「Éclore Tour 2026」最終東京公演、大盛況!! オフィシャルライブレポート到着!
今年3月に発売したニューアルバム『Éclore』を引っ提げて、6月から横浜ベイホールを皮切りに、全国16都市で開催した全国ワンマンツアー「Éclore Tour 2026」。GLIM SPANKYは8月27日に東京・LINE CUBE SHIBUYAにて最終公演を迎え、そのオフィシャルライブレポートが到着した。
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GLIM SPANKYが通算8枚目となるアルバム『Éclore』を引っ提げて全国16箇所を回るツアー、『GLIM SPANKY Éclore Tour 2026』。そのファイナルが、8月27日(木)にLINE CUBE SHIBUYAにて開催された。
『Éclore』はフランス語で「孵化する」「花が開く」「才能が生まれる」といった意味を持つ。 作品のテーマは新しい自分になること、何かから抜け出すこと、回復すること。 では、何が新しいのか。
あらためて過去のアルバムを振り返ってみると、2015年にリリースされた1stアルバム『SUNRISE JOURNEY』~2018年の4thアルバム『LOOKING FOR THE MAGIC』までは、60年代~70年代のブルースロックやサイケデリックロックやフォーク、その系譜に連なるオルタナティブロックといったルーツと向き合い、ロックバンド然とした魅力を拡張していった時期だった。
そこから2020年の『Walking On Fire』~2023年の『The Goldmine』ではネクストフェーズを示した。職業作家的なポップスの歴史や、1990年代以降のソウル/R&Bなど、新たな音楽性に目を向ける。そこにはシームレスにやれた感覚もあれば、明らかに枠の外に手を伸ばしたチャレンジもあっただろう。
そして、オリジナルフルアルバムとしては3年ぶりにリリースされた『Éclore』からうかがえたのは確かな自信。ここまでに獲得してきた“らしさ”に対する気負いはなく、実に自然体。多彩な曲が当然のように散りばめられ、プラスアルファの要素もすんなり入ってくる。この作品の新しさとは、音楽的な方向性の開拓というより、バンドとしての表現力のアップデートや、それぞれの音色のおもしろさにあるのではないか。方向性に対する自信があるから、個のポテンシャルを大きく引き出すことに注力できた作品だと感じた。
1曲目は「第六感」。ローの効いた壮大なイントロが鳴りメンバーが登場すると、場内に大歓声が湧く。大地そのもののようなヘビネスと四つ打ちの推進力が交差する、かどしゅんたろうのドラムからアンセミックなコーラスの流れで突き上がる無数の拳。亀本寛貴のギターソロはアーシーながらも抜けが良く、LINE CUBEというホールで浴びるとひとしおだ。「大天使」はGLIM SPANKYらしいファストなロックチューンのようで、ロックの8分とダンサブルな16分のあいだを縫うようなビート感が新鮮だ。そこから亀本の官能的なソロが響き、初期のブルースロックアンセム「ダミーロックとブルース」、GLIM SPANKYの名を広く世に知らしめた「怒りをくれよ」へ。松尾レミの歌が入らないところは観客の「オイ!」という掛け声で埋め尽くされ、序盤最大の盛り上がりをみせる。
MCを挟み空気を変えて、「こんな夜更けは」を披露。亀本がアコースティックギターでTLCの「No Scrubs」を思わせる、しっとりしたリフを弾く。90年代R&B的な跳ねたミドルテンポのビートと、音の隙間を舞うような松尾レミの歌声に酔いしれる。星空のような背景と静かに回るミラーボールの演出もムードがあってばっちりだ。続いてはさらにウェットな「麗らかな国」。パワフルなロックとは対極にあるドリーミーなアンサンブルと、松尾の歌う即興的でレイドバックしたフロウのマッチングが心地好い。「わたしはあなた」は中込陽大の鍵盤と松尾のボーカルを中心に据えたバラード。松尾の美しい所作もあわせて、曲を演じているよう。スムースなR&Bフィーリングとノスタルジックなポップスが重なり合うような「あたらしい物語」もまた、松尾の声の新たな可能性が広がっていく曲だ。
