ピアノの詩人、フレッド・ハーシュがECMからの初トリオ作品をリリース!

2025.05.23 TOPICS

その繊細なタッチと美しい旋律で“ピアノの詩人”と賞賛され、30年以上ジャズ界の最前線で活躍するヴェテラン・ピアニスト、フレッド・ハーシュ。
昨年リリースされたたソロ・アルバム『サイレント、リスニング』に続く、ECMからの初トリオ作品をリリースすることが発表され、先行トラック「Plainsong」が配信されている。

 

 

『ザ・サラウンディング・グリーン/The Surrounding Green』
2025年6月27日発売
品番:UCCE-1216

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<収録曲>
1. プレインソング/Plainsong
2. ロウ・イヤーズ/Law Years
3. ザ・サラウンディング・グリーン/The Surrounding Green
4. パリャーソ (道化師)/Palhaço
5. エンブレイサブル・ユー/Embracable You
6. ファースト・ソング/First Song
7. アンティシペーション/Anticipation

〈パーソネル〉フレッド・ハーシュ(p) ドリュー・グレス(double-b) ジョーイ・バロン(ds)

★2024年5月 スイス ルガーノ、オーディトリオ・ステリオ・モロ RSIにて録音

 


 
深く研ぎ澄まされた三者間のコミュニケーション、洗練された、しかし控えめなセンスに裏打ちされた見事なインタープレイが聴きどころの新作では、ドリュー・グレス(ベース)、ジョーイ・バロン(ドラム)と共に、スタンダードからあまり演奏されることのないジャズ曲まで、20世紀に作曲された曲の数々と3曲のオリジナルに取り組んでいる。

ドリューとジョーイはハーシュの長年の仲間で、それぞれ80年代初期と後期からフレッドのもとで演奏してきたが、この作品はトリオとして初のスタジオ録音であり、数十年の経験によって形作られた彼らの卓越した集団的アプローチをすべての曲で聴くことができる。

「ジョーイはダイナミクスの天才だから、オーディトリオでお互いの音を聴くのはまったく問題なかった。ドリューの演奏は、例えば“Plainsong”や“The Surrounding Green”では、ハーモニーをどうやり過ごすか、どこで一時停止し、どこで次に進むか、とても信頼されている。このアルバムでは、本当に歴史を聴くことができると感じている!相互作用の成熟度、音の世界、そして繊細さを感じてもらえたらと思う」

 
ハーシュのオリジナル作品は叙情的な激しさが印象的で、「Plainsong」では精巧なハーモニーと織り成す対位法が輝き、タイトル曲「The Surrounding Green」では時代を超越したメロディの発明があり、「Anticipation」では抗いがたいブラジリアン・グルーヴがある。
ソロ演奏の「Plainsong」ではメロディの親密さがすでに紹介されていたが、ここで聴かれるトリオ編成は、ベースとドラムが新鮮なパルスを加え、ハーモニーの次元を広げることで、静かに啓示的なものとなっている。タイトル曲と「Anticipation」は、ハーシュのソングブックに新たに加わった曲である。

 
新曲を書くときのアプローチについて、ハーシュは通常45分という限られた時間の中で作曲すると主張する。

「モンク、ウェイン・ショーター、デューク・エリントン、ケニー・ホイーラーなど、彼らの曲の多くは譜面上では大したことがないように見えるが、一種の世界を持っている。モンクが書いた曲はすべて86ページに収まっているんだ。私は、良い曲には2つ以上の本質的な要素は必要ないと信じている。そして、演奏者が何でも持ち込めるような、演奏していて楽しい曲であることだ」

オーネット・コールマンの「Law Years」をトリオで演奏すると、ポスト・フリーのスウィングが楽しめるし、エグベルト・ジスモンチの「Palhaç」では、繊細なトリオの掛け合いがエレガントな旅を演出してくれる。また、ガーシュウィン兄弟の「Embraceable You」では、ピアニストと伴奏者が伝染するようなノンシャランさを誇る。
チャーリー・ヘイデンの「The First Song」では、哀愁を帯びたメロディの心にしみる質感を追求している。故ベーシストは、1987年のハーシュの初期のスタジオ・デートにドラムのバロンとともに参加している。この曲に対する彼らの親密な絆は終始明らかで、特に心を揺さぶる解釈となっている。