『ボンゴ・フューリー』50周年記念 5CD+ブルーレイ・スーパー・デラックス・エディション3月20日発売
フランク・ザッパ
『ボンゴ・フューリー』50周年記念
5CD+ブルーレイ・スーパー・デラックス・エディション

ザッパが旧友のキャプテン・ビーフハートと手を組んだ記念すべきコラボ作の50周年記念ボックス・セット。アルバムの根幹を成すアルマジロ・ヘッドクォーターズでの2公演を完全収録した豪華拡張版!5CD+ブルーレイ・オーディオ(音源のみ)、40ページの英文ブックレットと日本版ブックレットで構成。収録トラックのうち8割以上が未発表音源!
「ビーフハートは言葉やその力に取り憑かれたような男だ。彼の文学的な能力は尊敬しているよ。時々、そもそも読み書きができるのか疑いたくなることさえあるんだ。……彼の言語との関わり方はユニークで、あれほど言葉に執着している人間がいると、俺もこれまでやれなかったことを試せるようになる。彼が俺の書いた文章を自分のものにして、観客に伝えるやり方には目を見張るものがある。本当に言葉に命を吹き込めるんだ。精神面や技術面で色んな欠点があっても、彼は間違いなくアーティストと呼ぶに相応しい。彼の素晴らしい頭脳は、社会ではあまり役に立たない領域で力を発揮するんだ。高度な思考の持ち主で、それでいてハウリン・ウルフのような声で歌いたがる男を一体どう扱えばいいっていうんだ?」
――フランク・ザッパ(1975年、”Sounds”誌)
Disc One(CD):ザッパがハイスクール時代からの友人であるキャプテン・ビーフハートことドン・ヴァン・ヴリートと手を組んだ1975年作『ボンゴ・フューリー(狂気のボンゴ)』本編の2012年マスターに、収録曲の別ヴァージョン等のアウトテイクを併録。
Disc Two〜Five(CD):アルバム本編の9曲中7曲を占めるアルマジロ・ヘッドクォーターズでの2公演(1975年5月20日と21日に録音)の完全版を収録。ザッパ(ギター/ヴォーカル)、ビーフハート(ヴォーカル/ハーモニカ/サックス)、ジョージ・デューク(キーボード/ヴォーカル)、ナポレオン・マーフィー・ブロック(サックス/ヴォーカル)、ブルース・ファウラー(トロンボーン)、トム・ファウラー(ベース)、デニー・ウォーリー(スライド・ギター/ヴォーカル)、テリー・ボジオ(ドラム)というクセモノたちが名演を披露する。Disc Fiveには初の公式リリースとなる楽曲を含む秘蔵リハーサル音源も併録。
Disc Six(ブルーレイ [音源のみ]):『ボンゴ・フューリー』の本編を、ドルビーアトモスと5.1chサラウンド(エリック・ゴーベルとカーマ・オーガーがスタジオ1LAで製作した最新ミックス)、192kHz/24-bitおよび96kHz/24-bitのハイレゾ・ステレオの各種ミックスで収録。さらにボーナスとして、ザッパ本人による一部楽曲の特別ミックス等なども併録。
- 英文ブックレット:当時のツアーに新メンバーとして参加したデニー・ウォーリーがザッパとの関係やツアーの思い出を振り返ったエッセイ、ジョー・トラヴァースによる詳細なライナーノーツ等々を掲載。
【発売詳細】
UICY-80696 価格:11,000円税込
生産限定
<日本盤のみ>
日本盤のみ英文ライナーの完訳/歌詞・対訳付
SHM-CD仕様
<曲目>
Disc One
▼ ボンゴ・フューリー(狂気のボンゴ)〜ジ・アルバム
1. デブラ・カダブラ
2. キャロライナ・ハードコア・エクスタシー(その珍腐で強烈なるポルノチック・エクスタシー)
3. サム・ウィズ・ザ・ショウイング・スカルプ・フラット・トップ(角刈りのサム)
4. プーフターズ・フロス・ワイオミング・プランズ・アヘッド(ワイオミングの町の200年祭)
5. 200イヤーズ・オールド(200才のウェイトレス)
6. クカモンガ
7. アドヴァンス・ロマンス
8. マン・ウィズ・ザ・ウーマン・ヘッド(ハリウッドのオカマ野郎)
9. マフィン・マン
▼ ボーナス・フューリー
