BACK TO THE 90s ROCK BACK TO THE 90s ROCK

BACK TO THE 90s ROCK

第1弾 HR/HM 作品レビュー

KISS

サイコ・サーカス

  • UICY-25376

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  • 1996年のオリジナル・メンバー再集結後に初めて新規制作されたスタジオ・アルバム。USチャートでバンド史上最高位(3位)を記録する一方で、ギターのエース・フレーリーとドラムのピーター・クリスは一部の曲にしか参加しないなど、バンド内の関係性は困難を極めた。そういった事情も影響してか賛否両論分かれる作品で、発表当時の批評的評価は辛辣なものも多いのだが、内容そのものは充実している。このバンドならではのロックンロール・グルーヴ(ガレージ・ロック風味が優れた個性になっている)を当時のミクスチャー・ロックに寄せたサウンドが好ましいし、何より曲が良い。特に「ユー・ウォンテッド・ベスト」は、4人全員がリードをとるヴォーカルもリフも冴えも素晴らしい。今の感覚で再評価されるべき作品。(s.h.i.)

L.A. GUNS

ハリウッド・ヴァンパイアーズ

  • UICY-16387

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  • 筆者は今でも『ハリウッド・ヴァンパイアーズ』という言葉を目や耳にすると、ジョニー・デップを擁するオールスター・バンドではなくこの作品を思い出す。ただ、1988年初頭にメジャー・デビューを果たした彼らに、90年代という時代は味方してくれなかった。初期の代表曲が詰まった第1作、“バラッド・オブ・ジェーン”のヒットを生んだ第2作に対し、残念ながらこの第3作からは新たな看板曲が生まれず、全米チャートでも最高42位に終わっている。ただ、改めて本作に触れれば、当時の彼らがクリエイティヴな意味において充実した状態にあったことは明白だ。華も毒気も実力もあった彼らは、決して一時だけの「ハリウッドの徒花」ではなかったのだ。(増田勇一)

アンスラックス

パーシスタンス・オブ・タイム

  • UICY-16388

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  • 彼らのキャリアにおける転換点であり、90年代ヘヴィネスへの入口に位置する作品だ。とはいえ本作は流行への迎合というわけではなく、スラッシュの速度や明るさを削ぎ落とし、感情と緊張感を内部に圧縮したような独自の進化が見える。前作同様にプロデューサーにはマーク・ドッドソンを迎え、技巧の誇示ではなくグルーヴへの全面移行でもない、多くのジャンルを飲み込んだ唯一無二のオリジナルスラッシュが冴える。スレイヤーが『Seasons in the Abyss』を、メガデスが『Rust in Peace』を、それぞれ完成度の極致のようなアルバムをリリースした年だが、アンスラックスは独自のマイペースな進化を果たした。このリフは、どこにも完全に属さず誰にも似ていない硬さだ。(つやちゃん)

アンスラックス

アタック・オブ・ザ・キラー・ビーズ!

  • UICY-25625

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  • B面曲、カバー曲、ライヴ音源を集めた番外編的な立ち位置の作品だが、当時の音楽シーン全体の潮流が見事に捉えられたという点ではメタルに限らず世界屈指の好盤だ。もともとアンスラックスはスラッシュ・メタルとハードコア・パンクのクロスオーバーを先導してきた存在で、別働隊であるS.O.D.と並ぶ名バンドなのだが、本作はそこにヒップホップ(パブリック・エネミーとの歴史的共演曲「ブリング・ザ・ノイズ」など)を加える形でストリート/アンダーグラウンドの広がりを網羅。軽やかにたわむグルーヴがシニカルなユーモア感覚とともに様々な領域を接続するさまは、かのミスター・バングル(フェイス・ノーモアと前衛ジャズの間に位置する重要バンド)にさえ通ずる。いろんなジャンルの音楽と一緒に聴いてほしい逸品だ。(s.h.i.)

イジー・ストラドリン&ザ・ジュ・ジュ・ハウンズ

イジー・ストラドリン&ザ・ジュ・ジュ・ハウンズ

  • UICY-16378

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  • イジー・ストラドリンはガンズ・アンド・ローゼズ初期のメイン・ソングライターだったリズム・ギタリスト。イジーは1991年の『ユーズ・ユア・イリュージョン』リリース後にガンズを脱退、その翌年に発表されたデビュー・アルバムが本作だ。ガンズの楽曲では雑多な音楽要素がどろどろに溶けつつ独特の均整を得ていたが、本作ではそうした音楽要素が明確に切り分けられ、それでいて燻し銀の個性を確立している。60年代ローリング・ストーンズと80年代ハードコア・パンクの間にあるようなサウンドは渋みと分かりやすさの両立が絶妙で、聴けば聴くほど味が増す。ストーンズのロン・ウッドをはじめとしたゲスト陣はもちろん、バンドメンバーの演奏も素晴らしい。初期ガンズへの理解を深める手掛かりとしても優れた作品だ。(s.h.i.)

ヴァレンシア

ガイア

  • UICY-16379

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  • オランダ出身のマルチプレイヤーで、このデビュー作が日本でもブレイクした。クイーンからの影響を隠さないどころか、徹底的にディテールを追い求め、後に『クイーン・トリビュート』なる作品もリリースしたほど。本作のタイトル曲が象徴的なように、美しき旋律を泳ぐ心地よさがどこまで続く様は、クイーンの音楽をさらに濾過して研ぎ澄ませようと試みている。自らの声を重ねながら構成される、厚みのあるメロディの美しさは、ポップでありながら、荘厳な緊迫感を作り出していく。同郷のヴァレンタインとの共演作も話題となったが、彼自身の始点である本作にあらゆる要素が詰まっている。デビュー時点における完成度の高さに改めて驚かされる。(武田砂鉄)

