BIOGRAPHY

PAUL WELLER / ポール・ウェラー


A _paul40年以上にわたって成功をほしいままにし、シーンに影響を与えてきたポール・ウェラー。それに匹敵する偉業を成し遂げているアーティストは、ほとんどいない。そして現在も尚、彼の創造性は終わりのない絶頂を迎え続け、絶えず絶賛を受けながら、彼は日ごとに新たな領域を切り開き続けている。ポール・ウェラーのような立場のアーティストであれば、かつての努力の成果を今のんびり楽しんでいたとしても当然のこと。そういった人々は、古き良き時代を懐かしむファン達のノスタルジックな愛情を浴びながら、過去の名作アルバムを引っ提げて何度もツアーを繰り返していればよい。もちろん、それでいいはずだ。ポール・ウェラーには、彼と同世代の、いや、あらゆる世代のほとんどの英国人アーティストよりも、懐かしむべき日々がある。ザ・ジャムのフロントマンとして世に送り出した、時代を象徴するアルバム6作、スタイル・カウンシルとして5作、そしてソロ・アーティストとして10作。懐古ツアーで儲けを得るには充分すぎる数の名作揃いであり、そして53歳にして驚くほど身ぎれいで端正としたポール・ウェラーは、今もまだ男盛りである一方、そういった過去の思い出をとことん活用して利益を得ても許されるような、そういう年齢に差し掛かっているのだ。 だが、もちろん、ポール・ウェラーは他のアーティスト達とは違うということを、私達は知っている。ポールは過去を振り返りたいとは思っていない。それは彼の流儀ではない。彼の関心は、今この現在だけに向けられているのである。だから私達は今日、美しく晴れ上がった冬の朝、こうしてオープンカフェにポールを迎え、何杯ものコーヒーをお代わりしながら、マーキュリー音楽賞にノミネートされた2010年の前作『ウェイク・アップ・ザ・ネイション』(原題:Wake Up The Nation)に続く、彼の最新作『Sonik Kicks』について語り合っているのだ。勝利のパレードは、後日のお楽しみにとっておけばよい。 「もちろん俺は、これまで自分がやってきたことを誇りに思ってるよ」とポール。「でも俺の興味は、『次は何だ』って所に向いている。2012年という"現在"において、今日的な意味のあるものを作りたいんだ。今までも自分なりにそうしてきたしね。俺はいつだってずっと、ひたすら『次は何だ』ってことに焦点を当ててきた。ぶっ倒れるまでずっと、そうあり続けるんだろうな」 これまでのアルバム同様、英南東部サリー州リプリーにあるウェラー所有のブラック・バーン・スタジオでレコーディングした『Sonik Kicks』。共同プロデューサーのサイモン・ダインや、信頼をおいているエンジニアのチャールズ・リーに加え、ノエル・ギャラガーや、グレアム・コクソン、アジズ・イブラヒムといった友人ミュージシャン達、そして長年にわたりポールを支えてきたスティーヴ・クラドックを含む、ツアー・バンドの面々の協力を仰ぎ、ポールは本作を完成させた。曲によっては、彼らが普段弾いているのとは異なる楽器を演奏してもらってもいる。そしてウェラー自身もまた、ほとんどありとあらゆる楽器を担当。妻のハンナが「Study In Blue」でポールとデュエットしている他、娘のリアと末の息子のマックが、最後の曲「Be Happy Children」に参加している。 「このアルバムには別のヴァージョンもあったんだけど、再生して聴き返してみたら、ちょっとばかり濃すぎてね。それで2曲ほど外し、新しいのを2曲入れてみた。そしてスタン・カイバートを呼んで、重ねたサウンドを少し剥ぎ取ってみたんだ。今の感じに、自分でもすごく満足しているよ。激しさがあると同時に、一息つける所もある。抽象的な部分も所々にあるけど、すごくポップな良いメロディもある。『ウェイク・アップ・ザ・ネイション』よりも良い出来だと思ってるよ、特に歌詞に関してはね」

2012/3/30更新