『ワカ/ジャワカ & グランド・ワズー』4CD+ブルーレイ・デラックス12/16発売!

2022.10.21 TOPICS


フランク・ザッパ
『ワカ/ジャワカ & グランド・ワズー』

4CD+ブルーレイ・デラックス
Frank Zappa – Waka/Jawaka & The Grand Wazoo

発売日:12月16日


フランク・ザッパが72年に発表した2枚の傑作『ワカ/ジャワカ』、『グランド・ワズー』の発売50周年を記念して発売される未発表音源満載のボックス・セットの日本盤発売が決定!!

4CD+ブルー・レイ(オーディオのみ)、44ページの英文ブックレットと日本版ブックレットで構成。

ブルー・レイ・ディスク (オーディオのみ): フランク・ザッパがブラス奏者を含む”ビッグ・バンド”と制作した『ワカ/ジャワカ』、『グランド・ワズー』の全曲を、96kHz/24-bitのPCMステレオと、オリジナルのマルチトラック・テープを基に新たに製作された48kHz/24-bitのドルビーアトモス&ドルビー・デジタルTrueHD 5.1chサラウンド・ミックスで収録。

CD1 & 2: エインズレー・ダンバー、ジョージ・デューク、ドン・プレストンら名だたる名プレイヤーから成る大所帯バンドとの『ワカ/ジャワカ』~『グランド・ワズー』レコーディング時に残された別テイク、別ヴァージョン等々の未発表音源をほぼ時系列で収録。

CD3 & 4: 72年12月15日にサンフランシスコのウィンターランド・ボールルームで行われた圧巻のライヴの模様を初めてノーカットで完全収録。デレク・アンド・ザ・ドミノスなどでの活動で知られるドラマーのジム・ゴードンも参加した10人編成のバンド (通称”プチ・ワズー”) による演奏は、貴重にして強力。また、CD3には、1972年9月にボストンで収録された20人編成の”グランド・ワズー・オーケストラ”によるライヴ音源 (未発表のFZミックス) や、ザッパがプロデュースとギターを担当したジョージ・デュークのレコーディング・セッションのデモ/アウトテイク (すべて初出音源) も併せて収録。

英文ブックレット: ザッパ家のテープ倉庫管理人であるジョー・トラヴァース、ザッパの関連著書を多数出版しているスコット・パーカーの2名によるライナーノーツ、貴重な写真資料等々を掲載。

一部のトラックを除き、クレイグ・パーカー・アダムス (ウィンズロー・コネチカット・スタジオ) とジョン・ポリート (オーディオ・メカニクス) がオリジナルのマルチトラック・テープからミックスダウン/ジョン・ポリートがマスタリングを手がけた最新マスターを採用。

★『グランド・ワズー』収録曲の「クリータス・オウリータス・オウライタス」(オルタネイト・テイク)【本パッケージのDISC 2/7曲目に収録】が先行配信中!
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【発売詳細】

『ワカ/ジャワカ & グランド・ワズー』 
4CD+ブルーレイ・デラックス

UICY-80219 価格:11,000円税込

<日本盤のみ>
英文ライナーの完訳/歌詞、対訳付
SHM-CD仕様
>> アルバムご予約はこちら

【収録曲】
Disc 1(CD)
▼アルバム・レコーディング・セッション~オルタネイツ&アウトテイクス
1. ユア・マウス(テイク1)
2. ビッグ・スウィフティー(オルタネイト・テイク)
3. ミニマル・アート(イート・ザット・クエスチョン – ヴァージョン1、テイク2)
4. ブレスト・リリーフ(アウトテイク)
5. シンク・イット・オーヴァー(グランド・ワズー)[アウトテイク]
6. フォー・カルヴィン(アンド・ヒズ・ネクスト・トゥー・ヒッチ・ハイカーズ)[アウトテイク]
7. ワカ/ジャワカ(アウトテイク)

Disc 2(CD)
▼アルバム・レコーディング・セッション~オルタネイツ&アウトテイクス:コンティニュード
1. クリータス・オウリータス・オウライタス(オルタネイト・テイク)
2. イート・ザット・クエスチョン(ヴァージョン2/オルタネイト・テイク)

