リンゴ・スター最新インタビュー

2017.09.14 TOPICS

リンゴ・スター最新作【Give More Love】いよいよ発売!
日本のファンのために特別の行われた最新インタビューです!!

R: 昨年日本でツアーしたばかりなんだけど、素晴らしいツアーだったよ。

●そういえば、7/7が誕生日だったと思いますが、誕生日おめでとうございます。

R: 金曜日が誕生日だったんだ。ありがとう。また21歳になったよ(笑)。

1. 「Give More Love」に関して

今回のアルバムのコンセプトは?

R: 特にコンセプトはなかったよ。強いて言えば、「アルバムを作ろうかな」って考えたことがコンセプトだったんだ(笑)。アルバムを作る時は、一緒に曲作りをしているリチャード・マークス、ヴァン・ダイク・パークスなどの友人に連絡をして、曲を書き始めることが多いんだ。今回は、初めてピーター・フランプトンに声をかけたんだよ。今回は曲を書き始めて、トラックをオープンなままにしておいたんだ。シンセでコードを演奏して、そこにリズム・パターンやドラムを重ねて、骨格を作っておいた。それを土台にして、曲を作っていったんだ。または、仲間がギターを演奏して、そこにメロディを乗せることもあった。決まった曲作りの方法はない。私がメロディを提供することもあれば、仲間がメロディを提供することもある。誰が曲の最初のアイデアを思いついたかが大事なわけじゃなくて、私がディレクションをして、最終形に導くことが大事なんだ。私は「ピース&ラヴ」なサウンドを求めているわけだし、これは私のアルバムなわけだから、好きにできるんだ(笑)。

●では、このアルバムの全体的なテーマはなかったわけですね?

R:なかったね。「仲間と楽しんで音楽をつくろうぜ!」っていう感じだったんだよ(笑)。

●アルバム・タイトルであり、先行シングルでもある「Give More Love」ですが、この曲にはどのような思いが込められているのでしょうか?
ジョージ・ハリスンの曲で、あなたも参加している”Give Me Love”と何か関連性はあるのでしょうか?

R: いや、他の人の曲とは全く関係ないよ。苦しんでいる人が世の中にたくさんいるわけだから、とにかく”Give More Love”(もっと愛を広めよう)がメッセージなんだ。今までの曲の中で、爆弾とか、ナイフとか、銃弾による暴力に触れたことはあるけど、それだけじゃなくて、飢餓、戦争、病気など、あらゆる種類の暴力がこの世からなくなって欲しいというメッセージが、この曲に込められてる。前から言っているが、私はWater Aid (安全な水を世界に届けるNGO)をサポートしている。その他のチャリティもサポートしているが、安全な水へのアクセスは全人類の基本的な権利だと思うんだ。ドブのような汚い水しかない環境の中で生活をして、汚いを飲むしかないという状況は、我々には想像できない。だから、安全な水を世界中に届ける活動に私は力を注いでるよ。

●この曲のメッセージはシンプルに、「もっと愛を広めよう」ということだったんですね。

R: そう、”Give More Love”。つまり、”All You Need Is Love”ということさ。過去にもそのメッセージは伝えたことがあるけどな(笑)。


2.「ポール・マッカートニー」に関して

●“We’re On The Road Again”, “Show Me The Way”の2曲にポールが参加していますが、どういった経緯でポールが参加することになったのでしょうか?

R: “Show Me The Way”はとてもパーソナルな曲なので、ポールに参加して欲しくて連絡したんだ。この曲は私の妻のバーバラのために書いた曲なんだよ。バーバラはこの曲のタイトルの通り、常に私を正しい道に導いてくれるんだ。ポールは最高のベーシストなので、この美しい曲に参加して欲しいと思ったんだよ。彼がこの曲のレコーディングに参加しているとき、ちょうど”We’re On The Road Again”も制作していたんだ。ポールはこの曲のタイトルのように、しょっちゅうツアーをしている。彼と金曜日に電話で話したときも、彼はフロリダで演奏していた。彼はたまたまLAに来ていたから、”Show Me The Way”に参加してもらったんだ。ランチを食べてからレコーディングをしたんだけど、楽しかったから、その流れで”We’re On The Road Again”もレコーディングしたんだよ。この曲はスティーヴ・ルカサーと一緒に作ったんだ。ウィリー・ネルソンの”On The Road Again”みたいにならないようにしたかったんだ(笑)。だから、”We’re”という言葉を強調して”We’re On The Road Again”と歌ったんだ(笑)。

●クレジットではポールはベースとなっていますが、それ以外(コーラスなど)での参加はありましたか?

