100% Pure LP 100% Pure LP

山中千尋『サムシン・ブルー』2014.08.06発売決定! >>詳細へ

100% Pure LP

■100PURE LPの推薦コメントが届きました!

 

小原由夫

 レコードの高音質化のアプローチは、素材、製法の追求だ。重量盤やヴァージン・ヴィニール等の採用は、そうした一環といえる。
 通常のレコード製造手順は、大量生産が必然だった時代に考えられたもので、趣味性が高まった今日のアナログには、むしろ無駄が多いともいえる。それを省いたのが100% Pure LPだ。メタルマザーとスタンパー製作の2工程を省き、メタルマスターからレコードを直接プレスするこの製造は、音溝をより正確に成形するためのアプローチでもある。その代わり、ナマモノに等しいメタルマザーの品質管理が難しく、プレス枚数は自ずと限られる。
 一方、ヴァージン・ヴィニールの採用は、混じりっ気のない高純度素材という点のアピール。しかし、これまでのそれは、すべて"黒"であった。今回のような透明(若干黄みがかっている)は、高音質仕様では初めてであろう。レコードの成分は、塩化ヴィニール、酢酸ヴィニール、安定剤等の添加材で、特にカーボン類を使って黒くする理由は、リサイクル性を鑑みてのこと。従って、再利用を考慮しなければ、敢えて黒くする必要はない。今回の透明盤は、より理想的な材料の追求から、成分を特別に配合したものだ。傷やホコリがわかりにくいというデメリットはあるが、開発担当は音質を優先したと胸を張る。蛇足ながら、今回は帯電防止剤等も一切使われておらず、通常のレコード製造で加えられる科学的な添加材は必要最小限に止められている。取り扱いにはそれなりの慎重さが要求されることだろう。
 記者発表では、オリジナル盤との音質比較をした。音圧感はほぼ肩を並べ、S/N(傷等のコンディションによる瑕疵を含め)は100% Pure LPが勝るので、ローレベルの情報のニュアンス再現に優れており、結果的に聴感上のダイナミックレンジが広く聴こえた。また、線速度の優位性から音溝を極力外周寄りにカッティングしたことも奏功していると思われる。
 オリジナル盤探求には、一種のロマンがあることは私も十分承知している。しかし、こと音質面に着目すれば、大枚はたいてオリジナル盤に執着することも、もうなかろう。

成田 正 

 今になってアナログ・レコードの試聴会がメーカー主導で行なわれるとは思いもよらなかったが、ここまでアナログを追い込めば、誰だって大騒ぎしたくもなる。色々ある新味のトップ賞は、僕には「DSDダイレクト・トランスファー・カッティング」。
 この勇気あふれる手立てが、美音の鍵を握っていると聴けた。このことで二の足を踏む人が出てきそうな代わりに、そこ狙いで手を伸ばす人もいていい。なにしろ、DSDはSA-CDかファイル再生で聴くもの。どこか逆転の発想にも映るその効能がどう出るかと。結果は、出るべきところを滑らかに引き出し、ためらいがちな奥隅にナチュラルな光を当てた。もちろんはこれは、いくつものトピックが合唱したためだが、ただ、オリジナルのアナログ・マスターを拝んでばかりいては、絶対にこうはいかなかったろう。オリジナル盤との比較試聴では、こちらの方がとにかくフレッシュで快活。これぞまさに、「進化した新種」と呼ぶのがふさわしい。
 

大鷹俊一

 レコード盤じゃなきゃ絶対にダメ! 
とまで言う気はない。片面20数分の収録時間、残り半分を聴きたきゃひっくり返さなきゃならないし、針圧だ、ホコリだと神経を使うばかり。改めて言うのもナンですが、電車で聴くなんてこともできゃしない。それでもあの音に触れたら、やっぱり口を付いて出るのは"レコードっていいよな"だ。
 高音質CDやハイレゾでどんどん音質や質感が向上していることは十分承知だし、日々、その恩恵にも預かっているわけだが、それでも体内の遺伝子レベルにまで組み込まれた"アナログ愛""レコード愛"が薄れることはない。
 一つ以前から思っていることは、ハードはその音が録られた時代のものに沿うのが基本的には一番良いのではということだ。ミキシング・コンソールを始めとしたさまざまなアナログ機材を駆使して録られた音楽は、それが聴かれていた環境や状況を想定した機器で聴いた方が本来狙っていた音が鳴る気がする。ラジオやジュークボックス、小さな再生装置が主流だった時代のモノラル・ミックスがとても新鮮に響き、人気を集めたりするのもそんなことに通じるのではと思う。
 この"100% Pure LP"の音を聴いたときにまず浮かんだのは、その音が録られたときにふさわしい音で鳴らしたいというコンセプトだ。数々の名盤が録られていた時代のフォーマットであったレコード盤を、想定しうる最上の形にしてスタジオの音を再現したい。そんな姿勢が伝わってくる。180グラムの重量盤が音に与える効果は、マニアの方にはすでに充分に認識されているが、新配合の無着色ヴァージン・ヴィニール、メタルマスター・プレス、ダイレクト・トランスファー・カッティング等々といったそれ以外の部分の効果に対しても大いに期待したい。
 あくまでもレコード盤にこだわった新しい試み。この古くて新しい音の旅に早く出たい。

 

