UNIVERSAL MUSIC Universal International Artist Index
ARCADE FIRE / アーケイド・ファイア
ARCADE FIRE
Home News Biography Discography
BIOGRAPHY
ARCADE FIRE
ARCADE FIRE / アーケイド・ファイア

ARCADE FIRE / アーケイド・ファイア

小説家トマス・ウルフが"汝再び故郷に帰れず"という小説を書き、それが有名なフレーズとなった。アーケイド・ファイアはその意味をしっかりと把握している。なぜなら自分たちも実際に経験をしたからだ。永続性ではなく、便利さを重視した郊外で育つと、幼い頃の思い出や記憶を辿ることは難しくなってしまう。

モントリオール出身のアーケイド・ファイアが2004年にリリースし成功を収めたアルバム『フューネラル』(Rolling Stone誌に2000年代のナンバーワン・アルバムに選ばれる)は、地元の街をテーマとしている。2007年リリースのアルバム『ネオン・バイブル』のツアーを終えた後、メンバーは1年間のオフをとった。その間にフロントマンのウィン・バトラーはテキサス州ヒューストンの郊外で共に育った幼なじみからEメールを受け取った。「僕たちが住んでいたすぐそばのモールで、娘を肩に乗せて写した写真を送ってくれたんだ」とウィンは言う。「懐かしい場所で昔の友人が子供を抱いている光景を見て、当時の思い出や感情が蘇った。自分たちが育った街を一生懸命思い出して、その記憶を必死に辿ってみた。」

同じくカナダの郊外で生まれ育った他のメンバーたちも幼児期を過ごした場所を再び訪れた。その中にはすっかり変わり果ててしまった故郷を目にした者もいた。残った建物には板が打ち付けられ、まるで魔法のように何処からともなく新しい道や川が現れ、色あせた写真でしか見ることのできない風景はすっかり変わり果てていた。メンバーはその後集合し、まず初めにタイトル・トラック「ザ・サバーブス」を書いた。

「最初の曲を作り始め、それがちゃんとした形になっていくと、今度はアルバムを作っているような気になった」と、ウィンは言う。アルバム『ザ・サバーブス』の曲が形を成すと、失うことや新しく作り直すこと、不足した中でインスピレーションを得ること、過去と未来の世代、責任と成長、純粋なものに存続して欲しいと願うこと、など同じテーマで一体性のある曲が幾つも仕上がっていった。

彼らがこのようなテーマを取り上げることは珍しいことではない。今作の曲を2003年のデビューEPに収めても違和感はないだろう。しかし『フューネラル』がもし若気の至りで『ネオン・バイブル』が世界の重みを受け入れているのであれば、『ザ・サバーブス』ではその名の通り広い空間の中を何時間もドライブを楽しみながら様々な可能性を想像している。これまでの作品と比べ、そこにはより大きな幅と美しさが存在する。今作には、わずかなポップ(「モダン・マン」)、冷たいニュー・ウェーブな大作(「ノー・セレブレーション」)、アンセム調のパンク(「マンス・オブ・メイ」)、そして鮮やかなバラード(「サバーバン・ワー」)などが含まれている。けれども「エンプティ・ルーム」や「レディ・トゥ・スタート」のような激しい曲ではまだハングリーさを聴き取ることができ、リリックを通じて腕を組みながら無駄に過ごした時間や子供の居ない街を非難している。

7人で編成されるアーケイド・ファイアは今でも曲を演奏するには大勢が必要だと信じているが、どの曲もゆっくりと呼吸をしながら聴くことができるし、小さなディテールが小出しになっていることに気付くだろう。そのディテールへのこだわりや、簡単な答えを素直に受け入れないところなどは、非常にアーケイド・ファイアらしい。強硬に独立したこのバンドは、音楽業界で様々な方面からの圧力に直面してきた。しかしネット上の口コミと昔ながらのライヴを通じての活動によって、メジャー・レーベルが把握しがたい方法で成功を掴むことができた。

「好きなようにできたからラッキーだった」と、ウィンは言う。「お陰でバンドの運命を自分たちの力でコントロールできた。僕が憧れるバンドやミュージシャンでさえもそれを手に入れることができなかったり、キャリアの後の方まで得ることはできなかった。僕たちは恵まれている。これ以上のことは要求できないよね?自分たちが作りたいアルバムを作れる。素晴らしい立場にいるんだ。」