BIOGRAPHY
小原礼と林立夫という、日本の音楽シーンを支え続けてきたベーシストとドラマーが、新たに始動させたプロジェクト“フィフス・アヴェニュー・サウス”。
小原礼は、“サディスティック・ミカ・バンド”のメンバーとして日本のロック・シーンに大きな足跡を残し、海外でも高い評価を受け、その後渡米しボニー・レイット、ロン・ウッド、キース・リチャーズなどと共演。帰国後はセッション・ベーシストとして様々なアーティストと共演する一方、福山雅治などのプロデュースも手がけてきた。
片や、林立夫は、細野晴臣率いる音楽家集団“ティン・バン・アレー”のメンバーとして、松任谷由実、井上陽水、吉田美奈子をはじめとする数多くのアーティストのレコーディングに参加し、また“パラシュート”というグループでも活動していた。
そんな、70年代から現在に至るまで、日本のポップ・ミュージックのリズムを支えてきた彼らは、実は中学校の同級生で、アマチュア時代は一緒にバンドもやっていたそうだ。だがこの二人による本格的なプロジェクトは、今回が初めてだという。
このスーパープロジェクトの結成のきっかけとなったのが、DREAMS COME TRUEの中村正人だ。
かつて南青山五丁目に、この二人をはじめとして、多くのトップ・ミュージシャンたちの溜まり場となっていた“gascon”という店があり、そこでアルバイト店員として働いていたのが、デビュー前の中村正人。
今でも彼らを心から尊敬し、彼らの作り出す音楽を敬愛していた中村正人の呼びかけによって、このプロジェクトが2012年に実現した。
このアルバムでは、彼らの仲間である佐藤準(key)を加えたトリオを中心に、土屋昌巳、鈴木茂、Charといった凄腕ギタリストなども参加し、往年の洋楽のヒット曲を、彼ら流にインストゥルメンタルでカヴァーしている。
「ブッカーT&MG’sとか、ミーターズとか、60年代の最先端のインストゥルメンタルには、すごくいい感じのサウンドがあって、そのサウンドをそのままやるのではなくて、その考え方を継承して、ぼくらなりの新しいものができるといいなと思って作りました」(小原)
という言葉通り、ビートルズの「バック・イン・ザ・U.S.S.R」、ホール&オーツの「プライベート・アイズ」、ラベルの「レディ・マーマレード」、カルチャー・クラブの「カーマは気まぐれ」など、耳馴染みのあるメロディが、彼らの作り出す“東京のリズム”によって、新しい感覚の音楽として甦っている。
その圧倒的なグルーヴと、シンプルだが深い空間は、まさに彼ら出しか出せないものだ。抜けのいいサウンドが、ほんとうに耳に心地よい。
「太い音で、すごいグルーヴが録れました。来てくれたミュージシャンたちも、みんなピン・ポイントでバッチリでした。土屋昌巳くんもすごかったし、鈴木茂くんもいいし。」(林)
「昔から馴染みがある曲を演奏して、でもイージー・リスニングにはならない、一本芯が通るようなものを探したつもりです。だからどういう形でもいいから、一人でも多くの人に聴いてもらいたいです。意識を持って聴いてくれる人はもちろん、何気なく聴いてる人にも、必ず何かを感じられる音楽というのをやっていると思うから。」(小原)