CD

ジェームズ・ホーナー:コラージュ~ 最後の作品 [直輸入盤]

デイヴィッド・アーノルド、ヤイメ・マルティン David Arnold, Jaime Martin

フォーマットCD
組み枚数1
レーベルMercury
発売元ユニバーサルミュージック合同会社
発売国ドイツ
録音年2016年6月(1-8)、2015年5月(9)
録音場所リヴァプール、フィルハーモニー・ホール(1-8)、ロンドン、ヘンリー・ウッド・ホール(9)
録音方式ライヴ・レコーディング
指揮者デイヴィッド・アーノルド(1-8)、ヤイメ・マルティン(9)
演奏者マリ・サムエルセン(ヴァイオリン [7])
楽団ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団(1-8)、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(9)

商品紹介

映画音楽の巨匠ジェームズ・ホーナーが最後に遺した作品を含む音楽集

ロサンゼルス出身、英国王立音楽アカデミーでリゲティの元で作曲を学び、数多くの映画音楽の作曲を手がけたジェームズ・ホーナー。代表作『タイタニック』でアカデミー作曲賞を受賞し、『アバター』ではオスカー賞を受賞しました。2015年6月22日、自身で操縦していた飛行機が墜落して帰らぬ人となりました。アルバムの前半は彼が作曲した代表的な映画音楽を集め、後半は亡くなる1ヶ月前に初演をおこなったコンサート用作品が収録されています。