10. キャロライナ・ハードコア・エクスタシー(その珍腐で強烈なるポルノチック・エクスタシー)[ロング・ヴァージョン]
11. マン・ウィズ・ザ・ウーマン・ヘッド(ハリウッドのオカマ野郎)[アイソレイテッド・ヴォーカル]
12. マフィン・マン/ア・リトル・グリーン・ロゼッタ(オルタネイト・テイク)
13. 200イヤーズ・オールド(200才のウェイトレス)[ロング・ヴァージョン]
14. ボーン・トゥ・サック(ヴォーカル・セッション・スヌープ)
15. ボーン・トゥ・サック
Disc Two
▼ アルマジロ・ワールド・ヘッドクォーターズ(テキサス州オースティン)/1975年5月20日
1. 75/5/20 ショー・スタート
2. “プット・ア・シャート・オン・マン”
3. アポストロフィ (‘)
4. スティンク・フット(くさい足)
5. アイム・ノット・サティスファイド(満たされない日々)
6. デブラ・カダブラ
7. キャロライナ・ハードコア・エクスタシー(その珍腐で強烈なるポルノチック・エクスタシー)
8. ザ・ヴェルヴェット・サンライズ
9. パウンド・フォー・ア・ブラウン パート1
10. パウンド・フォー・ア・ブラウン パート2
11. スリーピング・イン・ア・ジャー
Disc Three
▼ 1975年5月20日(コンティニュード)
1. “エンジョイ・ザ・スティームバス”
2. ザ・トーチャー・ネヴァー・ストップス(拷問は限りなく)[オリジナル・ヴァージョン]
3. カマリロ・ブリロ
4. マフィン・マン
5. アドヴァンス・ロマンス
6. モンタナ
7. デュークス・シングス
8. サム・ウィズ・ザ・ショウイング・スカルプ・フラット・トップ(角刈りのサム)
9. プーフターズ・フロス・ワイオミング・プランズ・アヘッド(ワイオミングの町の200年祭)
10. エキドナズ・アーフ(オブ・ユー)/テリーズ・ソロ
11. ジ・アンペグ・ミニ・モーグ・コントローラー・ギター・エクスペリメント
12. ウィリー・ザ・ピンプ
Disc Four
▼ アルマジロ・ワールド・ヘッドクォーターズ(テキサス州オースティン)/1975年5月21日
1. “グッド・イヴニング、レディース・アンド・ジェントルメン”
2. アポストロフィ (‘)
3. スティンク・フット(くさい足)
4. アイム・ノット・サティスファイド(満たされない日々)
5. デブラ・カダブラ
6. キャロライナ・ハードコア・エクスタシー(その珍腐で強烈なるポルノチック・エクスタシー)
7. ザ・ヴェルヴェット・サンライズ
8. パウンド・フォー・ア・ブラウン パート1
9. “ウィーヴ・ハド・ア・ボム・スレット”
10. パウンド・フォー・ア・ブラウン パート2
Disc Five
▼ 1975年5月21日(コンティニュード)
1. アドヴァンス・ロマンス
2. フロレンティン・ポーゲン
3. モンタナ
4. カマリロ・ブリロ
5. マフィン・マン
6. ウィリー・ザ・ピンプ
▼ アフタヌーン・リハーサル/ブリッジズ・オーディトリアム(カリフォルニア州クレアモント、ポモナ・カレッジ)/1975年4月10日
7. クレアモント・リハーサル
8. プーフターズ・フロス・ワイオミング・プランズ・アヘッド(ワイオミングの町の200年祭)
9. ポーチュギーズ・ルーナー・ランディング
Disc Six
▼ ボンゴ・フューリー(狂気のボンゴ)〜ジ・アルバム
1. デブラ・カダブラ
2. キャロライナ・ハードコア・エクスタシー(その珍腐で強烈なるポルノチック・エクスタシー)
3. サム・ウィズ・ザ・ショウイング・スカルプ・フラット・トップ(角刈りのサム)
4. プーフターズ・フロス・ワイオミング・プランズ・アヘッド(ワイオミングの町の200年祭)
5. 200イヤーズ・オールド(200才のウェイトレス)
6. クカモンガ
7. アドヴァンス・ロマンス
8. マン・ウィズ・ザ・ウーマン・ヘッド(ハリウッドのオカマ野郎)
9. マフィン・マン