エアロスミス

ゲット・ア・グリップ

  • UICY-80549

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  •  両翼がもがれたどん底時代から再びロックンロールの最前線に戻ってきた80年代を経て、70年代的不良性感度は失わずに90年代のメインストリームをその手に掴んだとも言えるアルバム。2曲目に収録された「Eat the Rich」冒頭のジョー・ペリー(G)の切れ味鋭いリフが、そのすべてを物語る。新たな黄金時代の到来を遂げるリフだ。前々作『Permanent Vacation』(1987)から続いているジム・ヴァランスやデズモンド・チャイルドといった外部ライター陣との共作も多く収録されているが、脂が乗り切っている状態のバンドと見事な化学反応が起きたと言っていい。オルタナもグランジも俺らには関係ねぇ!と言わんばかりの気合と自信がアルバム全体に漲っている。(梅沢直幸)

エアロスミス

ナイン・ライヴズ

  • UICY-80550

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  •  大成功を収めた前作『Get A Grip』から4年。レーベルをGeffenから70年代に共闘したColumbia に、プロデューサーも80年代後半からの復活劇を支えてきたブルース・フェアバーンからケヴィン・シャーリーに変更して臨んだ通算12 枚目。エディ・クレイマー(Ds)のメンタル問題で当初はドラマー不在のままレコーディングが進み、一時は解散説まで流れてバンドは久々に揺れに揺れた。しかし、蓋を開けてみれば、前作から続くキャッチーでビック・サウンドなロックンロールと、もはや得意技ともなったロッカ・バラードは今作でも健在。全米チャートでは1位を獲得し200万枚以上を売り上げ、日本でもオリコン総合アルバム・チャートで3位を記録した。(梅沢直幸)

エクストリーム

ポルノグラフィティ

  • UICY-25146

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  • ファンク・メタルの代表格としても知られる歴史的名盤。ファンクのグルーヴを的確に受け継いだリズム隊(そうでもない1曲目とそのものな2曲目以降が好対照になっている)にヌーノ・ベッテンコートの超絶ギターが自然に溶け込むアレンジが全編素晴らしく、演奏技術とソングライティングの両面において後続に大きな影響を与えた。名バラード「モア・ザン・ワーズ」を筆頭にコード遣いも洗練されており、そこにリフ作りのうまさが伴ったからこそこれほどの作品が生まれたのだとも思われる。ロック的な勢いと繊細な力加減を完璧に兼ね備えた傑作だ。レッド・ホット・チリ・ペッパーズやリヴィング・カラー、フェイス・ノーモアやレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンなどの同時期の作品と聴き比べるのも興味深いアルバム。(s.h.i.)

エクストリーム

スリー・サイズ・トゥ・エヴリ・ストーリー

  • UICY-25147

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  • 3部構成からなる3作目のアルバム。1〜6曲目の「Yours」は前作『ポルノグラフィティ』に連なるハード・ロック寄りの曲調、7〜11曲目の「Mine」は対照的に内省的な曲調、12〜14曲目の「The Truth」はプログレッシヴ・ロックを意識した3部構成の組曲からなる。ヒット・シングルが収録されていなかったこと、当時台頭しつつあったグランジ的な価値観とは距離のある音楽性ということもあってか商業的には振るわなかったが、作品としての出来は優れており、ファンからは最高傑作と評されることも少なくない。歌詞で繰り返し引用されるザ・ビートルズや、ピーター・ガブリエル在籍期のジェネシスなどに通ずる味わいもある見事なアルバムだ。近年のアーティストで言えば、ジェイコブ・コリアーあたりが好きな人が聴いても面白いかもしれない。(s.h.i.)

ガンズ・アンド・ローゼズ

ユーズ・ユア・イリュージョンⅠ

  • UICY-16130

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  • 1987年発表の『アペタイト・フォー・ディストラクション』でそれ以前のロックの常識を塗り替えたガンズ。そのデビュー作発表から4年を経て同時発売されたのは、共通のタイトルとアートワークを伴った2枚のアルバムだった。二代目ドラマーのマット・ソーラム、キーボード奏者のディジー・リードを要する布陣での初音源であり、作曲面での要というべきギタリストのイジー・ストラドリンにとっては逆にこの2枚が最後の参加作となった。デビュー以前からのレパートリーやカヴァー曲、イジーがヴォーカルをとる曲、前作にはなかったピアノ主体の劇的楽曲などが、2枚にバランス良く振り分けられている。名曲“ノーヴェンバー・レイン”はこちらに収録。(増田勇一)

ガンズ・アンド・ローゼズ

ユーズ・ユア・イリュージョンⅠ デラックス・エディション

  • UICY-16128/9

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  • 1987年発表の『アペタイト・フォー・ディストラクション』でそれ以前のロックの常識を塗り替えたガンズ。そのデビュー作発表から4年を経て同時発売されたのは、共通のタイトルとアートワークを伴った2枚のアルバムだった。二代目ドラマーのマット・ソーラム、キーボード奏者のディジー・リードを要する布陣での初音源であり、作曲面での要というべきギタリストのイジー・ストラドリンにとっては逆にこの2枚が最後の参加作となった。デビュー以前からのレパートリーやカヴァー曲、イジーがヴォーカルをとる曲、前作にはなかったピアノ主体の劇的楽曲などが、2枚にバランス良く振り分けられている。名曲“ノーヴェンバー・レイン”はこちらに収録。(増田勇一)

ガンズ・アンド・ローゼズ

ユーズ・ユア・イリュージョンⅡ

  • UICY-16133

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  • 同時発売された2作品のうち全米チャートで1位に輝いたのはこちらの『Ⅱ』。言い方を変えれば『Ⅰ』の首位獲得を阻んだのも本作だった。映画『ターミネーター2』の主題歌として先行リリースされていた“ユー・クッド・ビー・マイン”、ボブ・ディランの“ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア”のカヴァー、名バラード“イストレインジド”などはこちらに収録。対を成すこの2作品を通じて言えるのは、アルバムとしてのトータリティや物語性はさほど重視されておらず、むしろ「すべてを出し尽くすこと」が最優先されていると思われる点。アクセル・ローズはこの時点ですでに過去の楽曲を一掃して自らをリセットするという構想を抱えていたのかもしれない。(増田勇一)

ガンズ・アンド・ローゼズ

ユーズ・ユア・イリュージョンⅡ デラックス・エディション

  • UICY-16131/2

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  • 同時発売された2作品のうち全米チャートで1位に輝いたのはこちらの『Ⅱ』。言い方を変えれば『Ⅰ』の首位獲得を阻んだのも本作だった。映画『ターミネーター2』の主題歌として先行リリースされていた“ユー・クッド・ビー・マイン”、ボブ・ディランの“ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア”のカヴァー、名バラード“イストレインジド”などはこちらに収録。対を成すこの2作品を通じて言えるのは、アルバムとしてのトータリティや物語性はさほど重視されておらず、むしろ「すべてを出し尽くすこと」が最優先されていると思われる点。アクセル・ローズはこの時点ですでに過去の楽曲を一掃して自らをリセットするという構想を抱えていたのかもしれない。(増田勇一)

ガンズ・アンド・ローゼズ

スパゲッティ・インシデント?

