『ワン・サイズ・フィッツ・オール』4CD+ブルーレイ、9/26発売!

2025.08.08 TOPICS


フランク・ザッパ&ザ・マザーズ・オブ・インヴェンション
『ワン・サイズ・フィッツ・オール』
50周年記念4CD+ブルーレイ・デラックス・エディション

Frank Zappa & The Mothers Of Invasion
One Size Fits All : 50th Anniversary (4CD+Blu-ray)

 
発売日:9月26日


プレスリリース訳はこちら >>

マザーズの名を冠した最後のアルバムであり、ザッパのキャリアの転機となった傑作の50周年を記念して作られた豪華ボックス・セット、9/26発売!
全58トラックの約3/4が未発表トラック。
4CD+ブルーレイ、52ページの英文ブックレットと日本版ブックレットで構成。

『ワン・サイズ・フィッツ・オール』を聴いてまず最初に頭に浮かぶのは、音響面でのインパクトだ。個人的には、これはフランク・ザッパの全作品の中で2番目に音がいいアルバムだと思っている(なお一等賞は『Joe’s Garage(ジョーのガレージ)』に授与したい)。このアルバムでは、ステレオ・ミックスの音をできる限り素晴らしく仕上げることに時間が費やされた。時が経つにつれ、『ワン・サイズ・フィッツ・オール』は1975年当時の不遇な立場から抜け出て、今やザッパが遺した作品カタログの中で頂点の一つとみなされている。
- ジョー・トラヴァース(ザッパ家のテープ倉庫管理人)

DISC 1 & 2(CD):フランク・ザッパ(ギター/ヴォーカル)、ジョージ・デューク(キーボード/ヴォーカル)、ナポレオン・マーフィー・ブロック(サックス/フルート/ヴォーカル)、ルース・アンダーウッド(パーカッション)、トム・ファウラー(ベース)、チェスター・トンプソン(ドラム)の6人から成る”黄金期”のメンバーを中心に制作された1975年の傑作『ワン・サイズ・フィッツ・オール(万物同サイズの法則)』の本編に、収録曲の初期ヴァージョンやアウトテイクなど、作品の完成に至るまでの過程を辿ることのできるレア音源の数々を併録。

DISC 3 & 4(CD):ザッパ史上最強の呼び声も高い6人編成の名バンドが、アルバム制作開始前の1974年9月28日にオランダのロッテルダムで行ったライヴの全編を完全収録。その演奏の質の高さについてはテープ倉庫管理人のトラヴァースも”伝説に残るような内容”と評している通りだ。さらにボーナスとして9月25日にスウェーデンのヨーテボリで行われたライヴより、当時演奏されることが珍しかったアルバムの関連楽曲2トラックを併録。

DISC 5(ブルーレイ):『ワン・サイズ・フィッツ・オール』本編を、ドルビーアトモスと5.1chサラウンド(エリック・ゴーベルとカーマ・オーガーがスタジオ1LAで製作した最新ミックス)、192kHz/24-bitおよび96kHz/24-bitのハイレゾ・ステレオの各種ミックスで収録。さらに、ザッパ本人が手がけた一部楽曲の特別なサラウンド・ミックスや、1974年8月27日にテレビ特番向けに撮影された映像より「インカ・ローズ(インカの道)」と「フロレンティン・ポーゲン」の再編集ヴァージョンも併録。

英文ブックレット:ジョー・トラヴァース、米国を代表する音楽ライターのデヴィッド・フリック、この『ワン・サイズ・フィッツ・オール』をはじめ70年代のザッパ作品に多大な貢献をしたルース・アンダーウッドの3名による詳細なライナー・ノーツ等々を掲載。

 
【発売詳細】

フランク・ザッパ&ザ・マザーズ・オブ・インヴェンション
『ワン・サイズ・フィッツ・オール』
50周年記念4CD+ブルーレイ・デラックス・エディション

UICY-80655
価格:16,500円(税込)
生産限定
<日本盤のみ>
日本盤のみ英文ライナーの完訳/歌詞・対訳付
日本語字幕付(ブルーレイ:ボーナス・ビデオ)
SHM-CD仕様

[曲目リスト]