▼アルバム・ミックス・セッション・アウトテイクス
3. ビッグ・スウィフティー(オルタネイト・ミックス)
4. フォー・カルヴィン(アンド・ヒズ・ネクスト・トゥー・ヒッチ・ハイカーズ)[オルタネイト・ミックス]
5. イット・ジャスト・マイト・ビー・ア・ワン・ショット・ディール(オルタネイト・ミックス)
6. ワカ/ジャワカ(オルタネイト・ミックス)
7. クリータス・オウリータス・オウライタス(オルタネイト・ミックス)
8. イート・ザット・クエスチョン(オルタネイト・ミックス)

Disc 3(CD)
▼ジョージ・デューク・デモズ~ザ・マスター・ヴァージョンズ
1. フォー・ラヴ(アイ・カム・ユア・フレンド)
2. サイコソマティック・ダング
3. アンクル・リーマス(インストゥルメンタル)
4. ラヴ

▼ジョージ・デューク・セッション~アウトテイクス
5. フォー・ラヴ(アイ・カム・ユア・フレンド)[ベーシック・トラック/テイク1]
6. サイコソマティック・ダング(ベーシック・トラック/テイク2)
7. ラヴ(ベーシック・トラック/テイク1)

▼グランド・ワズー〜ライヴ
8. アプロキシメイト(ライヴ/FZレコード・プラント・ミックス)

▼10ピース/プチ・ワズー~ライヴ (1972年12月15日、ウィンターランド・ボールルーム)
9. ウィンターランド・’72:オープニング・アンド・バンド・イントロダクションズ
10. リトル・ドッツ

Disc 4(CD)
▼10ピース/プチ・ワズー~ライヴ:コンティニュード (1972年12月15日、ウィンターランド・ボールルーム)
1. アメリカ・ドリンクス
2. モンタナ
3. ファーザー・オブリヴィオン
4. コズミック・デブリス
5. チャンガズ・リヴェンジ

Disc 5(ブルーレイ)*オーディオのみ
48kHz 24-bit Dolby Atmos, 48kHz 24-bit Dolby TrueHD 5.1, 96kHz 24-bit PCM Stereo

▼『ワカ/ジャワカ』
1. ビッグ・スウィフティー
2. ユア・マウス
3. イット・ジャスト・マイト・ビー・ア・ワン・ショット・ディール
4. ワカ/ジャワカ

▼『グランド・ワズー』
1. グランド・ワズー
2. フォー・カルヴィン(アンド・ヒズ・ネクスト・トゥー・ヒッチ・ハイカーズ)
3. クリータス・オウリータス・オウライタス
4. イート・ザット・クエスチョン
5. ブレスト・リリーフ

 


<海外プレスリリース訳>

ロサンゼルス – 2022年10月18日 – ロンドンのレインボー・シアターで正気を失った観客によりステージから突き落とされたフランク・ザッパは、1972年に入っても、数ヶ月に亘ってロサンゼルスの自宅で療養しなければならなかった。激しい痛みに襲われる車椅子生活が続いたが、それでも仕事に対する彼の姿勢が変わることはなかった。それどころかこの年は、あまりに多作な彼のキャリアにおいても特に多作な1年になった。かねてよりザッパは、大所帯の”エレクトリック・オーケストラ”を率いる野望を抱いていた。そしてこの期間に彼は、ほかの活動と並行して、その野望を満たすに足るアンサンブルを編成。結果として20人編成のバンドが結成され、アルバムのレコーディングと8都市を回るツアーが行われた。それから間もなく、そのバンドは10人編成の通称”プチ・ワズー”へと姿を変え、約2ヶ月に亘るツアーを敢行。こうしてザッパは2つのツアーをこなし、倉庫にライヴのマスター音源を残しつつ、この実験的なプロジェクトの成果として、”Waka/Jawaka”と”The Grand Wazoo”という2作のアルバムを完成させた。これは、彼が脚にギブスをはめながら指揮棒を握っていたことを考えれば驚くべき偉業だったというほかない。
 ザッパの比類なきキャリアにおける、この革新的な1年から半世紀が経ったことを記念して、ザッパ・レコード/Umeは、彼の82回目の誕生日になるはずだった日の直前の12月16日に”Waka/Wazoo”をリリースする。4CDとブルーレイ・オーディオ・ディスクの計5枚から成る本ボックス・セットは、この1年間のプロジェクトをくまなく振り返ることができる歴史的なパッケージだ。プロデュースを務めたのは、アーメット・ザッパとザッパ家のテープ倉庫管理人であるジョー・トラヴァース。2作のアルバムのレコーディング・セッションで生まれた、ほぼ全収録曲の未発表オルタネイト・テイクや、ミックス・セッションのアウトテイク、レア音源が収められているほか、1972年12月15日にサンフランシスコのウィンターランド・ボールルームで行われた10人編成のバンドでの最終公演が完全収録されている。それに加え、本パッケージにはジョージ・デュークのソロ楽曲のデモ音源も併せて収録。パラマウント・スタジオでのアルバムのレコーディングの合間に制作されたこのデモにおいてザッパは、プロデュースとギターの演奏を手がけている。デュークはソロ・アルバムの制作にあたってこれらの楽曲を再録したため、ザッパが関わった本パッケージ収録のヴァージョンが公式に陽の目を見るのはこれが初めてとなる。

