訃報

2022.01.25 TOPICS

60年にわたりナッシュビルのジャズ・シーンで尊敬を集めたジャズ・ピアニスト、ビージー・アデールが、1月23日に自宅で逝去されたことが公式HP、SNSで発表されました。享年84歳でした。

 
ケンタッキー州のケーブシティで育ったビージーは、5歳のときにピアノを弾き始めた。ウェスターン・ケンタッキー大学にてピアノを勉強するとともに音楽教育を専攻し、大学を卒業後、音楽教師として3年間働いた後、1961年にナッシュビルに移住し、セッション・ミュージシャンとして活動をスタートした。

WSM-TV(米NBC系列)とラジオ、またABCにてザ・ジョニー・キャッシュ・ショウ(1969-71)に出演。ジョン・スチュアート、J.J.ケイル、ドリー・パートンほか数々の人気ミュージシャンと共演。ビージー・アデールとしてのアルバム・デビューは1991年「エスケープ・トゥ・ニューヨーク」。ソロはもちろんだが、自身が結成したトリオでも活躍し、ビートルズ、エルヴィス・プレスリー、フランク・シナトラ、ナット・キング・コール他、オールタイム・ベストの名曲をしなやかなピアノでに人々を魅了し、これまで参加したアルバム作品は40作以上にのぼる。

メロディの美しさをそのままにエレガントで洗練されたアレンジが、日本でもジャズ・ファンから、ポップス・ファンまで幅広い層を虜にし、2010年「いい日旅立ち」をボーナストラックとして収録し話題をさらったアルバム『マイ・ピアノ・ロマンス』で日本デビューを73歳で果たした。この作品が年間JAZZアルバム・チャート1位を記録する大ヒットに。同年続いてリリースされた『マイ・ピアノ・ジャーニー』、『マイ・ピアノ・クリスマス』、2011年『マイ・ピアノ・メモリー』もJAZZチャート1位を記録。キャピトル東急ホテルのオープニング・セレモニーでの演奏を含む2回の来日公演を果たしている。

昨年、日本デビュー10周年を記念した『マイ・ピアノーソロ・ベスト』、『マイ・ピアノートリオ・ベスト』のベスト・アルバム2枚を同時リリース、惜しくもこの2枚が日本では最後の作品となった。

 
ビージー・アデールの公式HPでは以下のメッセージが公開されている。

It is with deep and profound sadness we share the sad news that Beegie died today surrounded by those she loved and who loved her most dearly. Until her peaceful passing, she was fighting the good fight with her intellect and humor intact.
The world has lost a true American treasure, but how tremendously fortunate we all are to have entered her sphere and to experience the joy of the music she created.
Her entire life was spent using her exquisite talents to teach, entertain and inspire. By the body of work she created and through legions of her students, colleagues fans and friends the world over, Beegie’s music will be shared and heard for generations to come.
Rest in peace, and God speed, sweet Beegie.

本日、ビージーが愛する人たちに囲まれて亡くなったという悲しい知らせを、私たちは深く深く悲しみながらお伝えします。安らかに息を引き取るまで、彼女はその知性とユーモアを失わずに、善戦を続けていました。
世界は真のアメリカの宝を失いましたが、彼女の領域に入り、彼女が創り出す音楽の喜びを経験することができた私たちは、どれほどとてつもなく幸運だったことでしょう。
彼女の全人生は、その素晴らしい才能を使って、教え、楽しませ、鼓舞することに費やされました。彼女が創り出した作品群によって、そして世界中の学生、同僚、ファン、友人たちによって、ビージーの音楽は何世代にもわたって共有され、聴かれ続けることでしょう。
どうか安らかにお眠りください、そしてイエス様のお慰めがありますように、スイート・ビージー。