DISC 1
▼ ワン・サイズ・フィッツ・オール(万物同サイズの法則)〜ジ・アルバム
1. インカ・ローズ(インカの道)
2. キャント・アフォード・ノー・シューズ(靴を買うお金がない)
3. ソファ No.1(長椅子 その1)
4. ポ・ジャマ・ピープル
5. フロレンティン・ポーゲン
6. エヴェリン、ア・モディファイド・ドッグ(変更された犬のエヴリン)
7. サン・バルディーノ
8. アンディ
9. ソファ No.2(長椅子 その2)
▼ アディショナル・サイゼズ:セッション・アウトテイクス&ヴォルト・オディティーズ
10. インカ・ローズ(インカの道)[ラフ・ミックス]
11. ラルフ・スタッフス・ヒズ・シューズ(”トークン” アウトテイク)
12. ラルフ・スタッフス・ヒズ・シューズ(ベーシック・トラックス/テイク5)
13. ラルフ・スタッフス・ヒズ・シューズ(インストゥルメンタル・ミックス/マスター・テイク)
14. キャント・アフォード・ノー・シューズ(靴を買うお金がない)[ラフ・ミックス]
15. ソファ No.1(長椅子 その1)[ベーシック・トラックス/テイク6]
16. ソファ No.1(長椅子 その1)[マスター・テイク/アーリー・ミックス]

DISC 2
▼ セッション・アウトテイクス&ヴォルト・オディティーズ(コンティニュード)
1. ポ・ジャマ・ピープル(オールド・ミックス)
2. フロレンティン・ポーゲン(ラフ・ミックス)
3. フロレンティン・ポーゲン(オルタネイト・ソロ)
4. エヴェリン、ア・モディファイド・ドッグ(変更された犬のエヴリン)[セッション・アウトテイクス]
5. ビッチ、ビッチ、ビッチ(イン・リハーサル)
6. ビッチ、ビッチ、ビッチ(ベーシック・トラックス/テイク1)
7. サン・バルディーノ(ラフ・ミックス I)
8. サン・バルディーノ(ラフ・ミックス II)
9. サン・バルディーノ(ラフ・ミックス III)
10. サムシング/エニシング(ラフ・ミックス)
11. アンディ(ラフ・ミックス)
12. ソファ No.2(長椅子 その2)[ラフ・ミックス]

DISC 3
▼ オランダ、ロッテルダム(1974年9月28日)
1. トゥッシュ・トゥッシュ・トゥッシュ(ア・トークン・オブ・マイ・エクストリーム)
2. スティンク・フット(くさい足)
3. インカ・ローズ(インカの道)
4. アプロキシメイト
5. コズミック・デブリー
6. フロレンティン・ポーゲン
7. モンタナ
8. RDNZL(リダンズル)

DISC 4
▼ オランダ、ロッテルダム(コンティニュード)
1. デュプリーズ・パラダイス・イントロ
2. ブラインド・マイス・ブルース
3. デュプリーズ・パラダイス(パート1)
4. デュプリーズ・パラダイス(パート2)
5. ピグミー・トワイライト
6. ルーム・サーヴィス
7. トゥッシュ・トゥッシュ・トゥッシュ(エンド・ヴァンプ)
▼ ボーナス・コンサート・トラックス:スウェーデン、ヨーテボリ(1974年9月25日)
8. ラルフ・スタッフス・ヒズ・シューズ
9. ポ・ジャマ・ピープル

DISC 5(ブルーレイ・ディスク)
▼ ブルーレイ・オーディオ
1. インカ・ローズ(インカの道)
2. キャント・アフォード・ノー・シューズ(靴を買うお金がない)
3. ソファ No.1(長椅子 その1)
4. ポ・ジャマ・ピープル
5. フロレンティン・ポーゲン
6. エヴェリン、ア・モディファイド・ドッグ(変更された犬のエヴリン)
7. サン・バルディーノ
8. アンディ
9. ソファ No.2(長椅子 その2)
▼ ボーナス・オーディオ
1. ソファ No.1(長椅子 その1)[1975 クアッド・ミックス]
2. サン・バルディーノ(1993 6チャンネル・ミックス)
▼ ボーナス・ビデオ:KCET-TV(1974年8月27日)[2025エディット]
3. インカ・ローズ(インカの道)
4. フロレンティン・ポーゲン


