【マネージャーの会話】
ドク・マギー:(なあ、ポール。
ポール・コージリアス:なんだい、ドク?
ドク・マギー:今朝、目が覚めて...
ポール・コージリアス:今朝、目が覚めて...
ドク・マギー:俺は思わず叫んだ...
ポール・コージリアス:君は思わず叫んだ...
ドク・マギー&ポール・コージリアス:今日も素敵なロックンロール日和!!
【スタジオ】
ジョン:前々から、20周年になったらボックス・セットを作ろうと考えていたんだ。ここには、これまで誰も聴いたことがない曲が40曲近くも収録されている。聴いたことのある曲でも歌詞やメロディ、キー、テイクが違うヴァージョンだったりする。これらは倉庫に眠っていた。バンドで1枚のアルバムを作る場合、30曲から40曲ほどの楽曲を用意するのが常なんだ。特に『ワイルド・イン・ザ・ストリーツ』の頃は本当にたくさん書いていた。アルバムごとに、その当時の自分たちのカラーを出したくて、手間ひまかけて念入りに仕上げていた。今回のボックスセットは20周年にあたる今年ぜひ出したかったし、嬉しいことに今年はアルバム売り上げ枚数が1億枚を突破した記念すべき年でもある。だからよけい特別なものにしたかったんだ。この手のボックスセットはたいてい、知ってる曲の別ミックスやリマスターといったものが多い。だけど僕らのは、それぞれのアルバムが形になっていく様子が見て取れる、手引きのようなものなんだ。
ジョン(MC):「さよなら」や「おやすみ」も大事だけど、「ありがとう」も忘れずにいようね!
ジョン:子供の頃、母親の家の台所でよく思ったもんだよ。「もしちょっとでも成功したら、30歳になるまで音楽を作り続けていたい」ってね。それ以来、本当にいろんな出来事があったけど、まさか、1億枚のアルバムを売る日が来るとは、夢にも思わなかったよ。今日はボン・ジョヴィのアーカイヴにみなさんをお連れしましょう。ここまでの20年は素晴らしかった。次の20年はもっと素晴らしくなるよ!
リッチー:このボックス・セットの中には、これまで書いた曲の様々なスケッチが含まれている。作ってみて、とても誇りに思えるよ。アーカイヴをさかのぼる作業も楽しかったし、みんなも僕らと同じぐらい楽しんでほしいな。
デイヴィッド:これを聴けば、長年のハード・ワークがよくわかってもらえるはず。本当なら、1億人一人一人にありがとうと言いたいけど、それじゃDVDが一気に埋まってしまうし、残念ながら、みんなの名前を書き出すほど時間はないんだ!
ティコ:俺たちはミュージシャンや音楽のファンなんだ。他人のボックス・セットを聴いていると、まるで彼らの応接間にあがりこんで、魂をかいま見るような気持ちになってくる。俺たちのちょっと趣きが違う。ほとんどは未発表曲で、これこそ俺たちの魂そのものだ。改めて聴き直してみて楽しかった。みんなにも楽しんでほしい。ジョンも言ってたが、まだまだあと20年。みんなのおかげだよ!
【THE FIRE INSIDE】
ジョン:すごく好き。アルバムに入らなかったなんて信じられない!確か『キープ・ザ・フェイス』で書いたんだよね?
リッチー:君の家の地下室でね。僕がギターを弾いて。
ジョン:そうだ! すごくよかったんだ。今思い出したよ。
リッチー:二人で書いたんだよ。
ジョン:そうだったね。『ヤングガン2』の影響がもろ出てるよ。
リッチー:ほんと。君は怒れる若者だった!
ジョン:『キープ・ザ・フェイス』を書いた頃は、ビリー・ザ・キッドにどっぷりハマッてて、何もかもヤツのせいだと思ってた。でも、今改めて聴いてみると、あれはビリー・ザ・キッドじゃない、僕自身だってことがよくわかる。
リッチー:完璧に君の言葉だよ。
【ロンドン、タワーレコード】
スタッフ:現状を説明しますと、今、ピカデリー・サーカスのタワーレコード前にいます。警察が介入してきて、もしボン・ジョヴィがこのままバルコニーで演奏するようなことがあったら、僕やバンドを逮捕するというのです。でも、まあ、やっちゃいましょう!
