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大復活アルバム『グエロ』から約2年弱の新作は変幻自在、予想不可能のBECKサウンドが満載!!


1オディレイ+19(デラックス・エディション 『1オディレイ+19(デラックス・エディション)』
Odelay Deluxe Edition

2008/04/09 on sale
UICY-7341,2 \3,600 (税込)
*グラミー受賞作品「オディレイ」が2枚組デラックス盤としてリリース!

収録曲
<DISC1>
01) デヴィルズ・ヘアカット
02) ホットワックス
03) ロード・オンリー・ノウズ???
04) ザ・ニュー・ポリューション
05) ディレリクト
06) ノヴァケイン
07) ジャック・アス
08) ホエア・イッツ・アット
09) ミヌス
10) シシーネック
11) レディメイド
12) ハイ5 (ロック・ザ・キャッツキルズ
13) ラムシャックル
14) ?ヒデゥン・トラック
15) デッドウィエイト: フロム・ザ・フィルム・ア・ライフ・レス・オーディナリー★
16) インフェルノ (未発表曲)★
17) ゴールド・チェインズ (未発表曲)★
★日本盤ボーナストラック

<DISC2>

リミックス
01) ホエア・イッツ・アット[UNKLE remix] -originally released on “Where It’s At” UK 12” single-
02) リチャーズ・ヘアピース [Aphex Twin remix of “Devil’s Haircut”]
-originally released on “New Pollution” UK CD single-
03) アメリカン・ウエストランド[Mickey P. remix of “Devil’s Haircut”]
-originally released on “Where It’s At”-
B-sides
04) クロック -originally released on “Where It’s At” Japanese EP-
05) サンダー・ピール -originally released on “Stereopathic Soulmanure-
06) エレクトリック・ミュージック・アンド・ザ・サマー・ピープル
-originally released on “The New Pollution” UK CD single-
07) レモネード -originally released as UK album bonus track-
08) SA-5 -originally released on “Deadweight” UK CD single-
09) ファーザー・イン・ユア・キャップ
-originally released on “The New Pollution And Other Favorites” Japanese EP-
10) イレイス・ザ・サン -originally released on “Deadweight” UK CD single-
11) 000.000 -originally released on “Devil’s Haircut” UK CD single-
12) ブラザー -originally released on “Sissyneck” Australian Tour EP-
13) デヴィル・ゴット・マイ・ウーマン -originally released on “Sissyneck” Australian Tour EP-
14) トラブル・オール・マイ・デイズ -originally released on “Devil’s Haircut” UK CD single-
15) ブァーロ -originally released on “Sissyneck” Australian Tour EP-
16) ストレンジ・インヴィテイション -originally released on “Jack-Ass” UK CD single-