R: ポールは”We’re On The Road Again”で、彼のトレードマークである叫び声を披露してくれたんだ。ジョー・ウォルシュも歌っている。曲のエンディングで、3人で”We’re On The Road Again”と連呼して歌ってるよ。

●久々のポールとのレコーディングの時の雰囲気はどのような感じでしたか?

R: いや、ポールと久しぶりに仕事をしたわけじゃないんだ。彼とは2年前にグラミー賞のときに一緒に仕事をしたし、ニューヨークでデヴィッド・リンチのショーでも一緒に演奏した。90年代の頃は、彼の作品で何回も私は演奏している。彼は過去に私の作品で演奏したり、歌ってくれている。同じ国にいれば、タイミングを合わせて二人で会ったりもする。だから、1970年以来彼と会ってないわけじゃないんだ(笑)。お互いの人生から切っても切り離せない関係なんだよ。

●絆がずっと続いているんですね。

R: そう、ずっと続いてるんだよ。

●あなたは様々な素晴らしいミュージシャンとレコーディングしたりツアーをしたりされていますが、ポールとの共演はその中でも特別なものなのでしょうか?

R: その通り。長年一緒に演奏しているから、息がぴったり合ってるんだ。ビートルズ時代は、ベースとバスドラが邪魔し合わないように、事前に練習することもあったね。彼は私にとって、世界一メロディアスなベーシストなんだよ。今まで色々なベーシストと演奏してきたし、もちろん優れたベーシストは何人もいた。例えば、ネーサン・イーストは本当に素晴らしいベーシストだし、ドン・ウォズも私とよく演奏する。ただ、ポールのベースの演奏は誰よりもメロディアスで、”ポール・マッカートニー・スタイル”としか呼べないんだよ。


3. レコーディング期間に関して

●アルバム制作の着想はいつ頃でしょうか?

R: 昨年の3月くらいに、デイヴ・スチュアートとナッシュヴィルでカントリー・アルバムを6月にレコーディングしようという話になったんだ。その準備のために、何曲か書こうということになって、”So Wrong For So Long”を書き上げたんだ。カントリーっぽい雰囲気の曲に仕上がったんだ。そのあとに、昨年はツアーのオファーが舞い込んで、ツアーで忙しくなったから、カントリー・アルバムは完成できなかったんだ。でもこの曲を今回のアルバムに収録して、デイヴがその曲でもちろん演奏してくれてるんだ。このアルバムのために長く準備したわけじゃなくて、仲間に連絡をして、「何をしてる?一緒に曲を書かない?」という会話からレコーディングが始まったんだよ。

●曲を作るクリエイティブなモチベーションは今でも自然と湧き上がるんですね。

R:もちろん。

●また実際のレコーディングが開始されたのはいつでしょうか?

R: このアルバムのレコーディングは、カントリー・アルバムの準備のところから始まったんだ。その時に作った曲がいくつか今回のアルバムに収録されてるんだよ。このアルバムのためにゼロの状態から書き上げた最初の曲は、”Electricity”だったと思う。あの曲は昨年作ったんだけど、ジョー・ウォルシュが演奏してくれたんだ。そのあとはツアーに出てしまって、また制作を再開したのは今年の1月だったから、そのあとに完成したんだよ。

●レコーディングは集中して全曲を録音したのではなく、時期や場所が異なっていたわけですか?