ジョン(MC):大丈夫、演奏するよ。みんなちゃんと聞こえてる?
警察:あなたがマネージャーですか?
スタッフ:いえ、私じゃありませんが、2秒で連れてきましょう。
ドク:名字はMcGhee。
警察:ほら、カメラは止めて!
【MISS FOURTH OF JULY】
リッチー:これはジョンが書いた中でも大好きなナンバー。長年パートナーとしてやってきて、時には歌詞を完全に任せるのが嬉しかったりする。特にこの曲は、当時聴いた時、ものすごく感銘を受けたのを覚えている。
ジョン:一番の心配事は、昔、初めてギターを持った10代の頃の純粋な気持ちがすっかり消え失せてしまったことだった。ある時ふと気づいたら、自分は会社の社長となり、ボスとなり、巨大マシンを動かすツールとなっていた。この時期、僕はピアノの前に座ることが多くなっていた。そして書いたこの曲はイノセンスをなくしたことへの嘆き。
リッチー:独立記念日の祝賀ムードと、消えてしまった恋の花火。その二つの対比が、この曲の歌詞をとても...絶望的にさせる!
デイヴィッド:アコーディオンの特別出演がいいと思うね! みんな誰が弾いたか覚えてるよね?
【GOOD GUYS DON’T ALWAYS WEAR WHITE】
ジョン:このラウドなロック・ナンバーは、熱心なファンなら知ってるはず。『COWBOY
WAY』という映画のために書かれたんだ。
リッチー:そうだそうだ! 主演はキーファー・サザーランドと...
ジョン:ウディ・ハレルソン。
ジョン:ビデオ撮影はウェイン・アイシャム、プロデュースはアンディ・ジョンズが行なった。ラウドでスピーディーでアップビートな曲を、ということで提供した。歌詞もおもしろいけど、ザ・フーを彷彿させるアプローチがとても気に入っている。
【ALWAYS】
ジョン:映画のために書いたけど、結局使われなかった曲も多い。“ALWAYS”もそうだ。もともと『ROMEO
IS BLEEDING』という映画のために書いた。脚本はすごくよかったけど、映画はダメだった。だから曲は自分たちでキープすることにした。それをたまたま聴いたジョン・カロドナーに「絶対にヒットするからやってみろ」と言われて、あとはご存じの通り。
ジョン:そんな風に引き上げた曲が、僕ら最大のシングルヒットになるとは、さすがに最初で最後だね。
【楽屋風景】
ドク・マギー:おめでとう、シングルが1位になったよ!
(拍手喝采)
【REAL LIFE】
ジョン:“Real Life”はニューヨークで一日、いや二日でレコーディングした。結果的に、ブルース・フェアバーンが亡くなる前、最後の共同作業になった。僕はブルースに30曲分ぐらいを渡し、リッチーも自分の曲を渡して、その中から“Real
Life”を、マシュー・マコノヒー主演の『EDTV』用に選んだ。マシューも『U-571』に出ているから、ちょうどイタリアのロケ地で会うところだった。そして撮影から戻ってきたその日、ブルース死去の知らせを受けた。というわけで、この曲はブルースとの最後の共同作業。彼は『ワイルド・イン・ザ・フトリーツ』と『ニュージャージー』をプロデュースすることで、僕らの人生を変え、成功をもたらせてくれた。今でも彼の死は非常に悲しく思っている。素晴らしい人間、ワンダフルなプロデューサー。
【ヘルシンキ→モスクワ】
入国審査官:パスポートは各自でお持ちください。それから、黒い色めがねは外すように...
【取材風景】
記者:みんな待ってましたよ。
リッチー:だから来たんだ。アルバムをリリースすることで、みんなに僕らの音楽を与えたい。
記者:早くライヴを見たいと思っています。
ジョン:たくさんの人に見てほしいよ。
通訳:ソビエトの若者にメッセージをお願いします。今、約1億4000万人が見ているんですよ。
ジョン:あわわわ! 目も耳も心もオープンにしてほしい。僕らもソビエトに対してそうするつもりだから。世界中の同世代を一つにすることが僕らの使命さ。
デイヴィッド:さむ????!