<プレスリリース訳>

フランク・ザッパが新境地を切り開いた1975年作『One Size Fits All』の発表50年を記念し、新たにリマスターを施した拡張・新装版がリリース。ボックス・セット仕様のスーパー・デラックス・エディション、カラー・ヴァイナル仕様の1LP、ブラック・ヴァイナル仕様の2LPなど各種フォーマットで発売予定

- ザッパが高い創造性を保ち続けた70年代中期に発表した本作は、当初は不当に見過ごされてしまったものの、年々評価を高めている。そんな重要作に49トラックの未発表ライヴ音源やレアなスタジオ音源を追加した新たな拡張版が登場

- 5枚のディスク(4CD+ブルーレイ・オーディオ)に全58トラックを収めたスーパー・デラックス・エディションには、アルバムのアウトテイク、オルタネイト・エディット、2024年にミキシングされたトラック、未編集の秘蔵マスターのほか、オランダのロッテルダムで録音された未発表ライヴ音源を完全収録

- ブルーレイには、アルバム本編の新たなサラウンド・ミックスやドルビーアトモス・ミックスに加え、テープ倉庫から発掘された2つのサラウンド・トラックを併録

- 9月26日にザッパ・レコーズ/UMeより発売

- さらに、ザッパの設立した”ホンカー・ホーム・ビデオ”がオンラインのビデオ・レンタル・ストアとして復活!

“『One Size Fits All』を聴いてまず最初に頭に浮かぶのは、音響面でのインパクトだ。個人的には、これはフランク・ザッパの全作品の中で2番目に音がいいアルバムだと思っている(なお一等賞は『Joe’s Garage(ジョーのガレージ)』に授与したい)。このアルバムでは、ステレオ・ミックスの音をできる限り素晴らしく仕上げることに時間が費やされた。時が経つにつれ、『One Size Fits All』は1975年当時の不遇な立場から抜け出て、今やザッパが遺した作品カタログの中で頂点の一つとみなされている”
- ジョー・トラヴァース(ザッパ家のテープ倉庫管理人)

