BIOGRAPHY

3年前、心揺さぶるダンス・ミュージックの作り手として登場したSGルイスが、新しいアルバムと新たな目標を携えて戻ってきた。2015年の「Shivers」、2016年の「Yours」という2枚のEPをリリースした後、人気上昇中のデイヴ(Dave)(「100Ms」)やレイ・ブラック(Ray BLK)(「Chill Out」)のためのヒット曲を制作した生来のプロデューサーであり、ソングライターであり、DJでもある英レディング生まれの彼が、3部構成のクラブミュージックのアルバム『Dusk, Dark, Dawn』で再び登場する。

“ぼくがやっていることはすべてクラブカルチャーに起因しているんだ” 彼はコンセプトについてそう語る。“『Dusk, Dark, Dawn』では、17歳から19歳のころの、ありとあらゆる感情や経験、圧倒されるような感動を引き出し、その音楽をクラブの外に持ち出した。自分が一人の若者として、存在すら知らなかったものに度肝を抜かれた記憶だ”

2015年に、SGルイス、本名サムは、音楽における最初のステップをオンラインで、それも膨大な人数のユーザーが登録しているSoundCloudで始めた。そこでアップしたのは、ボン・イヴェールのようなシンガー・ソングライターへの愛情と、よりアンダーグラウンドなクラブっぽいスタイルの制作価値を結びあわせたサウンドだった。“ザ・ネプチューンズについてのドキュメンタリー番組を観て、これこそ自分が仕事にしたいことだって思ったのを覚えてるよ。ただスタジオにいて曲を作りたいってね” (この話はBeats 1ラジオで流された彼のデビューシングル「Warm」に感銘を受けたファレル・ウイリアムスが、彼を“ソウルのある白人青年”と言ったことで現実となる)

ジェシー・ウェアの「You & I (Forever)」のリミックスの後、サムはジェシーの所属するレーベル〈PMR Records〉に注目され、さっそく、このレーベルと契約を結ぶことになった。“聴衆のたった5%だけがぼくの音楽を聴きに来ているという大きなフェスティバルに、DJとして参加するようになったんだ” 突破口となった初期のステージについて、彼はそう語る。“そのほかの95%に向かって演奏することになったわけだけど、回を重ねるうちに皆だんだんと、どうして「Warm」や「No Less」をやらないんだって言うようになってね。そのときに、ぼくも自分の音楽を演奏するライヴをやる必要があると気づいたんだ”

それと同時に「Warm」はHBO局の連続ドラマ『ボウラーズ』で起用され、2016年にテレビ番組で使われた曲のなかで、音楽認識アプリShazamで最も検索された曲となった。そしてこれがきっかけとなって、2016年、すし詰めのコーチェラ・フェスティバルの主軸として登場することになった。彼のこうした影響力はクラブのアンダーグラウンドから発したものだったが、じきにサムにはより大きな野望があることがはっきりした。“ぼくには今でも、ザ・ネプチューンズやティンバランドの影響があるんだ”と彼は言う。“今は世界中で大ヒットする曲こそが音楽的にも意味のあるものだとみなされる時代だよね。それが新しいプロジェクトのインスピレーションになったんだと思う。どうして世界中で大ヒットした音楽が本当に、本当に良いものではありえないのか?ってね”

この新しいプロジェクト『Dusk, Dark, Dawn』は3部構成になっており、それぞれが全く異なった、夜遊びの気分を醸し出している。ここではサムはキュレーター・モード全開だ。間もなく発表されることになるコラボレーターたちをホストとして活用し、3つの異なる音の世界で自分がやろうとしていることを様々な面から伝えている。この旅の幕開けとなるのは、注目のイギリスのソングライター、J・ワーナーとのコラボレーションで、ぼんやりと暖かい、夜の始まりに向けての前奏曲だ。

3部構成アルバムの第1部の「Dusk」は、80年代のシンセサイザーによる、誘うようなハウスとディスコの前座だ。“ディスコはいつもぼくにとっては、夜の始まりとつながっているんだ。ぼくはクラブやディスコで常駐DJとして長い時間を過ごした。ディスコはいつだって人を惹きつける魅力あるジャンルで、皆をダンスフロアに引っ張り出すんだ” アルバムの第一段階は、夜がやってくる前の不安と興奮が存在する日没に位置する。“夜のこの時間には、まぎれもない美しさがあるよね。より重く、暗いものが来るときの前触れみたいで” その後に続く「Dark」と「Dawn」で、SGルイスは、ジャンルとテンポを混ぜ合わせ、リスナーを連なるひとつの物語へと導く。その音楽には、クラブの内側と外側、両方での感動がこもっている。

“最初の2枚のEPで、ぼくは何かしら表現できたと思っている。だから絶対に避けたいのは、まったく同じことを繰り返すことだった”と、彼は言う。“何かを生み出すために何かを生み出す、そんなことはしたくなかった。だから、ほんの少しのあいだ、一歩離れてみた。そしてしばらくいろんなことを考えてわかったんだ。以前「失敗なんてあり得ない」って口にしたのは、ぼくが作り出すものすべては、ぼく自身が愛する音楽だからだ、って。ありふれた言葉に聞こえるかもしれないけど、ぼくが音楽を作っているのは、それで幸せな気持ちになれるからなんだ”