『ハロウィン78』11/7発売!
フランク・ザッパ
『ハロウィン78』
Frank Zappa / Halloween 78

発売日:11月7日
毎年恒例となっていたザッパのハロウィン・イベントの中でも最高到達点と評される1978年のパラディアム公演より、約4時間に及ぶ最終公演を含む2公演の模様を初めて完全収録した豪華ボックス【UNIVERSAL MUSIC STORE限定】と、そのハイライトを厳選収録した1CDエディションが登場。
「毎年恒例のこのイベントは1978年に頂点を迎えたように思えた。FZはハロウィン当夜の冒頭のMCで観客に向けて”ついにこの日が来た!最高の日がやって来た!”と宣言したが、まさしくその通りになった。そして、そのパフォーマンスは4時間近くにも及んだ。これだけでも、ザッパがかつてない数の楽曲を一夜で演奏することにどれだけの情熱を注いでいたかが分かるだろう」- ジョー・トラヴァース(ザッパ家のテープ倉庫管理人)
ザッパは72年ごろから毎年ハロウィン公演を開催。79年以降はさまざまな事情で以前のような形では行われなくなったこともあり、78年にニューヨークのパラディアムで行われた4日間6公演はその歴史における1つの最高点に挙げられる。ハイライトとなる一部の演奏はこれまでいくつものアルバムに収録されてきたが、そのステージの模様が完全な形で纏められるのは初めて。本パッケージには約4時間に及んだハロウィン当日の最終公演と、10月27日の1公演目の模様を完全収録。
ザッパが率いる当時のバンドは、デニー・ウォーリー(ギター/ヴォーカル)、ピーター・ウルフ(キーボード)、トミー・マーズ(キーボード/ヴォーカル)、パトリック・オハーン(フレットレス・ベース/ヴォーカル)、アーサー・バロウ(ベース/アコースティック・ギター/ヴォーカル)、エド・マン(パーカッション/ヴォーカル)、ヴィニー・カリウタ(ドラム/パーカッション)と技巧派の名手揃い。また、ゲスト参加のL.シャンカール(ヴァイオリン)も長大なジャム「サーティーン」などで特別なイベントに相応しい名演を聴かせるほか、このあとザッパのバンドに加わることとなるウォーレン・ククルロも、ニューヨークで”ミズ・エックス”なる人物と出会ったエピソードを観客に向けて語っている。セットリストの中心はザッパを代表する定番曲の数々だが、その中には「スーサイド・チャンプ」、「イージー・ミート」、「キープ・イット・グリージー」、「ザ・ミーク・シャル・インヘリット・ナッシング」など録音当時にはアルバム未収録だった楽曲も含まれている。
- 収録音源はオリジナルの24トラック・アナログ・テープからミキシング/マスタリングされたもので、ミキシングはクレイグ・パーカー・アダムス (ウィンズロー・コネチカット・スタジオ)、マスタリングはジョン・ポリート (オーディオ・メカニクス)が担当。
本ボックスには、ザッパ・デビルのお面とピッチフォーク(そのブラックライトを当てるとパッケージに隠された秘密が浮かび上がる)、魔術書風のハード・カヴァー・ブックが付属。ブックにはザッパ家のテープ倉庫管理人であるジョー・トラヴァースによるライナー・ノーツ、そして写真家のリン・ゴールドスミスが撮影した秘蔵写真、特別なアートワーク等々を掲載。
【発売詳細】

1CDエディション
UICY-16354 価格:3,300円税込
<日本盤のみ>
日本盤のみ英文ライナーの完訳/歌詞・対訳付
SHM-CD仕様

5CDボックス・セット 【UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤】
【輸入国内盤仕様/完全生産限定盤】
PDCT-1035/9 価格:19,800円税込
<日本盤のみ>
日本盤のみ英文ライナーの完訳/歌詞・対訳付
SHM-CD仕様
<曲目リスト>
1CDエディション
ハイライト:ライヴ・アット・ザ・パラディアム(ニューヨーク)
1. 78/10/31 ショー・スタート
2. エンシェント・アーマメンツ
3. “ハッピー・ハロウィーン・エヴリバディ!”