▼ ボーナス・オーディオ
10. ザ・トーチャー・ネヴァー・ストップス(拷問は限りなく)[オリジナル・ヴァージョン]
▼ 1993 UMRK 6チャンネル・ミックス
11. デブラ・カダブラ
12. プーフターズ・フロス・ワイオミング・プランズ・アヘッド(ワイオミングの町の200年祭)
フランク・ザッパとキャプテン・ビーフハートが共演したツアーから生まれた1975年の騒々しいコラボ・アルバム『Bongo Fury』が50周年記念エディションで新たに蘇る。3月20日にザッパ・レコーズ/UMeより発売
- ザッパ史上屈指に実りの多い時期だった70年代中期にビーフハートとマザーズが共演した伝説的なライヴ・アルバムが、48トラックの未発表ライヴ音源/秘蔵スタジオ音源を加えた新装版で登場
- 6枚組、全57トラックから成るスーパー・デラックス・エディションには、アウトテイク、レア音源、2025年最新ミックス、長尺の秘蔵マスター、そして1975年5月にテキサス州オースティンで録音され、この名作の基盤となった2公演の未発表ライヴ音源も収録
- ブルーレイ・オーディオ(音源のみ)には、アルバム本編の新たなサラウンド・ミックスとドルビーアトモス・ミックスのほか、ボーナス・トラックとして秘蔵音源のサラウンド・ミックス3トラックを収録
- 180グラム重量盤仕様のアナログ盤エディションは、2LPのエクスパンデッド・ヴァイナル、1LPのブラック・ヴァイナル、1LPの”オレンジ&ブラック・ギャラクシー”カラー・ヴァイナルの各種をラインナップ。さらに通常版デジタル・エディションと、ドルビーアトモスのみのデジタル・エディションも配信
リリースに先駆けて本日より、「Debra Kadabra (Live in Austin 5/21/1975)」のストリーミング配信がスタート
「ビーフハートは言葉やその力に取り憑かれたような男だ。彼の文学的な能力は尊敬しているよ。時々、そもそも読み書きができるのか疑いたくなることさえあるんだ。……彼の言語との関わり方はユニークで、あれほど言葉に執着している人間がいると、俺もこれまでやれなかったことを試せるようになる。彼が俺の書いた文章を自分のものにして、観客に伝えるやり方には目を見張るものがある。本当に言葉に命を吹き込めるんだ。精神面や技術面で色んな欠点があっても、彼は間違いなくアーティストと呼ぶに相応しい。彼の素晴らしい頭脳は、社会ではあまり役に立たない領域で力を発揮するんだ。高度な思考の持ち主で、それでいてハウリン・ウルフのような声で歌いたがる男を一体どう扱えばいいっていうんだ?」
――フランク・ザッパ、1975年、雑誌”Sounds”にて
ロサンゼルス - 2026年1月30日 - フランク・ザッパとドン・ヴァン・ヴリート(のちにそのザッパからキャプテン・ビーフハートの異名を与えられる)は、お互い10代だった1950年代後半にカリフォルニア州ランカスターで出会った。そしてブルース、R&B、ドゥー・ワップ、アウトサイダー・アートなど共通の好みを通じて仲を深めた2人は、固定概念を覆す過激で新しい音楽を作り出すことを夢見た。出会った当時の両者の関係は極端で、互いを深く尊敬しつつも、時には個性が衝突して仲違いすることもあった。そして2人がキャリアをある程度重ねたころ、ザッパはビーフハート一番の重要作に携わり、彼の創造性を花開かせた――ザッパは彼の『Trout Mask Replica』(1969年)でプロデュース/作曲/監修を担当したのだ。結果としてこの歴史的作品はビーフハートの思い描くシュールで前衛的なブルースを見事に具現化したアルバムとなり、現在もロック史上屈指に難解かつ影響力のある作品として知られている。また同年、ビーフハートはザッパの代表作である『Hot Rats』に参加。ザッパのジャズ・ロック志向とビーフハートの無骨なヴォーカルの存在感が絶妙なバランスで両立した「Willie The Pimp」で、彼は唸るような特徴的な歌声を披露した。その後は疎遠になったり和解したりを繰り返した2人だが、共通のルーツとアーティストとしてのライバル関係により創作上の関わりは続いた。そして、この公私に亘る長年の厄介な関係性から新たに生まれたのがコラボ・アルバムの『Bongo Fury(狂気のボンゴ)』(1975年)だった。ツアー中に録音されたライヴ音源が大半を占める同作には、危なっかしくも楽しげな2人の旧友たちの化学反応が見事に捉えられていた。彼らのアーティストとしてのキャリアは、どれだけかけ離れていたとしても、常に磁力のような力によって結びついていたのである。
