BIOGRAPHY

カイザ KIESZAカイザの音楽にはリスナーを虜にする、音楽に関する優れた知識を含んだポップさがある。(ただポップという以外に良い言い方があれば良かったのだが。)彼女の音楽はカラフルで多様性があって、彼女がここにくるまでにたどった曲がりくねった道のように、驚きが多いものである。ニューヨークシティにあるBody&SoulやLibationのようなナイト・スポットに影響を受けた、25歳のカナダのカルガリー生まれのカイザ。彼女のデビュー・アルバムはディープなハウス・グルーヴと、光り輝くソウルフルなメロディーと共に完成している。それだけでなく、カイザは世界中でひっぱりだこのソング・ライターであり、その前はバレリーナでもあり、海軍に属して大型船の船乗りとしてすごした時代もあったのだ。当時はカナダ海軍からスナイパーとしてリクルートされたこともあったほどだ。
カイザは子供の頃から自然と歌う習慣があったため、恐ろしいほどの才能があり、ダンスフロアを支配してきた多くの曲をカイザは気に入っていた。マイケル・ジャクソンやマーサ・ウォッシュ、シーシー・ペニストン、ロビン・Sらをカイザは尊敬しており、魅力的でハイブリッドなポップの繊細さを取り入れるために最近ではディスクロージャーやホット・ネイチャードからも影響をうけている。さらに加えて、彼女は楽曲を完全に新しいレベルへと導き、スターとしてのクオリティを得たのだ。
10代の頃のカイザは変わった子供であり、興味深い曲折があった。バレエダンサーとして早くから将来が保証されていたものの、膝に問題があったため諦めざるを得なかった彼女は他の野望を追った。彼女は13歳の頃から航海を楽しみはじめ、高い海の波へと向かっていったのだ。「ティーンとして過ごした大部分の間、私はキャプテンになってそれから永遠に航海するんだと思っていたわ。」と彼女は笑顔で言う。「私にはたくさん夢があったの。」16歳の頃、彼女は132フィート(約40m)の大型船で働いており、素晴らしい銃の的中率を持っていた彼女はトップ・ショット賞を受賞した。彼女の評判はとても良かったため、海軍が彼女をスナイパーとして訓練させようと考えたほどだった。「私はすごくばかでかい大砲を取り扱ってきたわ。」と彼女はいう。「すごく楽しかったの。まるでビデオゲームみたいだった。でもいつか彼らが私に銃を本物の人に向かって実際に使わせる状況になるだろうなと考えたときに、私にはできないからやめないといけないと思ったの。」
それは、とりわけ荒れ狂った海の旅の途中だった。カイザの音楽への情熱が人生の中で芽生えてきたのだ。「人々は自分たちの楽器をボートに持ちよっていた。」カイザは思い出す。「一人はドラム、ある人はギター、キーボード。毎晩私たちは集まってジャム・セッションをしていたわ。」ある夜、ひどい嵐の中、棚からポットなどが落ちていくなか、軍の長が、船員達が不安で眠れずにいるところにやってきた。「彼はそこでただギターを弾き始め、ララバイを歌い始めた。そうしたら、ひとりずつ眠っていったの。」カイザは思い出しながらそういう。「そのとき、音楽の力の素晴らしさに気付いたわ。」
カイザ自身の初めての歌は、ララバイよりも少しフォークっぽいエッジが効いたものだった。何曲かデモを友達と一緒に録音した後、彼女はCDを音楽学校へ提出することに決めた。それをポストに投函し、彼女はハワイへの航海に旅立った。彼女が目的地に着いた頃、彼女の母親が電話をしてきた。セルカーク大学からの手紙が届き、カイザの入学を面接やオーディションなしで受け入れるというものだった。カイザは海にお別れを言い、セルカークで一年過ごした後、ボストンにある名門バークレー音楽院への奨学金を得た。彼女の作曲能力はどんどん発達し、ポップ音楽をやっていきたいと気付いた。
「多くの人がこういうだろうと思う、“うーん、これは音楽ですらない、こんなの誰でもできる”とか。」
カイザはいう。「そして私は考え始めたの、もしそんなに簡単なことなら、なぜもっと多くの人がやらないの?そして私がやろうとしている音楽は、実際は一番作るのが難しいタイプよ。そのシンプルさはその曲自体のアートなのよ。」カイザと親しかったある教授は、カイザは珍しい能力を持っていると知っていたので、ニューヨークで自身の音楽活動を始めたラミ・サミール・アフニという最近の卒業生と連絡を取らせた。「ラミと私は作曲を初めてすぐ、素晴らしいケミストリーを感じたわ。」とカイザは説明する。「私たちはポップ音楽の実験をしていたの。彼は私に作曲に関して完全に新たな視野を与えてくれた。」それは今日まで続く実験であり、ラミとカイザのコラボレーションが彼女のデビュー・アルバムを作り上げる上での支えとなった。
「ラミと私がディープなハウス音楽に進んでいったとき、私はこのスタイルで歌うようになった。ただ私の中から自然と出てきた感じで。」カイザは今、そういう。「本当にただ上手くいっただけ。なんの努力もいらなかった。」
冒険的で熱中しやすい性格のカイザは、ニューヨークに着いたとき、すぐに街のナイト・ライフにはまっていった。ダンサーの友達と遊び、伝説のBody&Soulで夜を過ごしにパーティに向かったりした。「私たちはダンス仲間と外に出かけたんだけど、みんなお酒を飲まなくて、ダンス以外のことはまったく何もしてなかった。彼らはダンスが大好きだったの。私たちはそのダンスを見たり、バトルを見たりしてた。夜8時にダンスをし始めて、朝の4時まで踊ってたわ。」この生活が自然とカイザの音楽性に表れ、今も発展を続けている。
2014年、彼女は「Hideaway」というデビュー・シングルを発売した。信じられないことに、この歌はたった一時間あまりで作曲され、レコーディングされたというのだ。「ラミはスタジオでビートを作っていて、私は飛行機に乗るまで2時間しか残されていなかった。」カイザは笑っていった。「彼はこういったわ、“なぜブースに入って何が起こるか試してみないんだ?”って。そしてすべてが起きたの。気づいたら私たちは一曲全部を一時間半で終わらせてたの。それは起きるべき出来事だったみたいにね。」この歌の特徴的なビデオはブルックリンの道で撮影され、カイザの注目を集めるダンスの動きが映されている。「私は90年代のクラシックなストリートダンスの動きを思い起こしたかったの。そこによりモダンな動きを取り入れた。」その結果は素晴らしいものとなったが、たったワン・テイクで撮影されたビデオなのだ。カイザの音楽のように、そのビデオはどこか昔のものと新しいものをミックスさせて、スタイリッシュでハイブリッドなポップ・ムーヴメントを起こすために作られたのだ。
2014年1月、ラミのLocal Legend レーベルから「Hideaway」がリリースされることとなり、カイザはロンドンへと引っ越した。「私はここで自分の音楽を発表している、ここの音楽が大好き、だから私は頭の中に思い浮かんだ以上のことをしたい。自分の音楽を買ってまた消えるようなことにはなりたくない。私はもっと没頭したいから。」
普通じゃないぐらい明確なヴィジョンと圧倒的な才能によってしか満たされない特別な野望を持ったアーティストであるカイザ。この航海の女王であった彼女は、ポップの震源地に向かってどのコースをとるか構想を練っているところだ。2014年、彼女の旅はまだ始まったばかりだ。誰でも船に乗るのはウェルカムだ。