<ライナーノーツ>
2015年6月22日、61歳の若さで飛行機事故死したジェームズ・ホーナーは、『タイタニック』や『アバター』をはじめとするロマンティックかつ圧倒的な映画音楽で、すでに世界的な成功を収めていた。
 ホーナーは30年にわたり、壮大な叙事詩からコメディまで、ありとあらゆるジャンルの映画・テレビ音楽をこなす巨匠として知られてきたが、その担当作品は実に130本以上を数える。だが、ここ数年は、彼のもうひとつの夢――映画音楽の録音で共演したオーケストラやソリストのための演奏会用作品の作曲――を実現しつつあった。2015年3月27日、ホーナーはロイヤル・アルバート・ホールに誇らしく登場し、最終的に彼の遺作になってしまった4本のホルンのための協奏曲《コラージュ》の初演に立ち会った。本盤は、その《コラージュ》を中心に、ホーナーに捧げられたアルバムである。
 アメリカに生まれ、ロンドンの王立音楽院で音楽を学んだ後、南カリフォルニア大学作曲科で博士号を取得したホーナーは、もしも映画音楽と出会わなければ、そのままアカデミックな世界に留まり続け、リゲティのような作曲家の影響を受けながら現代音楽を作曲していたかもしれない(訳注:ホーナーが作曲科で講師をしていた時、学生のひとりが自主映画の作曲の仕方をホーナーに相談したのが、映画音楽との出会いになった)。だが、ロジャー・コーマン監督率いるニュー・ワールド・ピクチャーズで短期間働いた後、ホーナーは映画音楽の才能に目覚め、以後30年にわたり、スクリーンがホーナーの作曲のカンバスとなった。
 ホーナーはショウビズの派手な世界に居心地の悪さを感じていたが、映像だけでは表現できないエモーショナルな深みを、音楽なら表現できると本能的に熟知していた。ロン・ハワードやメル・ギブソンなどの監督は、こぞってホーナーを作曲に起用し、ジェームズ・キャメロン監督とコンビを組んだ『タイタニック』と『アバター』は、映画史上最大のヒットを記録した。
 ホーナー初の本格的な演奏会用作品《パ・ド・ドゥ》は、ヴァイオリンとチェロのための新作協奏曲を探し求めていたノルウェーの弦楽デュオ、ホーコンとマリのサムエルソン兄妹の依頼で作曲された。サムエルソン兄妹は、他の著名な現代作曲家に曲を委嘱することも可能だったが、映像が目に浮かぶような、趣のあるホーナーの音楽こそが自分たちに相応しいと感じたのである。「ホーナーの音楽と言えば、誰もが雄大な風景、森、水など、果てしない自然を思い浮かべます。彼の音楽は、永遠の美を伝えているのです。ホーナーは多彩な音色のパレットを駆使し、場面の一瞬一瞬を正確に捉え、それをどのようにエモーショナルにしていくか、熟知していました。ホーナーのコード進行、転調、意外な展開、不意打ちは、まるで蕾から花が開いていくようです」と、ヴァイオリン奏者のマリは説明する。
 サムエルソン兄妹はホーナーの親友となり、頻繁に連絡をとりあいながら、次のコラボの可能性を模索していた。「あまりにも早く世を去ってしまったホーナーは、たくさんの作曲の構想を抱えていました。私たちのために、もっと音楽を書くと話していたんです。今となっては、彼が書き残した音楽を演奏すれば、少なくとも彼がそばにいるような気がします」と、マリは語る。
 本盤に収録された『レジェンド・オブ・フォール~果てしなき想い~』『神なるオオカミ』『エイリアン2』は、《コラージュ》初演の直後、ホーナーが聴衆の前で最後に指揮したノルウェー・スタヴァンゲルでのコンサートの演奏曲目である。
 ホーナーの右腕として、18年間アビー・ロード・スタジオで録音エンジニアを務めたサイモン・ローデスは、《コラージュ》に相応しいカップリング曲を探した結果、金の鉱脈を掘り当てた。ローデスは語る。「2012年にホーナーが作曲した珠玉の作品を、すっかり忘れていたんです。彼の飛行機仲間が、『ファースト・イン・フライト』という学生映画の作曲を依頼してきました。ホーナーはすっかりその作品に惚れ込み、フルオケの編成でスコアを作曲しました」。しかしながら、予算が限られていたため、サントラは生オケではなく、シンセのサンプル音での録音となった。本盤に収録された《大空を我が物に》と《キティ・ホーク》の2曲は、生オケでの演奏は今回が初となる。雰囲気豊かで、滑らかに舞い上がるようなテーマは、ホーナーが自家用機を操縦しながら味わったであろうフライトの醍醐味、すなわち自由と静穏を見事に伝えている。
 『レジェンド・オブ・フォール』(1994)の《ラドロウ一家》は、冒頭に登場するシンプルで切ないピアノのメロディが、オーケストラによる山脈、草原、森林の風景へと広がっていく。トランペット、フルート、フィドルのソロを絶妙に用いながら、イメージ豊かな和音でアメリカ的な光景を描き出す、ホーナーの天才ぶりを示した好例である。