4. ダンシン・フール
5. イージー・ミート
6. コーンヘッド
7. スーサイド・チャンプ
8. ドント・イート・ジ・イエロー・スノウ
9. ナヌーク・ラブズ・イット
10. セント・アルフォンゾズ・パンケイク・ブレックファスト
11. ファーザー・オブリヴィオン
12. ロロ
13. カマリロ・ブリロ
14. マフィン・マン
15. ブラック・ナプキンズ/ザ・デスレス・ホーシー
5CDボックス・セット
DISC ONE
▼ ライヴ・アット・ザ・パラディアム、ニューヨーク/78年10月31日
1. 78/10/31 ショー・スタート
2. エンシェント・アーマメンツ
3. “ハッピー・ハロウィーン・エヴリバディ!”
4. ダンシン・フール
5. イージー・ミート
6. ハニー、ドント・ユー・ウォント・ア・マン・ライク・ミー?
7. キープ・イット・グリージー
8. ザ・ミーク・シャル・インヘリット・ナッシング
9. シティ・オブ・タイニー・ライツ
10. パウンド・フォー・ア・ブラウン
11. サーティーン
12. ザ・ストーリー・オブ・ミズ・エックス
13. ナンシー
DISC TWO
▼ ライヴ・アット・ザ・パラディアム、ニューヨーク/78年10月31日(コンティニュード)
1. ダイナ・モー・ハム
2. ゴー・クライ・オン・サムバディ・エルセズ・ショルダー
3. リトル・ラバー・ガール
4. ジ・イディオット・バスタード・サン
5. ボビー・ブラウン・ゴーズ・ダウン
6. コーンヘッド
7. スーサイド・チャンプ
8. リトル・ハウス・アイ・ユースト・トゥ・リヴ・イン
9. ウォーターメロン・イン・イースター・ヘイ
10. スティンク・フット
DISC THREE
▼ ライヴ・アット・ザ・パラディアム、ニューヨーク/78年10月31日(コンティニュード)
1. テイク・ユア・クローズ・オフ・ホエン・ユー・ダンス
2. ピーチズ・エン・レガリア
3. ストリクトリー・ジェンティール
4. ソファ #2
5. パッカード・グース
6. マジック・フィンガーズ
7. ドント・イート・ジ・イエロー・スノウ
8. ナヌーク・ラブズ・イット
9. セント・アルフォンゾズ・パンケイク・ブレックファスト
10. ファーザー・オブリヴィオン
11. ロロ
12. カマリロ・ブリロ
13. マフィン・マン
14. ブラック・ナプキンズ/ザ・デスレス・ホーシー
DISC FOUR
▼ ライヴ・アット・ザ・パラディアム、ニューヨーク/78年10月27日 ショー1
1. 78/10/27 ショー1・オープニング
2. ダンシン・フール
3. イージー・ミート
4. ハニー、ドント・ユー・ウォント・ア・マン・ライク・ミー?