 ロサンゼルス - 2025年7月24日 - 結論から言えば、1975年もまた、フランク・ザッパのキャリアにおける重要な1年になった。とりわけ意義深い年になった1974年を終えても、巨匠が活動のペースを落とす様子はなかったのである(そもそも彼がそんなことをしたことはなかった)。1970年代も折り返し地点に差し掛かったそのころ、ザッパはセールス面で自身最大の成功を収めた1年を終えたところだった。1974年3月に彼がソロとしてリリースした人気作『Apostrophe (‘)』は、ザッパ史上初めて米国でゴールド・ディスクに認定。最終的にはビルボード200チャートで10位まで上昇した。また先見性に富み、いま聴いてもキャッチーな1曲「Don’t Eat The Yellow Snow(恐怖の黄色い雪)」もシングル・チャートで爪痕を残し、87位に食い込んだ。さらに9月、彼は2枚組の大ヴォリュームなライヴ・アルバム『Roxy & Elsewhere(10年目のマザーズ=ロキシー・ライヴ)』を発表。それだけでなくツアー活動や2度に亘るテレビ特番向けのパフォーマンス撮影も行われた1974年は、実に盛りだくさんの1年だった。だがザッパはひとときも時間を無駄にするまいと、同年のツアーが終わって2週間ほどしか経たないうちに、コロラド州ネダーランドのカリブー・スタジオにてレコーディングを設定。そこは極寒のロッキー山脈のど真ん中というロケーションだった。
 その結果、『Apostrophe (‘)』に続くスタジオ・アルバムとして完成したのが1975年発表の『One Size Fits All(万物同サイズの法則)』だった。宇宙船の着陸地について半ば修辞的に考察した「Inca Roads(インカの道)」、実験的な2つの”サイドテーブル”のようなインストゥルメンタルの「Sofa No. 1(長椅子 その1)」とドイツ語で歌われる「Sofa No. 2(長椅子 その2)」、耐え難い退屈を誘う人びとを簡潔に描写した「Po-Jama People」、社交界に出たばかりの少女を嘲笑うように描いた「Florentine Pogen」など印象深い楽曲の数々を含むこのアルバムは、伝説的なザッパのディスコグラフィーをいっそう充実させる1作となった。そしてこの『One Size Fits All』は、ザッパ史上屈指に強力で、音質が良く、冒険的なサウンドのアルバムと評価されるようになって久しい。
 『One Size Fits All』のリリース50年を適切な形で祝うため、5枚のディスク(4CD+ブルーレイ・オーディオ)に全58トラックを収めたスーパー・デラックス・エディションをはじめとする50周年記念の新装・拡張版が、このたびザッパ・レコーズ/UMeより各種フォーマットでリリースされる。豪華なボックス・セット仕様のスーパー・デラックス・エディションには、36ページのブックレットも付属。そこにはサム・エマーソンが撮影した秘蔵写真のほか、著名な音楽ジャーナリストのデヴィッド・フリック、ザッパ/マザーズを長きに亘り支えたルース・アンダーウッド、そしてお馴染みのテープ倉庫管理人であるジョー・トラヴァースの3人によるライナー・ノーツや、当時を振り返った書き下ろしのエッセイも掲載される。
 『One Size Fits All』は特別な2種類のアナログ・レコードでもリリース予定。1つは180グラムの”ブラック・グリッター・ヴァイナル”仕様の記念盤2LPだ。こちらには、新たにカッティングされたアルバム本編のほか、ボックス・セットから選り抜きのトラックを抜粋したボーナス・ディスクと50周年記念のブックレットが収められる。また、同じく180グラムの”ブルー・ギャラクシー・ヴァイナル”仕様の限定盤1LPは、素材に銀箔を使用したスリーヴに収納され、サム・エマーソンが撮影したザッパの歴史的な写真を使用した未公開のコンタクト・プリントのリトグラフも付属する。
 スーパー・デラックス・エディションと2LPは9月26日に一般発売される予定。ただし、カラー・ヴァイナル仕様の1LPを含む『One Size Fits All』の50周年記念盤のいずれかをZappa.com、uDiscover Music、あるいはSound of Vinylで予約したファンは、アルバムを8月1日(金)に手にすることができる。すべてのフォーマットの購入予約はこちらから:https://frankzappa.lnk.to/OneSizeFitsAll50PR
 また、『One Size Fits All』の50周年を記念して作られたTシャツ、ポスター、”One Size Fits All”と書かれた靴下などの新たなグッズも公開されている。グッズの詳細はこちらから:https://frankzappa.lnk.to/OneSizeFitsAll50PR
