<イベントレポート>「Yellow Lounge Tokyo 2019」開催

2019.03.13 TOPICS

クラシック・イベント「Yellow Lounge Tokyo 2019」が、3月12日(火)「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」で開催された。

「Yellow Lounge」は、世界最古のクラシック・レーベル=ドイツ・グラモフォンが、“一流の音楽を気軽に楽しむ”というテーマのもと、クラブをはじめとした様々な会場で実施している新コンセプトのイベントだ。昨年9月、日本に本格上陸し、世界中で賞賛を浴びるウルトラテクノロジスト集団“teamLab”とのコラボレーションで話題をさらった。

それから半年。再び、“teamLab”とのタッグで、日本で第2弾となる「Yellow Lounge Tokyo 2019」が開催された。会場は、前回と同じ【森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス】に展示されている作品「人々のための岩に憑依する滝」。イベント当日は、貴重なチケットを手にした観客とメディア関係者、約120名が会場を訪れた。

イベントは19時に開演。
色とりどりの花々が咲き乱れる中、岩の上に流れ落ちる美しい滝。そんな幻想的な作品空間の中に深紅のドレスで登場したのはスペシャル・ゲストの村治佳織。滝の前を無数の鳥が羽ばくような演出とともに村治の奏でる「ムーン・リバー」でイベントは幕を開けた。3曲目からは伊藤ゴローが加わり、まずは「November」を演奏。日本が誇る2人のトップギタリストの洗練された美しい音色が会場を包み、ラストを飾った「Glashaus」では、会場はどこか情緒的で温かい空気で満ち溢れた。

次に登場したのは今年1月、ドイツ・グラモフォンと専属契約を結んだノルウェー出身のヴァイオリン奏者、マリ・サムエルセン。シックな黒の装いで登場した彼女が最初に演奏したのは、バッハの最高傑作のひとつといわれる無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番「シャコンヌ」だ。以前、「音楽を言葉だと考えると、私が自分のことをうまく伝えることができる“言葉”のひとつはバッハだ」と語っていたマリ。その言葉通り、流麗且つ情熱的な演奏で会場の空気を一変させると、最後までエキサイティングな演奏を展開し、その存在感を知らしめた。

マリの演奏後、高揚感に満ちた会場に登場したのは、2回目の来日となったコンポーザー・ピアニストのユップ・ベヴィン。身長207cmの体格で“ジェントル・ジャイアント(フレンドリーな巨人)”とも称されるユップだが、その通り、蓋を全て開放させたアップライトピアノから紡ぎだされる音色は繊細で優しさに溢れていた。「Ab Ovo」「Etude」「Unus Mundus」と曲が進むにつれて、会場はユップの色に染まり、深い森の中にいるような癒しの空間へと導いた。途中、マリ・サムエルセンとのスペシャルなアンサンブルも披露しつつ、ラストは彼のセカンド・アルバム『プリヘンション』から「Hanging D」。それまで演奏された曲とは違い、激しいタッチで演奏されたこの曲では、壁一面に徐々に花が咲いていくアート展開とユップの奏でる一音一音が呼応し、会場の雰囲気はクライマックスに。壁一面に花が咲きほこると同時に演奏も終了。ドラマティックなイベントの終幕に、まるで夢から覚めたように観客は大きな拍手を送った。

“一流の音楽を気軽に楽しむ”というテーマのもと行われているイベント「Yellow Lounge」。
日本で第2弾となった「Yellow Lounge Tokyo 2019」はアートと素晴らしい音楽との融合で、ここでしか体験できない特別なステージとなった。本イベントの模様は、ドイツ・グラモフォンのオフィシャルYouTubeチャンネルで生中継され、現在もアーカイヴ公開中。唯一無二の空間となったイベントの様子を是非、楽しんでほしい。

写真:©Rina Asahi+cyando