ジョン:8月9日にレーニン・スタジアムでやることになりそうだ。
ジョン:この5年間、ノン・ストップでツアーしてきたけど、このモスクワ公演はそのハイライト。まさかモスクワに来れるとは思わなかった。すごく楽しみだよ。
【GARAGELAND】
ジョン:これは、僕のニューヨークのアパートメントでリッチーと二人で書いた。ちょうど『クラッシュ』の時。僕が『デスティネーション・エニホェア』を、リッチーが2枚目のソロをそれぞれ作った後で、自分たちのあり方を模索中だった。二人で、自分たちの原点について、そして未来についていろいろ話し合った。『クラッシュ』を書き始めてすぐの頃の曲なんだけど、これまで何度も扱ってきたような題材だから、結局アルバムには使われなかった。今聴くと「使っても良かったかな」とも思う。今でも本当に歌って弾けて、本当にやりたい音楽をやってるバンドを見てると嬉しいし、僕自身と似たようなルーツを持つバンドには大いに共感できる。もし2年前に「何かアドバイスを」と訊かれていたら、きっと、歌を歌いなさい、楽器を弾きなさい、経験から書きなさい、別に何回腹筋ができて、腹がへこんでるかなんて関係ない、と答えてただろう。あのバグルスも言っていたけど、“ビデオの時代はラジオのスターを殺した”んだ。つまり、想像力を殺したということ。けれどここ数年、それは復活の兆しを見せている。バンドがバンドとして成長するチャンスが訪れたわけで、僕としてはとても嬉しい。バンドというのは、メンバー一人ひとりが同じぐらい重要なんだ。画面に映るシンガーのアップじゃなくてね。“GARAGELAND”はまさにそういう歌。目立ってみたって、戦いに勝てるわけじゃない。それより絆が大事、握られた拳が大事。そうじゃなくても、成功することはとても大変なこと。最近では、長続きは本当に難しくなってきている。僕らみたいに、本当の成功を手に入れるまで3枚ものアルバムを要するなんて、もはや考えられない。でも、今のバンドの中にも、チャンスはかならずあると信じているよ。
リッチー:“GARRAGELAND”は『クラッシュ』のために書いたけど、すごくいい曲だね!
ジョン:僕も驚いた! アルバムで使われてもおかしくない。
リッチー:同感。僕も改めてそう思ったよ。
ジョン:ハイハットがかっこいい。“GARAGELAND”ってタイトルだけでも好き!
リッチー:最初みんな、タイトルに惹かれたんだよ。
ジョン:(歌う)
ティコ:俺たちの原点を歌ってるわけだ。
ジョン:そう!
リッチー:どのバンドも同じようなところから始まって...
ジョン:それがガレージランド。
リッチー:みんなで夢を見る。すべて、夢を見るところから始まるんだ。ガレージからステージへとね。
【ジャイアンツ・スタジアム】
ジョン:この場所こそ僕らの夢、ゴール。これでおしまい!と言われてもかまわない。僕らの偉大なるツアマネ、ポール・コージリアスの言葉を借りれば、「俺たちはついにダンスを踊る」んだ!
デイヴィッド:今夜は8万人集まるんだって! すげぇー! 幸せ!
ジョン:80フィート上空を飛び、花道だけでもフットボール会場の大きさ! こんなこと、まだ誰もやったことないよ。ストーンズでも、ザ・フーでも!
ジョン:言葉にならないよ。あまりに感動して、途中で4回ほど泣くかと思った!
リッチー:まさに人の海だね。飛行機が飛んだり、最高の夜だった!
ジョン:ずぶ濡れだよ、ほら! しかも、この靴はたった3曲分しか履いてない! それぐらいびっしょり!