アルバム『Odelay』のリリースから10余年。そのデラックス・エディションが、ついにここに誕生した。本来ならば96年のオリジナル・リリースから10周年を記念してのデラックス盤となるところだった本作なのだが、最新スタジオ・アルバムにあたる『The Information』が2006年にリリースされたため、しばしこちらのほうは後回しとなっていた。今回、数年遅れでやっと実現したというわけだ。ファンにとっては、これぞベックの決定盤と呼べるアルバムであり、また当時を知らないリスナーにとっては、これぞベックを知るもっとも便利な糸口となることだろう。だが、如何にこのアルバムがエポックメイキングであり、音楽シーンの流れを変えるまでに至った重要作であり、ロックの可能性を切り開いてくれる道標となってきたか云々……を述べるのは、なんだか分かりきっていることを今更繰り返すようでヤボなので、ここはサラッと事実関係のみを記しておきたい。
アルバム『Odelay』は97年のグラミー賞で最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム部門を受賞している。同じカテゴリーでノミネーションを受けていたR.E.M.の『New Adventures in Hi-Fi』やスマッシング・パンプキンズの『Mellon Collie And The Infinite Sadness』といった強豪を押しのけての受賞だった。ファースト・シングルの「Where It’s At」は、最優秀男性ロック・ヴォーカル・パフォーマンス賞にも輝いた。ニューヨークの“ヴィレッジ・ヴォイス”誌は、評論家たちが選ぶ96年のベスト・アルバムに選出。そしてセールスはアメリカだけで200万枚を突破。年月を経てからの評価も高まる一方で、2003年に米“ローリング・ストーン”誌が発表した史上傑作アルバム500枚のリストでは305位にランキングされていたり、様々な形で歴史に残る傑作として名を残している。
このアルバムが発表された前後のことを、もう少し詳しく説明しておくと、ベックは94年にリリースした『Mellow Gold』のアルバムと、そこからシングルカットされたヒット曲「Loser」で、一躍時代の寵児と持て囃された。90年代のボブ・ディランとでもいった趣きで、ジェネレーションXと呼ばれたグランジ世代の若者たちの脱力感を代弁して人気を博した。が、一発屋なのでは? と懐疑的に見られていたのも事実で、そんな邪念を吹き飛ばしたのがこの『Odelay』なのだった。つまりダメ押しのアップグレード・アルバムでもあったわけで、実際サウンド的にも素朴でローファイ色の強かった前作から比べると、断然ゴージャスでダイナミックに変遷しているし、レイヤーも確実に増している。ブルース、フォーク、カントリー、ヒップホップからロックにインディー・ロックのD.I.Y.精神や、エレクトリックな実験性、はたまたノイズやカットアップを自在に用いる柔軟な発想は、まるでパッチワークで遊んでいるかのようで、従来のサウンドメイキングとは目線の地軸が違っていた。だからこそ、そこにロックの未来を感じたリスナーやミュージシャンも多かったわけなのだが、こうして今再び聴き返してみると、そういった手法に慣れてしまった我々の耳にとっては、そういったジャンルの切り貼りよりも、むしろベックがずっと奥深くに持っていたルーツ志向のほうが鮮明に聴こえてくるのがおもしろい。それだけ彼の手法やアプローチが今や一般的になった証でもあると同時に、彼がそういった発想のユニークさだけではなく、フォークやブルースといったルーツを自身の根底に持っていたからスペシャルだった事実を教えてくれる。
さて、ここで今回このデラックス・エディションならではの追加トラックについて紹介しておきたいのだけれど、まずはオリジナル・アルバムを収録した1枚目のCDのほうに追加されているのが3曲。そのうち「Deadweight」はダニー・ボイル監督の映画『普通じゃない』のサントラから。また「Inferno」と「Good Chains」の2曲も『Odelay』のレコーディング時のダスト・ブラザーズとのセッションから採択されている。そして新たに加わったもう1枚のCDには、これまでシングルのBサイドとして発表されてきた曲やリミックスなどから構成されているのだが、ベックに関しては日本盤のシングルやEP、リミックス集のラインナップはかなり充実していただけに、すでに聴いたことのある曲も多いだろう。手元の資料によると「Thunder Peel」はマリオ・カルデイト・ジュニア.による共同プロデュース。ヴァージョン違いの未発表作だとか。また「Where It’s At」はU.N.K.L.E.ことジェームス・ラヴェルによるリミックス。「Devil’s Haircut」はエイフェックス・ツインによるリミックスが「Richard’s Haircut」と、ミッキー・Pによるリミックスが「AmericanWasteland」とそれぞれ名付けられている。こうしてリミックス毎にタイトルが変わってしまうことが多いのもベックの特徴だ。そしてインターナショナル盤のBサイドに収録されていたトラックとして「Clock」「Electric Music and The SummerPeople」「Lemonade」「SA-5」「Feather In Your Cap」「Erase The Sun」「000.000」「Brother」「Trouble All My Days」「Strange Invitation」「Devil Got My Woman」「Burro」(マリアッチを率いた「Jack-Ass」のスペイン語ヴァージョン)が並んでいる。以前にリリースされていたかどうかは不明だし、調べても例外が多すぎるので、あえて明言は避けておくことにしたい。というのも、実はベックがこれまでにリリースしたシングルを集めたボックスセットが日本独自の企画で進められていたのだが、そのお手伝いのような作業をさせてもらったところ、とにかくリリース形態が多様なのと、収録曲がまちまちであるため、どうにも把握するのが大変すぎて閉口させられた。とにかくコレクター泣かせなのだ。

(アルバムライナーノーツ引用: 村上ひさし Hisashi Murakami)