 アルバム”Waka/Jawaka”と”The Grand Wazoo”の本編はブルーレイ・オーディオ・ディスクに収められており、多様な鑑賞体験が可能となっている。新たに初めて製作されたドルビー・アトモスによるイマーシヴ・オーディオとドルビー・デジタルTrue HD 5.1chサラウンド・ミックスは、エリック・ゴーベルとカーマ・オーガーがスタジオ1LAにてオリジナルのマルチトラック・テープからミキシングしたもの。一方で96kHz/24-bitのハイレゾ・ステレオは、ザ・マスタリング・ラボにてダグ・サックスがロバート・ハドリー、サンウク・”サニー”・ナムとともに2012年にリマスターしたものである。なお、両アルバムともにハイレゾ品質で、ストリーミング・サービスでの配信も開始される予定だ。
 全5枚のディスクは、44ページのブックレットと併せて開閉式のボックスに収納される。そのブックレットには、ザッパ家の倉庫で見つかったレコーディング/リハーサル/ツアー中の秘蔵写真のほか、ジョー・トラヴァース(テープ倉庫管理人)とスコット・パーカー(ザッパの関連書籍の著者/ザッパの公式ポッドキャスト:ZappaCastのホスト)によるライナー・ノートを掲載。なお、レコーディング当時にミキシングされた音源や上記のサラウンド・ミックス以外は、クレイグ・パーカー・アダムス(ウィンズロー・コネチカット・スタジオ)とジョン・ポリート(オーディオ・メカニクス)が、1972年に制作されたオリジナルの16トラックあるいは4トラックのアナログ・マスターからミキシングした音源が収録されている(いずれもマスタリングはポリートが担当)。
さらにこの度、70年代にアナログ・テープからリプレスされて以来初めて、”Waka/Jawaka”と”The Grand Wazoo”がLPレコードでも発売される。マニア向けの180グラム重量盤ブラック・ヴァイナルと、限定版の180グラム重量盤カラー・ヴァイナルの2種類があり、ファンは頭を悩ませることだろう。また、uDiscover MusicとZappa.com限定で、”Waka/Jawaka”の半透明グリーン・ヴァイナルと、”The Grand Wazoo”のブラウン・マーブル・ヴァイナル(いずれもA式ジャケット仕様/リトグラフ付)も購入できるようになる。こちらのLPはアナログ・テープからBernie Groundmanがマスタリングしたもので、プレスはドイツのオプティカル・メディアで行われる。

