BIOGRAPHY

The Who / ザ・フー


ザ・フーは音楽史有数の優れたロックの遺産を有し、史上最高のライヴバンドのひとつであり、60年近いキャリアに於いて米国で9作、英国で10作のTOP 10アルバム、英国で14のTOP 10シングルを含む1億枚以上のレコードを世界で売り上げてきた。

50余年に及ぶキャリアで2,000本を優に超えるライヴをこなしてきた彼らは、その間にウッドストック、モンタレー・ポップ、グラストンベリー(2回)、ハイドパーク(4回)、ワイト島(3回)、2012年オリンピック閉会式、デザート・トリップ、シェイ・スタジアム、スーパーボウルのハーフタイムショー、ライヴ・エイド、その他諸々に出演。

1960年代半ばにロックンロールの新たな活力として浮上してきた彼らの性急さと強烈な物語性は、音楽界で最も情熱的なファンを獲得し、この伝説の4人組はロック、パンク、それ以降の全ての音楽に新しく刺激的なあり方を示してきた。

1990年にロックの殿堂入りを果たした彼らは、英米で27曲のシングルをTOP 40に送り込み、TOP 10入りした17作のアルバム群には 1969年の画期的なロック・オペラ 『トミー (Tommy)』、1971年の衝撃の『ライヴ・アット・リーズ (Live At Leeds)』、1973年の『四重人格 (Quadrophenia)』、1978年の『フー・アー・ユー (Who Are You)』 が名を連ねる。ザ・フーは1964年に「アイ・キャント・エクスプレイン (I Can’t Explain)」、「キッズ・アー・オールライト(The Kids Are Alright)」、「マイ・ジェネレイション (My Generation)」という3連のアンセムでデビューし、その後も「ババ・オライリィ (Baba O’Riley)」、「無法の世界 (Won’t Get Fooled Again)」、「ピンボールの魔術師 (Pinball Wizard)」、「フー・アー・ユー (Who Are You)」、「ユー・ベター・ユー・ベット (You Better You Bet)」等々のヒット曲を世界に送り出している。

2008年、彼らは栄誉あるケネディ・センター名誉賞を受賞した初のロック・バンドとなる。ザ・フーは2010年の第44回スーパーボウルのハーフタイムショーや2012年夏季オリンピックの閉会式など地球規模の音楽イベントをはじめ、世界各地で演奏してきた。2011年1月にはPDT(光線力学的治療)という新しい癌治療を試みるために献金を募るコンサートを実施するなど、チャリティ活動も続行。2012年12月にはニューヨークでハリケーン・サンディの復興支援ライヴも行なっている。

ロジャー・ダルトリーは、英国の小児癌救済団体 Teenage Cancer Trust での画期的な活動に伴い、ピート・タウンゼントの協力を得て2012年11月にTeen Cancer Americaを立ち上げた。 www.teencanceramerica.org

ロジャーもピートも近年、それぞれの回顧録(ピートの「Who I Am」は2012年に出版されて大好評、ロジャーの自伝「Thanks A Lot Mr. Kibblewhite: My Story」 は2018年に評壇から歓迎された)を発表している。ザ・フーの残ったメンバー2人が自らの驚異的なレガシーを伝える上で、読み物という形は相応しい。ザ・フー以上に、ロックの時代と広範に渡るポップカルチャーに永続するインパクトを与えたバンドはまず存在しないのだから。

ザ・フーは2019年に13年ぶりのニュー・アルバム『WHO』をリリースし大絶賛を浴びた。そして”Moving On”と“The Who Hits Back!”というフル・オーケストラとの公演で世界ツアーを行った。後者はロンドンのウェンブリー・スタジアム公演が録音され、2023年にライヴ・アルバム『ウィズ・オーケストラ・ライヴ・アット・ウェンブリー』がリリースされた。2025年、ザ・フーはアメリカでフェアウェル・ツアーを行ったが、彼らの音楽は永遠に生き続けるだろう。