【LOVE AIN’T NOTHING BUT A FOUR LETTER WORD】
ジョン:テーマは結婚トラブル、虐待。まずデモ・ヴァージョンは僕一人で書いたもの。そして、ホーンや女の子が入って歌詞も少し変わったヴァージョンはデイヴィッドとリッチーとの共作。R&Bっぽいフレイバーが気に入っている。それはたぶん、僕がサウスサイド・ジョニーと一緒にいたことの表れだと思う。彼とツアーに出て、何回かギターを弾いたりもした。おかげで、音楽の純粋な楽しさを思い出したというか、10年前、自分がサウスサイド・ジョニーになりたかった頃の気持ちが甦ってきた。この曲も、最初に書いた時はジョニーが歌ってる姿が浮かんできたりした。でもしばらくとっておいて、改めてバンドとしてやり直した。手直しして、レコーディングし直して、何とかフィットさせようと思ったけど、ちょっとR&Bっぽすぎるかなって。
リッチー:高音は誰が歌ってんの? レマ(=デイヴィッド)だよね?
ジョン:そうそう。
リッチー:かなりモータウン入ってるよねえ。
デイヴィッド:それにしても、途中でキーが変わるなんてさあ。
リッチー:ちょっと音をあげてみました!
ジョン:どうしてキーを変える気になったんだろう...
ティコ:ライヴで苦労するだけなのに!
リッチー:後から「なぜそんなに高いキーなの?」って不思議に思うことも多いよね。
ジョン:よかったよ、教訓から学んで。
リッチー:今じゃ周囲から止められるしね!
【飛行機の中】
ジョン:ようこそ、ボン・ジョヴィ・エアラインへ。これから公演地に向かいます。どうぞご搭乗ください。
デイヴィッド:初めまして! これから最後の公演地に行くんだよ。サンタクロースの出身地、ラップランドまでね。でも僕はユダヤ人さ。
ティコ:ユーゴスラヴィアに行って軍隊に入るんだ。
【LONELY AT THE TOP】
ジョン:ユニークなストーリー。でも当初は便乗だと思われたくなかった。カート・コバーンが亡くなった後、リッチーと書いたんだ。僕は彼を尊敬していた。声はいいし、サウンドはユニークだし、歌詞に説得力があったし、彼もまた、ミュージック・ビジネスに苦悩する男に見えた。僕らの場合は助けてくれる人もいたし、徐々に答えが見つかった。でも彼の場合は、不幸にも、一番困難な時期に手を差し伸べてくれる人はいなかった。彼が亡くなった時、一番動揺したのは、彼に僕の娘と同い年の娘がいたこと。この曲は、そのカートの娘フランシスへ宛てた手紙。「あなたはお父さんのことを知らずに終わってしまったけど、きっとお父さんもあなたのことをもっと知りたかったはずだよ」って。文字通り、トップに君臨することは孤独なことでもあるんだ。みんなが想像してる通りとはいかない。
【THE ONE THAT GOT AWAY】
ジョン:この美しい曲はリッチーと二人で書いた。ストーリーがとてもいい。
リッチー:アルバムに残らなかった曲の中では特に気に入ってる。これと“MISS
FOURTH OF JULY”。もしかすると、ちょっと歌詞がインテリすぎたのかもしれないね。どう思う?
ジョン:どのアルバムの時だったっけ?
リッチー:このスタジオでやったの覚えてない? レコーディングの最中、どんどん機材の調子が悪くなってさ。こっちはクリエイティヴな衝動に駆られているのに、機械の方がどんどん壊れていって...
デイヴィッド:そうそう、ヘッドホンが使えなくて、悪夢だったよね。
ジョン:ねえ、どのアルバムだったか思い出せないよ...
【ファンvsバンド】
ファン:最高! 友達がボン・ジョヴィを見たことなくて、絶対に見なくちゃダメって連れてきたんだけど、めちゃくちゃ楽しんでた!
ジョン:今日は最低の出来だった!
ファン:耳が痛いけど、ボン・ジョヴィ最高!
リッチー:音が全然聞こえなくてさ。きっとお客さんの方がまともに聞こえてたぜ。
ファン:ライティングも音楽も、全部よかった!
リッチー:途中からなーんにも聞こえなくなった。ドラムもヴォーカルも、ゼロ!
ファン:今日は5回目なんだけど、いつもファンタスティック!