  • UICY-20219

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  • ガンズが初期のうちから抱えていた構想のひとつにパンク・カヴァーEPの制作があった。本作はいわばそれが拡大されたもので、セックス・ピストルズをはじめとするパンク曲を軸としつつも、それにとどまらない選曲のカヴァー集となっている。ベーシックな録音は『ユーズ~』制作期に済んでいたが、その後、ツアー中に赴いた各地のスタジオでの作業も経ながら完成に至った。イジー脱退後に起用されたギルビー・クラーク(g)が参加した唯一のスタジオ作でもあり、ダフ・マッケイガンが歌う“アティテュード”(ミスフィッツ)や“ニュー・ローズ”(ザ・ダムド)は今もライヴでたびたび演奏されている。また、音質の素晴らしさも特筆すべき点のひとつだ。(増田勇一)

ガンズ・アンド・ローゼズ

ライヴ・エラ ’87 - ’93

  • UICY-16348/9

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  • 現時点においてガンズ史上唯一となるフルサイズのライヴ・アルバム。タイトルからは1987年から1993年にかけての収録音源により構成されていることが窺えるが、これは『アペタイト~』でのメジャー・デビューから『ユーズ・ユア・イリュージョンⅠ/Ⅱ』に伴うワールド・ツアー終了までを指し、正式なクレジットはないものの1992年2月に行なわれた東京ドーム公演の際の音源も含まれている。まさに破竹の勢いという言葉が似つかわしい時代のライヴを堪能できるが、この7年間が“ライヴ期”だったのに対し、以降はいわばバンドとして“デッド”な状態が続いていたことを考えると、このシンプルな表題にも意味深長さを感じずにいられなくなる。(増田勇一)

クイーンズライチ

エンパイア

  • UICY-25523

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  • クイーンズライチは、いわゆるプログレッシヴ・メタルの文脈においてラッシュとドリーム・シアターの間に位置する世代の代表格であり、少なくとも次作『プロミスド・ランド』(1994年)までは前掲2バンドの全盛期に匹敵する達成をしたバンドと言えるだろう。コンセプト・アルバムの歴史的名盤『オペレーション:マインドクライム』(1988年)に続いて発表された本作は、全米だけで350万枚以上を売り上げた最大のヒット作。音作りは隅々まで高品質、HR/HM史上最も洗練されたサウンドの一つとさえ言えるが、アレンジ面での捻りは過去作以上の部分も多く、キャッチーさと奥深さが極めて高い次元で両立されている。影響源であるというピンク・フロイドなどに通ずる要素も確かにあるが、総体としては全く異なる個性を確立した傑作だ。(s.h.i.)

ゲイリー・ムーア

スティル・ゴット・ザ・ブルーズ

  • UICY-25505

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  • アイルランド出身のギタリストがブルーズへの回帰を果たした作品。あらゆる感情の起伏をギター1本で創出してきた彼のアイデンティティを今一度知らしめる作品となった。たとえば「ミッドナイト・ブルーズ」における包み込むようなギタープレイと渋みに満ちた声色の溶け込み方は、彼の円熟と新たな門出を同時に知らせている。その後、ブルーズに傾倒した作品を重ね、ロックファンの耳からは厳しい評価を下されたが、2011年に亡くなる前には、ハードロックとブルーズ、それぞれのキャリアを大切に重ね合わせるようなプレイをしていた。残念ながら閉じてしまった歴史を振り返ると、このアルバムにおける回帰と分岐は重要な転換点だった。(武田砂鉄)

シンデレラ

ハートブレイク・ステーション

  • UICY-25156

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  • 1980年代のアメリカンハードロックのポジティブな空気感は、現時点から振り返ると軽んじられるのだが、バンドごとに因数分解して論じる必要がある。バンド名からして甘く見られがちなのがこのバンドだが、ブルーズ志向を強く持っていた。1990年発表のこの3枚目では、ハードロック色を少しずつ薄めながら、それぞれの楽曲を丁寧に聞かせていくスタイル。表題曲のバラードソングが知られているが、パーティーに興じるロックからゆっくりと体を離している。ここから時代はグランジ・オルタナの勢いが増していくわけだが、その境目に生まれた、再評価されるべき円熟味のある作品。トム・キーファーの歌声がデビュー期よりも艶っぽい。(武田砂鉄)

ジョン・サイクス

プリーズ・ドント・リーヴ・ミー

  • UICY-25650

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  • 2025年に訃報が届いてしまったギタリストによる、言わずと知れた名曲「プリーズ・ドント・リーヴ・ミー」。歌詞の内容こそ、未練タラタラの失恋ソングだが、情感溢れるギターの音色が、どこまでも優しく広がっていく。オリジナルヴァージョンで歌っているのはシン・リジィのフィル・ライノット。寡作だったジョンの活動は「あの時、誰それと組んでいればこうなったのではないか……」という「たられば」の連続ではあるが、フィルとの活動、そしてこの楽曲の存在は、ジョンの才能を明確に証明する一曲となった。没後、繰り返しこの曲を聴いたが、ジョンからの別れの挨拶に聴こえなくもないのが何とも寂しい。褪せることのない名曲だ。(武田砂鉄)