2026年最初のザッパ関連リリースである『Bongo Fury』の新たな拡張版は、ザッパとビーフハートが創造性のピークを迎えていた時期に焦点を当てている。そんな『Bongo Fury』の50周年記念エディションは、3月20日にザッパ・レコーズ/UMeより多様なフォーマットで発売予定。その中には6枚組(5CD+ブルーレイ・オーディオ)/ボックス・セット仕様のスーパー・デラックス・エディションも含まれる。収録される57トラックのうち、なんと8割以上が未発表トラックだ。ザッパ家のテープ倉庫管理人であるジョー・トラヴァースがプロデュースしたこの新装・拡張版には、ボブ・ラドウィックが手がけたアルバム本編9曲の2012年マスターのほか、レコーディングで生まれた秘蔵のアウトテイクやレア音源5トラック(その名も”ボーナス・フューリー”)、クレイグ・パーカー・アダムスが2025年に16トラック・マスターから制作したライヴ音源の最新ステレオ・ミックスなどを収録。それらはすべて、オーディオ・メカニクスのジョン・ポリートの手で2025年にリマスタリングされている。
中でも特筆すべきは、1975年5月20日と21日にテキサス州オースティンのアルマジロ・ワールド・ヘッドクォーターズで行われた未発表ライヴの完全版だ。また、今回のボックス・セットには『Bongo Fury』の収録曲の大半を生んだこのライヴに加え、1975年4月10日にポモナ・カレッジ内のブリッジズ・オーディトリアム(カリフォルニア州クレアモント)で行われたツアーの初回公演より、3トラックのライヴ音源も併録される。その1つである「Portuguese Lunar Landing」は、テープ倉庫に眠っていた真の秘宝と言えるトラックだ――リハーサルで録音されたこの曲は、今回初めて公式リリースされるのである。トラヴァースはライナーの中で次のように明かしている。「カリフォルニア州クレアモント公演でこのツアーは幕を開けた。そのマスター・テープのうち、FZが保存していたのはリハーサルのリール1本と、初回公演の最初のリールのみだった。そしてそのリハーサル・リールには、”Save Port. Lunar Landing.(<Portuguese Lunar Landing>を保存せよ)”とはっきり記されていた。このリハーサル・ヴァージョンのリリースをもって、この楽曲は初めて公式に日の目を見ることとなる!まさに貴重音源だ!」
ブルーレイ・オーディオには、カーマ・オーガーとエリック・ゴーベルがスタジオ1LAで新たに制作したアルバム本編の没入型ドルビーアトモス・ミックスと5.1chサラウンド・ミックスを収録。このチームは『Waka/Wazoo』(2022年)、『Over-Nite Sensation』(2023年)、『Apostrophe (’)』(2024年)、『One Size Fits All』(2025年)でもドルビーアトモスやサラウンドの各ミックスを手がけて高い評価を受けてきた。また、このブルーレイにはオーガーとゴーベルがアルバムの16トラック・マスターから直接ミキシングしたそれらのトラックのほか、アルバム本編の192kHz/24-bitおよび96kHz/24-bitのハイレゾ・ステレオ・ミックスも収録。さらにボーナスとして秘蔵音源3曲のサラウンド・ミックスも収められるが、そのうち1トラックは「The Torture Never Stops(拷問は限りなく)」のオリジナル・ヴァージョンで、残る2トラックはザッパ本人が1993年にUMRKで自ら制作した「Debra Kadabra」と「Poofter’s Froth Wyoming Plans Ahead(ワイオミングの町の200年祭)」の6チャンネル・サラウンド・ミックスだ。後者の2トラックはディズニーのプロジェクトに向けて制作されたものだと言われているが、結局これが実現することはなく、ザッパは同じ年にこの世を去っている。