 『グレート・グローリー 大いなる勝利のために』(2012)で、13歳のホセがカトリックの信仰を貫く場面で流れる、胸を締め付けるような《ホセの殉死》は、もともとソプラノ歌手クララ・サナブラスと合唱のために作曲された。サムエルソン兄妹は、アビー・ロード・スタジオで録音されたサントラを聴き、この曲に惚れ込んだ。「2種類の声の使い方が、本当に素晴らしい。もともとソプラノのために書かれたパートを、チェロで演奏するのは大きなチャレンジでした。最初は、氷のような冷たさで始まりますが、第2のフレーズで小さな展開があり、次第に熱を帯びながら豊かな音の風景を築き上げていくのです」と、ホーコンは語る。
 《オオカミの赤ん坊》と《野生に帰る》の2曲は、文化大革命時代のモンゴルを舞台に、知識人の青年が狼の赤子を駆除から救い、育て上げようとする姿を描いた『神なるオオカミ』(2015)から。「ホーナーは、まず《オオカミの赤ん坊》の印象的なメロディを作曲してから、アレンジを施していきました。映画全体のエッセンスをひとつのテーマで表現し、しかも単なる映画音楽以上の音楽に仕上げてしまう、ホーナーの作曲の好例だと思います」と、ローデスが説明する。
 作家アイリス・マードックの伝記映画『アイリス』(2001)の冒頭では、疑いの余地がないほどイギリス的な《アイリス:パート1》の感動的な音楽にのせて、ケイト・ウィンスレット演じる奔放な若きアイリスが田舎道を自転車で走り抜けていく。独奏ヴァイオリンを演奏しているマリは、この楽曲を「天が語りかけるような音楽語法」と呼んでいる。「ヴォーン・ウィリアムズの《揚げひばり》にも通じる楽曲です。音楽が高い4度を使いながら上昇していきます」。兄のホーコンは、《パ・ド・ドゥ》で使われた調性語法とパターンが、すでに『アイリス』の中に現れていると指摘する。「ホーナーは、過去の自作の引用を恐れませんでした。あらゆる作曲家と同様、彼は自由を望み、手持ちのツールを駆使したのです」。
 ジェームズ・キャメロン監督の『エイリアン2』(1986)は、リドリー・スコット監督『エイリアン』(1979)の続編として作られた。《組曲第1番:メインタイトルとリプリーの救出》において、カオスと不安を巧みに表現したホーナーの手法に関し、ローデスは「弦楽器の擦れるような不協和音は、ブリテンやショスタコーヴィチの厳格な書法を彷彿とさせます。さらに、第1作のジェリー・ゴールドスミスの音楽を意識するかのように、ホーナーはエコーマシンのディレイ操作を使って、トランペットが消えゆくように何度もこだまさせるのです」と解説する。
 本盤の核は、ホーナー最後のオーケストラ作品となった4本のホルンのための協奏曲《コラージュ》である。「ホーナー自身ホルン奏者だったことから、彼は楽器の可能性を熟知しており、見事な効果を上げています」とローデスが説明する。
 ホーナーは、ロンドンではデイヴィッド・パイアットとリチャード・ワトキンス、ロサンゼルスではジェームズ・サッチャーといった一流ホルン奏者を、映画音楽の録音に好んで起用した。「彼らのような素晴らしい奏者からなるアンサンブルを1箇所に集め、映画音楽を演奏させるのが、かねてからの私の夢だった」と、ホーナーは初演時のプログラム・ノートに綴っている。そして、彼の夢は実現した。上記3人の奏者に加え、ジョン・ライアンが4人目の奏者として加わり、2015年3月、ロイヤル・アルバート・ホールにおいてハイメ・マルティン指揮ロンドン・フィルが《コラージュ》を初演したのである。「ホーナー自身はタクトを振りませんでしたが、3月の初演と5月のスタジオ録音の双方で、演奏を監修しました」と、ローデスは語る。《コラージュ》の録音後、ホーナーは合唱曲またはバレエ作品の作曲を構想していたが、悲しいことに《コラージュ》が我々への最後の贈り物となった。
アマンダ・ホロウェイ
(訳・編:前島秀国)

曲目

ジェームズ・ホーナー:

1. 大空を我が物に ~ 『ファースト・イン・フライト』 [*]

2. ラドロウ一家 ~ 『レジェンド・オブ・フォール~果てしなき想い~』

3. ホセの殉死 ~ 『グレート・グローリー 大いなる勝利のために』

4. キティ・ホーク ~ 『ファースト・イン・フライト』 [*]

5. オオカミの赤ん坊 ~ 『神なるオオカミ』

6. 野生に帰る ~ 『神なるオオカミ』

7. アイリス:パート1 ~ 『アイリス』

8. 組曲 第1番:メインタイトルとリプリーの救出 ~ 『エイリアン2』

9.-14. 4本のホルンと管弦楽のための協奏曲 《コラージュ》 [*]

[*] = 世界初録音

※『ファースト・イン・フライト』は日本未公開のドキュメンタリー映画(ライト兄弟の話)です。ホーナーの飛行機事故死を追悼する意味合いで収録したとのこと。《コラージュ》は、初演時にこのように表記されていたので、それに従いました。

発売日
2016-09-24
価 格
オープン・プライス
品 番
481-2810

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