『カール＆ザ・パッションズ～ソー・タフ』(1972)と『オランダ』(1973)関連の音源105曲を収録したボックス・セットがリリース決定

2022.09.30 TOPICS

今年デビュー60周年を迎えたビーチ・ボーイズは、1972年にリリース／録音した画期的な2枚のアルバム『カール＆ザ・パッションズ～ソー・タフ』(Carl and the Passions – “So Tough”) (1972)と『オランダ』(Holland) (1973) に関連する音源を収録したボックス・セット『セイル・オン・セイラー1972』(Sail On Sailor – 1972)をリリースする。

今年6月にリリースされた『サウンズ・オブ・サマー／ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・ビーチ・ボーイズ』リマスター新装版、2013年グラミー賞「最優秀ヒストリカル・アルバム」受賞作『スマイル（コレクターズ・ボックス）』、昨年リリースされMOJO誌の“リイシュー・オブ・ザ・イヤー”に選ばれた『フィール・フロウズ：サンフラワー&サーフズ・アップ・セッションズ1969-1971』と同じく、マーク・リネットとアラン・ボイドが編集を担当した。

CD6枚組ボックス・セットには『カール＆ザ・パッションズ～ソー・タフ』と『オランダ』の最新リマスター音源に加え、1972年の感謝祭に行われたNYカーネギー・ホール公演のライヴ音源、アウトテイク、プロモ・スポット、オルタネイト・ヴァージョン、ア・カペラ・ヴァージョンやセッション音源など80の未発表音源が収録される。

ブック型ボックスの48ページ・ブックレットにはハウィー・エデルソンによるライナーノーツやマーク・リネットとアラン・ボイドのプロデューサー・ノーツ（日本盤には日本語訳を掲載）、レア写真などが掲載。

6CDの他、5LP+7”EPボックス・セット（7”EPはオリジナルの『オランダ』に付属していた「ヴァーノン山と小道」）、曲数を絞った2CD、2LP+7”EP、デジタル配信の各形態でリリースされる。

50年間未発表だったカーネギー・ホールのライヴ音源から「ユー・ニード・ア・メス・オブ・ヘルプ・トゥ・スタンド・アローン」が先行配信中。

ブライアン・ウィルソン、カール・ウィルソン、デニス・ウィルソン、マイク・ラヴ、アル・ジャーディンの5人に、新メンバーのブロンディ・チャップリン（G, B）とリッキー・ファター（Ds）を迎えた7人態勢で制作したこの2枚からは、「ユー・ニード・ア・メス・オブ・ヘルプ・トゥ・スタンド・アローン」、「マーセラ」、「ヒア・シー・カムズ」、「カドル・アップ」やラジオで大ヒットした「セイル・オン・セイラー」などの名曲が生まれている。

現在LAのモリソン・ホテル・ギャラリーでは、ビーチ・ボーイズ最初の10年間の写真展“Good Vibrations”が開催されている。

www.morrisonhotelgallery.com

また、この時期に生まれた代表曲4曲「バーバラ・アン」、「ドント・ウォリー・ベイビー」、「素敵じゃないか」(Wouldn’t It Be Nice)、「神のみぞ知る」(God Only Knows)の新ミュージック・ビデオが公開された。

https://www.youtube.com/playlist?list=PL_ZuQ6gD_Zp4PC9HafT5TdIcmeKuUoEWJ

この4本は個別に楽しめるが、ひとつのストーリーになっている。監督はアンドリュー・リッテン（アンダーソン・パーク、プッシャT、アース・ウィンド＆ファイアーなど）、南アフリカで撮影され、現地の俳優が出演している。サーフィン好きで小さな町を出ることを夢見ているヘレナ(Zoe Manoek)と、町に越してきたばかりのカメラマン志望のルーカス(Toby De Goede)の、高校生活における恋愛、卒業、将来への決断などが描かれている。無邪気さと大人の間を行き来する2人の主人公の現実逃避の側面を追うこれらのビデオは、1960年代半ばにビーチ・ボーイズ自身がティーンエイジャーだった頃に書き、今でも強く共感を得ている曲の感情を映し出している。また、ビデオにはビーチ・ボーイズへのオマージュといえる隠しネタが仕組まれているので、それを探すのも楽しみのひとつだろう。

▼Barbara Ann (Official Music Video)