 ザッパは1972年発表のライヴ・アルバム”Just Another Band From L.A.”(1971年8月にロサンゼルスはUCLA内のポーリー・バヴィリオンで録音)を完成させると、”エレクトリック・オーケストラ”の編成に着手。これは、ロック・コンサートと同じ激しさとヴォリュームで、超が付くほど複雑な楽曲を演奏できるミュージシャンたちを大勢集めるという試みだった。結果として集まったのはほとんどザッパと面識のないミュージシャンばかりで、馴染みの顔ぶれはごく一部だった。その中にはドラマーのエインズレー・ダンバーや、そのダンバーが推薦したというベーシストのアレックス・”エローニアス”・ドモホフスキー、マザーズに長く在籍したジョージ・デュークとドン・プレストンという2人のキーボーディスト、ギタリストのトニー・デュラン、パーカッショニストのアラン・エステスとボブ・ジミッティ、そしてサル・マーケーズやマルコム・マクナブ、ケニー・シュロイヤー、アール・ダムラー、トニー・”バット・マン”・オーテガといった金管/木管楽器奏者らが含まれていた。
 アルバムのレコーディングに向けたリハーサルは3月後半〜4月前半ごろにスタート。楽曲がザッパの納得いく仕上がりになったところで、一同はパラマウント・スタジオに移動し、1972年4月10日からレコーディングを開始した。ザッパはプロデュース、ギター、指揮を一手に担っていたが、その月の終わりには2作のアルバムを大方完成させていた。そのうち、ジャズの影響を滲ませた作風となった”Waka/Jawaka”(ザッパはこれを”Hot Rats”の続編のつもりで制作していた)には、楽曲によって6〜9人のミュージシャンが参加。さらに壮大で野心的なジャズ/フュージョン作となった”The Grand Wazoo”には、最少でも8人、最大で20人と、より多くのミュージシャンが参加した。
 同2作のレコーディングの次の一手としてザッパは、”マザーズ・オブ・インヴェンション/ホット・ラッツ/グランド・ワズー”と自ら名付けたバンドをツアー向けに再編成し、1972年9月に全8日程の短いツアーを組んだ。トラヴァースは、充実のライナー・ノートの中でこう綴っている。「”ワズー”のプロジェクトが始動したあと、フランクはまずミュージシャン集めのアシスタントとしてケニー・シュロイヤーを雇った。そうして最終的に20人が雇われ、新たな音楽的な関係が作り出された。そのうち一部のミュージシャン、たとえばサル・マーケーズ、ブルース・ファウラー、ベースのデイヴ・パーラートらは後年のザッパの活動にも関わっていくことになる。この20人編成のライヴ・バンドは、1972年9月10日にハリウッド・ボウルでデビューを飾った。あの歴史的な会場でザッパが演奏するのはこれが初めてだった。それからこの大人数のグループはヨーロッパにも足を伸ばし、さらに7回のステージをこなした。ツアーはそこで終了。半年を経てバンドのコンセプトは10人編成へと切り替わり、次のツアーはマザーズ・オブ・インヴェンション名義で行われた。ただしこのバンドは、その後”プチ・ワズー”という名前で呼ばれるようになる」。
 この20人編成のバンド:”ワズー”のステージがテープに記録されたのは1度きりであった。少なくとも、テープ倉庫で今までに見つかっているのはその1公演だけである。本ボックス・セットには、1972年9月24日にボストン・ミュージック・ホールで行われた当該公演より、ザッパが自ら編集した”Approximate”のマスター音源を収録。このヴァージョンはこれまで未発表だったが、このボストン公演自体は2007年リリースの”Wazoo”に完全収録されている。パーカーのライナー・ノートによれば、この”ワズー・ツアー”のあとザッパは「1972年10月下旬から再びツアーを始めた。この2カ月にわたるツアーは規模を小さくして収益性を高めた10人編成のバンドで行われており、レパートリーはガラリと変わって新曲が大半を占めていた。(中略)このショーは、このバンドの最終公演であるというだけでなく、フランクが”ワズー時代”に試みた実験の締めくくりでもあった。それゆえ、歴史的な意味で重要なコンサートだといえる」。
 ボックス・セット”Waka/Wazoo”に収録されたオルタネイト・テイクやアウトテイクは、録音された順番通りに配されている。そのためリスナーは、当時のフランク・ザッパが辿った制作プロセスを垣間見ることができる。彼はそのとき、精神的・身体的に多大な痛みを抱えながらも、キャリア屈指に野心的でファンからの支持も厚い2作のアルバムを作り上げていたのだ。”Waka/Wazoo”は、1972年にザッパが残した驚異的な音楽の50周年を記念してリリースされる。その1年にザッパは苦痛からなんとか回復し、自身の音楽に救いを見出したのである。