ジョン・ボン・ジョヴィ

ブレイズ・オブ・グローリー

  • UICY-20459

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  • ジョン・ボン・ジョヴィ初のソロ・アルバムは、彼の友人であるエミリオ・エステベス主演の映画『ヤング・ガン2』と関わりの深いものとなった。エステベス側が彼に“ウォンテッド・デッド・オア・アライヴ”の劇中使用について許諾を求めてきたことが発端となり、その一件が発展する形で、同映画にインスパイアされたアルバムという形で登場することになったのだ。そうした背景や、映画自体がいわゆる西部劇であることからも察することができるように、カウボーイ的世界観を伴ったアーシーな感触の作風になっており、のちのボン・ジョヴィ作品への架け橋的な役割を果たしたともいえる。表題曲のシングルは全米1位、アルバム自体も最高3位を記録。(増田勇一)

ジョン・ボン・ジョヴィ

デスティネイション・エニィホエア

  • UICY-16389

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  • ジョンの2ndソロ・アルバムにあたる本作は、前作とも従来のボン・ジョヴィ作品とも趣を異にするものとなった。プロデューサー/共作陣には、かねてから所縁深いデズモンド・チャイルドのみならず、フーターズのエリック・バジリアン、ユーリズミックスのデイヴ・スチュワートが名を連ねており、作品全体を通じてループなどが多用された同時代的なアプローチには、スチュワート起用による影響が色濃くみられる。ミディアム・テンポ未満の楽曲が多く、いつになく低めのキーでの歌唱が目立ち、アッパー感が抑えられた作風になっているが、タイトル自体が示すように、彼自身が方向性を選ばない表現者であることを証明する静かな野心作といえるだろう。(増田勇一)

スコーピオンズ

クレイジー・ワールド

  • UICY-25157

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  • メタルが逆風にさらされていた90年代にも、時流とは無関係に高い支持を獲得し続けていたバンドのひとつがスコーピオンズだ。通算第11作にあたる本作は全米チャートでは最高21位にとどまっているが(母国ドイツでは当然ながら首位)、ここから生まれたシングル“ウィンド・オブ・チェンジ”は4位まで上昇し、しかも文字どおりワールドワイドな共鳴を集め、ロシア語ヴァージョンまで登場するに至っている。全身全霊のライヴ・パフォーマンスで支持を集めてきた彼らが、まるで世界をつなぐ音楽大使のような役割を果たすようになった切っ掛けは同楽曲にある。そしてもちろん本作には、彼らならではの鋭利なキラーチューンがぎっしりと詰まっている。(増田勇一)

デフ・レパード

アドレナライズ

  • UICY-16380

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  • リック・アレン(ds)の交通事故による存続の危機を乗り越えて『ヒステリア』(1987年)を完成させた彼らだが、1991年にはスティーヴ・クラーク(g)が他界。同作に続くこの第5作でも彼の名前は作曲者のひとりとしてクレジットされているが、ギターはすべてフィル・コリンの演奏によるもので、結果的に本作はこのバンドにとって初の「4人で作られた作品」として世に出ている。それまで3作連続で起用されていたプロデューサーのマット・ラングもここには不在だ。ただ、誰の耳にも彼らだとわかる独自性は少しも損なわれていないし、彼ら自身のルーツの一部であるグラム・ロック的なポップさも魅力的だ。英米双方のアルバム・チャートで首位に輝いている。(増田勇一)

デフ・レパード

レトロ・アクティヴ

  • UICY-16381

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  • 『アドレナライズ』完成後にヴィヴィアン・キャンベル(g)を迎え入れ、新体制となったデフ・レパード。その彼にとって初の参加作となったのが、シングルのカップリング曲や未発表テイクなどを集めたこの規格外アルバムだった。シングルカットされて全米12位を記録した“トゥ・ステップス・ビハインド”のアコースティック・ヴァージョンをはじめ、スウィートの“アクション”、ミック・ロンソンの“オンリー・アフター・ダーク”といった彼らの音楽的背景が垣間見られるカヴァー曲も収録。同時に本作は、生前のスティーヴ・クラークの演奏を聴くことのできる最後の作品となった。企画モノの次元を超えた、隠れたマスト・アイテムと言っていいだろう。(増田勇一)

デフ・レパード

スラング

  • UICY-16382

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  • 1996年当時、グランジ/オルタナティヴはもはや新興勢力ではなく世の主流となり、80年代にメインストリームとされていたものは完全に隅に追いやられていた。そんな状況下で登場したこの第6作については、「従来のスタイルから脱却した冒険的作品」と見る向きもあれば、単純に「デフ・レパードらしくない」といった声もあがり、発売当初から賛否両論が渦巻いた。彼らのこれまでの歴史において唯一、あのお馴染みのロゴがジャケットに描かれていない作品でもある。ただ、分厚いヴォーカル・ハーモニーやグラム・ロック的なポップさ、キラキラした響きが排除されているからこそのリアリティや色気がここにはある。もっと再評価されて然るべき1枚だろう。(増田勇一)

デフ・レパード

ユーフォリア

  • UICY-16383

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  • ダークな色調を漂わせていた『スラング』から一転、この第7作ではデフ・レパードならではのシグネチャー・サウンドというべきものが改めて堂々と提示されている。そうした変化は各方面から概ね好意的に受け入れられたが、もはやロック作品が何百万枚ものセールスをあげる時代ではなくなっていた。それゆえに本作が80年代のようなメガ・ヒットを記録することはなかったが、この局面での原点回帰には、前作での試行錯誤を経ていたからこその説得力が感じられたものだ。そして何よりも強調しておきたいのは、音楽シーンのトレンドがいかに変わろうとデフ・レパードのアルバムにはいつだって“いい曲”がたくさん詰め込まれていたという事実である。(増田勇一)

ヌーノ

スキゾフォニック

  • UICY-25655

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  • エクストリームの中心人物であるヌーノ・ベッテンコートのソロ・デビュー・アルバム。ヌーノはプリンス(ポピュラー音楽の歴史を代表する天才)から史上最高のギタリスト3人のうちの1人と評されたように技術と発想の両面で傑出した音楽家だが、本作ではほぼ全曲でドラムやベースも含む全パートを独り多重録音。レッド・ツェッペリンとマッシヴ・アタックの間にあるような豊かな音楽性を描き出している。ボーカルも実にいい感じで、ハード・ロック的なコシも備えつつ穏やかな質感が映える歌い方は、オルタナティヴ・ロック的な方向性に実によく合っている。テクニカルなフレーズよりも歌ものとしての風通しの良さが前面に出ているのも好ましい。親しみやすさと不思議な奥行きを兼ね備えた逸品だ。(s.h.i.)

