meiyoメジャーデビュー1周年を記念し、1年を振り返るインタビューを公開! 

 

 1年のあいだに、自身の名義でメジャーデビュー曲「なにやってもうまくいかない」やEP『間一発』含む計8曲をリリースした他、asmi、Pii、R+、るぅと(すとぷり)、ハマいく(NHK総合「Venue101」にて結成された、かまいたち・濱家隆一と生田絵梨花のユニット)への楽曲提供、MAISONdesへの2度の入居、「アクネス」「Netflix」「カップスター」のCMソングの書き下ろしなど、数多のオファーを受けてきたmeiyo。1年の活動を経てmeiyo自身が感じている「meiyoらしさ」とは。「なにやってもうまくいかない」以降、SNSバズ現象の渦中にいるmeiyoが曲作りにおいて大切にしていることを語る。

 

――メジャーデビューから1年。meiyoさんにとってどんな1年でしたか?

 

ずっと、いろんなことをやりたいと思っていたものの仕事がなかったので、もうこれまでの分が一気にきたくらいの感じで(笑)。とてもいい1年だったと思います。徐々に知ってもらえる機会が増えて、ライブもできましたし、CM曲もできましたし、提供した曲もいっぱい聴いてもらえたので、「もしかしてmeiyoすごいんじゃない?」みたいなことを見せられたのかなあ……なんて思ったりしちゃいます。

 

 

――しかもいろんな曲調の楽曲を発表されていて、10年以上の音楽活動で培ってきたスキルを存分にアウトプットされていますよね。人生経験が豊富なmeiyoさんだからこそできる多様な活躍だなと。

 

本当にありがたいですね。幸い、今までいろんな楽器をやってきたし、いろんなタイプの曲を作れる自信もあるので、チャンスを掴みやすかったのかなと我ながら思います。

 

――この1年、本当に多くのオファーを受けてきたと思います。みんなが求める「meiyoらしさ」とは、どういうものであると自覚していますか。

 

意外と「meiyoらしさ」って、メロディと歌詞にあるのかなということに気づき始めました。たとえば「ヒノキノキ」(Piiへの提供曲)だと、もともと自分が打ち込んでいたデモは「なにやってもうまくいかない」みたいな打ち込みっぽい感じだったんですけど、片岡嗣実さんにアレンジしてもらうことで2、30年前のアニソンのようなサウンドになって、自分の要素はメロディと歌詞くらいしかない状態にまでそぎ落とされたのに、それでも「meiyoっぽいね」って言ってもらえたんですよね。打ち込みの曲では、キックやベースの音価(音の長さ)にこだわってます。そこを意識することによってノリがだいぶ変わってくるので。その音の長さが「グルーヴ」の正体なんじゃないかと思うようになりました。人が意識していなくても気持ちいいと思うサウンドというのは、各楽器の音の長さからきているんだなということを思ったりしましたね。

 

 

――メロディと歌詞における「meiyoらしさ」とは、言語化するとどういうものだと思いますか?

 

メロディに歌詞をのせていくときに、ひとつのメロディの長さに対して何文字入れるかとかも、多分、かなり特徴的なやり方をしていると思います。歌詞でいうと、わりとうまいこと言いたいタイプなんです(笑)。言葉遊びをしながら、ちゃんと意味を通らせる。あと、ちょっとした裏切りをねじ込ませる。「なにやってもうまくいかない」も、散々煽ったあと、最後に《何にもやってないだけじゃない?》って急に落とすとか。「ヒノキノキ」だと、「檜」と「データ」とか普段結びつかない言葉を入れることで変な世界観にしたり、パッと聴いたら昭和や平成初期の印象があるサウンドに今しか表現できない歌詞をのせてみたり。もしかしたら、そういうところにあるのかもしれないです。

 

――「ちょっとした裏切り」、いい言葉ですね。meiyoさんの歌には、何かを批判しているように見えてそれを批判している自分のことも厳しく見つめている、というスタンスが根底にあるように思います。物事を多角的に見つめているし、自分のことも常に疑っている。それは、いろんな価値観が交差する今の時代に大切な視点だと思います。そういうmeiyoさんの生き方自体が、歌詞の「裏切り」を生んでいるのかなとも思いました。

 