田中伊佐資

 一昨年に登場したSA-CD~SHM仕様~は音がすごいぞということがわかって、ではアナログのオリジナル盤とどっちに軍配が上がるのだろうと、同じ土俵に上がりようがないものを無理に上げて聴き比べたことがよくあった。大ざっぱに言って、細かい情報がより赤裸々に噴出するのがSA-CD~SHM仕様~、アナログ独特ともいえるしなやかさと深みを持ち合わせているのがオリジナル盤というような印象がある。
 となるとSA-CD~SHM仕様~の音源でアナログ盤を作ったらどえらいことになっちゃうかもと思っていたら、そういう要望がリスナーから少なからずあったようで、こうして実現の運びとなった。しかもSHM-CDから始まった「盤の素材を徹底的に洗い直せプロジェクト」は健在で、その信念が今回も貫かれている。レコード史上画期的ともいえる「無着色ヴァージン・ヴィニール」を採用したことは別項にある通りだが、さらに「メタルマスターからのダイレクト・プレス」と製造過程にまでも鋭く切り込んでいることがまったくもって素晴らしい。まさにこれは音源に対する、鬼に金棒状態というか、その鬼に巨大の翼が生えたぐらいの最強ぶりを示しているといえないか。
 実際のところ、ローリング・ストーンズとビル・エヴァンスのテスト・プレス盤を自宅で試聴する機会があって、僕は少なからずその音にのけぞった。こちらの胸元へぐっと懐剣を突きつけてくるような勢いがあり、聴こえなかった微細な音(実際は、耳に訴えてこなかった音)にあふれている。メンバーの位置関係を感じさせる立体的な空間もある。実は「ライバルはミント・コンディションのオリジナル」という商品の説明書きに「これまた大きく出たな」と微妙な気分でいたのだが、確かにと大きくうなずかざるをえなかった。
 ともあれ発表されているタイトルに加えて、あれやこれや欲しい盤がぎょうさんあるので、このシリーズが末長く続いて欲しいと強く思う。これは期待とか希望というレベルではなく、渇望に近い感情だ

 


武田昭彦

 1980年代後半から、高品位ヴァイナルは一流のカッティング・エンジニアが最良のマスターテープを基にラッカー盤を起こし、重量盤でリリースするのが定番になった。「100% Pure LP」はSACD~SHM仕様~のDSDマスターを転用し、音質面の配慮によりメタルマスターから新配合無着色によるヴァージン・ヴィニールにプレスされる。
 レコードプレーヤーをしっかりと調整し、針先をキレイにクリーングした状態でアナログ・ディスクを介して音楽に接するときほど、胸の高鳴りを感じることはない。繰り返し耳にしてきたはずの名盤の数々に違った光が当てられることで、これまでは聞こえにくく、伝わりづらかった魅力がおのずと引き出される。カートリッジを付け替える度、自分好みの音が得られるのもアナログ・ディスクならではの醍醐味だろう。
 欧米において新譜LPにはフィジカルのCDやデジタルファイルのフリー・ダウンロード・コードが付属する今日、100% Pure LPシリーズはLP復刻の在り方に一石を投じる。
 今回のニッチな試みがインディペンデントな復刻専門レーベルの企画ではなく、ユニバーサル ミュージックというメジャーが取り組んでいるところに大きな意義があると強く感じる。今日、アーカイヴ面でも再評価の高まるDSDの持ち味をこれほどストレートに感じさせてくれる復刻シリーズは他にない。100% Pure LPの可能性は計り知れず、将来的には45回転や78回転仕様のヴァリエーションもアリだと思わせる。ヴァイナル・ジャンキーズにとって、何よりディスクの選択肢が増えることは歓迎すべきことだ。
 A面・B面に刻まれた計40分前後のストーリーに向き合う有意義な一時を、思う存分味わいたい。100% Pure LPは音楽の充実した追体験を約束してくれる注目のシリーズだ。

 


宮子和眞

  新録音の作品でも今だに、アナログが出るものはアナログで買うことが多い。CDより値段が高い場合がほとんどだが、それでもアナログを買ってしまう。
なぜなら、やっぱり違うから。CDなどのデジタル・ディスクとアナログ盤とでは、音の聞こえ方がだいぶ違う。アナログだと、そのアルバムが録られたスタジオの空気感まで伝わってくるような感じだろうか。ライヴ録音のアルバムなら、そのライヴが行なわれた会場の大きさまでが伝わってくるような感覚がある。オール・デジタルで制作されたはずのアルバムでも、アナログだとグッとふくよかな音楽に感じられる。1枚を聴き通した時の満足感が、CDとはまるで違うのだ。
そんな僕のようなアナログ愛好家にとって、<100% Pure LP>はまさに待望のシリーズとなるに違いない。SHM-CDや、あるいはSACD~SHM仕様のリリースを通じて、日本のユニバーサル ミュージックは"限りなくマスター・テープに近い音質でのリイシュー"を実現してきた。マスターからのフラット・トランスファーを徹底し、その音楽が本来あるべき姿で響くような方策が追及されてきた。そのノウハウがアナログ盤に向けて活かされているのだから、これは頼もしい。
先に行なわれた関係者向けの試聴会で驚かされたのは、同じ行程で制作された黒盤と半透明盤でも、音の質感がかなり違っていることだった。今回の製品になる半透明盤は、黒盤よりも遥かにオリジナル・プレスに近い音が描かれている。ライバルはオリジナル・プレスのミント・コンディション、という触れ込みは伊達ではない。
このリリースをきっかけに、またさらなる夢も膨らんでいる。45回転2枚組3枚組の超オーディオファイル盤が出されたら、とか。あるいは、日本の他社からのアナログ・リリースも活発になってくれたら、とか。<100% Pure LP>は、音楽を聴くという行為そのものにまたロマンを取り戻すような、きっとそんなシリーズになるはずだ。