5. キープ・イット・グリージー
6. ザ・ミーク・シャル・インヘリット・ナッシング
7. シティ・オブ・タイニー・ライツ
8. パウンド・フォー・ア・ブラウン
9. ボビー・ブラウン・ゴーズ・ダウン
10. コーンヘッド
11. ダンス・コンテスト
DISC FIVE
▼ ライヴ・アット・ザ・パラディアム、ニューヨーク/78年10月27日 ショー1(コンティニュード)
1. ザ・ブラック・ページ #2
2. ダンス・コンテスト・アフターマス
3. リトル・ハウス・アイ・ユースト・トゥ・リヴ・イン
4. マジック・フィンガーズ
5. ドント・イート・ジ・イエロー・スノウ
6. ナヌーク・ラブズ・イット
7. セント・アルフォンゾズ・パンケイク・ブレックファスト
8. ファーザー・オブリヴィオン
9. ロロ
10. “レット・ミー・エクスプレイン・ディス・トゥ・ユー…”
11. ダイナ・モー・ハム
12. カマリロ・ブリロ
13. マフィン・マン
14. ピーチズ・エン・レガリ
<プレスリリース全文翻訳>
フランク・ザッパが毎年恒例で開催していた不気味で華々しいイベントを後世に受け継ぐボックス・セット『ハロウィン 78』――”悪魔的にクールな”スーパー・デラックス・エディションも発売
- 長年ザッパのお気に入りであり続けたニューヨークでの恒例イベントの模様を待望の完全収録
- コスチューム入りの豪華ボックス・セット仕様のスーパー・デラックス・エディションには5CD、全62トラックを収録。悪魔風ザッパの立体型マスク、ブラックライト付きのピッチフォーク(ライトを当てるとアートワークの装飾が浮かび上がる)、秘蔵写真やメモラビリアを掲載した魔術書風のブックも付属
- 5CDにはオリジナルの24トラック・マスターから新たにミキシング/マスタリングされた78年10月31日の公演の全編のほか、ボーナスとして10月27日の初回公演の模様も収録
- 180グラム重量盤のアナログ・レコードは、紙製の立体型マスクが付属する”キャンディ・コーン”カラー・ヴァイナル仕様の2LPと、特別なアートワークを使用した”ブラッド・スパッター”カラー・ヴァイナル仕様の2LPの2種が発売。このほかデジタル版のデラックス・エディションや、公演のハイライトを収めた1CD版もリリース
「フランクとニューヨークの観客たち――彼が”ニューヨークで最良の狂人たち”と呼んでいた特別な人びと――との関係は語り草になっている。そして、毎年恒例のこのイベントは1978年に頂点を迎えたように思えた。FZはハロウィン当夜の冒頭のMCで観客に向けて”This is it! This is the BIG ONE(ついにこの日が来た!最高の日がやって来た!)”と宣言したが、まさしくその通りになった」――ジョー・トラヴァース(ザッパ家のテープ倉庫管理人)
ロサンゼルス - 2025年10月10日 - ハロウィンがフランク・ザッパのお気に入りの行事だっただけでなく、彼がその日にニューヨークの地でライヴを開催することを第一に考えていたことはよく知られている。ザッパは毎年ハロウィンの時期になると、ニューヨークで数夜に亘って公演を行っていたのだ。この伝統は1972年にニュージャージーで始まったと考えられ、1973年にはシカゴへ移り、1974年にはこの行事に相応しい場所であるニューヨークで初開催された。毎年恒例のこのイベントの人気は年を追うごとに増していき、1977年には大規模な撮影も敢行(その成果は1979年公開の『ベイビー・スネイクス - ザ・ムーヴィー』に纏められた)。だがその歴史の頂点を迎えたのは1978年だった。
ザッパとニューヨークの観客たちとのやりとりは伝説として語り継がれており、1978年のハロウィン公演の熱狂は最高潮に達した。彼は生涯を通じて公演のハイライトとなる演奏をいくつかのアルバムに収録してきた。だがファンは、有名なテープ倉庫に長年仕舞い込まれていたマスター・テープを基に制作された最高音質のライヴ全編がリリースされるのを数十年間待ち続けていた。そして今回、5CDのコスチューム付きスーパー・デラックス・ボックス・セット『ハロウィン 78』で、オリジナルの24トラック・マスターから新たにミキシング/マスタリングされた1978年10月31日のライヴの全編が初めて日の目を見る。10月24日にザッパ・レコーズ/UMeから発売されるこの”悪魔的にクールな”ボックスには、ボーナスとして1978年10月27日に行われた同年の初回公演の模様も収録される。