ネルソン

アフター・ザ・レイン

  • UICY-25657

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  • 全米17位を記録した、双子のマシュー&ガナーのネルソン兄弟によるバンドのデビュー作。父親はあのリッキー・ネルソンだ。ジャケット写真で強調されているようにいわゆる「甘いマスク」の二人だが、ハーモニー、ポップセンスなど洗練された楽曲が粒ぞろいである。当時の売れ筋路線を狙った曲の展開が続くのだが、確かすぎる演奏力もあって、デビュー作とは思えない出来である。日本でもCMに出演するなど人気を博し、来日ツアーも敢行した。それ以降、グランジブームに片足を突っ込もうとした作品が続いたこともありパッとしなかった。結果的に、彼らの良き要素がこの1枚にすべて詰め込まれたとも言える。(武田砂鉄)

バックチェリー

バックチェリー

  • UICY-16390

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  • サウンドは明らかに70s〜80sハードロック。1999年リリースの本作は、当時クリードなどのオルタナ/ポストグランジ、リンプビズキットなどのニューメタル全盛時代にあって、懐古的とみなされていた。ただ、ミックスは90年代後半のややモダンな処理が施されており、ただの懐古というよりは再商品化/再パッケージ化に近いか。それに、今聴くと、余計な装飾がないぶんリフとリズムが一直線に聴こえ、非常にストレートなロック・アルバムとして立ち上がってくる。何より、ハスキーだが潰れていなくて、野卑だが下品すぎず、フロントマンとしての説得力に満ちたジョシュ・トッドの声がすばらしい! シンプルさと安定感が時を超えて迫ってくる、古くならない傑作。(つやちゃん)

ブラック・クロウズ

シェイク・ユア・マネー・メイカー[30周年記念エディション]

  • UICY-15967

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  • 精力的なツアーによって、じわじわと売れていったデビューアルバム。南部出身ならではのブルージーな感触の本作がヒットしたのは、グラムメタルの過剰さと産業的サウンドが飽和し切った1990年というタイミングにぴったりだったからだろう。ミック・ジャガーを思わせるクリス・ロビンソンのヴォーカルや、フェイセス直系のルーズなグルーヴからも分かる通り、いわゆるストーンズ的なブルースを90年代の身体感覚で鳴らしている。編集・補正されたサウンドが一般化した現在の視点で聴いてみると、演奏が前のめり/後ろ倒しに揺れ、泥臭さがすごい。1990年という時代の転換点に生まれた、味わい深いロックの貴重な資料と言えるだろう。(つやちゃん)

ブラック・クロウズ

シェイク・ユア・マネー・メイカー[30周年記念2CDエディション]

  • UICY-15968/9

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  • 精力的なツアーによって、じわじわと売れていったデビューアルバム。南部出身ならではのブルージーな感触の本作がヒットしたのは、グラムメタルの過剰さと産業的サウンドが飽和し切った1990年というタイミングにぴったりだったからだろう。ミック・ジャガーを思わせるクリス・ロビンソンのヴォーカルや、フェイセス直系のルーズなグルーヴからも分かる通り、いわゆるストーンズ的なブルースを90年代の身体感覚で鳴らしている。編集・補正されたサウンドが一般化した現在の視点で聴いてみると、演奏が前のめり/後ろ倒しに揺れ、泥臭さがすごい。1990年という時代の転換点に生まれた、味わい深いロックの貴重な資料と言えるだろう。(つやちゃん)

ブラック・クロウズ

サザン・ハーモニー[2CDデラックス・エディション]

  • UICY-16198/9

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  • ジェフ・シーズの後任として、マーク・フォードがリードギターを担当した1992年リリースのセカンド。冒頭の「Sting Me」や「Remedy」「My Morning Song」から伝わる通り、分かりやすくクライマックスに向かうのではなく、熱量が場に充満していくプロセスをジリジリと描いたような実に生々しい曲群だ。時代がオルタナティヴな空気で覆われる中、グランジが唯一の正解だったわけではない――その裏で、ブルースもR&Bもゴスペルもサザンソウルも、全てをアメリカ音楽の交差点として昇華していったのが本作。メンバーのフィジカルが、ビシビシと伝わってきて痺れる。バンドの音楽性が確固たる骨太さを得たことで、全米1位のヒットを記録した。(つやちゃん)

ブラック・クロウズ

アモリカ

  • UICY-16342

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  • セールスは好調、さらにライブバンドとしても評価を確立し、商業的にも文化的にも勢いが頂点に達した彼ら。サードアルバムで向かったのは、さらなる南部らしさの追求だった。キャッチーさを削ぎ、展開を遅くし、グルーヴを粘らせ、ねっとりした印象を最大限に押し出す――まさかそこまでやるとは、という粘着力。また、クリス・ロビンソンの精神的な混乱~内省を反映した部分もあるのだろう。それぞれに溜まっていた泥を、そのまま掬い上げてしまったようなアルバムだ。「Nonfiction」のようなカントリー風の曲も、楽し気なサウンドとは裏腹に、歌詞で歌っている内容はダーク。ここまでたどり着いたかと唸る、ひとつの到達点。(つやちゃん)

ブラック・クロウズ

スリー・スネイクス・アンド・ワン・チャーム

  • UICY-16384

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  • ブルース・ロックと呼ばれうる音楽スタイルにおいて、ブラック・クロウズは史上最高のバンドのひとつだろう。アメリカ南部の音楽語彙を軸としつつ広く深いミクスチャーを行う作風はソングライティングも演奏も極上で、ザ・バンドやリトル・フィートといった歴史的名グループに勝るとも劣らない魅力に満ちている。代表作として挙げられるのは最初の3枚で、4枚目である本作以降は売り上げが振るわなくなったこともあって見過ごされがちなのだが、比較的ストレートだった1枚目に比べ分かりやすいアピールが減ったというだけで、複雑な滋味はむしろ増している。伝統的な型を保ちつつ個性的な冴えをみせるリフ遣いは特に素晴らしい。ロック・ファン以外もぜひ聴き込んでみてほしい逸品だ。(s.h.i.)