ジョン:ギターの代わりにベースが聞こえるし、ベースはヴォーカルと同じぐらいデカいし!
ファン:ファンタスティック!
リッチー:パンチ力に欠けたんじゃない? 俺は一生懸命パワーコード弾いてるのにさ! 全然ちゃんと伝わってない!
ティコ:俺はかなり押さえたよ。
デイヴィッド:途中で何かを切ろうと思ったんだけど、どうすればいいかわからなかった。
ジョン:ベースとキックが合ってなかったじゃないか!
ジョン:耳で聞くんじゃなくて心で感じたいんだ、俺は!
ジョン:見事になにもかもうまく行かなかった。もしマシンガンがあったら、ぶっ放したい気分だね。近くにいない方がいいぜ!
【ONLY IN MY DREAMS】
ジョン:大好きな曲。絶対にボックスに入れたいと思った。みんな、覚えてる? ティコが歌ってるやつ。
リッチー:もちろん!
ジョン:特にこのヴァージョンが大好き。いかにもティコ。
ジョン:ティコの歌がめちゃくちゃいいんだ。今回もボックスを組むにあたって、どうしてもティコ・ヴァージョンがほしくて戦ったよ。彼の歌声は腹の底から伝わってくる。僕の言葉を彼なりに解釈してくれた。他人に自分の歌詞を解釈してもらうのは楽しいよ。それに、ティコはいつも言うんだ。「おまえさんのことは大好きさ。だって、俺はおまえのケツを20年間見続けてるんだからな」って。とてもいいヴァージョンだと思うよ。みんな「誰?」って驚くけど。そう、ティコだよ。本当にいい味出してる。
リッチー:うちのドラマーは歌がお上手!
ティコ:高い声は出ないんでね。
デイヴィッド:じゅうぶんだよ。
リッチー:すごいいい感じ!
ティコ:いつやったんだっけ?
ジョン:『キープ・ザ・フェイス』だよ。
リッチー:そうだっけ?
ジョン:うん。『ジーズ・デイズ』ではなかったはず。
リッチー:ここのスタジオじゃなかったっけ?
ティコ:すごくいい曲だよ、ジョン。
ジョン:ちがう、ちがう。前の家の地下スタジオだ。
(ティコ、歌いながらオナラ)
ジョン:みなさま、ティコからのプレゼントです。もしみんな死んじまったら、ティコのせいですから!
リッチー:臭いの出るビデオじゃなくてよかったよ!
【THIEF OF HEARTS】
ジョン:これは、この場所で、パット・レナードと書いた。彼は『ディス・レフト・フィールズ・ライト』のプロデューサー。もともとパットを選んだのは、彼のアンプラグド関連の仕事を評価していたからで、エルトン・ジョンやマドンナを手がけたことも決め手だった。とても柔軟性に富んだプロデューサー兼プレイヤーで、彼がボン・ジョヴィのプロジェクトに持ち込めるものはたくさんあると思った。そこから『ディス・レフト・フィールズ・ライト』は生まれたんだ。力を合わせて、すべての楽曲を再表現してみた。で、パットと二人で方向性を話し合いながらスタジオで遊んでいる時に、この新曲は生まれた。できるればアルバムに入れたいと思い、バンドでレコーディングをした。『ディス・レフト・フィールズ・ライト』の音楽性やプロダクションの雰囲気を損なわないように気を遣いながら。でも結果的にそれが曲を制限してしまい、アルバムに入ることはなかった。曲も歌詞もとてもいいと思うけど、残念ながらあのアルバムにはそぐわなかったんだ。今回こうしてみなさんにお届けできて嬉しいけど、あの時は『ディス・レフト・フィールズ・ライト』を混乱させたくなかったんだ。
【OPEN ALL NIGHT / THESE ARMS ARE OPEN ALL NIGHT】
ジョン:いいバラードだね。“OPEN ALL NIGHT”というタイトルは5回ぐらい使い回してるんだ。最終的に『バウンス』でその名前の曲が収録されたけど、それまでは、すごく気に入ってるタイトルなのになかなか曲の方がともなわなかった。
リッチー:他にも同じタイトルで書いてる人いるよね。
ジョン:ああ、たしかに。
リッチー:僕らは何回ぐらい使ったかなあ。
ジョン:何度も! 今回のこれは未使用ヴァージョンだよ。
ジョン:結局『バウンス』で完成型が使われたけど、今回あえてこの2曲を入れようと思ったのは、アイディアのもろさを見せたかったから。僕らが、ひとつのタイトルから始めて、最後にみんなに聴いてほしいと思える形になるまで、いかに徹底的にいじくり回すかを見せたかった。
ジョン:このヴァージョンは確か『クラッシュ』の時のもの。とてもいい歌詞だと思う。まるで映画のようだ。
ジョン:特にソングライター志望の人々に言いたい。とにかく何でもいいから試してごらん、一度でも、二度でも、三度でも、きみが満足するまで。
【OUTLAWS OF LOVE】
ジョン:“OUTLAWS OF LOVE”に関しては...書いたのを覚えてない! まったく覚えてない!!