アーメット・ザッパとザッパ家のテープ倉庫管理人であるジョー・トラヴァースがプロデューサーを務めた『ハロウィン 78』は、5年ぶりとなるコスチューム付きのボックス・セットだ。このシリーズは2017年リリースの『ハロウィン 77』(フランク・ザッパのコスチューム)に始まり、2019年の『ハロウィン 73』(フランケン・ザッパ)、2020年の『ハロウィン 81』(ドラキュラ・ザッパ)と続いてこれで4作目となる。2公演の模様を完全収録した今回の5CDでザッパは悪魔に扮しており、このパッケージには70年代風のマスクや、ブラックライト付きのピッチフォーク、魔術書風のブックも付属。ブックにはリン・ゴールドスミスが撮影したコンサート写真や、トラヴァースによるライナー・ノーツとテクニカル・ノーツ、ファントゥーンズ(マスクのデザインも担当)による特別なアートワークが掲載される。なお、ピッチフォークのブラックライトをアートワークに当てると、とある”秘密”が浮かび上がる仕掛けになっている。
ザッパは1978年のハロウィン当日の公演で実験的な試みを行い、長尺の即興演奏や古い楽曲を演目に追加。結果として公演時間は3時間半以上に及んだ。当人は冒頭のMCで観客に向けて”This is it! This is the BIG ONE(ついにこの日が来た!最高の日がやって来た!)”と宣言。その言葉通り、このステージは重要な意味を持つことになった。というのも、ハロウィンの伝統は翌年以降もザッパのツアー活動と共に継続はされたものの、1978年を最後にそのペースは変わってしまったのだ。1979年にはハロウィン・ライヴ自体が行われず、翌1980年には残念ながらフランクが体調を崩してしまい、彼は予定されていた全公演を完遂できずに一部日程のキャンセルを余儀なくされた。そして1981年には2公演が撮影され、開局したばかりのMTVで生放送もされたが、その姿勢とアプローチは以前とは違うように思えた。同年のライヴはより作り込まれた雰囲気で、観客の関与もあまりなかったのだ。それゆえ1978年のハロウィンの大スペクタクルは、その歴史の頂点だったといえよう。
今回はボックス・セットのほか、2種のアナログ・レコードや1CDエディションもリリース予定。それらはいずれもハロウィン・ライヴの抜粋版に、前述の写真やアートワークを掲載したブックレットが付属する構成だ。中でも2種の2LP版は、このシーズンにぴったりのパッケージとなっている。1つ目の2LPは180グラム重量盤の”キャンディ・コーン”カラー・ヴァイナル仕様で、紙製の立体型マスクや、見開きジャケット、秘蔵写真や特別なアートワークを掲載したブックレットが付属。2つ目の2LPにもハロウィン当日の公演のハイライトが収録されるが、こちらは180グラム重量盤の”ブラッド・スパッター”カラー・ヴァイナル仕様。2枚のディスクは、同じく見開き式のジャケットに収納される。そして1CDエディションにも、4時間近くに及んだハロウィン公演の長大なパフォーマンスの中から選り抜きの15トラックを収録。デジタル版のデラックス・エディションは、5CD版の全トラックとデジタル・ブックレットで構成される。
神聖な78年のハロウィン公演のパフォーマンスは、ザッパのライヴ定番曲や、長尺の即興演奏によるインストゥルメンタル、特別に催された余興、キャリアの代表曲などが満載の内容だ。ザッパは事前にセットリストを決めておくことをせず、1曲ずつ曲名をコールしてコンサートを進行していった。とりわけ猛烈な演奏となったザッパ史上屈指の名曲「ピーチズ・エン・レガリア」もその場の思いつきで演奏することになったというが、バンドの面々はその要求に見事に応えてみせた。ステージ上での騒ぎの中心には、議論の余地もないほど素晴らしい演奏があったのである。バンドは8月からツアーを共に回っていたため、ハロウィン公演のころには困難な課題にも対応できる万全の状態にあった。テリー・ボジオの後任として加入して間もなかったドラマーのヴィニー・カリウタは、グループのダイナミクスに新たなレベルの狂気性をもたらしていた。ベースのアーサー・バーロウも同じく新加入だったが、興味深いことにザッパは1978年のツアー中にごく短期間だけパトリック・オハーンも呼び戻してフレットレス・ベースを弾かせていた。異なるスタイルを特徴とするバーロウとオハーンは互いを補完し合い、曲ごと、あるいはセクションごとに代わる代わる演奏したり、時には2人でハーモニーを奏でたりしていた。