 嬉しいニュースはほかにもある。ザッパがVHS作品をファンに直接販売するため1985年に設立したホンカー・ホーム・ビデオが、40年の時を経て復活したのだ。このショップにアクセスすれば、ザッパの人気作品の数々をオンライン上でレンタルすることができる。そしてその中には、ドキュメンタリー作品『The True Story Of Frank Zappa’s 200 Motels』(1987年)や、1981年のハロウィンにニューヨークのパラディアムで行われたライヴの模様を収録した『The Torture Never Stops』(2008年)、様々な映像を集めた『Video From Hell』、ザッパの最新ビデオ作品である『Cheaper Than Cheep』――ザッパが所有していたロサンゼルスのリハーサル・スペースで1974年6月に撮影された約2時間のライヴ映像で、50年以上の歳月を経て日の目を見たばかりの作品――なども含まれる。さらなる詳細情報や映像作品のレンタル、倉庫から新たに発掘されたバーフコ・スウィル(ザッパのグッズ製造・通販会社)のアイテムのチェックは、ホンカー・ホーム・ビデオのページから:https://Zappa.lnk.to/HonkerHomeVideoPR
 『One Size Fits All』の50周年記念盤のプロデュースを担当したのは、アーメット・ザッパとテープ倉庫管理人のジョー・トラヴァースだ。中でも新装・拡張版のスーパー・デラックス・エディションには、ボブ・ラドウィックが手がけたオリジナル・アルバムの2012年マスターのほか、テープ倉庫に保管されていたレコーディングのアウトテイクの数々や別テイク、クレイグ・パーカー・アダムスが2024年に修復・リミックスした音源などを収録。追加トラックはいずれも2025年にオーディオ・メカニクスのジョン・ポリートの手でリマスタリングされた。それに加え、このボックス・セットには1974年9月28日にオランダはロッテルダムのスポーツ・パレス・アホイで録音された歴史的なライヴの音源や、その数日前の1974年9月25日にスウェーデンはヨーテボリのヨーテボリ・コンサート・ホールで録音されたボーナス・ライヴ・トラックも2曲収録される。
 スーパー・デラックス・エディションのブルーレイには、カーマ・オーガーとエリック・ゴーベルがスタジオ1LAで新たに制作したドルビーアトモス・ミックスと5.1chサラウンド・ミックスを収録。2人は『Waka/Wazo』(2022年)、『Over-Nite Sensation』(2023年)、『Apostrophe (‘)』(2024年)の拡張版でもドルビーアトモス・ミックスと5.1chサラウンド・ミックスを手がけ、高い評価を受けていたチームだ。それらのミックスはアルバムの24トラック・マスター・テープから直接制作されたもので、ブルーレイにはこのほか、2024年にリマスタリングされたアルバム本編のハイレゾ・ステレオ・ミックス(24-bit/192kHz)や、ザッパ本人が数十年前に手がけ、テープ倉庫に眠っていた2曲分のサラウンド音源も併録される。さらには、1974年8月27日にカリフォルニア州ロサンゼルスのKCET-TVで撮影された有名なライヴ映像もボーナスとして2曲収録。それらの映像には1974年当時にザッパ本人が手を加えて以来、初めて再編集が施されている。
 それに加え、このスーパー・デラックス・エディションはデジタル配信も行われる予定だ。全58トラックについて24-bit/96kHzのハイレゾ品質か、16-bit/44.1kHzの通常品質のいずれかを選択できる。またドルビーアトモスを扱っている各ハイレゾ・ストリーミング・サービスでは、アルバム本編の9トラックのドルビーアトモス・ミックスを単体でも聴けるようになる。
 1975年4月、ザッパはロンドンで英国の音楽誌各誌のインタビューを受けた際、『One Size Fits All』の制作に「4ヶ月間、毎日10時間から14時間」を費やしたと話していた。その成果は完成したアルバムに間違いなく表れている。彼がマザーズを率いて制作した14作目のアルバムにして、自身通算20作目のアルバムとなった(そして今回、ザッパのオフィシャル・リリース#131の一部を構成することになった)同作の根幹は、彼のお得意のスタイル――無骨で泥臭いブルースや、ヴォーカル・グループのR&Bなど――に根ざしている。そこに当時のザッパ作品の特徴だったユーモラスな描写や鋭い社会批評が織り交ぜられ、そのすべてがザッパ史上屈指の名バンドによる熱烈なパフォーマンスに支えられているのだ。
 『One Size Fits All』の音質がこれほどまでに良いのは、一つにはフランク・ザッパが初めて24トラックのテープ・マシンのみを使って作り上げたアルバムだからである。それまでの作品はすべて16トラック、あるいはもっと少ないトラック数の機材で制作されていた。トラヴァースも綴っている通り、ザッパのスタジオの使い方はいつも画期的だったが、24トラックの機材の導入により音の重ね方の選択肢がさらに増えたのである。そしてその「驚くべき音質の高さ」は、レコーディング・エンジニアのケリー・マクナブと、あとから彼に加わったマイケル・ブラウンステインのチームワークにより実現したのだった。