ジョン:この曲と“WE RULE THE NIGHT”とあと数曲は、埃の上にさらに埃がたまった状態で発見された。
デイヴィッド:今必死。今夜、この曲をやるかもしれないのに、ぜーんぜん思い出せなくて...困ったモンだ。
ジョン:“OUTLAWS OF LOVE”にしても“WE RULE THE NIGHT”にしても大昔のことはすっかり忘れてた!存在すら覚えていなかった。そういった忘れた宝石を発掘するのは楽しくもある。ただ、正直のところ、このボックスに入れたいとは最初、思わなかった。だって必ずしも好きな曲ではないし...でも僕らの歴史の一部なわけだし意味もある。それに、ちゃんとレコーディングしてあるということは、書いた当時は気に入ってたんだろう。僕らの成長期の証しであり、その後の自分たちを占うこともできる。
【ORDINARY PEOPLE】
ジョン:この曲は僕とデイヴとリッチーの共作。
リッチー:デイヴの家で。
ジョン:そう。
デイヴィッド:何年だったっけ?
ジョン:1995年の『ジーズ・デイズ』の頃じゃない?
リッチー:歌詞にマイケル・ジョーダンが出てくるだろ?
ジョン:そう。先に僕のヴァージョンがあって、後からみんなで手直ししたんだ。それですごくよくなった。君の家でやったのは覚えてるよ。
リッチー:いかにもニュージャージーって感じの歌だよね。「おまえも俺も、みんな普通の人」みたいな。
ジョン:歌詞が多かった。
ティコ:しかもずっとエンディングがなかった。
ジョン:そうそう!
リッチー:しかたないから、ブリッジに戻って、転調5回、とかやってた。
ジョン:言葉が多かったのを覚えてる。
リッチー:今だったらきっと上手に直せただろうな。
ジョン:95年あたりはみんなスタイルに拘っていたよね。
ティコ:95年のワインはどんな出来?
ジョン:あの頃流行ってた、なんとかマレンってヤツ、覚えてる? ハリウッド・ヒルズで腰振ってたヤツ。当時はそういうものの影響が強かった。
リッチー:クリストファー・クロスじゃないよね?
【昔の映像】
ジョン:けっして悪い人生じゃないよ。エンターテイメントは。でも人々は、まるで俺たちを王様かなんかだと思って見てる。全然そうじゃないのにさ。俺らだってAからBに行くのに車に乗って、ラジオを聴きながら行くんだぜ。確かにこれが俺の人生、俺の生活だけど、他とちっとも変わらない。朝起きればシャワーを浴びたり髭剃ったりする。ただ、他の違うのは、自分が自分の主人であることだけなんだ。
リッチー:若い時、ロックンロールだけは自分のもの、と思ってた。親のものじゃない。俺の青春のシンボル、俺の個性、独立の象徴。うちのオヤジも、50年代にニュージャージーでちんぴらやってた頃、俺が生まれてリチャードって名前にしたのは、自分の車を買った店がRICK’S
AUTO SALESだったから、なんて話してくれたよ。
ジョン:へえ、君の名前は中古車かい? 笑える!
