BIOGRAPHY

諏訪内晶子  Akiko Suwanai (Violin)


 1990年に史上最年少でチャイコフスキー国際コンクール・ヴァイオリン部門優勝。翌年秋からニューヨークへ留学し、日本での活動を休止したが、95年プレヴィン指揮NHK交響楽団定期演奏会で日本での演奏活動を再開した。その後、小澤征爾指揮ボストン交響楽団定期公演およびカーネギーホール演奏会に出演。また、ニューヨーク・フィル、ピッツバーグ響、ロサンジェルス・フィル、ミネソタ管、ワシントン・ナショナル響、パリ管、フランス国立管、BBCフィル、ハレ管、ロシア・ナショナル管、サンクトーペテルブルグ・フィル、ブダペスト祝祭管、バイエルン州立歌劇場管、バンベルグ響、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管などと共演。エヴィアン、マールボロ、ラインガウ、ロッケンハウス、シュレスヴィヒ=ホルシュタインなど国際的な音楽祭にも数多く出演、UBSヴェルビエ祝祭管とは、アジア・ツアーを行った。

 2000年にはルツェルン・フェスティバルに、リサイタルおよびクリヴィヌ指揮ヨーロッパ室内管との共演でデビュー、続けてベルリン芸術週間にリサイタルおよびデュトワ指揮ベルリン・フィルと共演してベルリン・デビュー、2001年にはアシュケナージ指揮フィルハーモニア管との共演でロンドン・デビューを果たした。2002年にはオラモ指揮バーミンガム市響のアジア・ツアーにソリストとして参加、2003年には、ルツェルン・フェスティバルに再び出演し、ピエール・ブーレーズ指揮マーラー・ユーゲント・オーケストラと共演している。2004年4月には、ボレイコ指揮チェコ・フィルと米国ツアーを行い、引き続きサヴァリッシュ指揮によるフィラデルフィア管定期公演、同年夏にはバーミンガム市響ヨーロッパツアーにもソリストとして参加。ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管とも共演するなど国際的な活動を続け、2007年9月には、エトヴェシュ作曲の新作ヴァイオリン協奏曲「セブン」(2009年、モナコのピエール王子財団より作曲大賞を受賞)を、ブーレーズ指揮ルツェルン・フェスティバル・アカデミー管とルツェルン・フェスティバルで世界初演、その後日本を含め、世界各地でも初演が行われた。また、2009年上海の春音楽祭に日本人ヴァイオリニストとして初めて招待され、翌年には上海万博にも招聘された。

 近年では、BBCプロムス、ブダペストの春音楽祭、グラインドティートン音楽祭などにも出演、ゲルギエフ指揮ロンドン響とのツアー、パリ管とのヨーロッパおよび日本ツアー、チェコ・フィルとの中国ツアーを行い、オスロ・フィル、バンベルク響、デトロイト響、トゥールーズ・キャピトル管とも共演した。

 現代作曲家作品の紹介も積極的に行い、これまでに三善晃作曲「弦の星たち」の世界初演およびアメリカ初演(1991)、クシシュトフ・ペンデレツキ作曲「ヴァイオリン協奏曲第2番・メタモルフォーゼン」の日本初演(1999)および南米初演(2004)、レーラ・アウエルバッハ作曲「ヴァイオリン協奏曲第2番」の世界初演(2004)、マクミラン作曲「ヴァイオリン協奏曲」の日本初演(2012)および北欧初演(2013)、エサ=ペッカ・サロネン作曲「ヴァイオリン協奏曲」の日本初演(2013)、エリック・タンギ作曲「In a Dream」の世界初演およびフランス初演(2013)、キャロル・ベッファ作曲「ヴァイオリン協奏曲-A Floating World-」の世界初演(2014)、藤倉大作曲「pitter patter」の世界初演(2017)などに取り組んでいる。

 レコーディングでは、デッカ・ミュージック・グループとインターナショナル・アーティストとして専属契約を結んでおり、最新作「フランク&R.シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ 他」を含む14枚のCDをリリースしている。
2012年、2015年、エリザベ-ト王妃国際コンクール、2018年ロンティボー国際コンクール、2019年チャイコフスキー国際コンクールヴァイオリン部門審査員。2012年より「国際音楽祭NIPPON」を企画制作し、同音楽祭の芸術監督を務めている。


 東京都出身。江藤俊哉氏に師事し、桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコース修了。文化庁芸術家在外派遣研修生としてジュリアード音楽院本科及びコロンビア大学でドロシー・ディレイ、チョーリャン・リンの両氏に学び、同音楽院修士課程修了。その後国立ベルリン芸術大学で、ウーヴェ=マルティン・ハイベルグ氏にも師事、2021年学術博士課程修了、ドイツ国家演奏家資格取得。
 
 使用楽器は、日本にルーツをもつ米国在住のDr.Ryuji Uenoより長期貸与された1732年製作のグァルネリ・デル・ジェズ「チャールズ・リード」。

(2021年6月)