 カリブーでのレコーディングには、マザーズの面々を補強したミュージシャンたちが参加。その顔ぶれはザッパ、キーボード/ヴォーカルのジョージ・デューク、怪我が完治していなかったトム・ファウラーの代役として一時的にベースを弾いたジェームズ・”バードレグズ”・ユーマン、ドラムのチェスター・トンプソン、パーカッションのルース・アンダーウッドというものである。カリブーでのレコーディングは1974年12月8日にスタートし、同12月22日に終了。大晦日のロング・ビーチ・アリーナ公演のためにメンバーたちがロサンゼルスに戻ったあとにも、レコード・プラントで追加のレコーディングが行われた。このときはファウラーがベースに復帰し、テナー・サックス/フルート/ヴォーカルのナポレオン・マーフィー・ブロックも参加したが、一方でアンダーウッドは不在だった。そしてレコード・プラントでのセッションでは、カリブーで完成しなかった、あるいは取り上げられなかった楽曲の基礎トラック制作が進められた。しかし両スタジオの過酷な環境下でメンバー間の緊張が高まり、最終的にこのラインナップは崩壊。トンプソンとアンダーウッドの2人がグループを離脱してしまった。しかし新年に入ってザッパがオーヴァーダビングに熱を上げても、彼らの演奏のインパクトが薄れることはなかった。実際、『One Size Fits All』の収録曲のうち4曲――「Inca Roads」、「Florentine Pogen」、「Andy」、「Sofa」――は1988年に行われたザッパのラスト・ツアーまでライヴの人気曲であり続けたのだ。(なお、『One Size Fits All』はマザーズ・オブ・インヴェンションの名前がクレジットされた最後のスタジオ・アルバムでもある。)
 さらに同作のアルバム・ジャケットも、ザッパにしか作り出せない世界の中で音楽と視覚芸術が見事に融合し、素晴らしい相乗効果を生んだデザインだ。ザッパ自身はディスク誌のインタビューでこう話している。「すごく良いジャケットだ。おもて面にソファのイラストが描かれていて、裏面に宇宙全体が表現されているものにしてはね」。また言語学に精通している人は、”One Size Fits All”の4単語の頭文字を並び替えると、そのジャケットに大きく描かれている物体、そして2つのヴァージョンが収録された楽曲「Sofa」そのものの名前になることに気づくだろう。他方、ザッパ作品のアートワークを数多く手がけたカル・シェンケルとヴァーノン・シンプソンは、ジャケット裏面に精巧かつ美しい天体図を描いた。”Aquarium(水族館座)”という星座の中にオリンピック・スイマーのマーク・スピッツに因んだ星があるなど細かい文字のジョークが散りばめられたそのデザインもまた、いま見ても驚くべき仕上がりだ。
 今回のスーパー・デラックス・エディションに収められた1974年のライヴ音源について調査する中でトラヴァースは、ブライアン・クローカス(ライヴ録音と会場のフロント・オブ・ハウス・ミックスの両方を担当したエンジニア)が毎晩のように機材の問題を抱えていたことを知ったという。例えばスウェーデン公演のテープにはベースのトラックが記録されておらず、ロッテルダム公演ではアンダーウッドのパーカッション類すべてが録音できていなかった――だが幸いにも、ライヴが進むにつれて彼女のマリンバとヴィブラフォンの音は次第に大きくなっている。トラヴァースはまた、両公演でバス・ドラムの音が極端に大きかったこと、そしてザッパのギターのトーンが全体的にとてもトゲトゲしいことに気づいた。「というわけで、全般的には――」トラヴァースは次のように結論づけている。「このツアーで録音された4トラック・テープは完璧とは言えなかった(完璧な録音状態の4トラック・テープは滅多に見つからない)。けれど演奏は、もちろん伝説に残るような内容だ」。さらにトラヴァースは、これらの録音にザッパの名曲のDNAを見出している――「Dupree’s Paradise」におけるトンプソンのドラム・ソロのあとに、ザッパが「Zoot Allures(虚飾の魅惑)」の原型を少しだけ聴かせるのだ。「どうやらあのギター・コードは、このツアーで何度か披露されたのが最初だったようだ!」と彼は記している。
 ザッパはアルバムの完成にあたって心理的な重圧や自らの心の傷を乗り越えなければならなかったかもしれないが、それでも『One Size Fits All』は思い描いた通りの作品を生み出す彼の意志の力を象徴するアルバムの一つとなっている。このたび50周年を記念して発売されるスーパー・デラックス・エディションは、リリース当時に正当な評価を得られなかった傑作の半世紀を祝うに相応しいパッケージだ。そのアルバムは、どんなときも私たちの音楽鑑賞体験を喜びで満たしてくれるのである。