BIOGRAPHY

TAMI CHYNN


Bio

現在どこにいるかよりも、どこで生まれ育ったか、がそのアーティストを知る大切なキーとなる場合がある。エイコンがアトランタ市に構えるスタジオで現在レコーディングするタミー・チン。しかし彼女の故郷は遠く離れたジャマイカ、キングストン市なのだ。歌とダンスを初めて、家族そして友だちに披露した場所。後々、地元のファンを沸かせた場所でもある。

彼女を一目見ればハッキリ感じ取れるだろう。タミー・チンは”フツー”じゃないぞ、と。競争が激しく、男性アーティストが大部分を占めるミュージック・シーン -ジャマイカ本場のダンスホール- から彗星の如く現れたポップ・プリンセス。「影響された音楽はホント幅広いわね。アタシのiPodプレイリストを見ればきっと混乱しちゃうわよ。でもそれが上手く絡み合っているの」、と言うタミー。SRC/ユニバーサル・レコーズよりリリース予定の今作『プリマドンナ』でメジャー・レーベル・デビューを果たす。彼女の焦点は、「年齢に関係なく世界中のガールズたちを感化する音楽をつくること」にあるという。楽しくて、力強くて、セクシーで、時に胸キュンのリリックをレッドワン/コンヴィクト・サウンドにのせて歌ってくれている。彼女の創り出す歌の世界は、文字通りエモーショナル(感情豊か)で、そしてフィジカル(体が動き出すサウンド)でもある。今回のアルバムがPLAYされればダンスフロアがアツくなること、マチガイないだろう。

皮肉ではあるが、新作発表の準備段階と、エイコンとのデビュー・パフォーマンスも控えながら、彼女は第2の原点であるロンドンを回想していた。というのは、その場所で初めて彼女は”スター”という言葉に意識を向け始めたからである。14歳でロンドンの舞台芸術学校に入学。そこでロンドン独特のカルチャーと雰囲気を吸収しながら、あることを確信するようになったのだ。それは、アーティストになる夢が叶うかも、というものであった。そして彼女はジャマイカに帰郷し、自分の”ルーツ”(原点/起源)を確立しようと邁進しはじめたのだ。ジャマイカ人アーティストのビーニー・マンやショーン・ポール、レディー・ソーからその世界を学び、(ちなみに彼ら全員と過去にコラボレーション済みである)、タミーは大切なことに気づいた。それは、海外進出を考える前にまず地元の観客を楽しませたい、というものであった。初のPVである「ロック・U」のリリース後間もなく、ジャマイカ中で激ヤバなサウンドと超セクシーなルックスのニューアーティスト、がウワサとなった。それがタミー・チンだったのだ。

国民の注目を一気に集めた彼女は、ジャマイカ出身で大人気のヤング・アーティストたちと様々な”リディム”でコラボレーションを果たし、やがて1人のアーティストとしてリスペクトされるようになった。彼女のアンダーグランド・ヒット作「タッチ・ミー」、「アイド・ライク・トゥ・ノウ」、「ショウ・ミー」がファンを沸かせる中、タミーは「ハイパーヴェンティレイティング」(feat.は大人気のレゲー・グループ、T.O.K.)をリード・シングルにインディペンデント・アルバムを2006年にリリースした。

タミー・チン自身が既にレゲエ・シーンで定着していたので、彼女の音楽に対するアプローチが余計に異色に感じられた。それは、レゲエ一色には染まらない世界観溢れるサウンドを彼女は提供してくれているということだ。幅広いジャンルの音楽を聴く彼女であるからこそ可能なのかもしれない。ビヨンセやマドンナ、そしてグウェン・ステファニーをリスペクトする彼女は、自分を”新ジャンル”という境地に進展されせることの大切さを常に理解していた。「ジャマイカのみんなはそれをアタシに期待していたのだと思う。 ポップやヒップホップ、それにロックのサウンドまでも取り入れた”ダンスホール・ミュージック”をつくることをね」、とタミーは言う。

彼女自身、自分のつくる音楽がどのジャンルにおさまるのかは曖昧だという。「CDショップでも必ず2、3別々のジャンルに分けて陳列してもらうの」、とタミーは言う。そして、それが彼女のヒットメイカーである所以なのかも知れない。タミーが初めてエイコンと出会ったのは2007年初期。SRCレーベルのCEOであるスティーヴ・リフキンドを通してだ。 後にタミーとエイコンの2人は、エイコンの制作パートナーであるレッドワンを仲間に入れアルバム制作に取り掛かった。この3人の”化学反応”はまさにバッチリだったという。瞬く間の2週間でアルバムの全体構成が仕上がったという。エイコンをフィーチャリングした「フローズン」を筆頭に、ディヴァ・アンセムの「ウイ・ドント・メス」や、トランス・サウンドの「ヒプノティック」が誕生した。今回のアルバムについてタミーは、「ジャマイカの進化し続けるミュージック・カルチャーを十分にレプリゼントしたニュー・サウンド」、と表現している。1曲1曲に込めたメッセージをそこなわず、十分ダンスの楽しめるポップサウンドをつくり出すのは可能であることを、彼女はこのアルバムで証明してくれている。 時にキケンなその境界線をも彼女は自信に満ちた態度で見事に渡ってみせてくれるのだ。「キラー・ラヴ・ソング」や「ディス・マスト・ビー・ラヴ」などのスロウ・ソングでは彼女のヴォーカルが魅力を浴びて歌いあげられている。「アタシの中に内在するシャーデー」が目覚める瞬間でもある。しかし、彼女の活動自体は”スロウ”の対極をなしている。 現在も彼女はスタジオに戻り、故郷ジャマイカのファン”オンリー”に向けたコラボレーションや歌をレコーディング中だそうだ。

レッドワン/コンヴィクト制作のダンスフロア・ヒット曲、「フローズン」の放つ物凄いエネルギーでフロア中が文字通り、”フローズン”(感動にシビレ上がる)状態になるのはマチガイない。そして近未来のポップ・プリンセス、タミー・チンの”熱”はまもなく世界中を虜にしてしまうのだ。