BIOGRAPHY

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「和太鼓倭」

「倭」は1993年「大和之国・奈良」に誕生、現在は日本文化発祥の地として知られる「奈良県明日香村」を拠点に和太鼓の演奏活動を続けているグループです。明日香という歴史ある土地に住んで、使っている太鼓は日本の伝統的な楽器ですが、私達のやっていることは伝統的なものではありません。楽曲の作曲から、振り付け、演奏方法や衣装のデザインや舞台セットや大道具小道具、バチに至るまで、楽器以外のありとあらゆるものをメンバーの手作りでやっております。
さて、結成のきっかけはといいますと、奈良県橿原市にある十市神社(といちじんじゃ)のお祭への参加でした。この時「日向(ひゅうが)」という曲を作曲し、演奏したのがはじまりです。その時には名前もなかったのですが、その後、「新聞に載せてあげるから名前を教えて」と聞かれる事があり、急遽思いついたのが「倭」という名前でした。「なんじゃそら、スナックの名前みたいやな」との失笑もなんのその、今では実にしっくりきています。さて、結局、 1回きりの演奏だったはずがそれ以降様々な場所へ呼ばれるようになり、「呼ばれればどこへでも行こう!」を合言葉に結成から18年、今では1年間に世界各国で150~200公演を行う「ワールドツアー」を行うようになりました。結成の時、4人から始まった「倭」のメンバーも現在は男女合せて16名。通常のコンサート以外にも学校公演や太鼓演奏指導など様々な活動を行っています。

「これまでの公演回数は世界51カ国、2400回」

倭の活動範囲は世界中です。可能性があれば、また、自分達が行きたいところはどこでも「倭」の舞台となりえます。これまでの訪問国は51カ国に達し、公演数も2400回を超えました。
まず、結成の翌年1994年には中国公演を敢行し、4公演に2万人を動員。その後、インドネシア、韓国、シンガポールなどのアジア諸国でコンサートツアー。そして1997年、1998年、1999年には南米ツアーを開催。(各ツアーとも「総移動距離1万キロ以上」の大移動ツアーでした!)なんといってもブラジルなんて日本の真裏。大阪から飛行機で24時間。この3年間で「どこにでも行ける!」という自信が出来たように思います。
さてさて、南米ツアーと平行する1998年、更なる出会いを求めて、世界最大の芸術フェスティバルと呼ばれる「エディンバラフェスティバルフリンジ」に出演。なんと初参加で23公演を完売し、その年の「スピリットオブフリンジ賞」を受賞。英メディアから「肉体の音楽 - Physical Music 」と評されました。そして、このフェスティバルがきっかけでワールドツアーを毎年行うこととなりました。

「倭の生活」

千数百年の歴史を持つ明日香村、そして和太鼓という楽器をバックボーンに新たなる表現を模索する「倭」。私達は「呼ばれれば何処へでも行こう&太鼓で地球を元気にしよう」を合言葉に和太鼓を抱えて日夜世界各地を走りまわっています。結構大変なその生活を紹介しますと、明日香での生活は基本的に「共同生活」です。
起床は午前7時。毎日朝7時30分から10kmのランニング。そして朝食です。その後、午前中は太鼓を使ったウエイトトレーニングや基礎体力作り、昼食を挟んで、午後からは全体での太鼓練習。晩御飯はだいたい夜の8時からで、その後は就寝時間まで個人練習となっています。寝ている時、トイレ、ご飯の時間以外はずーっと太鼓に関わっているのです。そして、大体1年間に半年から長いと10ヶ月以上外国生活。「海外ツアー」というと聴こえは良いようですが、これがまた結構ハードです。なんせ観光する暇はほとんど皆無。劇場に入れば1日中公演準備とコンサート、終演後は休む間もなく後片付けと移動、の毎日なのです。世界の見どころはあんまり知りませんが、いろんな劇場とその楽屋のことはよく知っています。「倭」が年間に訪れる国は15~20カ国。様々な場所で行なう200余りの公演に、30万人以上の人が来てくれます。その出会いが楽しみで、ツアーを続けているのです。

 

「倭の舞台」

さて、言うまでも無く「倭」の表現の中心にあるものは和太鼓です。動物の皮と樹齢400年を超える大木、そして演奏者が生み出す「和太鼓の音」。「倭」はまず、その響きを「心音」として捉えています。「心音」-自らの体に脈打つ生命の中心、パワーの源。それは孤独に走り続けるランナーの、滑らかな肉体に激しく脈打つ鼓動。「倭」は和太鼓の音を通して、生命のエネルギーを観客のみなさんとの間に表出させようと試みます。鍛え上げた肉体が打ち鳴らす和太鼓。そして、響きわたる和太鼓の音に包まれて感じるのは「魂」。生命を力強く支える「魂」です。
「眼に見えないもの、手で触れることのできないもの、しかし、確実に存在するもの」
人間の有史以来途切れることなく受け継がれている心音が、今日ここに集まった命に響いている。人々の魂が響き合う。「倭」の舞台は、生命の営みへの「祝祭」でありたいと願っています。

「エネルギー」

「倭」のパフォーマンスが繰り広げられる場所、たくさんの人々が集い、和太鼓が鳴り響く空間。「倭」の打ち鳴らす響きが、人々の肉体の中心に脈打つ「心音」と響きあう瞬間、人々の心の波紋が、柔らかく重なり合う、その瞬間に、明日へのエネルギーが生まれるのを感じます。
コンサートという空間にある「出会い」の瞬間。そこから大きなエネルギーが生まれ、それが「倭」にとって「創作と表現の旅」を続けるエネルギーになるのです。エネルギーの交感。これが「倭」の活動のメインテーマです。

「大和之国・明日香村」を出発し、世界中を駆け抜け、そして故郷「奈良・明日香」に帰りつく。
これからも「倭」は「出会い」を求めて太鼓を打ちます。

大和之国から世界へ。
そして再び、大和之国へ。
私達は今日も旅を続けています。