ベースの巨匠、デイヴ・ホランドとの初のデュオ・アルバムをECMからリリース!
半世紀以上にわたるキャリアを持ち、マイルス・デイヴィスやジョー・ヘンダーソンといったモダン・ジャズの巨匠たちとの共演のみならず、フュージョン、ロック、ジャム・バンド、カントリーフィールドなど八面六臂の活躍をみせる名ギタリスト、ジョン・スコフィールドが、ハービー・ハンコックやジョー・ヘンダーソンとの活動、ジョー・ロヴァーノとアル・フォスターを招いた熱気あふれる共同バンド「ScoLoHoFo」など、様々な形で共演してきたベースの巨匠デイヴ・ホランドと初のデュオ・アルバム『メモリーズ・オブ・ホーム』をECMからリリースすることが発表された。

ジョン・スコフィールド&デイヴ・ホランド
『メモリーズ・オブ・ホーム』
John Scofield & Dave Holland / Memories of Home
2025年11月21日(金)リリース
SHMCD:UCCE-1219 税込¥3080
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1. アイコンズ・アット・ザ・フェア / Icons At The Fair
2. メント・トゥ・ビー / Meant To Be
3. マイン・アー・ブルース / Mine Are Blues
4. メモレット / Memorette
5. ミスター B (レイ・ブラウンに捧ぐ) / Mr. B (Dedicated to Ray Brown
6. ノット・フォ・ナッシン / (Not For Nothin’
7. イージー・フォー・ユー / Easy For You
8. ユー・アイ・ラヴ / You I Love
9. メモリーズ・オブ・ホーム / Memories Of Home
〈パーソネル〉
ジョン・スコフィールド(g) デイヴ・ホランド(double-b)
2024年8月 ニューヨーク州キャッツキル、NRSスタジオにて録音
「正直なところ、いつ、どうやってデュオを組む話になったのか覚えていない。かなり昔のことだ。2020年にパンデミックで中止になったツアーも予定していた。2021年末に実現し、うまくいった。2024年に二度目のツアーを行い、録音するという考えは自然な流れだった。このレコードは、私たちのライヴショーと同様に、それぞれが作曲した楽曲をフィーチャーしている。新しいものもあれば古いものもある。私たちは音楽的に何十年もの共通の参照点を共有している。私たちのアプローチの類似点と相違点が、より興味深いコラボレーションを生み出していると思う」- ジョン・スコフィールド
そうした共通の音楽的参照点の中で、マイルス・デイヴィスの存在は大きい。スコフィールドにとって1982年から1985年にかけてのマイルスとの共演は、1968年から1970年にかけてのホランドとデイヴィスの共演と同様、決定的に重要なものだった。
マイルスは、スコフィールド作曲「Icons at the Fair」で彷彿される“アイコン”の一人であり、この曲は本作の冒頭を飾っている。この曲は、ハービー・ハンコックが『ザ・ニュー・スタンダード』でアレンジした「Scarborough Fair」に触発されたも。『ザ・ニュー・スダンダード』にはジョンとデイヴの両方が参加しており、スコフィールドはそのコードを借りて、マイルスのトランペットのフレーズを彷彿とさせるメロディでまったく新しいものを構築した。この曲は、スコフィールドが彼のコンボ66カルテットで発表したものであるが、デュオ・ヴァージョンは、それ独自のダイナミックな推進力を持っている。
ホランドの「Mr. B」は、彼の最初のベース・ヒーローであるレイ・ブラウンへのトリビュート曲で、ホランドは1997年の『ポイント・オブ・ヴュー』で既に録音している。ブルースの感覚としなやかなスウィング感は、スコフィールドのギター芸術に理想的に適合し、ホランドのベースソロは、この曲の献呈先であるブラウンの演奏に宿っていた喜びの一端を伝えている。「Not for Nothin’」と「You I Love」もまた、ホランドの初期ECM録音で初披露された楽曲をアップデートしたものだ。前者はデイヴの2001年クインテット・アルバムのタイトル曲、後者は1984年『Jumpin’ In』で初披露されたもので、実質的にホランドのバンドリーダーとしての活動の始まりを告げる作品である。
タイトル曲「Memories of Home」は、1980年代にプログレッシブ・ブルーグラス奏者ヴァッサー・クレメンツとジョン・ハートフォードとの共演で初めて録音されたホランドの楽曲を再解釈したもの。この曲の穏やかな旋律は、スコフィールドの演奏に潜むカントリー的な側面を引き出している。
ジャズ楽器奏者の中でも最も即座に識別可能な存在であるスコフィールドとホランドは、常に伝統を超えた影響を受け入れる姿勢を示してきた。
「Meant to Be」はスコフィールドの代表曲であり、トリオ編成からマイク・ギブスのビッグバンドに至るまで様々な編成で演奏してきた。もう一つの有名な曲である切ないバラード「Easy for You」では二人の繊細で控えめな演奏が引き出され、一方「Mine Are Blues」の角張ったメロディは、ホランドの力強いベースによって勢いづけられている。
時代は違えど、マイルス・デイヴィスという共通の“ホーム”を持つ巨匠2人による初のデュオ作品は今秋のジャズの注目新譜といえそうだ。