BIOGRAPHY

Nicola Benedetti ニコラ・ベネデッティ (ヴァイオリン)


Nicola1

ニコラ・ベネデッティは、同世代のヴァイオリニストの中でも最も人気の高いアーティストのひとりである。天賦の音楽性とダイナミックな存在感によって聴衆を虜にする能力、そしてクラシック音楽への熱心な取り組みが注目を集め、現在最も影響力を持つアーティストのひとりとして活躍している。

協奏曲を活動の中心に置く彼女は、世界中のオーケストラと指揮者から共演依頼が殺到している。過去に共演、あるいは今後共演を予定している団体にはロンドン響、フェニーチェ歌劇場管、フランクフルト放響、ケルンWDR響、デンマーク国立響、ストラスブール・フィル、イル・ド・フランス国立管、ボン・ベートヴェン管、ロイヤル・スコティッシュ管、スコットランド室内管、オランダ放響、フィラデルフィア管、サンフランシスコ響、ワシントン・ナショナル管、ダラス響、シンシナティ響、ヴァンクーヴァー響、ピッツバーグ響、メルボルン響、香港フィルなどがある。さらに、ベルゲンフィル、カメラータ・ザルツブルク、BBCスコティッシュ響とのツアーを予定。

2014~15年のシーズンは、マーコン指揮ケルンWDR響とヴェニス・バロック管との共演、それにラ・チェトラ・バロック・オーケストラ・バーゼルとの欧州ツアーにより、イタリア・バロック音楽を重点的にとりあげる予定である。  これまでに共演した著名な指揮者には、アシュケナージ、ドゥネーヴ、エッシェンバッハ、ガフィガン、ゲルギエフ、ギルバート、フルシャ、ラングレー、リットン、ビエロフラーヴェク、マリナー、マテウス、クリスチャン・ヤルヴィ、ネーメ・ヤルヴィ、パーヴォ・ヤルヴィ、ランニクルズ、トルトリエ、ヴァン・ズヴェーデンがいる。

リサイタルでは、アレクセイ・グリニュクのピアノ伴奏で世界の一流コンサートホールに出演している。ロンドン、エディンバラ、グラスゴウ、香港、パリ、サチーレ、ニューヨーク、ボストン、ワシントンに加え、最近ではドレスデン・ムジークフェスティピーレ、ローマ・サピエンツァ、モントリオール・メゾン・サンフォニークにも登場した。さらにロイヤル・アルバート・ホール、ウィグモア・ホール、バーミンガム・シンフォニー・ホール、エクサン・プロヴァンス、トリエステでもリサイタルを予定している。  2008年にはピアノのアレクセイ・グリニュク、チェロのレオナルト・エイシェンブロイヒと共にトリオを結成し、室内楽にも熱心に取り組んでいる。2013年3月にはエディンバラ・エッシャー・ホールとグラスゴウ・ロイヤル・コンサート・ホールを含むスコットランド・ツアーを行なった。過去の出演または今後の出演予定はLSOセント・ルークス、フランクフルト・アルテ・オパー、ディ・グロッケ・ブレーメン、香港シティ・ホール、南米ツアー、それにラヴィニア、シュロス・エルマウ、イスタンブール、チェルトナム・フェスティヴァルを回るツアーなどがある。

音楽教育と若手発掘にも熱心な彼女は、音楽学校や音楽大学などの教育施設とも協力関係を続けている。2010年にはベネズエラの教育システム「エル・システマ」のスコットランド支部オフィシャル・ビッグ・シスターに就任し、「ビッグ・ノイズ・プロジェクト」を開始した。彼女はシステマ委員および教師として青少年の音楽活動の見本を示し、スコットランドのみならず世界中でマスタークラスを開催している。  さらに彼女は「ザ・ベネデッティ・セッションズ」と題する音楽教育/アウトリーチ活動を開始した。2013年3月、グラスゴウのロイヤル・コンサート・ホールで始まった「ザ・ベネデッティ・セッションズ」は、数百人の若手演奏家にリハーサル、本番、そしてベネデッティのマスタークラスに参加する機会を与えるプロジェクトである。2013年9月にはロイヤル・アルバート・ホールでも同様のセッションを開催し、将来は国際的な規模に広げていく予定である。

2012年クラシカル・ブリット・アワード最優秀女性アーティストを受賞した彼女は、現在デッカ・レーベルと専属契約を結んでいる。デッカよりリリースした『シルヴァー・ヴァイオリン』は、数ヶ月にわたってクラシック・チャート第1位を記録したほか、UKポップス・チャート第30位にランクインした。ドイツ・グラモフォン時代に彼女が録音したアルバムには、シマノフスキーの協奏曲を演奏した『ニコラ・ベネデッティ デビュー』(ハーディング指揮ロンドン響)、『舞い上がるひばり~ヴォーン・ウィリアムズ&タヴナー作品集』(リットン指揮ロンドン・フィル)、超絶技巧曲集『ファンタジー』(ペトレンコ指揮ロイヤル・リヴァプール・フィル、海外盤のみ)、チャイコフスキーとブルッフの協奏曲集(フルシャ指揮チェコ・フィル)がある。

国際的な音楽活動と英国内の音楽慈善活動を認められ、2013年の新年受勲では大英帝国勲章(MBE)メンバーを受賞。これまでに5つの名誉学位を保持している。  イタリア系の両親のもと、スコットランドに生まれたベネデッティは5歳よりブレンダ・スミスにヴァイオリンを師事。1997年ユーディ・メニューイン音楽学校に入学、ナターシャ・ボヤルスカヤに師事した。卒業後はマチェイ・ラコフスキとパヴェル・ヴェルニコフに師事し、さまざまな有名教師や演奏家と共演している。

使用楽器は、ジョナサン・モールズ所有のガリエル・ストラディヴァリウス(1717年製)。

訳・編:前島秀国 (2014年4月現在)