| バックチェリーの5作目のアルバム『All Night Long』は、ロックンロールの持久力を最高の状態で捉えた、活力に満ちたサウンドになっている。たんなるロックではない、ロック・アンド・ロールなのだ。1999年のバンド名を冠した人気デビュー・アルバムで最初にその名を確立して以来10年、バックチェリーはこれまででもっとも折衷的で印象深い作品を作り上げた。『All Night Long』は、グループの祖先であり今や友人のエアロスミス、AC/DC、キッスによるクラシック・アルバムの偉大な伝統である徹底的にロックした歌を今に引き継ぐ作品なのだ。
「オレたちは最初から最後まで素晴らしいロックのレコードを作ることを目指したんだ」とリード・ボーカリストのジョシュ・トッドは言う。「それがつねにオレたちの目標だった。『All Night Long』を聞き返すと、これは間違いなくオレたちの今まででいちばん強力な作品だと思うし、ほんとにハッキリと全体的なヴァイブがあると思う。もうみんなのために新曲を歌って、出来上がりをその耳でじかに確かめてもらうのが待ちきれないよ」
『All Night Long』で、バンドは元々のインディペンデント・レーベル、イレヴン・セヴン・ミュージックとともに自らのルーツに戻っている。おかげでバックチェリーは以前からずっと望んでいたようなクリエイティヴ・プロセスでの自由を手にすることができた。バックチェリーの共同創立者でありギタリストのキース・ネルソンは、バックチェリーは長く続くよう計画されて作られたホンモノのロック・バンドなのだと説明する。「オレたちがこいつを音楽への愛ゆえに誠実にやってるから、長いこと持ちこたえて進化するんだと思う」とネルソンは言う。「音楽を愛することの副産物もみんな──ロック・スターになること、イカシた車やいろんなオモチャを手に入れること──かなりクールだけど、そういうのはオレたちにとってモチベーションになる要素じゃない。バックチェリーにとってモチベーションになる要素とは、オレたち全員がロックンロール・バンドにいることを──ことに、このロックンロール・バンドにいることを──心底愛してるって事実なんだ。そして、その情熱こそがオレたちのやってるその他すべてのことの原動力になってるんだ」
今日、バックチェリー──トッド、ネルソン、ギタリストのスティーヴィー・ディー、ベーシストのジミー・アッシュハースト、ドラマーのザヴィエル・ムリエル──は明らかに燃えており、『All Night Long』をあなたの近くのステージにナマで持ち込もうとやる気満々になっている。「バックチェリーはオレたち5人がいなけりゃパーティにならないんだ」とキース・ネルソンは説明する。「完成した歌の大部分はまずジョシュとオレでスタートしてるんだけど、オレたち5人が一緒になってプレイし出して初めて、その全貌が独自の生命を得て姿を現すんだ。バンドのひとりひとりのメンバーが、今やオレたちのサウンドにとって決定的に重要なんだ。スティーヴィーは一緒にギターを弾くと信じられないほど素晴らしい相手だし、リズム・セクションではザヴィエルがロックで、ジミーがロールだ。まさにそんなふうになってるんだよ」
これまでの輝かしい歴史においても、バックチェリーは決してトレンドやファッションを追いかけるたぐいのバンドではなかった。「オレたちみたいなロック・バンドが埋める場所はつねにぽっかり空いているんだ」とジョシュ・トッドは言う。「他の誰もオレたちがやってるみたいなことをやってないんじゃないかな。いや、自動車を再発明してるんだ、なんて言ってるわけじゃないぜ。ただ、オレたちはこいつをもう10年以上やっていて、それができるのもバンドとしてのケミストリーがあるからなんだ。オレたちは他の誰のようにも聞こえない。まさにバックチェリーならではの音を出してる。それと、自分たちの音楽にいろいろ余計なものやサンプルとかを入れたりしない。だから、オレたちのありのまんまを聞くことができるんだ」
それでも、バックチェリーがこの地点に至り、レコーディングしツアーするロック・バンドとしての次なる10年をスタートするまでは厳しい道のりだった。グループは最初、90年代半ばに南カリフォルニアでスパロウとして結成されたが、結局初期の服装倒錯のファンと偉大なチャック・ベリーにちなんで新しい名前を選んだ。彼らは「Lit Up」、「For The Movies」、「Check Your Head」といった傑出したロック・ヒットをフィーチャーした1stアルバム(1999年の『Buckcherry』)でいきなり大きな衝撃を巻き起こした。2001年の『Time Bomb』はさほど成功せず、じきに初期のオリジナル・バンド・メンバーはバックチェリーを脱退してしまった。ジョシュ・トッドとキース・ネルソンはしばらく頑張ったものの、2002年にトッドがバンド脱退を決め、バックチェリーは終わったかに見えた。
そして2005年、トッドとネルソンは新しいラインナップでバックチェリーを甦らせることを決意、力を合わせて実に見事な復活劇をやってのけた。2006年4月に発表され、高い評価を得たプラチナ・アルバム『15』には、バックチェリーにとって初のトップ10ヒット「Sorry」や、これまでで最大のロック・ヒット「Crazy Bitch」などが収められている。『15』はビルボードのトップ200(アルバム・チャート)に驚異の98週もの間とどまり続けた。続く2008年の『Black Butterfly』はビルボードに8位初登場、ロック・アルバムでは1位を記録した。
『All Night Long』は、『15』以来バックチェリーの重要なコラボレーターとして活躍しているマーティ・フレデリクセンとともにキース・ネルソンがプロデュースした。「マーティは参加してもらうのに最高の外部の人間だよ」とネルソンは言う。「オレはバンド・メンバーとしての帽子を脱いでプロデューサーの帽子を被ってみた。マーティがそこにいていろんなアイデアのキャッチボールをできるのはすごく役に立つんだ。彼はほんとに計り知れないほど重要で、6番目のメンバーって感じだね」
ネルソンの説明によると、『All Night Long』のレコーディングではバックチェリーが彼のホーム・スタジオにやって来て、文字通りAll Night Long(夜通し)仕事をしたのだという。「誰も時計なんか見てなかったね。プロセスはオレたちの基準からすると長くて──3ヶ月かかった。だけど、まったく違うアプローチだったんだ。長いことやるほどに、どんどん書き直していきたい、何をやったら歌が良くなるのか再検証していきたいって気持ちにさせられるんだ。だけど、オレはレコード作りという芸術形態を一生涯信じている男だからね。生命感をなくしちゃいけないっていうオールドスクールなメンタリティが働くんだな。だから、オレたちはこれからもどんどんレコードを作り続けて行くつもりだよ」
アルバムのタイトル曲のクラシックなアリーナ規模のロックンロール・パーティから、メキシコ湾の石油流出事故に注意を引くために特に歌詞を書き直した「Our World」のストレートなロックまで、『All Night Long』ではバックチェリーならではのものすごい多様性にも期待してもらいたい。
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