机の引き出しの中で眠っている「宝物」はなに。壊れた懐中時計、青いビイダマ。

私たちの知る一年は四つの季節とたくさんの風や雨の温度で巡る。その中で感じる情感や静けさの詩は、もうどうしても、逃れようの無いこの国の「血」だと思います。
都会というのは何処の町でも国でも同じ顔して人々を飲み込んだり吐き出したり。個性の無い町を創り、子供たちに個性を求める。有る意味多くを生み、多くを失うその「都会」はどんどん広がって行くことでしょう。そこでは大先輩の古の技や伝統は隅のほうに忘れ去られてゆく。それでも季節の風や雨は同じ様にアスファルトを濡らし、ビルを包もうとします。だから私たちはまたこの国にしかない「詩」を見ることが、感じる事が出来る。
それはやっぱり、私たちの体に、私たちがいつか集めて忘れた引き出しの宝物のように、この国の季節に育まれた「詩」が流れているからだと信じています。

矢野絢子「浅き夢」に



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