ブラック・クロウズ

バイ・ユア・サイド

  • UICY-16385

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  • 5作目のアルバム。ブラック・クロウズはミドル・テンポ(料理するのが難しく音楽家としての地力が特に出てしまうアレンジ)を得意とするバンドで、2作目から4作目ではそうした持ち味に集中的に取り組んできたが、本作では1作目のストレートな勢いを取り戻そうとした形跡が伺える。そうした方向転換に呼応するかのようにギターまわりの厚みも増していて、ハード・ロックが好きな人からすれば本作が最も馴染みやすいかも。そしてその上で、前作までで培われた作編曲の奥行きやミドル・テンポの旨さも活かされているのが凄い。このバンドの4作目以降は、自身の過去作やローリング・ストーンズなどと安易に比較され過小評価されてきたが、聴くほどにはまる深みは初期の名作群に引けを取らない。未聴の方はぜひ。(s.h.i.)

ブルー・マーダー

ナッシング・バット・トラブル+1

  • UICY-25163

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  • ジョン・サイクスがトニー・フランクリン、カーマイン・アピスと組んだバンド。そのメンバーを入れ替えた上でようやくリリースされたセカンドアルバム。難産となったが、アルバム冒頭の「ウィー・オール・フォール・ダウン」の振り切った疾走感は何度聴いても奮い立つものがある。エモーショナルに歌い上げる「セイヴ・マイ・ラヴ」など、アルバム全体としての緩急があり、ジョン自身がやりたかったハードロックの形が具現化している。ホワイトスネイク時代に溜まった鬱憤なのか、晴れやかで前のめりなエネルギーに満ちている。当初、専属のヴォーカルを入れる予定もあったようだが、ジョンのヴォーカルがとにかくタフで、功を奏している。(武田砂鉄)

ホワイト・ゾンビ

アストロ・クリープ:2000

  • UICY-16391

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  • ミスフィッツ的なB級ホラーパンクに60〜70年代ホラー映画、コミックなどの要素をミックスし、一切のアイロニーなしに肯定した重要作。サウンドはインダストリアル~ダンスビートを軸にしており、ミニストリーやナイン・インチ・ネイルズが機械的暴力性を更新し、パンテラ以降のグルーヴ・メタルが主流化した時代にぴったり。もちろん今聴くと音は軽くてプラスチック的に聴こえるが、それが90年代特有のサイバー感を生んでいる。逆に、今では狙っても出せない音だろう。しかもリフはキャッチーで、どこかコミカルなグロさが悪趣味で楽しい。90年代インダストリアルのポップ・アーカイブであり、ホラー美学をメタルで大衆化した決定打と言える。(つやちゃん)

ボン・ジョヴィ

キープ・ザ・フェイス +2

  • UICY-20188

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  • 80年代の巨大な成功は、富や名声ばかりではなく、バンドに多大な消耗と解散の危機までもたらすことになった。しかもグランジの台頭により、コマーシャルなハード・ロックが前時代的なものとして軽視され始めていた頃でもある。そして、そうした時流に伴う雑音を遮断しながら従来以上に深みや多様性を求めたのがこの第5作だった。その成熟度の影には、従来のマネージメントを離れてジョン自身がより活動面での舵を取るようになったこと、彼が自己初のソロ作発表を経ていたことの影響も見てとれる。新たな結束と決意を感じさせる表題とアートワークも象徴的だ。米国でのセールスはやや減少したものの、UKチャートでは前作に続き見事に首位を獲得。(増田勇一)

ボン・ジョヴィ

ジーズ・デイズ+2

  • UICY-20189

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  • 1994年に発売された初のベスト・アルバム『クロス・ロード』と、同作から生まれたシングル“オールウェイズ”の大ヒットにより、ボン・ジョヴィ再評価熱が高まるなかで登場した第6作。オリジナル・ベーシストだったアレック・ジョン・サッチの脱退により4人体制での最初の作品となったが、ジョン個人の色味が強かった前作に対し、彼とリッチー・サンボラの作曲チームの有機的な魅力が色濃く感じられる仕上がりになっている。いわば両者が20代だった頃に開花したものが、30代なかばを迎えていたこの当時なりの成熟に至っていたことを示す1枚となっており、とにかく曲が粒揃いだ。このアルバムを彼らの最高傑作と推す声が少なくないのも頷ける。(増田勇一)

マノウォー

ラウダー・ザン・ヘル

  • UICY-16392

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  • 存在そのものがヘヴィメタル、雄々しさを最大限の力でかき鳴らすマノウォーの8作目。スコット・コロンバスがドラマーに復帰、ギタリストがカール・ローガンに代わっている。彼らのアプローチは、どの作品であろうとも不変だ。どこまでも暑苦しく、どこまでもファストに攻める。このアルバムを締めくくる「ザ・パワー」の過剰な展開は、ヘヴィメタルとはいかなる産物かとの問いへの回答とも言えるのではないか。偽のヘヴィメタルを潰し、本物だけが生き残らなければならないというジョーイ・ディマイオの一貫した哲学は、「ナンバー1」と題した楽曲にも表れている。ヘヴィメタルはかくあるべきか、自問自答を続けている。(武田砂鉄)

メガデス

ラスト・イン・ピース

  • TOCP-95119

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  • 最高傑作の呼び声も高い4作目。それまでの“インテレクチュアル・スラッシュ・メタル”路線(1作目と2作目はジャズ+メタルの先駆けとしても重要な大傑作)を引き継ぎつつメロディアスなヘヴィ・メタルに接近した作品として知られるが、後世の視点で捉え直すなら、この時期に台頭してきたグルーヴ・メタルの潮流(パンテラ『カウボーイズ・フロム・ヘル』の発売日は本作の2ヶ月前)に見事に対応した作品ともみなせるだろう。マーティ・フリードマンの叙情的なギターがHR/HMファンに強くアピールする一方で、タメと勢いを美しく両立するバンドサウンドはニューメタルやメタルコアで育った世代にも刺さるはず。冒頭の歴史的名曲2連発を筆頭に楽曲も優れたものばかり。メガデス最初の一枚としておすすめの名盤だ。(s.h.i.)

