ライターふくりゅうによる『寂しい人が一番偉いんだ』オフィシャルインタビュー公開!

2019.06.17 TOPICS

新時代のポップスターmajiko、不安定な時代の羅針盤となる希望と寂しさ

取材・テキスト:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

 驚異の歌声を誇るシンガー・ソングライター、majiko。レーベル移籍後初となる3年5ヶ月振りのフルアルバム『寂しい人が一番偉いんだ』が完成した。誰しもの心に寄り添う、不安定な時代の羅針盤となる希望を感じられる灯火のような1枚だ。琴線を揺さぶる“寂しさ”から生まれたクリエイティヴィティの本質。多くのリスナーの“切なさ”を刺激することで、その歌声や言葉が“救い”となるだろう。本作は、多くの詞曲をmajikoが手がけている。しかし、ネットカルチャー最前線で闘う盟友みきとPやカンザキイオリ、蝶々P、そしてMichael Kaneko、haruka nakamura等と濃厚なコラボレーションするなど、チャレンジングなアプローチも忘れない。
 「まじ娘 →majiko。ローマ字名義だと初のアルバムになります。1stアルバムのようなものですね。頑張った後味があります。今回、『寂しい人が一番偉いんだ』とタイトルを付けたのは私の気持ちが沈んでいた時にポツンと出てきた言葉で。それこそ、アルバムを作る上での大切なテーマでした。それに沿うような曲が集まったような気がしています。より一層愛情をかけて作りました。曲の登場人物たちは、どこかしら寂しさを抱えているというか。結果、テーマがそのままタイトルになりました。日本語タイトルのアルバムは初めてだったので新鮮ですね。」

 オープニングは、カンザキイオリ詞曲によるクセの強いドラマティック・ナンバーから幕を開ける。数年前に母を亡くしたmajikoの想いと重なり合う、母親からの手紙で綴られたメッセージのような「エミリーと15の約束」における強烈な言葉たち。続いて、エレクトロスウィングな遊び心溢れるアレンジメント、“寂しさ”を持て余すフラストレーションを吹き飛ばすかのような「ワンダーランド」での疾走感溢れるポップチューン。アニメーション的世界観、ビートの効いたディスコティックな「MONSTER PARTY」における闇夜の煌めきが繰り広げられていく。
 「今回、電子音もけっこう入っていて生音だけじゃない世界観作りにチャレンジしています。“わたしはバンドではないので、バンドの音に縛られなくていいんだ、もっと自由でもいいのかな”って。なんていうか、絵の具だけじゃなくて鉛筆だったりボールペンだったり、いろんな色合いや手法を増やしたいという思いがありました。」

 Michael Kanekoによるmajikoのロック魂に火をつけたEP収録曲「狂おしいほど僕には美しい」。majiko詞曲、強烈な泣きのポップアンセム「パラノイア」では“生きてるだけでツミビトかい?”というパワーワードが突き刺さる。ライブで育まれてきた、美しくメロディアスなバラード「ひび割れた世界」。みきとPによる楽曲提供、切なくも狂おしいドラマティックな人間模様を切り取るドラマ主題歌のような「レイトショー」。majiko詞曲によるイントロのキャッチーさ、人懐こいメロディーが強力な「春、恋桜」。majikoのテーマ曲とも言える、地べたを這いつくばりながらも魂は飛翔するエモーショナルなロックチューン「ミミズ」。蝶々Pが歌詞を手がけたポップバラード「マッシュルーム」。majikoがアレンジにも参加した、サビでテンションが爆裂するグランドマザーをテーマに歌った爆裂ロック「グラマー」。NETFLIXアニメ『7SEEDS』エンディング曲であり、感情の高まりを、強烈なメロディーの積み重ねで表現する「WISH」で大団円を迎える、全12曲がアルバム『寂しい人が一番偉いんだ』には収録されている。
 「前までけっこう創作活動はエゴイスティックだったんですけど、オリジナル曲に対する姿勢が変わってきました。その辺は成長してきたかもしれません。自分の曲を認めてもらいたいという思いは強いです。言いたいことはひとつ、アルバムを聴いてぜひライブにきて欲しいですね。」

 拝啓、日本の音楽シーン。シンガー・ソングライターmajikoの存在意義を満を持してプレゼンテーションする大傑作アルバム『寂しい人が一番偉いんだ』の完成だ。2019年という時代をあらわすロック一大絵巻。新時代のポップスターの誕生をあなたはどう受け止めるのだろうか?