豪華ボックス・セット仕様のスーパー・デラックス・エディションには18ページのブックレットも付属。そこにはサム・エマーソンのアーカイヴから集められた未公開の白黒写真や、ジョン・ウィリアムズが撮影した貴重なカラー写真とライヴ写真、『Bongo Fury』のバンドに参加したデニー・ウォーリーが当時を振り返った書き下ろしエッセイ、そしてテープ倉庫管理人のトラヴァースによる恒例のライナーノーツが掲載される。
リリースに先駆けて本日から、アルバムのオープニング・ナンバーである「Debra Kadabra」の未発表ライヴ・ヴァージョンが配信されている。同曲はビーフハートがザッパの書いた歌詞を歌い上げる1曲だが、このヴァージョンは1975年5月にアルマジロ・ヘッドクォーターズで行われた2公演の第2夜の録音で、アルバム収録版とは違う別テイクである。
今回、『Bongo Fury』はアナログ・レコード向けにも新たにマスタリングされた。バーニー・グランドマンがオリジナル・テープを基にアナログ機材のみを使って制作したこのミックスは、3種のアナログ盤エディションに使用されている。180グラム重量盤ブラック・ヴァイナル仕様の2LP版はアルバム本編のディスクと、ボックス・セットから厳選されたトラックを収めたボーナス・ディスクで構成。さらにブックレットや、額装可能なザッパとビーフハートの白黒リトグラフも付属する。このほか180グラム重量盤ブラック・ヴァイナル仕様の1LP版と、180グラム重量盤”オレンジ&ブラック・ギャラクシー”カラー・ヴァイナル仕様の1LP版も発売されるが、Zappa.com、uDiscover Music、Sound of Vinyl限定で販売される後者にはザッパ、ビーフハート、マザーズが写った白黒のリトグラフが付属する。
それらに加え、スーパー・デラックス・エディションはデジタル配信もされる予定だ。全57トラックについて24-bit/96kHzのハイレゾ品質か、16-bit/44.1kHzの通常品質のいずれかを選択できる。またAmazon Music、Apple Music、Tidalなどドルビーアトモスを扱っている各ハイレゾ・ストリーミング・サービスでは、アルバム本編の9トラックのドルビーアトモス・ミックスを単体でも聴けるようになる。
そして今回、『Bongo Fury』の50周年を記念したグッズも新たに発売される。ツアーTシャツのレプリカや、ザッパの口髭のモチーフが描かれたオレンジ色の灰皿などを含むそれらの最新グッズはこちらをチェック:Zappa.com
1975年は多作で知られるザッパのキャリアにおいてもとりわけ実り多い1年だった。彼は年初から20作目のアルバム『One Size Fits All(万物同サイズの法則)』や、のちのプロジェクトに収録されることとなる多数の楽曲を完成させていたのだ。そしてこうした同年前半の活動の中で、彼はロイヤル・アルバート・ホールに対する訴訟のためロンドンに赴いた。遡って1971年、世に名高い同会場で予定されていた『200 Motels』のコンサートが直前で中止に追い込まれていたのだ。10代からの友人にしてアーティストとしてのコラボ相手でもあったドン・ヴァン・ヴリートからザッパに1本の電話が入ったのは、そんな最中の出来事だった。ヴァン・ヴリートは実験的ロック・アルバムの金字塔である1969年作『Trout Mask Replica』発表後のメディアでのザッパへの悪態を詫びるとともに、自身をまたも苦しめていた悪夢のような契約から抜け出すべく彼に助けを求めたのである。
