<ライブレポート>「トゥギャザー・ジャパン・ツアー 2018」

2018.03.07 TOPICS

音楽ライター 服部のり子さんによる初来日公演「トゥギャザー・ジャパン・ツアー 2018」のライブレポートが届きました!

 
マイケル・ボール&アルフィー・ボー “トゥギャザー・ジャパンツアー2018”
東急シアターオーブ

ここ数年ミュージカル人気を肌で実感するコンサートが続いている。先日シアターオーブで行われたマイケル・ボール&アルフィー・ボーの初来日公演も大盛況だった。開演前から観客の興奮が会場を熱くしていたし、それが2人の登場と同時に、爆発した。

 ヴォーカルが艶やかで、笑顔に華があって、これが舞台に立ち続けているミュージカルスターのオーラか。一瞬にして空気を変えられるパワーを身に纏っている。それがファンを高揚させるのだろう。

 2006年のミュージカル『キスメット』の初共演で、意気投合したマイケルとアルフィー。マイケルの「2人で楽しみたい」との思いから、名作『レ・ミゼラブル』の作曲家に独自の組曲を依頼したのが全ての始まりだった。2016年にデュエットアルバム『トゥゲザー』が発表されると、全英1位の大ヒット。その成功が続編の制作と全英ツアー、さらに来日公演というご褒美を2人にもたらした。

 コンサートは、2枚のアルバムを中心に構成されたプログラムで、ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』や『オペラ座の怪人』、『スウィーニー・トッド』から、また映画『ローズ』などからも名曲を熱唱する。艶やかに響くヴォーカルで、演じるのではなく、それぞれの物語を届けるように高らかに歌う。その風格ある歌に圧倒されて、あらためていい歌だなぁと、感動にどっぷり飲みこまれると、饒舌にしゃべるMCが曲間に挟み込まれて、会場に笑いが起こる。そうだった、このコンビが目指しているのはフランク・シナトラとディーン・マーティンだった。笑いも重要な要素なのだ。そんな陽気な彼らの素顔に触れられるのもコンサートならではの魅力だろう。

 2部ではそれぞれがソロで歌い、クライマックスはもちろん2人の代表作である『レ・ミゼラブル』から『彼を帰して』、『人影のない部屋』、『夢やぶれて』をメドレーで披露する。心震える歌に観客の涙の音さえ聞こえてくるようで、ひと際大きな声のブラボーが至るところからあがった。

 マイケルの「僕らの声は相性がいい。お互いを引き立てることができる」という言葉を思い出しながら、余韻に浸るなか、始まったアンコールではなぜかワム!のメドレー。まるでロック・スターのようにスタンドマイクを操るパフォーマンスに、いまこの時間を誰よりも満喫しているのはマイケルとアルフィーだと思った。ウキウキで歌う姿にもっと彼らのことが好きになった。またぜひ観たい。 

服部のり子

Photo by 土井政則