テイラーからのコメントも!「カーディガン」のMVに隠されたイースターエッグを解説

2020.09.02 TOPICS

2020年7月24日に最新アルバム『フォークロア』をサプライズ・リリースしたのと同時に、収録曲「カーディガン」のミュージック・ビデオを公開したテイラー・スウィフト。このビデオに隠されたイースターエッグ(ヒント)を紐解く解説動画「Taylor Swift - cardigan ((Footnotes) | Vevo)」が、彼女の公式YouTubeチャンネルから公開されました。日本語翻訳とともに、テイラーの作り上げた世界観をお楽しみください。


「カーディガン」は、テイラー・スウィフトの8作目となるスタジオ・アルバム『フォークロア』からのオフィシャル・ビデオ第一弾。このアルバムは、2020年7月24日にリリースされました。ビデオの脚本と監督を、テイラー自らが務めています。彼女は映像の中に、比喩としても働く、巧妙な仕掛けが欲しかったのです。

 

 

このシーンに映る男性の写真は、テイラーの祖父、ディーン。彼はガダルカナル島の戦いで浜辺に上陸しました。彼は、他にも「epiphany」という曲に登場します。

 

 

よく見ると、時計の針が1と3を差しています。13はテイラーのお気に入りの番号ですので。ピアノの横に飾られる、白い家の絵にもお気づきでしょうか。この絵はテイラーが、自宅隔離の始まった最初の週に描いたものです。

テイラーはにファンに向けて、ビデオの中に頻繁にイースターエッグを隠してきましたが、『フォークロア』の場合、リリック・ビデオにもイースターエッグが仕込まれています。 また彼女は、アルバム収録曲全体に渡って、意図的なキャラクターと反復的なテーマを織り込みました。それは、誰が誰について歌っているのか、地図のように精密に示されています。

 

 

「(私の頭の中に存在する)ティーンエイジャーの三角関係について語った3曲のコレクションがあります。これらの曲は夏の三角関係について探索したものであり、異なる時間や人生における、3人の登場人物それぞれの考え方が反映されています。それはまるで、彼らの住む街で起こったドラマであり、個々へ異なる影響を与えました。」ーーテイラー・スウィフト

テイラーは新型コロナウイルスによるパンデミックの下、自宅隔離中にアルバムの執筆とレコーディングを行いました。「孤立感にインスパイアされました。それは、自由に感じるか恐ろしく感じるかのどちらかであり、過去を思い起こすきっかけにもなるのです。」ーーテイラー・スウィフト

「カーディガン」は、アルバムの大半の曲と同じく、テイラーのお気に入りのバンドであるザ・ナショナルのアーロン・デスナーによってプロデュースされています。 彼らは、ブルックリンで行われたザ・ナショナルのコンサートに、数年前にテイラーが訪れた際に出会いました。

 

 

「ザ・ナショナルの曲の制作プロセスについて質問してみたのです。アーロンは、バンドメンバーが世界中の様々な場所に住んでいることから、多くの場合リモートで仕事に取り組むと教えてくれました。自宅隔離期間が始まったとき、私は制作意欲が沸いたのですが、アーロンに連絡を取ったところ、彼もまた同じ気持ちだったのです。そして、これまでで最も骨の折れないコラボレーションの1つが完成しました。私は彼に出会えて、本当に幸運だったと思っています。」ーーテイラー・スウィフト

森の中のシーンは、全てがマジカルで美しさに満たされた、恋愛関係初期におけるエバーグリーンな感情を表現したものです。

 

 

一方で、海に溺れるシーンでは、恋愛関係が壊れていく中で感じる孤独感や恐れる気持ちが大きくなることを表現しています。

テイラーが連絡を取った時、アーロン・デスナーはニューヨークのアップタウンに家族と一緒に滞在していました。彼は直近に制作した音楽のフォルダをテイラーに送り、テイラーは数時間の間に、ほとんどの作詞を完成させた「カーディガン」として彼に送り返したのです。アーロン・デスナーの双子の弟、ブライスもまた楽曲制作に参加し、曲の中に聴こえる管弦楽のパートを担当しました。

テイラーはこのミュージック・ビデオで、オスカーノミネート歴のある映像監督、ロドリゴ・プリエトとタッグを組みました。彼は別のミュージック・ビデオ「The Man」でもテイラーと共作しています。 テイラーは当時見ていた時代物やファンタジー映画のいくつかに触発され、各シーンの視覚的な参照をいくつかプリエトへ送りました。そこには、時代ごとに分けられたストーリー・ボードのリストや、写真、そして手書きのイメージなどが含まれていました。

新型コロナウイルス感染対策のため、テイラーは自らのヘアメイク、そしてセット内でのスタイリングにも携わりました。彼女は私物のナイトガウンをビデオの中で着用しています。 健康検査官の立ち合いのもと、シーンを1カット撮るごとにピアノの鍵盤にUVライトを当てて、除菌スプレーで消毒しました。

さらには、ソーシャル・ディスタンスを保った撮影を徹底するため、クローズ・アップ・カメラを使用して撮影する際には、技術用クレーンが導入されたのです。動画エディターのチャンスラー・ヘインズとテイラーは、セット内の離れた場所から同時編集を行いました。

 

 

テイラーがもといたキャビンに戻ってくるシーンでは、愛を失った後に我に返ることを意味しています。しかしその際、テイラーの服が濡れたままなのは、彼女が恋愛という冒険により変わってしまったけれど、自分自身がどういう人物であったのかを発見したことを表現しています。

アルバムのリリースがトップ・シークレットであったことから、音が漏れないようにテイラーはイヤフォンを着用したまま撮影中に挑みました。このビデオが実際にリリースされた日、『フォークロア』の世界のピアノの音色に特殊効果が追加されています。

 

 

「私はフォークロアを、現実逃避のアルバムだと捉えています。悲しくて、美しく、悲劇的。それはまるで、全てが想像でできた写真アルバムのようなもの。そんな想像の裏には全て、隠れた物語があるのです。」ーーテイラー・スウィフト