<連載>全3回にわたって『オルゴールで聴く 東京ディズニーリゾート®』の魅力に迫る連載記事の【パート2】を公開。音源制作を手がけた浅倉大介さんのコメントを掲載!
『オルゴールで聴く 東京ディズニーリゾート』は、その名の通り、東京ディズニーリゾートから生まれた名曲の数々をオルゴールでアレンジしたアルバム。音源制作を手がけたのは、ミュージシャン/音楽プロデューサー/作・編曲家として数え切れないほどのヒットを放ち、大のディズニー好きである浅倉大介さん。細部までこだわり抜いた、これまでにないオルゴールサウンドが楽しめます。このアルバムの魅力を、浅倉さん本人へのインタビューを交えつつ、全3回にわたってご紹介。今回はそのパート2「アレンジへのこだわり」について。
本作の制作にあたって浅倉さんがまず考えたのは、「ディズニーのファンタジーの世界では、どんなオルゴールが聴けるだろう?」ということ。
「そこには形も大きさも音色も異なるさまざまなオルゴールがあって、“複数のオルゴールがアンサンブルを奏でる”といった現実では不可能なこともできるんじゃないか? そう考えていくうちにイメージが広がり、結果的に、既存のオルゴールアルバムとはまったく違うものができあがりました」
パート1の記事でもご紹介した通り、現実のオルゴールはゼンマイを回すとシリンダーが回転して音が出ます。その回転速度(=演奏する曲のテンポ)をある程度コントロールすることはできても、複数のオルゴールを完全にシンクロさせることはできません。でもファンタジーの世界なら、まるで指揮者がいるかのように、個性豊かなオルゴールたちがハーモニーを奏でたり、掛け合いをしたり——そんな浅倉さんならではのステキな発想が、本作のアレンジの出発点になっています。
アルバム1曲目の「ハッピー・ソング」(東京ディズニーランド®のアトラクション「ベイマックスのハッピーライド」より)からして、サビの部分では、さまざまな音色のオルゴールが声を合わせて歌っているかのよう。聴いている私たちも、ハピネスレベルが一気にアップ! “オルゴール=シンプルで眠気を誘われる音”というイメージを、心地よく裏切ってくれますよ。
独創的なアレンジでありながら、原曲のよさが損なわれていないことも、大きな魅力。
「僕自身がそうじゃないと嫌だったんですよ。僕の記憶や思い出のなかでは、つねに原曲が鳴っているので。(メロディやコードだけでなく)キメとかフェイクとかハーモニーとか、そういった細かい音も聞こえてきちゃうので、それはやっぱり形にしないとね」。
あくまで原曲を尊重したい、という浅倉さんの想いが伝わってきます。
たとえば、7曲目の「リビング・イン・カラー」。東京ディズニーリゾート40周年のテーマソングとして、みなさんの記憶にもきっと刻まれていますよね。この曲には、サビに入る手前に“ジャジャ、ジャジャ♪”というかっこいいアクセントがついていますが、これがいわゆる“キメ”。こういうところまでしっかり再現して、原曲の雰囲気を出してくれています。
とはいえ、ただ忠実に再現すればいいわけではないのが、難しいところ。もともとオルゴールは、音域や同時に鳴らせる音数に限りがあって、そこが魅力のひとつでもあるのです。オルゴールらしさも大切にしながら、限られた音色・音数でできるだけ原曲通りに響かせる——そんな難題をこなせるのは、さすが浅倉さん。
ちなみに11曲目の「ナイトフォール・グロウ」(東京ディズニーランドの同名のミニパレードより)では、フロートに乗っている『眠れる森の美女』の3人の妖精たちが、杖をふるって魔法をかけるときの音も再現されているので、ぜひチェックしてみてください。
さらに、キャラクターをイメージしたアレンジも。4曲目の「マイ・フレンド・ダッフィー」には、こんな工夫がされています。
「メロディと伴奏をぴったり合わせず、微妙にメロディを遅らせているんです。チューニングもちょっと甘くして、たどたどしい感じを出しました。伴奏に追いつこうと一生懸命歌っている姿が浮かんでくれたらいいなと思っています」。
オルゴールの音色と発音のタイミングで、ダッフィーのかわいらしさをここまで表現できるなんて!と、きっと感動してもらえるはず。
パート3では、アルバムに込められた浅倉さんのディズニー愛にフォーカスします。お楽しみに!
《取材・文:エンターテインメントライター うきたひさこ》
【商品情報】

オルゴールで聴く 東京ディズニーリゾート
発売日 :2025年11月19日(水)
CD仕様 :1CD(通常仕様/浅倉大介による全曲解説つき)
CD品番 :UWCD-6074
CD価格 :税込3,300円
ダウンロード価格 :各ストアに準じます
音源制作:浅倉大介(あさくら・だいすけ)

音楽プロデューサー、作曲家、編曲家。貴水博之さんとのユニットaccessのキーボーディスト。⼤のディズニー好きで、ミュージシャンならではの観点からディズニー作品の魅力を各メディアで紹介している。
≪収録楽曲≫
1. ハッピー・ソング(「ベイマックスのハッピーライド」より/オルゴール・バージョン)
2. ジャンボリミッキー!(オルゴール・バージョン)
3. イッツ・ベリー・ミニー!(オルゴール・バージョン)
4. マイ・フレンド・ダッフィー(オルゴール・バージョン)
5. ジャーニー・トゥ・ファンタジースプリングス(オルゴール・バージョン)
6. ファンタジースプリングス組曲(オルゴール・バージョン)
7. リビング・イン・カラー(オルゴール・バージョン)
8. イッツ・ユア・ソング(「ミッキーのマジカルミュージックワールド」より/オルゴール・バージョン)
9. Reach for the Stars(オルゴール・バージョン)
10. エヴリ・ウィッシュ・ディザーヴ・ア・ドリーム(「ビリーヴ!~シー・オブ・ドリームス~」より/オルゴール・バージョン)
11. ナイトフォール・グロウ(オルゴール・バージョン)
12. ミート・ザ・ワールド(オルゴール・バージョン)
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