ザッパは当座の現金を必要とする旧友のため、彼をマザーズのメンバーに迎えてツアーを開催することにした。しかし、当時のマザーズは不安定な状況にあった。ドラマーのチェスター・トンプソンとパーカッション奏者のルース・アンダーウッドが直近のレコーディングを最後にグループから離脱していたため、新メンバーを加える必要があったのである。そこでザッパはトロンボーン奏者のブルース・ファウラー(1974年5月の10周年記念ツアーのあとバンドを離れていた)とその弟でベーシストのトム・ファウラーに声をかけ、キーボードのジョージ・デュークとサックス/ヴォーカルのナポレオン・マーフィー・ブロックも呼び戻した。また、彼が25歳の若手ドラマー、テリー・ボジオもバンドに迎えたのもこの時期だった――彼は以降3年に亘ってザッパとツアーを回り、『Zoot Allures(虚飾の魅惑)』(1976年)、『Zappa In New York(ザッパ”雷舞”イン・ニューヨーク)』(1976年)、『Sheik Yerbouti』(1979年)、そしてこの『Bongo Fury』といった名作に参加することとなる。さらにザッパは演奏陣の最後のピースとして、古くからの知り合いだったスライド・ギター奏者のデニー・ウォーリーも雇っていた。ここにヴォーカル/ハーモニカ/買い物袋(クレジット通り)を担当するビーフハートを加えたのが1970年代前半のマザーズ最後の布陣(デュークとファウラー兄弟はこのツアーのあとザッパのもとを去った)となった。1975年半ばのツアーはこのメンバーで行われ、そのライヴ音源が大半を占めるアルバム『Bongo Fury』は1975年10月にリリースされた。こうした怒涛の動きは、基本的にすべてヴァン・ヴリートを契約上の問題から救い出すために取られたものだったのである。
ザッパは、ユニークな創造性を持つビーフハートがバンドにいる状況をこの『Bongo Fury』(ビーフハートは「Sam With The Showing Scalp Flat Top(角刈りのサム)」の後半で、アルバム・タイトルにもなったこのフレーズを叫んでいる)で最大限に活かした。例えば「Poofter’s Froth Wyoming Plans Ahead」や「Debra Kadabra」には、ザッパとビーフハートが青春時代に共に経験した物事が盛り込まれているのだ(”The Brainiac”や、2人の思い出のエピソードなど)。このころ作られたそのほかの楽曲には、アルバムの完成版にも収められた「Carolina Hard-Core Ecstasy(その珍腐で強烈なるポルノチック・エクスタシー)」、「Advance Romance」、「Muffin Man」のほか、このツアーで初披露された「Portuguese Lunar Landing」、「The Velvet Sunrise」(”モーリス博士”なる人物が夜ごとにテーマを変えながら講義を行う)、「A Token Of My Extreme」(歌詞付きのヴァージョン)、「George’s Boogie」などがある。
このツアー(当時ツアー・タイトルはなかったが、現在では”ボンゴ・フューリー・ツアー”の名で知られている)は約1ヶ月半に亘って続いた。そしてステージでは、73年作『Over-Nite Sensation(興奮の一夜)』や74年作『Apostrophe (’)』の楽曲から、68年作『Cruising With Ruben & The Jets』、いずれも69年発表の『Uncle Meat』と『Hot Rats』、そして66年のデビュー作『Freak Out!』の収録曲まで、それまでのザッパのキャリアを網羅する多種多様な楽曲が演奏された。リハーサルは4月後半から5月初旬まで行われ、ツアーは5月26日のアリゾナ州フェニックス公演で終了。そのうちテキサス州オースティンのアルマジロ・ヘッドクォーターズで行われた2公演は、レコード・プラントの移動式スタジオを使用しプロの手でテープに収められた。