R: 長いレコーディング・セッションはもうやらないよ(笑)。昨年数週間レコーディングしてから、今年の1月から3月の間にまたレコーディングをして完成させたんだ。

●アルバムはここロサンジェルスでレコーディングしたんですか?

R:そう、私の自宅にあるゲスト・ハウスでレコーディングしたんだ。ベッドルームには、Rolandのドラム・キットと普通のドラム・キットの2台のドラム・セットが置いてあるんだ。あとはアンプも置いてあって、リビングにはマイクとPro Toolsが設置してあって、それだけでレコーディングしてる。


4. レコーディング・メンバーの人選

●曲によって非常にバラエティに富んだミュージシャンが起用されていますが、このアイディアは貴方自身が考えたのでしょうか?あるいは誰か他の人のアイディアが入っているのでしょうか?

R: 私がミュージシャンを選んでるよ。ミュージシャンに電話をして、「暇だったら、スタジオに遊びに来なよ。演奏して欲しい曲がるんだ」って誘うんだ(笑)。その日に誰が来るかによって、メンバーが決まるんだ。

●今回特に印象に残ったセッションは?

R: さっき話したように、ネーサン・イーストは本当に優れたベーシストだよ。彼と演奏するのはいつも楽しい。ピーター・フランプトンも参加してくれたんだ。彼と一緒に曲を書いたんだけど、彼はナッシュヴィルに住んでるから、彼に曲のファイルを送って、彼がナッシュヴィルのスタジオでソロをレコーディングして、送り返してくれたんだ。素晴らしいプロセスだったよ。やろうと思えば、日本のミュージシャンにファイルを送って、サックスをレコーディングしてもらって、また送り返してもらうこともできる。素晴らしいことだよね。ミュージシャンと実際に演奏する方がもっと楽しいけど、現代はこういう新しいレコーディング方法があるんだ。誰かに聞いたんだけど、私がLAにいながら、インターネットを使ってナッシュヴィル、ロンドン、ローマのミュージシャンと一緒にレコーディングすることもできるらしいんだ。次はそれをやろうかな(笑)。


5.楽曲のタイトルについて

●“SHOW ME THE WAY”や“SPEED OF SOUND”は、過去にPETER FRAMPTONとPAUL McCARTNEYの代表曲とタイトルが同じですが、これは偶然の一致でしょうか?

R: 全く知らなかった。そんなことは思ってもみなかったよ。でも面白いね!昔のレコードを見ながら曲のタイトルを決めてるわけじゃないからな(笑)。全然知らなかったよ。君に言われてやっと気づいたけど、全く知らなかったし、誰もそんなことを教えてくれなかったよ。面白い偶然だね(笑)。


6. セルフ・カバーの選曲

●貴方が初めて書いたオリジナル曲“DON’T PASS ME BY”が収録されていますが、オリジナルの録音から49年を経た演奏は如何でしたか?

R:ボーナス・トラックのことかい?毎年やってるんだけど、昨年の私の誕生日の時に、キャピトル・レコーズの建物の外でイベントを開催して、エリザベス(マネージャー)がいくつかのバンドを呼んで私の曲をカバーしてくれたんだ。その時に出演した二つのバンドがあまりにも素晴らしかったので、ニューヨークにいるエリザベスに電話をして、”Peace & Love”のイベントで演奏したバンドに、私のキーで演奏させてレコーディングしたい、と伝えたんだ。それで彼らに演奏してもらって、私がリード・ボーカルを担当したんだ。だからこの曲を収録したんだ。”Don’t Pass Me By”で演奏したのは、Vandaveer(ヴァンダヴィアー)というバンドだよ。

●彼らと仕事してみてどうでしたか?

R:彼らと仕事をしたというか、彼らがトラックをレコーディングしてくれたんだ。私は歌っただけさ。私もバンドのメンバーになったような気分だったよ(笑)。

●日本のファンにメッセージをお願いします。

R: 日本のファンのことは大好きだよ。ピース&ラヴ!もう少しで日本に行くから待っててね!


Translated by Hashim Kotaro Bharoocha@LA