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バンドは様々な形で成功というものに反応する。
中には自己満足に陥りあぐらをかく者がいれば、用心深くなりすぎて同じことの繰り返ししか提供できない者もいれば、高飛車になって将来のことなどまったく気にしない者もいる...
そして、何があっても激しく攻め立ててくるバックチェリーがいる。
2005年にリリースされた『15』(大ヒット・ナンバー"Crazy Bitch"や"Sorry"を収録)はプラチナ・アルバムに輝き、グラミー賞にもノミネートされ、その成功は、このカリフォルニア州出身の5人組に大いなる力と勇気と情熱とエネルギーを与えた。
そんな彼らが勢いのまま作った12曲入りニュー・アルバム『BLACK BUTTERFLY』。常に前向きな彼らならではの冒険心と自信に満ちあふれた会心作だ。プロデューサーはキース・ネルソンと、これまでエアロスミスやデフ・レパード、FUEL、『ALMOST FAMOUS』のサウンドトラックなどで名を上げたマーティ・フレデリクセン。『15』で再生を果たしたバックチェリーが、さらに深く"セックス、ドラッグ&バックチェリー"の世界を追求した結果が『BLACK BUTTERFLY』だ。
「『15』が俺たちのハードルを上げたから、これまでのどのアルバムより、この『BLACK BUTTERFLY』ではじっくり時間をかけて曲作りを行なった。『15』がとてもいい作品だった分、今回もいい曲を揃える必要があった。俺たちのゲームにはレベル・アップしかありえないんだ」とジョシュ。
「3年前、俺たちは世界と向かい合っていた。そのために最高の作品を作る必要があった。今回も、3年前のそのメンタリティーに戻ろうとした。それは一つのチャレンジであったけど、結局俺たちはその頃と少しも変わっちゃいない。リハーサル・ルームも同じ、プリ・プロを行う部屋も同じ。唯一の違いは、駐車場にとまってる車がほんの少しだけきれいになったってことかな」(キース)
1999年にデビュー・アルバムをリリースして以来、"Lit Up"や"Check Your Head"、"For The Movies"といったヒットを連発し、2001年には2ndアルバム『TIME BOMB』をリリース。が、2002年には活動停止。ジョシュとキースが再び組むためには、しばらく距離を置き、新鮮さと熱意を取り戻す必要があった。ジョシュは2004年にソロ・アルバムを発表。キースは他のアーティストに曲を提供するなどしていた。一時期、二人はスラッシュ、ダフ・マッケーガン、マット・ソーラムと共演し、それはヴェルヴェット・リヴォルヴァーの先駆けとなった。しかしジョシュとキースの中でバックチェリー再開の望みが消えることはなく、2005年、3人の新たなメンバー(ギターのスティーヴィーD、ベースのジミー・アッシュハースト、ドラムのザヴィエル・ムリエル)と共に再始動。献身的なマネージメント・チームTenth Street Entertainmentと契約するに至る。
献身的なチームは必要不可欠だ。当初『15』に対する音楽業界の反応は鈍く、結局アルバムはバンド自身の持ち出しで作られ、日本とカナダのみでレコード契約が結ばれた。本国アメリカでは自主レーベルからリリースされたが、やがてアトランティック傘下のEleven Seven Musicが興味を示し契約。その後は実にポジティヴで精力的なキャンペーンが行われ、"Crazy Bitch"はありとあらゆるラジオやインターネット・サイト、ストリップ・クラブで流れるようになった。結果的にこの曲は120万デジタル・コピーを売り、プラチナ・シングルに認定。着メロダウンロードでもダブル・プラチナになり、グラミー賞の最優秀ハード・ロック・パフォーマンス部門でノミネートされた。
『15』は過去2枚のアルバムの合計枚数を上回り、"Everything"、"Next 2 You"、"Broken Glass"、"Sorry"などシングルが生まれたが、中でも"Sorry"はビルボード・ホット100で最高位9位まで上昇し、バンドにとって初のトップ10ヒットとなった。そして300公演以上に及ぶツアーのおかげで、バックチェリーは常に人々の注目を浴び続けた。
キースも『15』は画期的なアルバムだったと言う。「本当にありがたい贈り物だったよ。だって、4年前にはこのバンドはなかったのだからね。いろんな人にいろんな仕打ちにあって、それゆえ、成功というものに対して恐怖心を抱くことは可能だった。でも前進することもできた。結局、前に進むためには、自分たちが、この仕事ができていかに幸せかってことに気づく必要があったんだと思う」
バックチェリーは2007年11月から曲作りを始め、2008年春にスタジオ入り。「25ヶ月も精力的にツアーした後、誰一人休むことなど考えず、直ちに作業に戻った」(キース)
