<レポート>マックス・リヒター、15年ぶりに来日してショーケースを開催

2019.03.08 TOPICS

©Mike Terry

“ポスト・クラシカル”のトップランナー、マックス・リヒターが15年ぶりに来日し、2019年3月7日(木)に東京都渋谷区のTRUNK(HOTEL)でメディア関係者を集めたショーケースを行った。

来日は実に15年ぶり。会場となったTRUNK(HOTEL)には100名を超えるメディア関係者が集まった。18時30分、ショーケースはスタート。1曲目は今回の来日を記念して、今年2月に初めて国内盤化されたアルバム『ブルー・ノートブック』より「ブルー・ノートブック」。マックスのピアノソロがスタートすると、客席は静寂に包まれた。その静寂に寄り添うように、アメリカン・コンテンポラリー・ミュージック・アンサンブル=ACMEが加わり、2曲目がスタート。ヴァイオリン2本、ヴィオラ、チェロ2本という編成の弦楽五重奏を従えて演奏されたのは、マックスの代表曲の1曲「オン・ザ・ネイチャー・オブ・デイライト」。シンプルでありながら印象的な低音の響きに会場は一気にマックスワールドに引き込まれた。そして「ウラディーミルのブルース」、ロンドン地下鉄テロ犠牲者への追悼の想いが込められた『インフラ』より「インフラ4」と続き、5曲目で演奏されたのは『SLEEP』から「ドリーム3」。眠りの中にいるような心地よさが会場を包みこんだかと思いきや、一転、威厳と強い魂を感じさせるメロディーが印象的な「インフラ5」と続き、ラストは、また印象を変え、数々の賞に輝いた英国ロイヤル・バレエ団の話題作『ウルフ・ワークス』のために制作されたバレエ音楽「庭で」。観客の心の深い部分に訴える、まるで短編映画のような30分のステージとなった。

ショーケース後のトークセッションでマックスは「音楽は自分にとって会話と同じ。会話する以上、相手に理解してほしい。だから私はできるだけシンプルに音楽を作るように心がけています。ここ数年でクラシック音楽は間口が広がりバラエティが増えた。今、クラシック音楽にとっては非常に面白い時代だと思います」とコメント。およそ1時間のショーケースを締めくくった。

今週末3月9日(土)には、『すみだ平和祈念音楽祭2019』でパフォーマンスを行うマックス。「ブルー・ノートブック」、「インフラ」を演奏予定。「インフラ」はアジア初演となるため見逃せない公演となりそう。

 

Photo©Mike Terry