6月24日LA公演のライヴ・レポートが届きました!

2018.07.05 TOPICS

 6月24日(日)、グレタ・ヴァン・フリートによるロサンゼルス公演が、ハリウッドのジョン・アンソン・フォード・アンフィシアターで行われた。完売になった1,200人収容の劇場は、彼らの音楽を語る際に引き合いに出されるレッド・ツェッペリンのライヴを体験済みの世代から10代の若者達まで、実に幅広い年齢層の男女で埋め尽くされていた。彼らはこの4月、コーチェラ・フェスティバルに出演した後この会場で公演を行っており、今回が2度目の完売公演となる。昨年7月、数百人収容の有名なヴァイパー・ルームで初ロサンゼルス公演を行い、10月には同じく数百人収容の老舗ライブハウス、トルバドールでの計3公演を完売にした彼らだが、今年に入って一気にファン層が拡大している。古き良きブルースに影響を受けた70年代バンドが現代にタイムトリップしたかのようなルックスとサウンドの彼ら。現在の音楽シーンに全く存在していないタイプのオーソドックスなロック・バンドであるがゆえに、年配のロック・ファンが彼らに向ける熱量がもの凄いことを昨年のライブハウス公演を観て実感していたが、遂に同世代の若者達の心もがっちりとつかみ始めた。
 ステージの背後が丘になっている野外劇場のステージ上に焚かれた幻想的な煙の中に4人が登場すると、大歓声と共に観客が総立ちに。ブルージーなリフとジョシュの雄叫びのようなヴォーカルで始まるヒット・シングルの「Highway Tune」でショウは爆発的に幕を開け、オーディエンスは大熱狂。4人とも相変わらずヴィンテージ・ロック・ファッションでばっちりキメているが、ワールド・ミュージックも好むジョシュは特に個性的で、白い羽根つきのヘアバンドに合わせて前面にフェザー模様をあしらった黒い服を着ている。ジョシュの双子の兄弟であるジェイクは21歳(g)、彼らの弟サム(b)は19歳、唯一兄弟ではないダニー(ds)も18歳と、顔つきにまだあどけなさの残る4人だが、1年前にはなかった貫禄とオーラが放たれているのを感じる。続く「Edge of Darkness」や「Flower Power」では、合唱も巻き起こった。昨年発表されたダブルEP『フロム・ザ・ファイアーズ』は8曲入りで1時間以上のショウをやるには持ち曲が少ないのだが、偉大なクラシック・ロック・バンドの再臨のような彼らにとって、その点は問題にならない。ショウの後半、ジョシュは「ブルースは好きかい?」と観客に問いかけ、大歓声を受けてハウリン・ウルフの「Evil (Is Going On)」を披露。さらにラスト曲となったEP未収録の「Lover Leaver Taker Believer」で、彼らは10分ほどの壮絶なジャム・セッションに雪崩れ込み、最後にジョシュが「マ、マ、マ、マー!」と声を上げてジャムに加わって4人のケミストリーの素晴らしさを見せつけた。そしてアンコールは、「Black Smoke Rising」と「Safari Song」。ダニーの見事なドラム・ソロも披露され、最高潮の盛り上がりの中でショウは幕を閉じた。
 8月、SUMMER SONIC 2018でいよいよ初来日を果たすグレタ・ヴァン・フリート。全米で大注目されつつある彼らのパフォーマンスを、ぜひ目撃して欲しい。
(鈴木 美穂)