さらにピーター・ウルフとトミー・マーズによるキーボードの双頭体制は前年から健在だった。そして『ボンゴ・フューリー』の時期ぶりに復帰したデニー・ウォーリーは、代名詞ともいえるスライド・ギターのプレイと非の打ち所のないユーモアを披露したほか、シンガーのアイク・ウィルスの離脱により空いたヴォーカルの穴も埋めていた。最後に、加入2年目のエド・マンもパーカッションで極めて重要な役割を果たしていた。
名ヴァイオリニストのL.シャンカールは全公演にスペシャル・ゲストとして参加。彼が即興的な場面の随所でバンドに加わり、ギターを弾くザッパと競演したことはライヴの輝かしいハイライトになった。ザッパは、複数日程に亘るこのイベントを通じてたびたびシャンカールにスポットライトを当てていた。ハロウィン当夜の公演を締めくくる長尺の「ブラック・ナプキンズ/ザ・デスレス・ホーシー」はその最たるもので、彼はこの一連の公演でシャンカールが着用していた特別なコスチュームに因んで当人に”The Bionic Parrot(超人的なサイボーグ・オウム)”の異名を与えてもいる。そのほか、ザッパがステージにウォーレン・ククルロを招いたのもこの公演における忘れ難いシーンの1つだ。彼とウォーレンは1976年の初対面(ザッパのサウンド・エンジニアだったデイヴィ・モイアの引き合わせによる)以来、ツアー生活の中で友情を育んでいた。そして78年までにザッパの取り巻きグループの一員になっていたウォーレンは、ニューヨークで”ミズ・エックス”なる人物と出会ったときの突飛なエピソードをザッパに披露した。するとザッパはこれを気に入り、ハロウィンの当夜にもステージで語ってほしいと頼んだのである。さらにこの日のステージには女性俳優/コメディアンのラレイン・ニューマンも登場。2人は”サタデー・ナイト・ライヴ”で共演したばかりで、そのときザッパが”コーンヘッド”のコントに出演したことはよく知られている。
ストリーミングとダウンロードが本日から可能となっている「エンシェント・アーマメンツ」は、4時間近くに及んだ1978年のド派手なハロウィン公演で最初に披露されたナンバーだ。この年の一連の公演でFZは、冒頭に即興のギター・ソロを演奏していたが、そのプレイは毎晩違ったものになっていた。FZはこの日のパフォーマンスを大変気に入り、その編集ヴァージョンを1980年のシングル「アイ・ドント・ウォナ・ゲット・ドラフテッド」のB面に収録したほどだったが、この『ハロウィン 78』には短縮されていない「エンシェント・アーマメンツ」の完全版が収められている。しかも新たにミキシング/マスタリングを施された音源で、その輝かしい即興演奏を堪能することができるのだ。
ザッパは当日の午後のサウンド・チェック中にバンドに練習をさせ、長尺の即興演奏と過去の楽曲をセットリストに追加。その夜のライヴをできる限り特別なものにすべく、できる限り多くの楽曲を詰め込んでいた。冒頭のソロに続いて披露される楽曲群も期待を裏切らず、メインのセットリストはザッパを代表する定番曲ばかりで構成されていた。他方、「スーサイド・チャンプ」、「イージー・ミート」、「キープ・イット・グリージー」、「ザ・ミーク・シャル・インヘリット・ナッシング」などの楽曲はこのころまだアルバム未収録だった。そのほかのハイライトには、長尺の即興演奏が展開される「サーティーン」(ここで聴けるソロ・パートの伴奏は、この年のハロウィン・イベントを通してたびたび登場する重要なものだ)や、1979年の『ジョーのガレージ』収録版が印象深い「パッカード・グース」の初期ヴァージョンなどが挙げられる。
78年のハロウィン公演のパフォーマンスは4時間近くにも及ぶ。その長さだけをみても、フランク・ザッパがかつてない数の楽曲を一夜で演奏することにどれだけの情熱を注いでいたかが分かるだろう。盛りだくさんの内容となったこのハロウィン公演は実のところ、前年の撮影への協力に対する壮大な謝意の表明であると同時に、ハロウィンのイベントをザッパお気に入りの充実した恒例行事へと押し上げた長期に亘るサポートへの感謝を示すためのものでもあった。そして、巨匠がライヴの最初に自ら口にしている通り、”Happy Halloween, everybody!(みんな、ハッピー・ハロウィン!)”という純粋な想いの表れでもあったのである。