アルバム作りの過程は『15』とさほど変わらなかったとジョシュは言う。「俺がヴォーカル・メロディーを持ち込んで、そこから曲を展開させる。キースがマジックを加え、ジミーとスティーヴィーも彼らなりにインプットして、全員で組み立てていく。必要以上に頭を使わないようにしたんだ。"これってヒットしそう? 大丈夫? グレイトと言えそう?"みたいなことは問わない。とりあえず曲を書いてみて、形になったら、今度はそれに手を加えていくんだ」
ジョシュとしては、"Crazy Bitch"や"Lit Up"といったロック・フェイヴォリットから、"Sorry"のようなメロディック・ナンバーまで、違うテイストを気に入ってくれたすべての人にアピールできるよう、幅広いヴァラエティを求めていた。「まんべんなく網羅したかった。ワンパターンにならないように。もちろん、Hot ACやTop 40といったチャートに似合う曲はあるし、バラードは必ず入れる。俺たちのルーツ、つまりロックンロールへの忠誠心さえ失わなければいいんじゃない?」
そして出来上がった『BLACK BUTTERFLY』は、まさに、多様なレパートリーの集合体だ。"Rescue Me"や"A Child Called 'It'"が疾走感あふれるロック・チューンなら、"Don't Go Away"はメロディックなミッド・テンポ。
「これは、大好きな人と一緒にいたいのに、気持ちが離れてしまった時のもろさを歌ってる」とジョシュ。
中には変化球なナンバーもある。例えば"Too Drunk......."は怪しくセクシーで、これまでのバックチェリーにはないテイスト。「ファンキーなことやってみたくてね。これはキースとスティーヴィーとのコラボで、ストーリーを語っている」とジョシュ。
ストーリー? 酔っぱらいすぎて"できない"って話し? 「そう、俺のガキの頃の話し。いかに張りきって生きてたかってことだよ。まあ、そういうケースもなきにしもあらずだから"飲みすぎてファックもできねー"って歌ったらおもしろいかなあと思って」
子供について歌っている曲は他にもある。"A Child Called 'It'"はカリフォルニアで起きた、ひどい児童虐待が元となっている。"Rescue Me"も同じ。「"A Child Called 'It'"について読んでいる時、虐待の様があまりにひどくて、何度か本を置かざるをえなかった。でも、その本の方から俺に会いに来てくれたと思っている。主人公の驚くべき人生に感銘を受けてこの曲を書いたんだ」(ジョシュ)
"Fallout"はジョシュの人生にたびたび訪れる葛藤や苦悩を反映した自伝的ナンバー。"Imminent Bailout"は「どちらかというとパンク・ロック寄りのロックンロール・ナンバー」。"Rose"は印象的な旅ソングで、ボブ・シーガーの"Turn The Page"やガンズ&ローゼスの"Sweet Child Of Mine"を彷彿させるとジョシュは言う。
前回『15』でも2曲("Sorry"、"Next 2 You")で共作したマーティ・フレデリクセンが、今回もその存在感を示している。キースいわく、「前作の後、今度はプロデューサーとして協力し合えるのではないかと思えた。とにかくいい雰囲気で、完璧な人選だったと思うよ」
ジョシュも、今回4曲でコラボし、バック・ヴォーカルも提供しているフレデリクセンについて「メロディーの感性が優れていて、ミュージシャンとしても素晴らしい。ロック・ソングの組み立てについて完璧に理解しているし、俺たちがアイディアを固める時にいろんな意味で助けてもらった」と語っている。
そもそも『15』の成功は草の根運動と口コミの賜物であり、バックチェリーとしてはできる限りその流れを『BLACK BUTTERFLY』でも継承したいと考えている。もちろん、ニュー・リリースに対する期待度は、2年半前の『15』の時とはかなり違っている。今や、最も期待されているアルバムの一つであり、それが証拠に、アルバム・リリースが近づくにつれ、『15』の"Sorry"や"Crazy Bitch"が再びラジオやチャートを賑わし始めた。ファンには様々な形でバックチェリー・ウィルスに感染するチャンスが与えられるが、バンド自身は何よりもツアーに戻れることが嬉しいと言う。まずはモトリー・クルーのCRUE FESTで。キースいわく「このイヴェントは、人間が許される範囲を超えるぐらい楽しい」だそうだ。その後はヘッドラーナーとして世界中を飛び回る。
「ライヴこそ俺たちの真髄。昔から誇りを持ってるし、すべての基本はライヴにある。稲妻のようにパワフルさ。町から町を訪ね、どこに行っても損はさせない。毎晩かならずベストを出し切る。それは絶対条件なんだ。その気持ちは一生変わらないよ」(ジョシュ)
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