そうですね。ずっと2、3人くらい、この辺(自分の斜め後ろあたり)にいますね。歌詞にするとき、目線が1個だと浅くなっちゃうというのもありますし、1個の視点で歌っているように思わせて、油断させておいて、メタの歌詞を入れたり。「ねぇよな」(るぅとへの提供曲)だと、《冗談じゃねぇよな》ってポロッと言っちゃって、その言葉がどう受け取られるかを考えて考えて考えた結果、あの歌詞になりました。普段から、どう見られているかとかをすごく気にしちゃうんですよね。電車の7人掛けシートのどこに座るかとか、その程度のことですら気にしちゃうんです。

 

 

――《とりあえずポップなビートで逃げ出したい》というフレーズからサビが始まる「ビートDEトーヒ」(ハマいくへの提供曲)も、また違うベクトルでmeiyoさんの核の部分を凝縮して表現した曲だと思いました。

 

「ビートDEトーヒ」の歌詞はめっちゃお気に入りですね。生きていてわざわざ口に出したりしないけど、みんなと共有できているんじゃないかという感情――「音楽って、自分にとってこういうものなんだよね」みたいなものを出せました。現実は別に明るくないし、毎日楽しいわけじゃなくて、だから楽しい音楽を聴きたいし、音楽を聴くことが逃避だとずっと感じていたので。みんなもそうなんじゃないかなと思って書いたら、濱家さんも生田さんも番組の方も「これはすごくいい曲ですね」と言ってくれたので、「あ、やっぱりそうだったんだ」って思えました。最近、「○○讃歌」が好きだなと思って。自分にとって大事なものを讃えてあげたり認めてあげたりする曲が好きなんだなって思ったんですよね。「ビートDEトーヒ」もそうですけど、最近はそういう歌詞ばかり書いているような気がします。

 

――その讃え方がまた素敵で。聴き手としては、身の回りの退屈なことや憂鬱なことに共感できて、その上でちょっと明るさを見せてくれるのが、meiyoさんの音楽の心地いいところだなと思います。

 

自分の好きな言葉に「多幸感」というのがあるんですけど。つらいことって、幸せを感じるために必要っぽいんですよね。苦しいことと向き合ったときに「あ、日常って幸せだったんだ」って気づくとか、そういうことがみんなにあると思うし、結構大事なことなんだろうなと思いました。

――「ビートDEトーヒ」は、サウンド面もこの1年やってきたことを詰め込んだようなものになっていると思ったのですが、いかがですか?

 

そうですね、やりたいことをやった感じがあります。10年くらい前、バンド界隈はみんな「4つ打ち恐怖症」になっていたと思うんですけど(笑)。みんな4つ打ちしかやってなくて、その後4つ打ちをやることが悪になっちゃった時期があったと思うんです。自分も嫌だった時期があったんですけど、「やっぱり4つ打ちが気持ちいいじゃん」というのもあるし、そういう狭い視野はもう結構だという意味も込めて、一撃でみんなが「いいな」と思ってのれる曲にしようと。アレンジは兼松衆さんに入ってもらって、J-POPっぽいというか、ストリングスとかシンセが入って、今風でもありながら今まで通りでもあるようなものになりました。だからわりとシンプルにシンプルを重ねがけしたような曲なんですよね。あとは番組側から、生田さんのピアノと濱家さんのラップがあったらいいのではという意向があったので、曲の中で意味が通るように、濱家さんがラップをして、それを受け継いで生田さんのピアノにいって、そして戻ってくるというギミックみたいなものは意識しました。

 

――その曲構成もある種「裏切り」と言えますよね。これまで挙げてくれた曲以外で、この1年の中で自分なりに「これは作れてよかった」と手応えのある曲は?

