収録曲
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| 01) |
バザーズ・アンド・クロウズ |
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| 02) |
ヒッピーズ・サン |
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| 03) |
プラスチック・ハーツ |
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| 04) |
タイアド・オブ・イングランド -1ST Single |
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| 05) |
カム・クローサー |
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| 06) |
フォルト・ラインズ |
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| 07) |
キックス・オア・コンサンプション |
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| 08) |
ベスト・フェイス |
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| 09) |
トゥルース・ビギンズ |
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| 10) |
チャイニーズ・ドッグス |
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| 11) |
ザ・ノース |
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| 12) |
ブラッド・オン・マイ・シューズ |
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| 13) |
ホリー・ゴライトリー -ボーナス・トラック |
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| 14) |
ラン・ファット・ボーイ・ラン ボーナス・トラック |
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(ライナーノーツより抜粋)
カール・バラーはどんどん、どんどん、裸になっていく。ザ・リバティーンズ時代から常にステージの上では裸じゃないか、みたいな話ではない。ダーティ・プリティ・シングスのこのセカンド・アルバム『ロマンス・アット・ショート・ノーティス』を聴いていると、裸のままを意識したシンプルなサウンドの質感はもとより、歌詞においても、彼が持っていた壁のようなものが、ひとつひとつはがれて行って、どんどん、まっさらになっているような気がしてならない。そして言うまでもなく、さらけ出されたカールの本音はとても、魅力的だ。
今作のプロデュースは、ダーティ・プリティ・シングス自身とニック・レーマン、グレアム・スチュワート、ベン・ウッドだと伝えられる。レコーディング地は、ロンドンとロサンゼルス。なるほど、デビュー作がウォータールーにあるカールの部屋で主に曲が書かれ、それがロンドンとグラスゴーでレコーディングされたことで生まれたであろうダークさと比較すると、このアルバムの質感はよりカラリとした軽やかさと明るさに貫かれている。
そのあたりは、カールのギター弾き語りがごく自然にバンド・サウンドへと変化していく曲が多いことにも、繋がっていそうだ。"Come Closer"や"Fault Lines"などで、特に顕著だろう。サウンドから余計なものをそぎ落とし、誰かのふく口笛までも取り入れた"Fault Lines"や、ざわざわとした空気の振動までも封じ込めみせる"Hippy's Son" をはじめ、このアル
バムの特別さは、その空気感にある。ザ・リバティーンズ時代の、そこにあるすべてを入れたからこそざらつきまくった「裸感覚」とはまた違う、余計なものをそぎ落としたからこそ見えてくるような、シンプルな裸感覚。
このあたりはいつか、取材をする機会があったらまず確認しておきたいところだ。つまり、必要なものとそうでないものの取捨選択の基準を一体バンドがどこにおいたのか、良質のカントリー/フォーク・ソングとも言いたいほどに、メロディーの揺らぎをひたすら丁寧に浮かびあがらせるこのシンプルなアレンジを、どういう意図から取り入れたのか。その
あたりを意識しつつ、ぜひ、サウンドのシンプルさの向こうにふくよかに浮かび上がってくるものを、感じ取ってみて欲しい。
今作までの間に、カールはとにかく本を読んだという話をイギリスの新聞で語っている。グレアム・グリーンやサキの名前をリーディング・リストとして彼は挙げており、アルバム・タイトルの『ロマンス・アット・ショート・ノーティス』もサキの文章からインスパイアされてつけたようだ。グレアム・グリーンにサキ−−つまりは、「人間」がキーワード? それが関係するのかどうかは明らかではないが、カールはこのアルバムで初めて、自伝的手法を歌詞に取り入れている。それが2曲目、"Hippy's Son" だ。生まれてはじめて行ったライヴが1歳の時のグラストンベリー・フェスだったカール、その家庭環境はさほどトピックとして取り上げられることはなかったものの、母親がピッピー的な生き方をしていたということは、以前に私も取材で聞いたことがある。彼が自分のこれまでを、どういう気持ちで振り返っているか、耳を澄ましてこの曲を聴いてみてはどうだろう。私は、切なさがこみあげてきた。そして、人懐っこいようでいて、どうも最終的に相手には心を開くことがない、少なくともそう感じさせるカールが、自分についてのあれこれを吐露する気持ちになったということ。それもおそらく、この『ロマンス・アット・ショート・ノーティス』の開放感とも何らかの関係があるに違いない。
前作が「元ザ・リバティーンズのカール」が自己証明を果たしたアルバムだったとすれば、このアルバムはカール・バラーというただ一人の男が、人間として、その興味のありかや価値観の基準をまっさらに形にした作品だ。そして、なんて興味深い男なんだろうとこのアルバムを聴けば聴くほど、改めてカールに関心が湧いてくる。ライヴが大好きなこの4人のことだから、またこの後すぐにでもライヴやツアーをスタートして、きっと、そう遠くない将来に日本にも来てくれるに違いない。その時は、ザ・リバティーンズ時代のちょっとニヒルなあの男を想像していたら、いい意味で裏切られそうだ。幾重にも築いていた壁を壊し、シンプルな表情をようやく伝えるようになったカール。ダーティ・プリティ・シングスの未来は、ここからスタートするのかもしれない。
2008年6月 妹沢奈美 |