ケミブラ・トム×オーロラによるTOMORA(トモーラ)、来日公演のライブレポート公開!新曲「Celebration」も披露し、多幸感に包まれた特別な一夜に。
ノルウェーの歌姫オーロラと、UKダンス・ミュージック界を代表するザ・ケミカル・ブラザーズのトム・ローランズによるコラボレーション・プロジェクト、TOMORA(トモーラ)。フジロックで見せた圧巻のステージが更にパワーアップして一夜限りでカムバック!新曲「Celebration」も披露し、多幸感に包まれた会場からのライブレポートをお届け。
TOMORA 2026 LIVE IN TOKYO: SETLIST
https://umj.lnk.to/TOMORA_FRF26
ライブレポート:文 大野俊也
TOMORAが7月のFUJI ROCK FESTIVALからわずか約2ヶ月後に帰ってきた。入場規制がかかるほどの人が集まったWHITE STAGEで、異次元の音楽体験を披露した彼らにとって、今回は謳い文句通り、まさに東京一夜限りの伝説と言える単独公演となった。
今回はオープニングDJとして、Ashley Yukaが、ケミカル・ブラザーズの曲をたっぷりと取り入れたセットで、会場を埋め尽くした人たちを盛り上げている。そこからメンデルスゾーンの『パウロ』序曲が会場を流れた後、「INTRO SEQUENCE」のナレーションが始まると、1曲目の「RING THE ALARM」でいきなりパーティの始まりとなった。
ピンクのライトが点滅する中、巨大なバックスクリーンにはトムの姿が映し出され、オーロラはまるで分身のような存在のアマリー・ホルト・クライヴとともに、巨大なメガホンを手にして歌い始める。会場である東京ガーデンシアターはとにかく音が良い。重低音のバウンス感もアタック感も効いたキックの音が、8000人規模のインドア会場を一気にダンスフロアに変えてしまっている。
FUJI ROCKの時と同様、アマリーはステージにおける重要パフォーマーで、オーロラとともに歌い、踊り、パーカッションをプレイする。ステージ中央後方のコンソールでシンセ、サンプラー、プログラミングを操るトムを背景に、前方ではオーロラとアマリーが白い衣装でシンクロした動きを見せる。白のAライン・ミニドレス、足元のロング・ファー・レッグカバー、長い手袋といった衣装の二人は、未来的でもあり、妖精のようでもある。そこにシンクロするスクリーンの映像や照明は、時には曲の世界観を表現し、時にはパーティを扇動する役割も担っている。
聖なる儀式のような「MY BABY」で祈りのような歌声を聴かせたオーロラは、「お元気ですか」と日本語でMC。オーロラの持ち曲である「Starvation」では、脈打つような4つ打ちに乗せて、天まで届きそうな声を響かせる。そこに続くのは、トムのケミカル・ブラザーズの「The Universe Sent Me」。二人の最初の接点とも言える、7年前に共同制作した曲が今、TOMORAの音として鳴っている。
FUJI ROCKの時にも披露した新曲「What Do We Got?」がこれに続くが、10月16日にデジタル配信、11月27日にフィジカルでリリース予定の新作EP『CELEBRATION』に収録の予定だ。ステージ上のカラーはピンクとブルーの2色になり、祈りと祝祭が同居したする空間に変わっていく。続く「THE THING」では、スクリーンの映像は、顕微鏡の中のようにも見え、そこにはトムが映ったり、映らなかったりする。地響きのようなビートが鳴る中、二人の歌声が広がっていく。
中盤に差し掛かる頃、アンセム曲の「SOMEWHERE ELSE」が始まる。スクリーンに映し出される真っ赤な光は、まるでエネルギーの炎のように上昇し、時には花火のような閃光も見せる。オーロラはダンスを見せ、マイクスタンドを傾けながら歌に思いを込める。そこからそのままノンストップでつながっていくのは、ケミカル・ブラザーズの「Eve Of Destruction」。パーティ感は一気に別次元へとアップし、スクリーンにも日本の戦隊シリーズをオマージュしたMVが映し出される。
「あなたたちはそのままで完璧です」。オーロラは日本語でMCを始め、メンバー紹介も「ちゃん」「くん」付けで行い、「お久しぶり」、「やったあ!」と話す声がとにかく可愛い。そこから、天まで届きそうな声を聴かせ、「I DRINK THE LIGHT」は始まる。まるでどこか違う世界を覗いているような感覚。オーロラとアマリーは、開放されたようにステージ中を舞いなら踊り、時々戯れ合うようにも見える。シンクロするような動き、モノクロの照明と映像の中、二人はおんぶに抱っこ状態になり、まるで双子のように見える。
「COME CLOSER」はモノクロームの世界の中で、オーロラが一人で歌う。「Come closer to me」の「to me」のところでは、歌声はささやきに変わっていく。人間のつながりを願う曲だが、内に向かう親密さだけでなく、大きな包容力で外に開かれている。
大きな拍手の後の曲は、プロモーション映像でも予告した通り、新曲「Celebration」の全世界初披露となる。ピンク、ブルー、モノトーンが基調だった色に、どんどん新しい色が足されていく。音楽もそうだし、映像もそうだ。この曲は圧倒的な祝福を表現している。TOMORAはおそらく世界中をフェス出演、ツアーしていく中で、元々祝福の思いも込めていた楽曲が、多くの人たちと共有することによって、本物の祝福になったことを感じたのかもしれない。事実、新曲はそういう状況で制作されたという。この曲はある意味、進化を遂げるTOMORAの今の音なのだろう。
オーロラの曲「My Body Is Not Mine」の終わりでは、オーロラとアマリーはロボットのようなダンスを見せ、最後にはうなだれて動かなくなってしまう。ある意味、歌詞とシンクロしているのだが、トムが前に出てきて、オーロラを起こして目を覚させ、オーロラはアマリーを起こしていく。会場中が笑顔で和んだ後、3人はステージを後にする。
アンコールは、お馴染み「IN A MINUTE」のロングヴァージョンだ。スクリーンに映し出されたネコは口をパクパクさせているのだが、実はこのネコがこの日のパーティの最高のアゲキャラであった。それにしても、トムのビートは容赦なくぶち上げてくる。何度も何度も音の波が上がるし、波が引くこともあるが、それでも音楽は止まらない。最後の方は音量まで上がったと思う。会場との声のコール&レスポンスもあったし、高揚感が頂点になった時の強いオレンジの光は、歌詞の中の太陽とシンクロしている。最後の最後までライヴならではのエネルギーがあったし、とことん突き抜けていく強さがあった。最後、3人は手を取り合って会場全体に挨拶をして、この日のステージは終わった。
途中のMCでオーロラは、たとえ自分がどんな人間であったとしても、たとえ世界がどれだけダークであったとしても、私はみんなを友達として受け入れる、「大好き、愛してます!」と話していた。TOMORAの曲はある意味、そういう「自分が自分である」ということを肯定し、祝福したものだと思う。そして、新作EP『CELEBRATION』に収録される「Celebration」、「What Do We Got?」、「IN A MINUTE」のロングヴァージョンを聴くにつれ、ますますその祝福の度合いは進化しているのだ。この日のオーロラは、何度も日本語をスタッフに確認しながら、会場全体が「私たちの家みたい」と伝えていた。何だかこの日は、ライヴを観た私たちが、トムとオーロラが新たに作り上げた、その「家」というか「宇宙」に招かれたような、特別な夜になったと思う。

Photo by Kazma Kobayashi

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