 

何回聴かれたかとかそういうのは抜きにして、EP『間一発』に入ってる「あとがき」。バンドサウンドでも打ち込みサウンドでもない、ピアノ弾き語りなんですけど、その中でできる最大になったとは思っていて。あの曲をやらなかったらマシーンになっていたというか。落ち込んでいたとかじゃないですけど、作曲マシーンになりそうだったところを食い止めた曲だったなと思います。何にも縛られず、自分の中でちゃんとやりたいことやれました。

 

 

――「なにやってもうまくいかない」のバズ以降、もしかしたら「『なにうま』みたいな曲を作ってください」みたいなオーダーが多かったんじゃないかなと想像したりするんですけど……。

 

依頼を受けるときにそういうことを言われなくても、「meiyoさんにお願いしたいです」と言ってくれた時点で、そもそも「なにやってもうまくいかない」を聴いてお願いしてくれているんだろうなってこっちで勝手に邪推して「なにうま」みたいな曲になっちゃうくらい、ちょっと囚らわれちゃっていたんですね。「『なにうま』みたいな曲をください」と言われたとしても、自分が作る上で「またか」とは全然思わないんですけど。「またか」と思うのは聴く側だと思うんです。聴いてくれる人が「最近こういう曲ばっかりだよね」みたいに思っちゃったらつまらないので、むしろそこの悩みでしたね。

 

――この1年を経て、曲作りや物作りにおいて大切なこととはどういうものであると感じていますか。

 

確信に変わったのは、できあがったもの自体を自分が気に入ってるかどうかで、その後の広がりが変わるということ。その曲を広めていくことに関わる人が好きなものであれば広まるなと思って。だからまずは、自分が気に入るものを作ることをより強く意識するようになりました。楽曲提供のときも、その人のことをよく知って、好きになって、愛ある想像から歌詞を書く。「PAKU」も、わざわざ人に言わないような「好きな人をパクッとしちゃいたくなる」というエピソードをasmiさんから聞けて、自分がasmiさんに対して愛着が湧いた状態で「asmiさんがこういう曲を歌っていたら絶対に可愛い」と思いながら作れたから、みんなもいいと思ってくれたんじゃないかなと思います。自分のために作るものも、誰かのために作るものも、愛せるものにするということですね。

 

――受け手は作り手の熱量や愛に敏感な時代であると私も思います。2年目はどういった活動をしていきたいですか?

 

いろんな人とコラボしたいんですよね。自分のフットワークの軽さをもっと生かしたいなと思います。KANさんとか、自分が憧れてきた方ともコラボさせてもらえるならやりたいですし、今バズってる中で自分も好きな方とか、具体的な名前で言うとフレデリックとも一緒にやってみたいですし。今30代で、憧れの人と一緒にやるにはまだ若いような、ちょうど真ん中の世代だと思うんですけど、それをできるだけメリットに変えてハブになりたいです。「そこ」と「ここ」を繋げるというか、そういう命題があるんじゃないかなと思ってます。

――いろんな世代、ジャンルのハブになって、新たな視点が加わった音楽を生み出してほしいなと思います。11月17日に代官山UNITにて開催する『meiyo presents “閃一発_2022”』も、まさに「ハブ」がテーマだと言えますよね。

 

それこそasmiさんというまさに今の人と、THE BACK HORNという僕が中学生の頃から聴いてきた人と、その中間にいる自分。(音楽的にも)自分はちょうどその真ん中のようなことをやっているっていう。勝手な見立てなんですけど、おそらくasmiさんのファンの方はTHE BACK HORNをそんなに聴いたことがないだろうし、THE BACK HORNのファンの方はasmiさんの音楽をそこまで熱心に聴いたことが、多分ないと思うんです。それぞれのファンに「こういう音楽あるんだ」って出会ってほしいですし、閃きみたいな新しい発見があるんじゃないかなと思います。自分はバンドセットで、ギター、鍵盤、ベース、ドラムもいて、自分がギターボーカルやる曲もあります。5月にTani Yuukiさんのイベントで初めてバンドセットでやらせてもらって、そこからだんだんいいライブができるようになってきたので、11月の自主企画では完璧になっていると思います。

 

インタビュー:矢島由佳子

 

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プロフィール

日本の音楽家「meiyo」(読み:メイヨー)

2018年に演奏/歌唱/作詞/作編曲を行う「ワタナベタカシ」から活動名を「meiyo」へと改名しmeiyoとしての活動をスタート。

“TikTok流行語大賞”にノミネートもされ話題となった「なにやってもうまくいかない」で2021年9月にメジャーデビューを果たし中毒者急増中。

2022年には初のドラマタイアップやCM音楽、楽曲提供など活動の幅を広げている今注目のアーティスト。

 

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