ビーフハートが歌詞覚えに難があることで知られていた点を考慮しても、この録音時期を選んだメリットは大きかった。実際、この録音時の彼のパフォーマンスが安定していたのは、マザーズの面々がこの編成でしばらくのあいだ演奏を重ねていたおかげだろう。なお、ザッパが同公演のテープから世に出したのは『Bongo Fury』の収録曲のほか1991年作『You Can’t Do That On Stage Anymore, Vol. 4』に収録された「The Torture Never Stops (Original Version)」のみで、そのほかの音源はこれまで日の目を見ていなかった。
「このアルバムを聴くと今でも、あのライヴに参加できたのはなんて幸運だったんだろうと信じられないような気持ちになる」。スライド・ギターを弾いたデニー・ウォーリーはライナーノーツの中でそう綴っている(ウォーリーは小学生だった1955年にザッパやビーフハートと出会った)。「フランクは手信号を使ってメンバーに指示を出すので、その信号を理解しておく必要があった」とウォーリーは続ける。「次に何が起きるか予想がつかないから、何が起こってもいいように準備をしておかなくてはいけない。そういうのは大好きだった!まるで、お金をもらって大学に通っているような感じだった」。
ザッパはツアーが終わるとレコード・プラントに戻り、夏のあいだに『Bongo Fury』を制作。一部にごく巧妙な編集やオーヴァーダビングを施しつつ、そのほとんどはアルマジロでの2公演の録音で構成されていたが、ほかに1974年12月のカリブー・スタジオでの録音も使用されていた。ザッパは当初、アルバム収録曲のうち2曲(「Carolina Hard-Core Ecstasy」と「200 Years Old(200才のウェイトレス)」)をもっと長尺のトラックとして編集していた。しかしアナログ・レコードの収録時間の制約により、両曲ともアルバムに収まるよう短縮せざるを得なかったのである。今回のパッケージではアルバム本編のボーナスとして、それらの楽曲の完全版を併録している。そのうち「200 Years Old」はツアーの何ヶ月も前にカリブーで作られたトラックに、スタジオで録音したザッパとビーフハートのヴォーカルを乗せた1曲。約8分に及ぶ同曲のロング・ヴァージョンには、同じマスターに残された未発表のソロやヴォーカルも含まれている。また、同じくボーナスとして収められた「Born To Suck」は、『Bongo Fury』の制作中にスタジオで作られた未発表トラック。『One Size Fits All』収録の「Florentine Pogen」のギター・ソロにザッパとビーフハートの歌を乗せたものである。
アルバム収録曲のうち2曲(「Sam With The Showing Scalp Flat Top」と「Man With The Woman Head(ハリウッドのオカマ野郎)」)はビーフハートの作で、残りはザッパの書いた楽曲だ。アルバムの最終ミックスは1975年8月9日に制作され、8月11日にはイコライジング済みのマスター・テープがワーナー・ブラザースに提出された。そうしてリリース日は10月2日に決定したのだが、リリースの段になるとビーフハートがフランクに電話をするきっかけとなった契約上の問題が表面化。結果として『Bongo Fury』は英国で発売されなかった(このアルバムが同国で公式リリースされたのは1989年のCDエディションが初めてだった)。
『Bongo Fury』は多くの面で一時代の終焉を象徴している。それは同作がザッパとビーフハートの最後のコラボ作となったからでもあり(昔馴染みの2人はそれからもしばしばお互いを高く評価し合っていた)、マザーズの名(1976年から使用されなくなった)が登場する70年代最後のアルバムだからでもある。この『Bongo Fury』の50周年記念エディションには、最後まで真の”マフィン・マン”であり続けたザッパとビーフハートの運命的な関係性が見事に表れている。