<ライブ・レポート>咲妃みゆオーケストラコンサート「First Bloom」

2018.05.14 TOPICS

2018年5月13日(日)、舞浜アンフィシアターで、元宝塚歌劇団・雪組トップ娘役の咲妃(さきひ)みゆが、初のコンサートを開催しました。

初のコンサートにして、東京ニューシティ管弦楽団のフルオーケストラと、バンドの計62名のミュージシャンを率いての、華麗で壮大なコンサートとなりました。しかも舞浜アンフィシアターという、円形で客席が近くて見やすい、スペシャルな舞台。

昨年7月に宝塚歌劇団を退団して以来、初のコンサートとなるステージで、歌手・咲妃みゆの本格的な第一歩を祝う1,800名の観衆を前に、堂々たるパフォーマンスを披露し、満場の喝采を浴びました。

コンサートは2部構成。1部は、オーケストラが奏でる、この日のために作られた新曲、「First Bloom」からスタート。舞台中央のジョーゼットのカーテンに、まず咲妃のシルエットが映し出され、2曲目のディズニー映画『塔の上のラプンツェル』の「自由への扉」のイントロでカーテンが上がっていよいよ本人が登場するという演出。鮮やかなグリーンのドレスに身を包んだ咲妃は、まさに優雅なプリンセスそのもので、観衆の目は釘付けに。

その後も、舞浜という場所柄と咲妃みゆ本人が幼少時から大好きだったということもあり、ディズニー映画の曲が、エピソードを交えながら数曲演奏されました。美しく澄んだ歌声と、その曲の主人公になりきる彼女の迫真のパフォーマンスに陶酔させられると同時に、そのふんわりした地のキャラクターが出たトークパートとのギャップに、客席はなんともいえない優しい雰囲気に包まれていきました。

今回の音楽監督にして、全編曲を手がけた才媛、ピアニストの大嵜(おおさき)慶子氏との相性も良く、咲妃の長所をしっかりと理解して、その魅力を生かしてオーケストラを操る大嵜の巧みなリーダーシップにより、実に深みのあるサウンドで彩られたステージが作られました(新曲の「First Bloom」およびそのボーカル入りバージョン「Sing for you」は、大嵜氏の作曲)。

2部は、『世界から愛をこめて』とタイトルされたコーナーで、咲妃がこれまで出会ったさまざまな世界中の曲の中から特別に思い入れのある曲やオーケストラと一緒に演奏することでその魅力がより引き立つ曲といった選曲で進行。英語の発音も得意ということで、英語で歌った曲は、アンコールまで入れて4曲。宝塚時代の思い出の曲、「Over the rainbow(オズの魔法使いより)」、2部のラストを飾った「You raise me up(ケルティック・ウーマン)」、アンコールで演奏された「Heal the world(マイケル・ジャクソン)」など。日本の曲からは「花は咲く」「手紙~拝啓 十五の君へ~」などが、本人の思い出とともに披露されていきます。

その中で白眉となったのは、オリジナル新曲の演奏。音楽プロデューサーの武部聡志氏が、咲妃のためにオリジナル曲をプレゼントし、そこに咲妃みゆ本人が人生初となる作詞に挑戦したもの。悩みぬいたというタイトルも「明日(あす)を信じて」に決定し、いよいよ初披露。素晴しい楽曲と、咲妃らしく丁寧に言葉を紡いだ歌詞に、波のような感動を呼びました。

2部の衣装は、1部とは対照的に、黒を基調としたスマートなドレス、そしてアンコールでは、本人がデザイン監修を手がけたTシャツで登場。それぞれに違った魅力を見せました。

素晴しいシンガーとしての実力と、トークで見せたキャラクターのふんわりとしてキュートな存在感。宝塚歌劇団という空間から「自由への扉」を開けて外の世界に飛び出した咲妃みゆの記念すべきファースト・コンサートは、大成功のうちに絶賛とともに幕を閉じ、今後の活躍に向けて大いに期待の高まる内容のステージとなりました。

 
■咲妃みゆオーケストラコンサート「First Bloom」演奏曲目
2018/5/13@舞浜アンフィシアター

<第1部:空と海のファンタジー>
1.First Bloom(新曲:作曲/大嵜慶子)
2.自由への扉
3.Part of your world
4.どこまでも
5.Colors of the wind
6.Let it go
7.First Bloom~Sing for you(新曲:作詞・作曲/大嵜慶子)

<第2部:世界から愛をこめて>
8.A Lover’s Concerto
9.Over the rainbow
10.花は咲く
11.明日(あす)を信じて(新曲:作詞/咲妃みゆ、作曲/武部聡志)
12.Top of the world
13.手紙〜拝啓 十五の君へ〜
14.You raise me up

<ENCORE>
15.Heal the world
16.Smile

Photo by 山内 洋枝