メガデス

破滅へのカウントダウン

  • TOCP-95120

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  • 全米チャート2位を記録、売上の面ではキャリアハイとなった5作目。ミドルテンポのリフ中心なスタイルは、前年に発表されたメタリカ『メタリカ』などとともに、スラッシュ・メタルから離れて伝統的なヘヴィ・メタルに接近したものとも解釈されたが、どちらかといえばヘルメットやアリス・イン・チェインズのような同時代のヘヴィ・ロックのほうが近い気もする。代表曲「スウェッティング・ブレッツ」はラップ・メタルともみなせるし、AC/DCやエアロスミスに通ずるロックンロール・グルーヴが随所で映えているのも興味深い(アメリカで売れた理由はこのあたりにもあるのでは)。その上で、鋭さと潤いを兼ね備えたサウンドがHR/HM的なツボを突いてくれるのも絶妙だ。ミクスチャー・ロックの観点からも再評価されるべき傑作。(s.h.i.)

メガデス

ユースアネイジア

  • TOCP-95121

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  • 前作の大ヒットに伴う過酷なツアーのなか、中心人物であるデイヴ・ムステインの薬物およびアルコールの問題が再発、活動休止と治療を経て制作された6作目(タイトルは「若者」と「安楽死」を繋げた造語)。前作のスタイルを引き継ぐ一方で、名バラード「ア・トゥー・ル・モンド」を筆頭にメランコリックな雰囲気が前面に出ており、初期の勢いあふれる作風を求めると肩透かしを食ってしまう感はある。しかし、ムーディーで落ち着いた語り口に独特の不穏さや暗黒浮遊感が伴う雰囲気は他に類をみないもので、慣れるとどんどん惹き込まれていく。“大人のメタル”みたいな形容が良い意味でこれほどはまるアルバムは稀なのでは。全体的に地味な印象はあるが、このバンドでなければ生み出せないタイプの優れた作品だ。(s.h.i.)

メガデス

クリプティック・ライティングス

  • TOCP-95122

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  • ムーディーになった前作の路線を推し進めつつ、初期に通ずる速い曲(代表曲「シー・ウルフ」など)も程よく組み込んだ7作目。著名なポップ・プロデューサーであるダン・ハフが制作を主導したこともあってか、過去作に比べだいぶ耳あたりの良い仕上がりになっているが、メガデスというバンド名のイメージから逸脱しきらない不穏さも保たれているのが見事で、デイヴ・ムステインのソングライターとしての巧さや器用さが良い方向に作用している。当時のシーン(ニューメタルやラップメタルの隆盛期)の潮流から外れている感はあるが、そうしたスタイルでもやれる(5作目はその先駆けと言えるだろう)にもかかわらずあえて本作のような路線をとったところに矜持が滲んでいるとも取れる。滋味深く聴きやすい充実作。(s.h.i.)

メガデス

リスク

  • TOCP-95123

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  • 自他ともに認める問題作となった8作目。前作に続きダン・ハフがプロデューサーを務め、メタルというよりも広義のロックに接近した音像になっている。本作における最大の問題はやはり「メガデス」という名義に伴うイメージで、その影響もあってかラジオでオンエアされにくく宣伝に苦戦し、改名も議論されたという。しかし、楽曲はいずれも優れたものばかり。ポップスとニューメタルの間にある(どちらに徹することもできていない)多彩な曲調とサウンドからは迷いも感じられるが、明るくなっても甘くなりすぎない匙加減は流石で、アルバム全体の流れも良い。中期レッド・ツェッペリンに通ずるカントリー風味が随所で活きているのも好ましい。他作品とあわせてぜひ聴いてみてほしい一枚だ。(s.h.i.)

メタリカ

メタリカ(リマスター)

  • UICY-16006

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  • 通称“ブラック・アルバム”。前作まで残っていたスラッシュ・メタル臭は皆無。グランジ勃興と呼応するかのようなグルーヴ感のあるリフ、シンプルになった曲構成、ヘヴィさを際立たせるサウンド・プロダクションは、自らの手で80年代メタルを葬り去り、90年代メタルのスタンダードにもなった。そして、METALLICA初となる「billboard 200」1位はおろか、現時点で全世界で3000万枚以上売れ続けている…つまり、メタルどころかロック全般においても、いまだに新しい世代も含めて聴かれ続けているという、超弩級の怪物盤でもある。METALLICA史上最大のヒット曲でもある1曲目の「Enter Sandman」も、今や世界的ロック・アンセム/メタル国歌と化した。(梅沢直幸)

メタリカ

メタリカ(リマスター・デラックス)

  • UICY-16003/5

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  • 通称“ブラック・アルバム”。前作まで残っていたスラッシュ・メタル臭は皆無。グランジ勃興と呼応するかのようなグルーヴ感のあるリフ、シンプルになった曲構成、ヘヴィさを際立たせるサウンド・プロダクションは、自らの手で80年代メタルを葬り去り、90年代メタルのスタンダードにもなった。そして、METALLICA初となる「billboard 200」1位はおろか、現時点で全世界で3000万枚以上売れ続けている…つまり、メタルどころかロック全般においても、いまだに新しい世代も含めて聴かれ続けているという、超弩級の怪物盤でもある。METALLICA史上最大のヒット曲でもある1曲目の「Enter Sandman」も、今や世界的ロック・アンセム/メタル国歌と化した。(梅沢直幸)

メタリカ

LOAD(リマスター)

