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花筐 〜Hanagatami〜 花筐 〜Hanagatami〜
2002/10/23 RELEASE!
UICZ-4037 / \3,000(tax in)
 
亡夫・藤本敏夫氏に捧げた「青い月のバラード」、
村上てつやと共作した「花筐」等の新曲。
Mr.Children「花」、福山雅治「桜坂」、
THE YELLOW MONKEY「球根」等のカバー。
「さくらんぼの実る頃」「百万本のバラ」等のセルフカヴァー。
全編「花」に纏わる楽曲でレコーディングした十二編。
テレビ東京系「ジカダンパン! 責任者出てこい!」エンディングテーマ曲「花筐」収録。


01. 青い月のバラード
  新曲 / 作詞:加藤登紀子 / 作曲:Themba Christopher Mkhize
テレビ東京系「ジカダンパン!責任者出てこい!」エンディングテーマ曲
加藤が5月末に千葉鴨川で藤本氏と過ごした最後の夜の空からインスピレーションを受けて作った曲。「藤本さんを送る会(8/18)」で初披露した。作曲は今回のレコーディングにも参加した南アフリカのピアニスト。
02. 花 −Memento-Mori−
  Mr.Children / 作詞・作曲:桜井和寿
03. サボテンの心
  辻仁成 / 作詞・作曲:辻仁成
04. 花筐 〜Hanagatami〜
  新曲 / 作詞:加藤登紀子 / 作曲:村上てつや
05. からたち野道
  THE BOOM / 作詞・作曲:宮沢和史
06. 桜坂
  福山雅治 / 作詞・作曲 / 福山雅治
07. 灰色の瞳 featuring 村上てつや
  セルフカヴァー / 作詞:Tito Veliz / 作曲:Una Ramos / 訳詞:加藤登紀子
アルゼンチンのケーナ奏者ウニャ・ラモスの74年のヒット曲。加藤が訳した詞で、長谷川きよしとのデュエットでヒット。最近では椎名林檎がスピッツの草野マサムネと共演し話題を呼んだ。
08. 棘あるバラ
  セルフカヴァー / 作詞・作曲:加藤登紀子
09. サルビアの花
  早川義夫 / 作詞:相沢靖子 / 作曲:早川義夫
69年「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」に収録され、甲斐よしひろ、チェリッシュ、井上陽水等、数多くのアーティストにカバーされた。
10. 球根
  THE YELLOW MONKEY / 作詞・作曲:吉井和哉
11. さくらんぼの実る頃
  セルフカヴァー / 作詞:J.B.Clement / 作曲:A.A.Renard / 訳詞:加藤登紀子
シャンソンのスタンダートナンバー。本人も声優で出演した映画「紅の豚」の主題歌。
12. 百万本のバラ
  セルフカヴァー / 作詞:A.Voznesenskij / 作曲:R.Pauls / 訳詞:加藤登紀子


「花筐(Hanagatami)」
村上てつやが私に曲を贈ってくれた時、つけられていたこのタイトル。
「花籠のことらしいですけど、もっと深い形見という意味が伏線であるらしいんですよ」と。
今も不思議な気がする。
いつかは来るであろう訣れへの思いで胸がいっぱいだった私と、
このタイトルの出逢いは奇跡のようだった。
数日のうちに詞が出来、
さらに「花」の歌でアルバムをつくろうというアイデアがふくらんだ。
Mr. Childrenの「花−Memento Mori−」、福山雅治の「桜坂」など、
花に纏わるポップソングには傑作がいっぱいある。
私自身が歌って来た歌にも「花」のテーマがとても多い。
「百万本のバラ」はもちろん、椎名林檎がカバーしてくれた「灰色の瞳」もそうだ。
たちまち私の手元は花の歌のリストでいっぱいになった。
7月からアルバムレコーディングに入り、Mix downが終わったのは8月。
残されたものは夢、愛、叫び、孤独、そして永遠。
「花」は生命であり、輪廻であり、生と死をつなぐもの。
「花筐」という謎の言葉に万感の想いをこめてこのアルバムを贈ります。

加藤 登紀子




 カバーブーム、などと言われて久しい。歌手が、他の歌手の持ち歌を歌う。昔、つまり音楽がいちばん気持ち良さそうに世の中を闊歩していたころ、それは特別めずらしいことではなかった。いい歌だから、歌う。好きな歌だから、歌いたい。このシンプルな動機だけで、性別も年齢も国境も超え、歌は人々を渡っていった。歌手は咲き乱れるあらゆる歌に色を付け、自らのスタイルを見出した。けれど一時期、そういった風習は軽んじられ、歌手たちは“オリジナル”にこだわるようになった。自作自演の、時には独りよがりな、時には稚拙な、だからこそ唯一無二の歌が巷に蔓延する。その時代を経て、今、再び歌手たちが歌を選んで歌うようになったことは、音楽の歴史の宿命だったのかもしれない。
 最近では、椎名林檎が『唄ひ手冥利〜其ノ壱〜』なる自身のアルバムで、スピッツの草野マサムネと「灰色の瞳」をデュエットしているのを聞き、その若々しく勢いのある楽曲の解釈に感動していたところだった。2人とも、今の時代を代表する優れたシンガーソングライターである。彼らが選んだ「灰色の瞳」を懐かしく思い出しながらも、歌が少しも色褪せていないことに気づき、その事実に心が震えた。
そして、かつて「灰色の瞳」を、長谷川きよしとともに、哀しく強く刹那に歌った加藤登紀子が、かの歌をセルフカバーした。ゴスペラーズの村上てつやとのデュエットは、過去の歌の埃を取り払うのではなく、まるで新しい歌を包み込んだ紙を喜々として開けるかのように、瑞々しい。一方、村上が楽曲提供した「花筐」は彼女の“新曲”として誕生したばかり。けれどその2曲に温度差はない。加藤登紀子の部屋のソファにゆったりと身を沈めて聞いているような、やさしい色合いである。傍らに置かれた花瓶に生けられた花たちがその花びらをゆっくりとほころばせている。そう。このアルバムは「花筐」をきっかけに、“花”をモチーフにした歌を加藤登紀子が歌うという、とても贅沢なブーケなのだ。
 桜井和寿、宮沢和史、福山雅治、吉井和哉という、若い才能たちとのコラボレートも興味深い。もともとは彼らが自分自身で歌うために作った歌ではあるが、加藤登紀子のたおやかな包容力が、作品を自立させている。どれほどの歌を歌って、彼女が今まで生きてきたのかは、きっと、私たちの想像の範囲ではないだろう。時間の流れと歌との密接な関係を彼女の深い声の中に十分に意識しながら、けれど、どのトラックも、ただ好きだから何度も聞きたい、それだけの理由でリプレイされる、素朴な匂いを放っている。彼女に歌われて、歌たちも嬉しそうだ。
森田 恭子


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