BIOGRAPHY

VAN SHE / ヴァン・シー


ヴァン・シーはニコラス・ルートレッジ(Vo./Gt.)、マット・ヴァン・シー(Ba./Vo.)、マイケル・ディ・フランチェスコ(Synths. /Gt.)、トーメク・アーチャー(Dr./Sequencer)からなるシドニー・ベースの4人組。結成当初はシンセ・サウンドを多用するスタイルだっ たが、その後現在のようなよりバンド・サウンドを強めたスタイルに。シドニーのドラム雑誌に掲載されたニセのヴォーカル・オーディション会場で会ったのが きっかけで結成(ちなみにその広告は”セパルトゥラやエントゥームド、そしてフィル・コリンに影響を受けたドゥーム・メタル・バンドのヴォーカル募集!” というムチャクチャなものだった)2005年11月には”Sex City”をリード・トラックとする”The VAN SHE EP”をリリースし、大きな注目を集める。PUMAのショーケースやサマーソニック内のモジュラー・ナイトでも来日を果たしており、またVAN SHE TECH名義でDJとしてもたびたび来日を果たしている。


<STORY>

シドニーを飛び出した4人の男性ユニット=ヴァン・シー。彼らのデビュー・アルバムが『V』だ。アルバム『V』には、彼らの大胆な冒険心が見え隠れしてい る。ムーンロックと言うほぼ未開拓地へのスリリングなモダン・ジャーニー。それは、完全にダンサブルなギター・ポップで、そこへ(そう、マジなんです!) プログレッシヴ・ロックというスパイスを効かせているのだ。バンドとして今まで創り上げてきたサウンドに、限界まで挑戦し、一時的な流行やトレンドなんて 突き破り、メンバー全員で夜空満天の星めがけてプレイした結果生まれたのが、このアルバム『V』だ。その『V』であるが、表面上では、単純に楽しめる キャッチーなポップ・ソング満載、というイメージを受けるかも知れない。しかし、繰り返し聴くにつれ、このアルバムにはシークレットな’しるし’とシンボ リズムが溢れていることに気づくだろう。そんな彼らの音楽をケナす連中にも”Vサイン”を送り、ファンのみんなにももちろん”Vサイン”を贈りながら、誰 も予想だにしなかったアルバムをヴァン・シーは完成させたのである。

『V』の”種”が初めて植え付けられたのは、『VAN SHE EP』をリリースした2005年に始まる。 『VAN SHE EP』からは「KELLY」や「SEX CITY」というマイナー・ヒット曲が生まれ、本国のオーストラリアのみでなく、UKやUSでもリリースされ、ついにはこの3国でツアーも経験することと なった。その間には、”ヴァン・シー・テック・リミックス技法”なるものも生み出され、彼らの楽曲制作スキルにも更なる磨きが入った。2005~2006 年にかけては、まるで超人気若手ミュージシャンのような多忙ツアースケジュールに恵まれ、加えてリミックス楽曲の制作と、昼間のバイト、国内+海外ツ アー・・・ そう、めまぐるしい日々の彼らには、(ニューアルバム用の)新曲を書く時間は皆無に近かった、ということだ。

そして遂に2007年、本腰を入れてデビューアルバムに取り掛かろうという決断をバンド全員で下し、それまでの本拠地だったサリー・ヒル ズ・スタジオを後にした。新しく(スタジオを)移転した場所はというと、シドニーから南に2時間下ったところにある、ベリーという田舎町のファーム・ハウ ス(=酪農園の一軒家)だ。そこで2週間みっちり楽器(ギター、ベース、シンセ、ドラムス含む)を弾きまくり、田舎町の限りある電力を乱費し、青髪のエン ジニアを困らせ、真夜中には、渓谷に眠るカンガルー一家の睡眠を妨害しながらもバンド・セッションに汗を流した。その結果、アルバム『V』に収録されてい る、ほとんどの楽曲のソングライティングを、そこで完成させることができたのだ。

次にバンドが向かったのはロンドンに位置する、かの有名なコンク・スタジオだ。そこでヴァン・シーは、UKの大物プロデューサー=ジム・ア ビス(マッシヴ・アタック、DJシャドウ、アークティック・モンキーズとも仕事経験アリ)と2ヶ月を過ごす。その結果生まれたのが、スペーシー・モダン・ ロックが効いた極上アルバム『V』ってわけだ。ストレートさが心に響くリード・シングル「STRANGERS」、現実離れした「VIRGIN SUICIDE」、思わせぶりなロック・ポップの「CAT & THE EYE」:すべての楽曲に”ヴァン・シー・スタイル”が格別に効いたアルバムに完成したのだ。意味ありげな過去を描いた若者アンセムの楽曲 「KELLY」、そして未来のディスコを映し出す楽曲「TALKIN’」も含み、ここまで輝かしいデビューを遂げるバンドに影響を与えたミュージックとは 一体? リード・シンガーのニックは、映画監督/脚本家のジョン・ヒューズやソフィア・コッポラから、アメリカン・ハイスクールの恋愛映画、ニュー・ ウェーヴ、サイケデリック・ロック、70年代のクラウト・ロック(=”ドイツのプログレ”と呼ばれることも)や90年代のポップに影響を受けたサンプリン グモノまでを挙げている。まさに世界各地に向けてのヴァン・シー・ジャーニー(=冒険/旅路)の始まりということだ。

この6ヶ月間、ヴァン・シーの4人は、デビュー・アルバムのプロモーションと共に、ダフト・パンクやフェニックス、プナウ、スニーキー・サ ウンド・システム、オペレーター・プリーズ、そしてザ・ブレイヴリーのサポート・アクトとしてステージで演奏を重ねてきている。そして彼ら自身もヴァン・ シー・ライヴ/DJパーティー・ツアーなるコンサートを繰り広げた。そこへ今回のブレイクスルー・デビューLP登場ってワケだ。フレンチ・ポップやシュー ゲイザー(=深く歪ませたギターサウンドとポップで甘いメロディが一般的特徴と言われるジャンル)からの影響をアカラサマに掲げながら、ヴァン・シーの創 る音の世界はミュージックシーンの艶やかなヴィンテージさと未来を映し出しているのだ。

アルバムの本国発売日(8月9日)は、Splendour In The Grass(オーストラリアでの毎年恒例音楽フェス)の開催日でもあり、そこにはもちろんヴァン・シーも参加する。その直後には、国内/リージョナル・ツ アーも待ち受けており、パークライフ音楽フェス2008のラインナップにも加えられたところだ。そんな彼らのステージ、そしてデビューアルバムともに、こ れからのヴァン・シー、益々見逃せない。