  • UICY-16299

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  • 前作の世界的大ヒットで、次の動きにはかつてないほどの視線が注がれていた。そんな中で出した答えが、自ら“ROCKTALLICA”と表現した脱メタル的アルバムだ。ミドル・テンポ主体、オルタナティヴの波を捉えた内省的メロディ、ブルーズやサザン・ロックの匂いがする粘り気のあるリフ、そして、アート志向を強めたヴィジュアル。原理主義連中からは非難轟々だったが、アルバム毎に進化と変化を遂げてきたバンドにとって、『Metallica』から『Load』への大胆な変化もまた、必然だった。結果として、『Metallica』で獲得した新たなファンに受け入れられ、今作も各国で1位を獲得。問題作扱いされるが、METALLICAが90年代を堂々と生き抜いた証でもある。(梅沢直幸)

メタリカ

LOAD(リマスター・デラックス)

  • UICY-16300/2

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  • 前作の世界的大ヒットで、次の動きにはかつてないほどの視線が注がれていた。そんな中で出した答えが、自ら“ROCKTALLICA”と表現した脱メタル的アルバムだ。ミドル・テンポ主体、オルタナティヴの波を捉えた内省的メロディ、ブルーズやサザン・ロックの匂いがする粘り気のあるリフ、そして、アート志向を強めたヴィジュアル。原理主義連中からは非難轟々だったが、アルバム毎に進化と変化を遂げてきたバンドにとって、『Metallica』から『Load』への大胆な変化もまた、必然だった。結果として、『Metallica』で獲得した新たなファンに受け入れられ、今作も各国で1位を獲得。問題作扱いされるが、METALLICAが90年代を堂々と生き抜いた証でもある。(梅沢直幸)

ラムシュタイン

渇望

  • POCP-7299

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  • ラムシュタインは変態的な歌詞や凄まじい火力のライブ演出で知られるが、音楽だけをみても突出した実力を持つバンドだ。基本的なスタイルはミニストリーの系譜にあるインダストリアル・メタルだが、出身国ドイツならではのオペラ様式やニューウェーブ(D.A.F.を筆頭とする所謂ノイエ・ドイチェ・ヴェレや、デペッシュ・モードetc.)、テクノなどのビート感覚を取り込み再構築した音楽性は他とは一線を画すもので、理屈抜きの楽しさとジャンル開拓的な深みが両立されている。本作は初期の代表作で、アクセプト『ボールズ・トゥー・ザ・ウォール』あたりにも通ずる重厚な叙情性がたまらない。「ピアノ」におけるブラック・メタル流トレモロ・ギターなども先駆的かつ効果的。他のアルバムも傑作揃いなのでぜひ。そして祈・来日公演。(s.h.i.)

リッチー・コッツェン

マザー・ヘッズ・ファミリー・リユニオン

  • UICY-16393

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  • ポイズン、ミスター・ビッグ、ザ・ワイナリー・ドッグスとバンドを渡り歩いてきた彼だが、やはりソロのギタープレイヤーとしての表現がもっとも自由度が高い。その中でも最高傑作と呼ばれているのがこの作品である。後に『リターン・オブ・ザ・マザー・ヘッズ・ファミリー・リユニオン』と題して続編をリリースしたように、彼の表現活動の土台ともなっている作品だ。ブルージーなサウンドを作り上げる声とうねるようなギターが相互に絡み合い、アダルトな雰囲気を保ちながら、グルーヴィーに前へ前へと進んでいく。見せびらかすようなプレイではなく、一音聴けば彼の音色だとわかるほどの温かみのある特徴的な手さばきが堪能できる。(武田砂鉄)

リッチー・サンボラ

アンディスカヴァ-ド・ソウル

  • UICY-16394

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  • 残念ながらボン・ジョヴィを離れて久しい彼がリリースした2枚目のソロアルバム。冒頭の「メイド・イン・アメリカ」が象徴的なように、より土着的なアメリカン・ロックを披露している。続く「ハード・タイムス・カム・イージー」の軽やかさのように、広大な大地を疾走しているような清々しい曲が連なっている。ボン・ジョヴィ時代にも披露していた野太い声を使い分けながら、曲のヴァリエーションを生み出している。バラード曲「オール・ザット・リアリー・マターズ」の雄大さで、彼のヴォーカルパフォーマンスの高さが立証されている。袂を分かった存在との未来はまだ読めないが、彼もまたバンドを築いた存在であると再認識させられる。(武田砂鉄)

ロビー・ヴァレンタイン

マジック・インフィニティ

  • UICY-16395

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  • オランダ出身、「貴公子」とも呼ばれたマルチ・プレイヤーのセカンドアルバム。後にタッグを組んだヴァレンシアと同様に、クイーンに多大な影響を受けている。オペラのように壮大な展開を作り出しながら、重なるハーモニーやキーボードを効果的に使い、ポップで耳に馴染みやすい楽曲を作り続けてきた。本国よりも日本でブレイクしたのはグランジの波が影響しているのだが、透き通ったメロディラインが次々と繰り出される贅沢な作品。1990年代、メロディックハードロックの世界に「ビッグ・イン・ジャパン」と形容されるようなバンドが数多く出現したが、そのスタート地点にいた存在の一人。月日を経ても錆びない美旋律が重なり合う。(武田砂鉄)

ロブ・ゾンビ

ヘルビリー・デラックス

  • UICY-16396

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  • バンドとしてホワイト・ゾンビを率い、独自のインダストリアル/メタル/ダンスビートを生み出したロブ・ゾンビ。このソロデビュー作では、よりグルーヴ重視となったサウンドにホラー演出が前景化し、彼のキャラクターが誇張され描かれることでヒットを記録した。即物的なビートミュージックはエンタメ性も高く、多くのゲームや映画に楽曲が使用されることに。B級ホラーやスプラッター映画、TVショウ的な悪趣味というアメリカ固有のローカル文脈が色濃いため、日本ではなかなか理解が進まず過小評価されてきた感もあるが、この愛すべき低俗さは唯一無二のものだ。90年代末のアメリカの大衆的サブカルチャーを象徴する、外せない一作である。(つやちゃん)

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  • http://www.universal-music.co.jp/faq/legal/
  • http://www.stopillegaldownload.jp/
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