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<ジェイダキッス・ストーリー>
グループLOXで、ジェイダキッスがラップシーンに耳をつんざくような衝撃を与えたとき、全ては解き放たれた。彼らほど急速にヒップホップミュージックの音を大改革させたヒップホップグループが存在しなかったからだ。皆を熱狂させると同時に、感情豊かな要素を正確に表現することが出来る唯一のグループでもあった(彼らの華々しいデビュー作『Money,
Power & Respect』が良い証拠)。さらに瞬く間に彼らはラップ・ミュージックの地図を塗り替え、そのジャンルの中で影響力のある存在となった。マイクを握れば最もタフでタイトなMCをする男としてLOXのフロントマン、ジェイダキッスは、その素晴らしさ故に歴史に残るであろう前代未聞のアルバム『キス・ザ・ゲーム・グッバイ』を引っさげ、彼のソロ活動を始動させる動きだ。
悪名高いジェイソン"ジェイダキッス"フィリップスは、彼のスマートさに気付かないお偉方気取りの連中たちの裏で、キャリアを築いていった。「子供の頃からずっとそんな感じだった」というジェイダ。ウィットに富んだライム能力によって生まれた言葉は、NYヨンカース・シティの縄張りの相手に食ってかかる、可能性を積んだ12歳の"ライム・アニマル"として13年前からウワサされ始めた。だからといって、彼の相手があらゆる形、方法、又はファッション面でひどく劣っていたわけでもない。彼らは時々16バール爆薬を装備して戦いに挑んでいたのだから。ただ、生まれもっての"殺し屋"ジェイダキッスは連中が引き起こすどんな小さな煙も、平均すると全長40フィートもあるファイヤーレーンで消してしまった。
「戦いに勝っていた奴といえば、俺だった」 と自信を持って、初期のストリート時代についてジェイダキッスは言う。
「奴らの頭を炸裂させるようなライムを俺は何百万と持っていたんだ」
ストリートとは別に、中学時代のカフェテリアで、ウィットとライミングのスキルを磨いたとジェイダキッスは言う。「ランチタイムの間に、適当に作りあげたものをみんなに披露するようになってね。俺はふざけてただけなんだけど、才能があるってみんなに言われるようになったんだよ」 数年後、ジェイダキッスはレコーディングスタジオに入る機会を与えられ、彼はそれまで培ってきた全能力を注ぎ込んで著しい成功を得た。
彼の評判はどうしようもなく"しつこい"伝染病のように、ホームタウンの至る所で広まった。彼の戦闘熟練、才能の話は、その頃ヨンカース・シティの伝説としてのステータスを既に手にしていたDMXことアール・シモンズにも届いた。そして彼はジェイダキッスに信じられないほど素晴らしい将来性を与えたのだ。Xは、彼とシーク(スタイルズは後、LOXに参加)をダーリン・ディーとラフ・ライダーズのホーキン・ワー・ディーンに紹介し、2人はフロリダのJack
the Rapper会議に連れて行かれた。「別に彼らと契約してたワケでも何でもないんだ」と、ジェイダキッスは貴重な体験を振り返る。「俺たちがXと同じフッドの出身だということをただ知ってただけさ。彼らがくれたチャンスを俺たちは存分に使いこんだんだ」
ラフ・ライダーズは直ちにジェイダキッスのファミリーとなる。ジェイダキッスとラフ・ライダーズのファミリーはヨンカースのパワーハウス・スタジオにこもり、食事、睡眠、仕事と全てを共に過ごした。DJクルーのテープに収録された数々のクラシック・フリースタイルを盛り込んだチームの入魂作は、バッド・ボーイ・エンターテインメントとの契約を結ぶ結果となる。ファーストリリース『Money,
Power & Respect』は100万枚以上の売上を記録。このアルバムによってクルーの存在は大衆に示され、これまでの予想をはるかに超えたものとなった。このことソロ活動とグループ活動を同時に行うというヒップホップのコミュニティーの土台となるものを築いた。スウィズ・ビーツの驚異的な成功の兆しをハイライトすることにもなった、ジェイダキッスのキャッチーでクレバーなソロ・カット『All
for the Love』は、ジェイダキッスのソロ・アルバムを求める声を強めることとなった。
主要人物たちとの活動によって成長し続けたジェイダキッスを誰もが見守っていた。チャートのトップインを飾っていたショーン・パフィー・コムズの『Benjamins』、ノートリアスB.I.G.の『Last
Days』やジェイZの『Reservoir Dogs』、ノリエガの『Banned From TV』といったクラシック・ポッセのカットに、彼はゲスト・ラッパーとして確実な"炎"を投げ入れた。しかし彼のソロとしての逸品、ラフ・ライダーズのコンピVol.1『Kiss
of Death』の後、ソロとしての活動依頼は一層高まったのである。そういった声はプレッシャーにもならなかったと彼は言う。そしてこのアルバムがジェイダをラップ・ゲームというヒエラルキーの頂点にのし上げると当然のごとく考えている。「紛れもなく、俺は最高のうちの1人だと思ってる」とジェダキスは断言する。「そうやって考えるべきなんだ。世の中には最高な奴もゴロゴロいるし、このゲームに加わる前から俺が尊敬してた人間もいるよ。だけどこれが俺自身に対する考え方だ。このゲームの中では強烈なインパクトを与えなきゃ始まらないだろ」
有名な後期のノートリアスB.I.G.もまた、ジェイダキッスのワードプレイを絶賛していた1人である。「彼は俺を連れ出して、一緒に活動したかったと言ったんだ。俺にアルバム曲を幾つか書いて欲しかったらしい。彼が亡くなった後、事態は混乱してしまったんだ」
彼の言う強烈なインパクトを作るために、25歳のMCは貯蔵兵器を拡張し、最近は、付加次元のスーパー・アーティストたちとのコラボレーションを頻繁に行っている(サンシャイン・アンダーソンの『Heard
It All Before』リミックス、メアリー・J・ブライジをフューチャリングしたDJクルー・メガ・ヒット『Back
to Life 2001』、マイアの猛烈なヒット作『Best of Me』)。その他にも彼は、イヴの『Got It All』、R.ケリーの強烈な『Fiesta』リミックスなどの素晴らしいヒット作も手掛けている。そして今、ジェイダキッスは一歩ずつスターの座へ向けて進んでいるのである。ヒップホップ・ジャンキーに向けられた彼のジャブとパンチに加え、ジェイダキッスは『Kiss
Tha Game Goodbye』をオーディエンスに向けて発表。それは明らかに彼をヘヴィーウェイトにランクインさせるだろう。またラジオ/クラブのスマッシュヒットとなった『We
Gonna Make It』は全国を通じてエアウェーブを吃驚させた。スウィズのあまりにもマニアックなキーボードのサウンドによる、中世的で、半滑稽な『On
My Way』に多くの活気を与え、また伝記的なストーリーを持つ『Feel Me』は今までのジェイダキッスの作品では最高のものであろう。ジェイダキッスの人生を綴った40小節のトラックは、今年一番のストーリーテリング・ヒップ・ホップであることを証明する。
『Kiss Tha Game Goodbye』にはアピール性がある。ギャングスター主義と空威張りをミックスさせた彼の能力は、一流だと言っても過言ではない。ジェイダキッスの脅迫的な声と極めて"不吉な"プロダクションは、ハードコア・サウンドと感性の見事なブレンドによって、巧妙で威圧的音楽の雰囲気を作り出すのである。
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