BIOGRAPHY

90年代の初め、活気づくブラック・メタル・シーンに登場したイーサーンは、同時代の他のどのアーティストも及ばない、予測不能の異端者という揺るぎない地位を確立した。伝説的バンド=エンペラー(Emperor)のフロントマンおよびメインの作曲者として、立て続けにリリースしたアルバムによって勇壮なエクストリームミュージックの既存のルールを書き換えたことから、これらのアルバムは現在でも歴史的名作と広く認識されている。ジャンルを定義づけるほどの権威をまとった1994年の『In The Nightside Eclipse』から、2001年の激しく進歩的な力作『Prometheus: The Discipline Of Fire & Demise』に至るまで、イーサーンが貫いた独自の手法と何にも束縛されない音楽的精神を知っていたファンは、彼が2006年の『The Adversary』でソロ活動に乗り出したときにも、期待以上のものが生まれることを期待していいはずだとよく理解していた。

デビュー作の登場で衝撃を与えて以来、イーサーンはひるむことなく前進を続け、その間、革新的なソロ・アルバムを相次いでリリースしながら途方もない作品群を生み出した。絶えず発展を続ける彼のサウンドに欠くことのできない部分には、エクストリーム・メタルという強固な基礎が深く根付いている。しかし、2010年の『After』のサックスで満たされた哀愁の音から2013年の『Das Seelenbrechen』の前衛的な甲高い音、そして装飾された二重性を駆使しながら、苦難の末に生まれた苛烈な『Arktis』(2016年)や冷淡な閉塞感を与える『Ámr』(2018年)を創作するまでのイーサーンの音楽の旅は、執拗に聴き手を魅了し、時に啓示をもたらしてきた。

2019年、イーサーンは、なおも新たな方向転換をして馴染みのない領域に踏み出そうとしている。2020年にリリースされる5曲収録のEP2作のうち、最初の作品『Telemark』の発想の源となり、なおかつ作品を捧げる対象となっているのは、彼の故郷ノルウェーのテレマルク県である。