歌にフォーカスした流れを終え、「次のセクションはめちゃめちゃギターの……」と松尾。「え?僕?」と食い気味に入る亀本。「我々、ロックバンドなんで。ここからはロックソングで盛り上がっていこうと思うんですけど、どうでしょうか!」と話を続けると、観客からは大きなレスポンスが。暗いステージに光る赤い照明とともに、呪術的な亀本のギターソロが響き「愚か者たち」へ。さきほどの柔らかなパフォーマンスから一転、遠くからでも松尾の鋭い眼光が見えるようなエッジーなボーカルパフォーマンスにゾクゾクする。そして『Éclore』から、‟ザ・GLIM SPANKY”と言っていい、重心の低いリフとビートと条件反射的に拳が上がり叫びたくなるコーラスで持っていく「衝動」は、早くもライブにおける王者的な位置に君臨。ブレイクビートとバチバチの照明が相俟って、一瞬The Prodigyのライブかどこかのダンスミュージックフェスティバルにいるような感覚に陥ったと思ったらロックの世界に引き戻されたのは「Fighter」。そこから栗原大のファンキーなベースと亀本のコードカッティングが冴えるディスコでロックな「FLY HIGH」と、ダンサブルな曲が続き、アッパーなロックの真ん中を射抜く「カメラ アイロニー」へ。宣言通りのフィジカルな盛り上がりを煽った。
松尾いわくリクエストも多く今回のセットリストに入れたという「美しい棘」は、フォーキーな調べとエモーショナルな力強さを併せ持つバラード。そして「若葉の時」でさらに田園フォークの深みへと誘う。続いては「春色ベイビーブルー」。ある程度バンドのコンセプトが固まるデビュー前かと思うくらいのフレッシュなギターロックを、現在地のスキルを持って鳴らしているような曲。ロックの歴史という相対ではなくもっとパーソナルなルーツ・オブ・ルーツを感じる。フロアに向かって手を振ったりピースしたり。パフォーマンスもMCも、いつだってオープンマインドな松尾だが、こんなにも無邪気な、まるで少女のような姿は初めて見たかもしれない。
「見せたいものがある」とステージを捌ける松尾。間を持たせることに困る亀本。「ギターソロ!」という観客のリクエストに軽く応えていると、松尾が『Éclore』のジャケットで使用していた羽をつけて再登場する。アルバムタイトルはフランス語で孵化という意味であることを話したあと、20年前のタイムカプセルに入れていた自分への手紙が実家から届き、そこには「お前は今の人生に満足しているか」と書かれていたと続ける。それに対して「いい意味で満足していない」と話す松尾。それは「いつでも殻を破っていきたいから」だと語る。そして、そう思える自分自身に刺激を与えてくれる人へのリスペクトと、殻を破りたい人のお守りになったらという願いを述べ、最後の曲「エクロール」を披露。そのメッセージが場内に響き、どこまでも続いていきそうな長い拍手は、そのままアンコールを求める手拍子へと変わる。
アンコールは荒井由実(現:松任谷由実)のカバー「ひこうき雲」から。メンバー紹介では、GLIM SPANKYを長年支えてきたサポートベーシスト、栗原がLINE CUBEの裏にある神南小学校に通っていたと話すと、湧きに湧く場内。それもそのはず。筆者もメジャーデビュー期からずっと彼らのライブを観てきたが、栗原が話した場面に立ち会えたのは2回目。もしかしたらその2回がすべてかもしれない(笑)。そんな栗原のソロ、かどの乱れ打ち、中込のトラディショナルなR&Bのシンボル、ハモンドオルガンの音色を出すキーボードも炸裂し、ロックンロール大団円。そしてライブでは欠かさず演奏し続けている「大人になったら」を最後の最後で披露。松尾の、どこまで高音を張って伸ばしても、決してかすれずに通り続けるハスキーボイスは、この日集まった人々の明るい未来を指すようだった。
Text by TAISHI IWAMI
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<セットリスト>
2026/08/27 LINE CUBE SHIBUYA
「Éclore Tour 2026」
https://glimspanky.lnk.to/ecloretour2026WE
01.第六感
02.大天使
03.ダミーロックとブルース
04.怒りをくれよ
05.こんな夜更けは
06.麗らかな国
07.わたしはあなた
08.あたらしい物語
09.愚か者たち
10.衝動
11.Fighter
12.FLY HIGH
13.カメラ アイロニー
14.美しい棘
15.若葉の時
16.春色ベイビーブルー
17.エクロール
<アンコール>
01.ひこうき雲(cover)
02.Flower Song
03.大人になったら










「Éclore Tour 2026」ライブ写真 ※8月27日(木)東京・LINE CUBE SHIBUYA