる箇所などが好例)。こうした作りもあってかアルバムの流れは少しぎこちなく思えるが、そこから醸し出される彷徨感がテーマに深みを与えてもいる。聴くほどに味が増す充実作だ。(s.h.i.)

ブルートーンズ

エクスペクティング・トゥ・フライ

  • UICY-16517

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  • 初夏の青空を見上げて眩しさに目を細めるような、瑞々しい空気感がこのブルートーンズのデビュー作『Expecting to Fly』には満ちている。バッファロー・スプリングフィールドの曲からとったアルバム・タイトルの通り、本作の冒頭は飛行機が頭上を飛ぶ音で始まる。不朽の名曲「Slight Return」や何かが始まる気配をメロディーが濃厚に伝える「Bluetonic」などの有名シングル曲でもこのバンドのポップ名手ぶりは証明されるだろうが、一方でザ・スミスからの系譜も窺わせる「Carnt Be Trusted」や、ノイズたっぷりのギターの旋律でバンドの別の顔を見せる「Things Change」など、全英1位を獲得したアルバムにふさわしい曲が他にもずらりと揃っている。同じくザ・ストーン・ローゼズからの影響を受けたバンドとしてはOasisも有名だが、彼らの曲が大合唱したくなるものだとすれば、このブルートーンズの曲の場合は帰り道や自分の部屋で、一人で口ずさみたくなる自分だけの宝物。永遠の少年のごとき歌声を持つマーク・モリスの存在も大きい。ブリット・ポップ期の名盤を5枚挙げろと言われたら、私は必ず本作を入れる。(妹沢奈美)

ベン・フォールズ・ファイヴ

ベン・フォールズ・ファイヴ(30周年記念エディション)

  • UICY-16505/6

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  • エルトン・ジョンやビリー・ジョエルの例を挙げるまでもなく、1970年代には、ロックにピアノを取り入れる試みがさかんに行われていた。しかし80年代後半になるとギターからシンセ、さらにはグランジへとサウンドの中心は流れ、ピアノは主役から外れていく。その流れの中で、ベン・フォールズ・ファイヴは改めてピアノ・ロックを披露してみせた。ピアノとベースとドラムという編成ながら音は非常に太く、歌詞は会話型で進む。どこかオタクっぽくて、皮肉屋のキャラクターが非常に効果的だった。このあと00年代になると、コールドプレイやキーンの活躍によって再びピアノに脚光が当たりはじめるが、その狭間に置かれた傑作と言えよう。(つやちゃん)

ポーティスヘッド

ダミー

  • UICY-20164

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  • ブリストルを中心に結成された三人組が奏でるのは、まさしく映画のような音楽。テープノイズやリバーブ、ローファイな質感といった効果を取り入れながら、60年代スパイ映画っぽさやフィルム・ノワール感覚、さらにはサイケデリアとヒップホップとダブとソウルを「ポーティスヘッド」というひとつの人格のもとでまとめあげてしまった。現在隆盛を極めている、パーソナルで密室的でムード重視の音楽――それらすべてのプロトタイプでありながら完成型でもある。実際に演奏したものを録音し、それをアナログ盤にカッティングして傷やノイズを加え再びサンプリングするなど、一般的なサンプリングらしく聴こえない質感が徹底されている。(つやちゃん)

レニー・クラヴィッツ

ママ・セッド

  • UICY-25445

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  • アメリカ国内だけで200万枚以上を売り上げ、出世作となった2ndアルバム。ジミ・ヘンドリックスやプリンスに連なるブラック・ロックの系譜に、ビートルズ(のジョン・レノン曲)やレッド・ツェッペリンに代表される英国ロックの叙情を融合した作風で、歌メロとギターリフの双方で冴えたフレーズを連発する作編曲は常にキャッチーなのだが、グルーヴ表現や音作りには仄暗い鎮静感があり、聴きやすさとドープさが極めて高度に両立されている。これは殆ど全てのパートを独りで演奏する(→リズムアンサンブルの癖が揃って高純度の噛み合いが得られる)作風の賜物でもあり、どことなくスライ・ストーンに通ずる旨みにも満ちている。口当たりが良いのにどこまでも深く酔える、極上の美酒のようなアルバムだ。(s.h.i.)

レニー・クラヴィッツ

自由への疾走

  • UICY-25446

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  • アメリカのビルボード200で初のトップ20入り(12位)、オーストラリアとイギリスで1位を獲得した世界的ヒット作。冒頭を飾る代表曲「自由への疾走」はジミ・ヘンドリックスをハードロック化したような曲調で、速めのテンポ設定は全体の流れから浮いている印象もあるのだが、2曲目以降も前作に比べれば勢いがあり、高めのテンションとドープさが絶妙に両立されたアルバムになっている。前作がスライ・ストーンとすれば本作はカーティス・メイフィールドに近いが、過去の何かを明確に連想させるのにそれらの亜流にはならない匙加減が素晴らしい。一貫した持ち味を様々な形に料理できる(だからこそハマりやすく飽きさせられにくい)のがレニーの強みであり、それは次作以降でも見事に発揮されていく。(s.h.i.)

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