【IF I CAN’T LIVE WITHOUT YOUR LOVE】
ジョン:ボックスに、リッチーのソロ・アルバムで使われなかった曲を入れることで、彼が僕やバンドに与えた影響を改めて感じてほしかった。いかにも彼らしく感情をはき出している。こういう演奏で歌われると、そのたびに感動してしまう。すごくいい曲だけど、彼のソロ・ナンバーはどれもグレイトだ。とてもいい仕事をしてると思うし、こうして彼のナンバーを聴くことによって、彼が2枚の素晴らしいソロ・アルバムを作ったことをみんなに忘れないでいてほしい。それからデイヴと彼のミュージカル。この曲は、彼が音楽をつけた『MEMPHIS』というミュージカルからのもので、彼自身が歌っている。最初に彼の歌を聴いた時、まるでエルトン・ジョンが書かなかったエルトン・ジョンの曲のようだと思った。だからぜひボックスに入れて、デイヴの仕事ぶりを見てほしかった。デイヴにしろリッチーにしろ、バンドをやっていない時は何をやっているのか。ティコの歌も含めて、一人一人の個性を感じてほしかった。それによって、いかにボン・ジョヴィがバンドとして成り立ってるかも見えてくるはず。
デイヴィッド:イージー! わお! ピアノ弾いて54ドル稼いだぜ。53ドルかな? しかも、時にはメシまで付いてくる!
悪くないだろ? 昔に戻ったみたいだ!
【THE RADIO SAVED MY LIFE TONIGHT】
ジョン:これはピアノで書いた。時期的にはとても困難な時期。今回はその当時の未発表曲がいくつか入っている。僕は、自分の内面を見つめながら、次のアルバムを作る動機はいったい何なんだろうと自問していた。それは、バンドとしてアルバムを作るか否かという問題ではなくて、そもそも作るべきかどうかの問題だった。この頃になるともう、僕の中に青春時代のイノセンスなど残っていなくて、『ニュージャージー』の後、いわゆる燃え尽き症候群が襲ってきていた。今思うと、それは誰のせいでもなかった。権力者たちが、僕らが常に市場にとどまるようにと、やるべきことをやっていただけだ。ツアーをして、レコーディングして、またツアーをして、働いて、取材して、ツアーして、またツアーして...そりゃ燃え尽きもするさ。“RADIO
SAVED MY LIFE TONIGHT”のような曲は、ピュアなソングライティングを再認識させてくれる。ラジオに好きな曲が流れた時の感動。音楽の魔力。それを紙に書くことができた。他に誰も喜びを分かち合える人がいなくても、いかにラジオが自分の気持ちを救ってくれたか...それがあったから、14年経った今もこうしてみんなの前にいられるんだ。最初の頃は、例えば運転してる最中にラジオから“RUNAWAY”が流れてきたら、わざとスピード違反して、警官に止められて「ねえねえ、聴いて、これって俺だよ!」と言いたい衝動にかられたもんだよ! でもそういう時にかぎって誰もつかまえてくれないんだよね。ところが、しばらくすると、今度はあまりに頻繁に流れてきて、チャンネルを変えるようになっていた。レコーディングしてツアーして繰り返し聴いてるのに、わざわざラジオで聴きたくないっていうのがあったんだ。でも、ある時LAで、ラジオから“YOU
GIVE LOVE A BAD NAME”が流れてきて、最初はチャンネルを変えようかとも思ったんだけど、結局じっと最後まで聴いたんだ。一人だったんだけど、なんだかとてもいい曲に思えた。ちょっと楽しくなって、窓を開けて、もう一度警察に追われたいと思ったよ!
【SATELLITE】
リッチー:これも、機材が壊れたスタジオで録ったんだよね。
ジョン:キーが高すぎる。
ティコ:まるで3つの曲が合体したみたい。
ジョン:ほんと。
ティコ:まったく、あんたらは何のためにキーを変えるんだい? 俺を見てみろよ。いつも同じキーじゃないか!
ジョン:はは!
デイヴィッド:こうしてバッグからキーを取り出すんだよ。はいB、次はG、ってね!
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